KOMPEITOのIPO|5種類の優先株式の整理と兼務型の内部監査【Ⅰの部から読む上場準備】

※本記事は2026年10月6日時点の公表資料に基づきます。

2026年9月11日、株式会社KOMPEITO(証券コード618A)が東京証券取引所グロース市場に上場しました。オフィスに冷蔵庫・冷凍庫を置き、カットサラダやカットフルーツ、冷凍の弁当・惣菜を届ける設置型健康社食「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」を展開する会社です。本記事では、同社が上場にあたって提出した「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」をもとに、上場準備会社の経営者・CFO・管理部門の方が実務の参考にできる論点を整理します。

結論からいえば、KOMPEITOのⅠの部は「ベンチャーキャピタルからの複数回の優先株式調達を経た会社が、上場直前に資本構成をどう整え、急成長とM&Aのなかで管理体制をどう説明しているか」を学ぶのに適した事例です。5種類の優先株式の普通株式への切り替え、2回の無償減資、日本政策金融公庫の新株予約権付融資、ストック・オプションの価格決定といった資本政策の論点に加え、独立部署を置かない内部監査、任意の役員報酬委員会、月額利用料と商品代金を分けた収益認識、黒字化局面での繰延税金資産の計上など、ガバナンスと会計の論点も具体的に確認できます。

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KOMPEITOはどんな会社で、どの市場に上場したのか?

まずは基本情報を確認しておきましょう。KOMPEITOは2012年9月に東京都港区東麻布で設立され、本店は現在、東京都品川区西五反田にあります。決算期は8月で、2025年8月期が第13期、上場申請を行った期が第14期にあたります。代表者は代表取締役CEOの渡邉瞬氏で、Ⅰの部の事務連絡者は取締役CFOの武冨健二氏です。

グループは同社と連結子会社3社の計4社で構成されています。米国で事業を行うKOMPEITO USA Inc.、東京都内で乳製品宅配とOFFICE DE YASAIの一部配送を担う株式会社ODYデリバリーズ、岡山県内を中心に高齢者向け配食や介護施設向け食材の製造販売を行う株式会社優食の3社です。セグメントは「福利厚生サービス事業」の単一セグメントとされています。

項目 内容
社名 株式会社KOMPEITO(英訳名 KOMPEITO Inc.)
上場日・市場 2026年9月11日・東京証券取引所グロース市場(証券コード618A)
設立 2012年9月(東京都港区東麻布、資本金3,000千円)
本店所在地 東京都品川区西五反田二丁目
決算期 8月(申請期は第14期)
事業 設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」等の福利厚生サービス事業(単一セグメント)
従業員数 連結209名〔臨時139名〕、単体184名〔69名〕(2026年6月30日現在)。単体の平均年齢34.2歳、平均勤続年数2.2年
代表者 代表取締役CEO 渡邉 瞬
機関設計 監査役会設置会社(取締役7名うち社外3名、監査役3名全員社外)
会計監査人 ESネクスト有限責任監査法人
連結子会社 KOMPEITO USA Inc.、株式会社ODYデリバリーズ、株式会社優食の3社
親会社 なし(筆頭株主は代表取締役CEO)

従業員数は最近日までの1年間で53名増加したと記載されており、その理由として期中採用のほか、ODYデリバリーズの事業譲受に伴う受入れ、優食の連結子会社化があげられています。また、提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は31.8%、男性の育児休業取得率は100.0%と開示されています。労働組合はありません。

上場準備の観点では、従業員数の増減とその理由の書き方に注目しておくとよいでしょう。M&Aや事業譲受で人員が急に増えると、労務管理(労働時間の把握、就業規則の適用、未払残業代の有無など)の論点が子会社や譲受事業に広がります。審査では、グループ全体で労務管理が回っているかを確認されることが多いため、人員増の理由を説明できるようにしておくことが大切です。全体像はIPO準備の全体像(N-3期〜N期)もあわせてご覧ください。

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KOMPEITOは何で稼いでいるのか?事業内容と収益モデル

KOMPEITOの中心事業は、設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」です。Ⅰの部では、合成保存料・合成着色料を使わないカットサラダやカットフルーツなどを、オフィスに設置した冷蔵庫・冷凍庫に「置き型」で提供する福利厚生サービスと説明されています。冷蔵プランと、弁当・惣菜を届ける冷凍プランがあり、商品は原則1品100円から、冷蔵・冷凍あわせて毎月約160品を提供しているとのことです。

2025年8月期の売上高構成比は、OFFICE DE YASAI事業が95.4%、その他事業が1.8%、連結子会社が2.8%です。その他事業には、次世代自販機「SALAD STAND by OFFICE DE YASAI」や、オフィスワーカー向けのプロモーションサービス「OFFICE DE MEDIA」が含まれます。

OFFICE DE YASAIの事業モデル製造委託先(食品工場等)ピッキングセンター等全国8拠点配送デリバリー方式宅配便業者顧客企業のオフィス冷蔵庫・冷凍庫従業員が購入原則1品100円から月額利用料(プランに応じた固定額)商品代金(販売個数×単価)ARR=月額利用料+商品代金(2026年8月期3Q末 約89.2億円)営業提携先 270(地方銀行81行・事業会社189社、2026年5月末時点)

図1 製造の大部分は委託先、配送はピッキングセンターから自社社員によるデリバリー方式と宅配便業者による方式を併用。収益は月額利用料と商品代金の2本立て。Ⅰの部「事業の内容」をもとに作成

