内部監査報告書の書き方|7つの記載項目と指摘の4点セット

内部監査報告書は、経営者と監査役が読む書類です。調書のように詳細を尽くす必要はなく、A4で3枚から5枚に収めます。

質を決めるのは指摘事項の書き方です。事実、原因、影響、改善提案。この4点がそろっているかどうかで、報告書の価値が変わります。

この記事では、報告書の7つの項目、指摘の4点セットの書き方、総括のまとめ方、事実確認の手順、そして提出先と時期を整理します。

この記事でわかること

  • 内部監査報告書に置く7つの項目
  • 指摘を事実、原因、影響、改善提案の4点で書く方法
  • 原因を人ではなく仕組みに求める理由
  • 報告書を確定する前の事実確認の手順
  • 提出先と提出時期の決め方
報告書にどう書くか監査で把握した事実を整理する事実と原因と影響と改善案がそろっているか指摘事項として記載するはいいいえ是正までは要さず参考になる事項か助言や意見として記載するはいいいえ指摘の重要度を区分できるか区分ごとに整理して示すはいいいえ経営者と監査役に報告し、是正の期限を決める

図 内部監査報告書の記載の判定

📌 結論 報告書は指摘の4点セットで決まる

図1 内部監査報告書の構成項目書くこと分量の目安監査の概要テーマ、対象部門、対象期間、実施日、担当者10行監査の目的と範囲何を確かめたか、どこまでを見たか5行総括全体としての結論。統制が有効に機能しているか5行から10行指摘事項事実、原因、影響、改善提案の4点を指摘ごとに1件あたり10行から15行良好事項うまく機能している点あれば3行前回指摘のフォローアッ前回の指摘の是正状況1件あたり3行添付日程表、往査の議事メモ

A4で3枚から5枚に収まる分量です。長くすると読まれず、短すぎると根拠が伝わりません。

内部監査報告書の様式に決まりはありません。実務では7つの項目に落ち着きます。監査の概要、目的と範囲、総括、指摘事項、良好事項、前回指摘のフォローアップ、そして添付です。

この中で質が問われるのは指摘事項です。事実、原因、影響、改善提案の4点がそろっているかどうかで、報告書の価値が変わります。

分量はA4で3枚から5枚です。経営者と監査役が読む書類ですので、長すぎると読まれません。詳細は調書にあり、報告書は要点を伝える書類だと割り切ってください。

🧭 指摘の4点セット

図2 指摘の書き方は4点セット要素内容悪い例と良い例事実いつ、何が、どうなっていたか。数字と日付で悪:承認漏れがあった/良:2026年6月15日付の発注書1件について、課長決裁が必要な80万円の案件が係長決裁で処理されていた原因なぜそうなったか。人ではなく仕組みに目を向ける悪:担当者の不注意/良:金額基準がシステムに設定されておらず、起票者が判断していた影響放置するとどうなるか悪:問題である/良:権限を超えた支出が承認されうる状態が続く改善提案何をすればよいか。実行できる案を悪:徹底されたい/良:発注システムに金額による決裁者の自動判定を設定する

原因を人に求めると、注意しますで終わります。仕組みに目を向けると再発が止まります。

事実は、数字と日付で書きます。承認漏れがあったという書き方では、何件のうち何件か、金額はいくらか、いつのことかが分かりません。是正を確認するときにも、どれを直せばよいのかが特定できません。

原因は、人ではなく仕組みに目を向けます。担当者の不注意と書くと、対応策が注意喚起で終わり、担当者が代わればまた起きます。金額基準がシステムに設定されていなかった、と書けば、設定するという対応につながります。

影響は、放置するとどうなるかを書きます。問題であるという書き方では、なぜ直す必要があるのかが伝わりません。権限を超えた支出が承認されうる状態が続く、と書けば、優先度の判断ができます。

改善提案は、実行できる案を書きます。徹底されたい、周知されたいという書き方は、実質的に何も言っていません。何をどう変えるかを具体的に書いてください。

📄 総括の書き方

総括には、全体としての結論を書きます。対象とした業務プロセスの統制が有効に機能しているか、していないかです。

指摘が複数あっても、それが軽微なものであれば、おおむね有効に機能していると結論づけて構いません。逆に、指摘が1件でも重大であれば、その点で有効に機能していないと書きます。