収益は「月額利用料」と「商品代金」の2本立て

OFFICE DE YASAIの収益は、プランに応じた固定額の「月額利用料」と、販売個数×単価で決まる「商品代金」の2つで構成されています。同社は経営上の指標としてARR(年間経常収益)を用いており、その定義も「月額利用料(プラン固定額)と商品代金(販売個数×単価)の合算」とされています。2026年8月期第3四半期末時点のARRは約89.2億円と記載されています。

顧客は企業で、2026年8月期第3四半期末の本契約社数は6,644社です。このうち地方(東京都・愛知県・福岡県・兵庫県・大阪府・神奈川県以外)の比率が62%とされ、契約先の約81%が従業員100名以下の企業です。売上高の10%以上を占める相手先はなく、主な相手先別の販売実績は記載が省略されています。特定の大口顧客に依存しない、多数の中小企業に広く浅く提供するモデルだといえます。

配送網と営業網が強みとして説明されている

Ⅰの部では、同社の強みとして配送網と営業網があげられています。配送網は北海道の利尻島から沖縄の与那国島まで全国をカバーし、冷蔵7拠点(北海道、千葉、愛知、和歌山、広島、福岡、沖縄)と冷凍1拠点(東京)の計8拠点を持つ体制です。配送は、社員が商品の交換・陳列まで行う「デリバリー方式」(全体の約2割)と、宅配便業者による配送方式を併用しています。第13期のOFFICE DE YASAIのARRに占める配送費の割合は約13%と開示されています。

営業網については、2026年5月末時点で地方銀行81行、事業会社189社の計270の営業提携先(パートナー)があると記載されています。地方銀行が取引先の中小企業に福利厚生の手段として紹介する、という流れが地方比率の高さにつながっていると読めます。一方で、事業等のリスクでは「提携金融機関(地方銀行等)を通じた販売チャネルへの依存」が発生可能性「中」として記載されており、強みとリスクが表裏一体で説明されている点も参考になります。

KPIは売上高、売上高成長率、限界利益率

同社が経営指標(KPI)としてあげているのは、売上高、売上高成長率、限界利益率の3つです。限界利益は「売上高-商品原価-配送費等の変動費」と定義され、限界利益率はKOMPEITO単体の実績を重要な指標とするとされています。また、OFFICE DE YASAIのトライアル(お試し導入)にかかる商品原価・配送費は、顧客獲得コストとして固定費扱いにすると説明されています。2026年8月期の目標は、売上高9,645百万円(前期比68.1%成長)、限界利益率59.4%と記載されています。

限界利益の定義とKPIの目標売上高商品原価配送費等の変動費限界利益−−=トライアルの商品原価・配送費は顧客獲得コストとして固定費扱い2026年8月期の目標売上高9,645百万円・限界利益率59.4%限界利益率はKOMPEITO単体の実績を重要な指標とする

図2 Ⅰの部「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の定義をもとに筆者作成

あわせて、月次定期解約率(直近12カ月の月次解約数÷直近12カ月の総契約社数)も開示されています。2021年8月期の2.2%から、2026年5月末には1.1%まで低下しています。サブスクリプション型の事業では、解約率が顧客基盤の安定性を示す代表的な指標であり、審査や投資家説明でも重視されます。

月次定期解約率の推移00.61.31.92.52021/8期2022/8期2023/8期2024/8期2025/8期2026/5末2.2%1.5%1.5%1.3%1.4%1.1%

図3 直近12カ月の月次解約数を直近12カ月の総契約社数で除した解約率。2026年5月末は1.1%。Ⅰの部「事業の内容」をもとに作成

上場準備会社にとっての実務上のポイントは、KPIの定義を文章で明確にし、社内の管理資料・取締役会資料・Ⅰの部で同じ定義を使い続けることです。ARRや限界利益のように会計上の定義がない指標は、何を含め何を除くか(たとえばトライアルコストを変動費に入れるか固定費に入れるか)で数字が大きく変わります。KOMPEITOのように定義と計算方法を明示しておけば、審査担当者や投資家との対話がスムーズになります。グロース市場で求められる説明の水準はグロース市場の「高い成長可能性」とはで解説しています。

上場までにどんな道のりをたどったのか?沿革の主要イベント

KOMPEITOは、2012年9月に野菜の生産者と消費者をつなぐECサイト「Agrich(アグリッチ)」の提供から事業を始めました。2013年2月には実店舗での野菜販売を始めるなど事業方針を転換し、2014年4月に設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」の提供を開始しています。設立から現在の主力事業にたどり着くまでに、いくつかの試行錯誤があったことが沿革から読み取れます。

その後、2016年8月にはラストワンマイル配送を目的として牛乳販売店・新聞販売店と業務提携し、2018年7月に冷凍惣菜の「オフィスでごはん」、2019年2月に決済アプリ「YASAI PAY(野菜ペイ)」、2020年5月に「OFFICE DE MEDIA」を始めています。2020年9月以降は関西、沖縄・北海道、九州に製造・配送拠点(外部委託)を設け、全国展開の体制を整えてきました。

沿革(設立から上場まで)2012年9月設立Agrich開始2014年4月OFFICE DEYASAI開始2017年3月シリーズA約1.5億円2020年10月シリーズB約3.2億円2022年3月シリーズC約12.9億円2024年5月米国子会社設立2024年8月シリーズD約10.7億円2024年11月乳販店の事業譲受2025年10月優食を完全子会社化2026年9月東証グロース上場

図4 野菜のECサイトから出発し、2014年に設置型健康社食へ。シリーズA〜Dの資金調達を経て、2024年以降は米国子会社設立とM&Aでバリューチェーンを広げた。Ⅰの部「沿革」をもとに作成

資金調達の面では、2017年3月のシリーズA(総額約1.5億円)、2020年10月のシリーズB(約3.2億円)、2022年3月のシリーズC(約12.9億円)、2024年8月のシリーズD(約10.7億円)と、段階的にベンチャーキャピタル等から資金を受け入れています。

2024年以降は事業の広げ方が変わります。2024年5月に米国子会社KOMPEITO USA Inc.を設立し、ロサンゼルスを中心に「Lumeal(ルミール)」ブランドで設置型冷凍庫によるオフィス向けフードサービスを始めました。2024年9月にはODYデリバリーズを設立し、同社を受け皿として2024年11月、2025年9月、2025年11月と都内などの牛乳販売店の事業譲受を3回行っています。さらに2025年10月には給食事業者の株式会社優食を株式取得により完全子会社化しました。

時期 主なできごと
2012年9月 東京都港区東麻布で設立。ECサイト「Agrich」提供開始
2014年4月 設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」提供開始
2016年8月 ラストワンマイル配送のため牛乳販売店・新聞販売店と業務提携
2017年3月 シリーズA 総額約1.5億円の資金調達
2020年10月 シリーズB 総額約3.2億円の資金調達
2022年3月 シリーズC 総額約12.9億円の資金調達
2022年7月 品川区西五反田に本社移転
2024年5月 米国にKOMPEITO USA Inc.を設立
2024年8月 シリーズD 総額約10.7億円の資金調達
2024年9月〜2025年11月 ODYデリバリーズ設立、牛乳販売店の事業譲受3回
2025年10月 株式会社優食を完全子会社化
2026年9月 東京証券取引所グロース市場に上場

上場準備会社にとってのポイントは、上場直前期にM&Aや海外子会社設立が重なると、審査で確認される範囲が一気に広がることです。子会社が増えれば、子会社の内部統制、連結決算の手続、のれんの評価、子会社役員の兼務や関係会社管理規程の運用などが審査対象に加わります。KOMPEITOも、事業等のリスクで「新規事業、M&Aを含むグループ会社事業」をあげ、デューデリジェンスの限界、のれん・無形資産の減損、PMI、外国子会社のガバナンスに触れています。M&Aを上場準備と並行させる場合は、上場スケジュールはどこで遅れるかで紹介しているような遅延要因も意識しておく必要があります。

業績はどう推移してきたのか?赤字から黒字への転換と成長性の説明

次に業績の推移を見てみましょう。単体の売上高は、第9期(2021年8月期)の579,751千円から第13期(2025年8月期)の5,576,879千円まで、5期にわたって増加しています。一方で経常損益は5期とも損失で、第12期(2024年8月期)の△452,111千円が最も大きく、第13期は△227,787千円に縮小しました。なお、第9期から第11期の数値は会社計算規則に基づくもので、金融商品取引法に基づく監査の対象外と注記されています。また第9期は債務超過でした。

売上高と経常損失の推移(単体)売上高(百万円)経常損失(百万円・損失額)01,5003,0004,5006,00021/8期22/8期23/8期24/8期25/8期5809611,6963,1015,577012525037550021/8期22/8期23/8期24/8期25/8期△195△269△433△452△228

図5 売上高は5期で約9.6倍に拡大。経常損失は第12期(2024年8月期)をピークに第13期で縮小した。第9〜11期は金融商品取引法に基づく監査の対象外。Ⅰの部「主要な経営指標等の推移」をもとに作成

連結財務諸表は第12期から作成されています。連結の業績は次のとおりです。

期間 売上高 営業損益 経常損益 親会社株主に帰属する当期(中間・四半期)純損益
第12期(2024年8月期) 3,101,345 △453,540 △460,685 △466,576
第13期(2025年8月期) 5,737,362 △225,354 △245,758 △161,026
第14期中間(2025年9月〜2026年2月) 4,467,923 478,775 477,929 424,804
第14期第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月) 7,047,954 671,002 665,883 554,959

(単位:千円。Ⅰの部「主要な経営指標等の推移」「経営成績等の状況の概要」より)

第13期の売上高は前年比85.0%増と記載されています。第13期の損失について、Ⅰの部では広告宣伝費や人員採用等の先行投資によるものと説明されています。そして第14期に入ると、中間期で営業利益478,775千円、第3四半期累計で営業利益671,002千円を計上しており、損失から利益への転換が数字で示されています。対処すべき課題の項でも、第13期通期は営業損失であったものの「足元月次では広告宣伝費等の先行投資を含めても営業利益を計上する水準」にあると記載されています。

費用面では、連結の広告宣伝費が第13期通期で934,445千円、第14期中間で401,472千円と開示されています。また荷造運賃(配送費)は第13期通期で833,277千円、第14期中間で541,600千円です。収益体制の強化策として、広告宣伝費の効率化、ピッキングセンターへのマテハン(マテリアルハンドリング)機器の導入、乳販店M&Aによる配送の内製化、AI活用があげられています。

キャッシュ・フローと財政状態の読み方

第13期の連結営業キャッシュ・フローは△341,055千円で、税金等調整前当期純損失に加えて売上債権の増加(△320,748千円)が影響しています。Ⅰの部では、売掛金の増加理由として、稼働社数の増加に加え「新規顧客の支払方法を原則口座振替へ移行」したことで入金時期が銀行振込より遅くなったことが説明されています。第14期中間では営業キャッシュ・フローが276,948千円のプラスに転じています。

口座振替への移行と営業キャッシュ・フロー新規顧客の支払方法原則口座振替へ移行入金時期が銀行振込より遅くなる売上債権の増加△320,748千円営業CF△341,055千円稼働社数の増加と税金等調整前当期純損失も影響第14期中間の営業キャッシュ・フローは276,948千円のプラス

図6 第13期(2025年8月期)連結。Ⅰの部「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をもとに筆者作成