避けたいのは、指摘を並べただけで総括がない報告書です。読んだ経営者が、結局この部門は大丈夫なのかどうかを判断できません。

良好事項も書いてください。うまく機能している統制を明示しておくと、その部門の担当者が異動したときに、何を維持すべきかが分かります。指摘だけの報告書は、現場の協力を得にくくなります。

報告書の様式づくりと、指摘の書き方をお伝えします

指摘の書き方で、内部監査の価値が決まります。事実、原因、影響、改善提案の4点で書く様式の作成、既存の報告書のレビュー、経営者への報告のしかたまでお受けします。上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援と内部統制の導入、内部監査対応を行っている公認会計士・税理士が直接対応します。初回のご相談は無料です。

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📊 事実確認の手順

図3 報告書ができるまで調書から指摘の候補を拾い出すクロージングで伝えた事実と照合する指摘ごとに事実、原因、影響、改善提案を書く被監査部門に事実確認の依頼を出す(3営業日程度)回答を反映して報告書を確定する経営者と監査役に提出し、講評を行う

事実確認を挟むと差し戻しが減ります。事実に争いがある指摘は、監査の効果が落ちます。

報告書を確定する前に、被監査部門に事実確認を依頼します。指摘に書いた事実に誤りがないかを確かめる工程です。

依頼の期限は3営業日程度が目安です。長く取ると報告が遅れますし、短すぎると確認が形だけになります。

反論が出た場合は、証憑に戻って確かめます。こちらの見落としであれば指摘を取り下げ、相手の認識違いであれば根拠を示して説明します。この過程も調書に残してください。

なお、事実確認は指摘の内容を交渉する場ではありません。事実が正しいことを確認したうえで、指摘するかどうかは内部監査部門が判断します。ここを譲ると、監査の独立性が失われます。

🗂 提出先と時期

提出先は、社長と監査役です。取締役会に報告する会社もあります。内部監査規程に定めた提出先に、定めた期限までに出してください。

期限は、往査終了後1か月以内としている会社が多くあります。兼務者が1人で回している場合は、この期限が守れないことがあります。守れない期限を規程に書くくらいなら、2か月以内と書いて守るほうが安全です。

提出は、書面を回すだけでなく、口頭での説明の場を設けてください。経営者が指摘の重みを理解しなければ、是正が進みません。15分でも時間を取って説明する機会を作ります。

監査役への提出は、三様監査の連携の記録にもなります。監査役から見れば、内部監査が発見した事実は監査の材料になります。定例で情報交換の場を持っている会社では、その場で共有します。

⚖️ 上場審査で見られる点

審査では、報告書の内容とともに、報告の経路と時期が確認されます。誰に、いつ提出したのかが記録に残っているかを見られます。

指摘の書き方も見られます。事実が特定できない指摘、原因が担当者の不注意で止まっている指摘が並んでいると、監査の質を疑われます。

そして、報告書の指摘が調書のどの発見にもとづくのかが追えることが求められます。報告書だけを立派に作っても、裏づけの調書がなければ評価されません。

❓ よくある質問

Q. 報告書には何を書きますか。

A. 監査の概要、目的と範囲、総括、指摘事項、良好事項、前回指摘のフォローアップ、添付の7項目です。

Q. 分量はどれくらいですか。

A. A4で3枚から5枚です。詳細は調書にあり、報告書は要点を伝える書類です。

Q. 指摘はどう書きますか。

A. 事実、原因、影響、改善提案の4点セットで書きます。事実は数字と日付で特定してください。

Q. 原因を担当者の不注意と書いてよいですか。

A. 避けてください。注意喚起で終わり、担当者が代わればまた起きます。仕組みに目を向けます。

Q. 良好事項は書くべきですか。

A. 書いてください。維持すべき統制が分かりますし、現場の協力も得やすくなります。

Q. 事実確認はいつしますか。

A. 報告書を確定する前です。3営業日程度の期限で被監査部門に依頼します。

Q. 提出先はどこですか。

A. 社長と監査役です。規程に定めた提出先に、定めた期限までに提出します。

Q. 書面を回すだけでよいですか。

A. 口頭で説明する場を設けてください。経営者が指摘の重みを理解しないと是正が進みません。

📄 まとめ

報告書は7項目、A4で3枚から5枚に収めます。詳細は調書に置いてください。

指摘は事実、原因、影響、改善提案の4点で書きます。事実は数字と日付で特定します。

原因を人に求めると注意喚起で終わります。仕組みに目を向けると再発が止まります。

確定前に事実確認を挟み、社長と監査役に提出したうえで口頭の説明の場を設けてください。

👤 監修者

公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。

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