財務キャッシュ・フローは、第12期が株式発行収入1,065,649千円、長期借入600,000千円、社債発行300,000千円などで2,106,064千円のプラス、第13期は借入金の返済などで△249,586千円でした。第13期末の自己資本比率は連結で27.6%です。なお、1株当たり純資産がマイナスで表示されていますが、これは優先株式の払込金額(2,818,225千円)を控除して算定しているためと注記されています。

上場準備会社にとっての実務上のポイントは2つあります。1つ目は、赤字の期がある会社は、損失の理由と黒字化の道筋を数字で説明できるかが問われるということです。グロース市場では赤字でも上場できますが、事業計画の合理性や成長可能性の説明が求められます。KOMPEITOのように、損失の原因(先行投資)、改善策(広告効率化、物流の自動化・内製化)、結果(中間期以降の利益計上)を一貫して示す書き方は参考になります。詳しくはIPO審査の「事業計画の合理性」やIPO審査の「企業の継続性及び収益性」をご覧ください。

2つ目は、支払方法や与信条件の変更は売上債権と営業キャッシュ・フローに直接影響するということです。口座振替への移行のような実務上の変更でも、期末の売掛金が大きく増えれば、財政状態の説明が必要になります。業務フローを変えるときは、経理・財務への影響を事前に把握し、説明を用意しておくことが大切です。

資本政策と株主構成はどう組み立てられているのか?

KOMPEITOのⅠの部で、上場準備会社にとって最も学びが多いのが資本政策の部分です。同社は複数回の資金調達で5種類の優先株式(A種、B種、C1種、C2種、D種)を発行してきましたが、上場前にこれらをすべて普通株式に切り替え、株式分割を行って上場に臨んでいます。順に見ていきましょう。

資本政策の主な流れ2022年3月までA・B・C1・C2種優先株式を発行2022年8月無償減資(欠損填補)2024年5〜8月D種優先株式(655円※)2024年8月無償減資(欠損填補)2025年11月第6回SO発行(行使価額525円※)2026年6月4日優先株式を取得普通株式を交付2026年6月18日株式分割1株→70株2026年9月東証グロース上場

図7 5種類の優先株式で資金調達し、欠損填補の無償減資を2回実施。上場前に優先株式を取得条項で取得して普通株式を交付し、1株→70株の株式分割を行った。※は分割後換算の金額。Ⅰの部「株式等の状況」「株式公開情報」をもとに作成

5種類の優先株式を取得条項で普通株式へ

Ⅰの部によると、同社はA種12,250株、B種13,900株、C1種34,924株、C2種5,000株、D種23,334株の優先株式を発行していました。2026年5月20日の取締役会決議に基づき、2026年6月4日付で取得条項によりすべての優先株式を取得し、優先株式1株につき普通株式1株を交付しています。取得した優先株式は同日に消却され、2026年6月17日の臨時株主総会で種類株式に関する定款の定めを廃止しました。現在は種類株式発行会社ではないと記載されています。

続いて2026年6月18日付で普通株式1株を70株に分割し、発行済株式総数は9,848,300株となりました。同じ臨時株主総会で単元株制度(1単元100株)も採用しています。発行可能株式総数は39,340,000株です。

優先株式の普通株式化から株式分割までA種B種C1種C2種D種交付比率12,250株13,900株34,924株5,000株23,334株1株→普通1株2026年5月20日取締役会決議2026年6月4日取得・普通株式交付優先株式を消却2026年6月17日種類株式の定め廃止単元株(100株)採用2026年6月18日1株→70株に分割分割後の発行済株式総数9,848,300株、発行可能株式総数39,340,000株

図8 Ⅰの部「株式等の状況」「発行済株式総数、資本金等の推移」をもとに筆者作成(株数は分割前)

ベンチャーキャピタルから優先株式で資金調達した会社は、上場前に優先株式を普通株式に戻すのが一般的です。その方法として、取得条項(会社が一定の事由で優先株式を取得し、対価として普通株式を交付する条項)を使うケースが多く見られます。上場準備会社では、優先株式の発行時に、上場時の転換方法(取得条項や取得請求権の内容、転換比率、決議の手順)を契約と定款に明確に定めておくことが重要です。詳しくは種類株式は上場前に普通株式へ戻すのかで解説しています。

欠損填補のための無償減資を2回実施

発行済株式総数・資本金等の推移を見ると、同社は2022年8月26日と2024年8月31日の2回、欠損填補を目的とする無償減資を行っています。1回目は資本金を694,908千円減少させて10,000千円に、2回目はD種優先株式の発行で増加した資本金534,990千円を減少させて再び10,000千円にしています。資本金はシリーズCやシリーズDの払込みで一時的に増えても、その後の減資で10,000千円に戻している形です。

また、2022年2月のC2種優先株式5,000株は、金銭債権の現物出資により発行されたと記載されています(発行価格2,000円、割当先はインキュベイトファンド2号)。いわゆるデット・エクイティ・スワップ(DES)の一例です。

一般論として、欠損填補の減資は、繰越利益剰余金のマイナスを解消し、将来の配当可能性を確保したり、資本金の額に応じた税負担や会社法上の区分を見直したりする目的で行われることがあります。減資には株主総会決議と債権者保護手続が必要であり、手続の経緯は審査で確認されることがあります。資本政策全体の考え方は上場準備の資本政策をご覧ください。

第三者割当と株式移動の価格はどう決めたのか

第四部「株式公開情報」には、上場前の第三者割当と株式移動の価格とその算定方法が記載されています。2024年5月から8月にかけて発行されたD種優先株式は、分割後換算で発行価格655円です。目的は「安定株主及び取引先との関係強化」とされ、発行価格は「PSR法により算出した価格を勘案」して決定したと記載されています。割当先には、JICベンチャー・グロース・ファンド1号、IF Growth Opportunity Fund I, L.P.、あおぞらHYBRID3号、鈴与株式会社、福岡地所株式会社のほか、地域金融機関系のファンドが名を連ねています。

特別利害関係者等の株式等の移動では、2024年2月に投資事業有限責任組合の存続期間満了に伴う譲渡(1株26,333円、分割前)、2024年3月に同じく存続期間満了に伴う現物分配、2024年5月に代表取締役CEOの渡邉瞬氏から鈴与株式会社への「安定株主の確保及び事業上の関係強化を目的とした譲渡」(1株26,333円、分割前)が記載されています。移動価格の算定方式は「DCF法、純資産方式、類似会社比準方式、PSR法の算出価格を総合勘案し当事者協議で決定」とされています。

上場準備会社にとっての実務上のポイントは、上場前の株式の発行・移動の価格には、その時点で合理的に説明できる根拠を残しておくことです。PSR法(株価売上高倍率法)は、赤字のスタートアップで利益をベースにした評価が難しい場合に参考とされることがある方法です。どの方法を採用したか、なぜその方法なのかを、算定書や取締役会議事録に残しておくことが大切です。詳しくは未上場株式の株価算定はどの方法を使うかと上場前に株式を動かすとどうなるか(継続所有の確約)をご覧ください。

ストック・オプションと日本政策金融公庫の新株予約権

Ⅰの部には、ストック・オプション等の新株予約権として第1回、第4回、第5回、第6回、第7回が記載されています。主な内容は次のとおりです(株式数・価額は2026年7月31日現在、株式分割後)。

回 決議日 対象者 目的株式数 行使価額 主な特徴
第1回 2014年7月15日 社外協力者1名 17,500株 1円 有償発行(1個100,000円)。段階的に行使可能。上場後でなければ行使不可
第4回 2019年11月25日 日本政策金融公庫 48,510株 309円 新株予約権付融資に際して無償発行。当初はB種優先株式が目的
第5回 2021年7月9日 取締役・従業員・顧問 74,550株 310円 上場時のみ行使可、地位保持要件
第6回 2025年11月27日 取締役・従業員・子会社役員 542,080株 525円 上場時のみ行使可。継続保有の確約あり
第7回 2026年2月19日 子会社従業員1名 980株 525円 第6回と同様の条件

第6回新株予約権の行使価額525円(分割後)は「DCF法、純資産方式、類似会社比準方式、PSR法の総合勘案」により決定したと記載されています。また、取締役会が対象者との協力・信頼関係の喪失を決議した場合には行使できない、という条件が付されています。ストック・オプションの会計処理では、未公開株式のため公正な評価単価を本源的価値で見積もっており、その基礎となる株式評価にPSR法を用いていること、費用計上はないことが注記されています。

第4回新株予約権は、日本政策金融公庫の新株予約権付融資(2019年12月の金銭消費貸借契約、借入100,000千円)に際して公庫に無償で発行したものです。当初の目的株式はB種優先株式でしたが、2026年6月4日の優先株式の取得に合わせて、普通株式を目的とする新株予約権に交付替えされています。会社・公庫・渡邉瞬氏の三者による「新株予約権に関する合意書」があり、上場後は公庫が渡邉氏または同氏があっせんする者(会社を含む)に売却するのが原則で、上場審査に支障がある場合は上場前の売却も可能とされています。売買価格は「(株式の時価-行使価額)×株式数」で、現時点では上場前に渡邉氏が譲り受ける予定と記載されています。

日本政策金融公庫の新株予約権の扱い日本政策金融公庫第4回新株予約権を保有渡邉瞬氏又は同氏があっせんする者KOMPEITO会社・公庫・渡邉氏の三者で「新株予約権に関する合意書」売買価格=(株式の時価-行使価額)×株式数当初の目的はB種優先株式。2026年6月4日に普通株式を目的とするものへ交付替え現時点では上場前に渡邉氏が譲り受ける予定(48,510株・行使価額309円)上場後は売却が原則融資100,000千円

図9 Ⅰの部「新株予約権等の状況」の記載をもとに筆者作成

上場準備会社にとっては、融資に付随する新株予約権や社外協力者向けの新株予約権も、潜在株式として資本政策の一部になる点が重要です。発行時の契約で、上場時の取扱い(誰が、いつ、どの価格で買い取るか)まで決めておくと、上場直前の調整が少なくて済みます。税制適格ストック・オプションの要件は税制適格ストックオプション、注記の書き方はストック・オプションの注記の記載例で解説しています。

大株主と株主構成

第四部「株主の状況」によると、筆頭株主は代表取締役CEOの渡邉瞬氏で、所有株式数2,301,600株、潜在株式を含む株式総数に対する割合は21.85%です。2位以下にはJICベンチャー・グロース・ファンド1号(9.97%)、IF Growth Opportunity Fund I, L.P.(8.52%)、ニッセイ・キャピタル7号(8.33%)などの投資ファンドが続き、事業会社ではキユーピー株式会社(3.88%)や鈴与株式会社(2.51%)が上位10名に入っています。

大株主上位10名の所有割合渡邉 瞬(代表取締役CEO)21.85%JICベンチャー・グロース・ファンド1号9.97%IF Growth Opportunity Fund I, L.P.8.52%ニッセイ・キャピタル7号8.33%ニッセイ・キャピタル11号7.07%ニッセイ・キャピタル9号6.14%インキュベイトファンド2号5.24%キユーピー株式会社3.88%あおぞらHYBRID3号2.90%鈴与株式会社2.51%代表取締役投資ファンド事業会社

図10 所有割合は潜在株式を含む株式総数10,531,920株に対する割合(第四部「株主の状況」)。橙は代表取締役、緑は事業会社、青は投資ファンド。Ⅰの部をもとに作成

株式総数10,531,920株のうち、新株予約権による潜在株式は683,620株で、比率は6.49%です。2026年7月31日現在の株主数は36名で、所有者別では金融商品取引業者が25名・57.0%を占めます。事業等のリスクでは、投資ファンドの保有比率が約66%であること、上場後の売却についてはロックアップで調整することが記載されています。親会社はなく、自己株式も保有していません。

上場準備会社にとっての実務上のポイントは、上場時の流通株式の要件と、ファンドの持分をどう扱うかを早めに確認しておくことです。流通株式の数え方や、ベンチャーキャピタルの持株の扱いは流通株式数の数え方とベンチャーキャピタルの持株は流通株式から除かれるかで整理しています。創業者の持株比率の考え方は創業者の持株比率はどこまで下げてよいかも参考になります。

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コーポレート・ガバナンスはどう設計されているのか?

KOMPEITOの機関設計は、取締役会、監査役会、会計監査人を置く監査役会設置会社です。取締役は7名で、うち社外取締役が3名、監査役は3名で全員が社外監査役です。役員は男性9名・女性1名と記載されています。

機関設計と主な会議体株主総会取締役会 7名(うち社外3名)月1回定時+臨時第13期は13回開催監査役会 3名(全員社外)常勤監査役1名・非常勤2名第13期は13回開催代表取締役CEO内部監査担当(CEOが指名)会計監査人ESネクスト有限責任監査法人経営会議(原則毎週)リスク・コンプライアンス委員会(四半期1回以上)役員報酬委員会(任意)委員長:社外取締役選任選任監査連携

図11 監査役会設置会社。取締役7名のうち社外3名、監査役3名は全員社外。任意の役員報酬委員会は社外取締役が委員長。Ⅰの部「コーポレート・ガバナンスの状況等」をもとに作成

取締役会と監査役会の構成

取締役会は毎月1回の定時開催に加え、必要に応じて臨時に開催され、議長は代表取締役CEOです。第13期の開催回数は13回で、社内取締役4名と社外取締役2名が13回すべてに、もう1名の社外取締役が12回に出席しています。検討内容としては、株主総会、取締役報酬、上場準備、内部管理体制の整備、執行役員の選任、予算・決算、資金借入、規程の制定・改定、M&A・新規事業などがあげられ、月次決算の報告も受けています。

社内取締役は、代表取締役CEOの渡邉瞬氏、取締役CTOの梅津祐希氏、取締役COOの好岡利香子氏、取締役CFOの武冨健二氏の4名です。社外取締役は、インキュベイトファンド株式会社の代表パートナーである村田祐介氏、キユーピー株式会社の上席執行役員として業務用市場を統括した経歴を持つ北川岳史氏、三井住友銀行常務執行役員や日本郵便の社長などを歴任した横山邦男氏の3名です。Ⅰの部では、村田氏についてはインキュベイトファンドの運営ファンドが同社に出資していること、北川氏についてはキユーピー株式会社が同社に出資していることが記載され、横山氏については利害関係はないとされています。独立性の基準は定めておらず、東証の基準を参考に個別に判断していると記載されています。

監査役会は常勤監査役1名と非常勤監査役2名で構成され、毎月1回開催、議長は常勤監査役です。第13期は13回開催され、全員が全回出席しています。常勤監査役の桐竹洋一氏は、本田技研工業、ホンダ企業年金基金常務理事を経て日本梱包運輸倉庫の常勤監査役を務めた経歴を持ち、小池良平氏は公認会計士で上場企業のCFO経験があり、財務・会計に関する相当程度の知見を有すると記載されています。宗裕二氏は設立時の2012年9月から社外監査役を務めています。

区分 氏名 主な経歴・位置付け(Ⅰの部の記載より)
代表取締役CEO 渡邉 瞬 日本能率協会コンサルティングを経て2012年に当社設立。子会社3社の取締役等を兼務
取締役CTO/COO/CFO 梅津 祐希/好岡 利香子/武冨 健二 いずれも2020年11月に取締役就任
社外取締役 村田 祐介 インキュベイトファンド代表パートナー。同社の運営ファンドが当社に出資
社外取締役 北川 岳史 キユーピー上席執行役員(業務用市場統括)。キユーピーが当社に出資
社外取締役 横山 邦男 三井住友銀行常務執行役員、日本郵便社長等。利害関係なし
常勤監査役(社外) 桐竹 洋一 本田技研工業、日本梱包運輸倉庫常勤監査役等
監査役(社外) 宗 裕二/小池 良平 宗氏は設立時から在任。小池氏は公認会計士・上場企業CFO経験

上場準備会社にとっての実務上のポイントは、社外役員の独立性を、出資関係や取引関係も含めて丁寧に説明することです。ベンチャーキャピタルや事業会社の出身者が社外取締役に就くことは珍しくありませんが、上場後は独立役員の届出が必要になり、出資元との関係がどう整理されているかが確認されます。社外取締役の人数や役割は社外取締役は何人必要か、機関設計の選び方は監査役会設置会社と監査等委員会設置会社はどちらを選ぶ?をご覧ください。

任意の役員報酬委員会と報酬の決め方

取締役の金銭報酬枠は年額8,500万円以内、監査役は年額850万円以内と株主総会で決議されています。個人別の報酬は、2024年11月28日の取締役会で代表取締役CEOに決定が委任され、その後2025年11月19日に任意の役員報酬委員会が設置されました。委員会は渡邉瞬氏、社外取締役の横山邦男氏(委員長)、社外監査役の小池良平氏の3名で構成され、社外取締役及び社外監査役が過半数を占める諮問委員会とされています。CEOが原案を作り、委員会の審議・答申を経て、委任を受けたCEOが答申を尊重して決定する流れです。委員会は2026年6月8日と7月8日に開催されたと記載されています。

役員報酬の決定の流れ代表取締役CEO報酬の原案を作成役員報酬委員会(任意)審議・答申代表取締役CEO答申を尊重して決定委員:渡邉瞬氏、横山邦男氏(社外取締役・委員長)、小池良平氏(社外監査役)2024年11月28日に取締役会がCEOへ委任し、2025年11月19日に委員会を設置報酬枠:取締役 年額8,500万円以内/監査役 年額850万円以内

図12 Ⅰの部「役員の報酬等」をもとに筆者作成

最近事業年度の報酬総額は、社外取締役を除く取締役4名が74,100千円、社外取締役3名が2,400千円、社外監査役3名が8,400千円で、いずれも固定報酬のみです。業績連動報酬、退職慰労金、非金銭報酬はありません。

代表取締役に個人別報酬の決定を委任する場合、その理由と、委任された権限が適切に行使されるための措置を開示する必要があります。KOMPEITOは任意の報酬委員会を設けることでこの点に対応していると読めます。上場準備では、報酬決定のプロセスを規程と議事録で裏付け、委員会を実際に開催した実績を作っておくことが大切です。

関連当事者取引と経営管理組織

関連当事者との取引として、代表取締役CEOの渡邉瞬氏による債務保証が開示されています。第13期末では、同社の銀行借入75,824千円に対する債務被保証と、連結子会社ODYデリバリーズの仕入債務(買掛金)11,543千円に対する債務被保証があり、いずれも保証料の支払いはないとされています。

代表者による債務保証(関連当事者取引)渡邉瞬氏(代表取締役CEO)KOMPEITOの銀行借入75,824千円ODYデリバリーズの仕入債務(買掛金)11,543千円債務保証いずれも保証料の支払いはない上場に向けて解消を検討するのが一般的

図13 第13期末。Ⅰの部「関連当事者情報」をもとに筆者作成

代表者による会社借入の個人保証は、創業期の会社ではよく見られる取引です。上場審査では、関連当事者取引の必要性と取引条件の妥当性が確認され、上場に向けて解消を検討することが一般的です。解消の方法や開示の範囲については、IPO審査の「企業経営の健全性」(関連当事者取引)と社長個人と会社の取引はどう解消するかで解説しています。

経営管理組織としては、CEOを議長とする経営会議が原則毎週開かれ、社内取締役、執行役員、各グループリーダーのほか、常勤監査役や子会社の担当者も参加しています。リスク・コンプライアンス委員会はCEOを委員長として四半期に1回以上開催され、取締役・執行役員・各部門の担当者で構成されています。内部統制システムの基本方針は2023年5月18日の取締役会で決議されています。

内部監査と内部統制はどんな体制なのか?

KOMPEITOの内部監査は、独立した内部監査部署を置かない形で行われています。Ⅰの部によると、代表取締役CEOが指名したバックオフィスグループを内部監査の担当部門とし、担当者は財務経理チームの今井悟史氏と、商品開発部門の髙橋真理子氏(執行役員CPO)の2名です。あわせて外部委託も活用していると記載されています。

内部監査の流れと三様監査監査計画の策定監査の実施子会社を含むCEOへ結果を報告CEOが改善を指示フォローアップ監査三様監査:監査計画・結果・指摘事項・改善状況を情報交換監査役会(3名全員社外)内部監査担当2名+外部委託会計監査人ESネクスト担当者の分掌業務を監査するときは、CEOが別途定める者が担当(自己監査の回避)取締役会・監査役会にも報告できる体制

図14 独立した内部監査部署は置かず、CEOが指名したバックオフィスグループを担当部門とし、担当者2名と外部委託で実施。結果はCEOへ報告し、改善状況をフォローアップする。Ⅰの部「監査の状況」をもとに作成

監査の対象は、担当者が属する部署を除く全部門です。監査対象の部署が担当者の分掌業務にあたる場合は、CEOが別途定める者が担当することで、自己監査を避ける仕組みになっています。監査結果はCEOに報告され、CEOが改善を指示し、その後フォローアップ監査で改善状況を確認します。また、取締役会と監査役会にも報告できる体制とされています。

関係会社については、内部監査担当者が関係会社の監査を実施または統括すると記載されています。子会社が短期間で3社に増えた同社にとって、子会社を内部監査の対象に含めている点は重要です。

兼務型の内部監査で押さえるべきこと

上場準備会社、とくに管理部門の人数が限られる会社では、専任の内部監査室を置かずに、他部門の担当者が兼務する形や外部委託を組み合わせる形がよく見られます。この場合の実務上のポイントは次の3つです。

1つ目は、自己監査をどう回避するかを規程で明確にすることです。KOMPEITOのように、担当者の所属部署や分掌業務を監査するときは別の者が担当する、とルールを決めておく必要があります。2つ目は、監査計画、監査調書、報告書、改善状況のフォローアップまでの記録を残すことです。兼務であっても、内部監査が1年間を通じて運用されている実績が審査で確認されます。3つ目は、報告ルートをCEOだけでなく取締役会・監査役会にも確保することです。

兼務と自己監査の考え方は内部監査の担当者と兼務(自己監査の回避)、人数と体制は内部監査の人数と体制、報告先は内部監査の報告先は社長だけでよいのかで詳しく解説しています。

三様監査の連携と監査役監査の重点

同社では、監査役、内部監査担当者、会計監査人の三者が、監査計画、監査結果、指摘事項、改善状況について情報交換を行うと記載されています。常勤監査役は取締役会や経営会議、代表取締役CEOとの懇談会などに出席し、稟議書、重要な契約書、月次の業績管理資料、内部監査報告書を閲覧しています。

監査役会の重点監査事項としては、「業容・組織規模の拡大に伴うリスク対応」と「子会社管理体制」があげられています。売上高が急増し、M&Aで子会社が増えている同社の状況と、監査の重点がきちんと対応しているといえます。三様監査の進め方は監査役監査・内部監査・会計監査(三様監査)をご覧ください。

リスク管理・コンプライアンス・子会社管理

リスク管理とコンプライアンスは、リスク・コンプライアンス委員会が中心になっています。内部通報制度はリスク・コンプライアンス規程の中で定められ、反社会的勢力への対応マニュアルも整備されています。子会社の管理については、関係会社管理規程を定め、リスク・コンプライアンス委員会に関係会社の代表者が随時参加する体制です。

品質面では、経営企画グループ内に「品質管理」の専任部隊を置き、委託先の工場やピッキングセンターを実査していると、事業等のリスクの項に記載されています。製造や配送の多くを外部に委託するモデルでは、委託先の管理が内部統制の重要な一部になります。上場準備会社では、外部委託先の選定・評価・監査の手順を文書化し、実際の訪問記録や改善要請の記録を残しておくことが求められます。内部統制の基本は内部統制の3点セットで整理しています。

会計・開示ではどんな論点があるのか?

収益認識:一定期間と一時点の2本立て

OFFICE DE YASAIの収益認識について、Ⅰの部では、顧客企業との契約により福利厚生の一環として商品を販売・配送するサービスを提供する義務を負い、契約期間にわたって顧客企業が指定する配送場所で商品を引き渡すことで履行義務を充足すると説明されています。

そのうえで、月額利用料はプランに応じた固定金額で契約期間にわたり均一のサービスを提供するものとして、役務提供期間にわたり収益を認識します(一定期間)。商品代金は、顧客企業に引き渡した時点で、販売された商品個数×単価で収益を認識します(一時点)。重要な金融要素や重要な変動対価はないとされ、残存履行義務については当初の予想契約期間が1年を超える重要な契約がないため、実務上の便法により記載を省略しています。

収益認識の2本立て(OFFICE DE YASAI)月額利用料プランに応じた固定金額商品代金販売個数×単価一定期間にわたり収益を認識第13期 3,885,765千円商品の引渡時点で収益を認識第13期 1,851,597千円一定期間 67.7%一時点 32.3%

図15 月額利用料は契約期間にわたり(一定期間)、商品代金は引渡時点(一時点)で収益を認識する。割合は第13期連結の収益分解情報から算出。Ⅰの部「重要な会計方針」「収益認識関係」注記をもとに作成

期間 一時点で移転される財 一定の期間にわたり移転される財 合計
第12期(2024年8月期) 976,002 2,125,342 3,101,345
第13期(2025年8月期) 1,851,597 3,885,765 5,737,362
第14期中間 1,592,179 2,875,744 4,467,923

(単位:千円。Ⅰの部の収益認識関係注記より)

契約負債は、第12期末の15,809千円から第13期末に57,079千円へ増加しています。契約締結日等の請求に基づき受け取った対価のうち、収益を認識した金額を上回る部分と説明されています。

上場準備会社にとってのポイントは、サブスクリプションと物販が組み合わさった契約では、履行義務を分けて考え、それぞれの収益認識のタイミングを会計方針として明文化することです。あわせて、KPIとして使うARRの構成要素と、会計上の収益の分解情報を対応させておくと、説明の一貫性が保てます。詳しくは上場審査で問われる収益認識をご覧ください。

重要な会計上の見積り:減損と繰延税金資産

重要な会計上の見積りとして、第13期は「固定資産の減損」と「繰延税金資産の回収可能性」の2つが記載されています。固定資産の減損では有形固定資産220,131千円、無形固定資産24,306千円が対象で、減損損失は計上していません。第12期には、次世代自販機SALAD STANDが遊休資産化したことにより、減損損失3,352千円を計上しています。いずれの見積りも、取締役会が承認した事業計画に基づく「本契約社数」と「ARPU」が主要な仮定とされています。

繰延税金資産は、第12期末はゼロでしたが、第13期末に106,178千円を計上しています。税務上の繰越欠損金606,566千円(法定実効税率を乗じた額)に対して評価性引当額517,416千円を控除し、繰越欠損金に係る繰延税金資産89,151千円を計上したと記載されています。評価性引当額は回収可能性の区分の見直しにより前期比で83,178千円減少しています。第14期では、第3四半期末の繰延税金資産が241,416千円となっています。

繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上繰越欠損金606,566評価性引当額-517,416計上額89,151繰延税金資産の合計:第12期末ゼロ→第13期末106,178千円→第14期第3四半期末241,416千円

図16 第13期末、単位千円(Ⅰの部「税効果会計関係」をもとに筆者作成。繰越欠損金は法定実効税率を乗じた額)

赤字から黒字に転換する局面では、繰延税金資産をいつ、どの程度計上するかが重要な論点になります。回収可能性の判断は将来の課税所得の見積りに依存するため、事業計画の合理性と、会計上の見積りの仮定が一致していることを示す資料を準備しておく必要があります。

M&Aとのれん、海外子会社の評価

企業結合については、ODYデリバリーズによる乳製品宅配事業の譲受(対価44,039千円、のれん25,341千円)と、優食の株式取得(取得原価200,000千円、のれん35,385千円)が開示されています。のれんはいずれも5年間で均等償却されます。優食の取得は第13期の重要な後発事象としても記載されています。

単体の財務諸表では、KOMPEITO USA Inc.の株式に係る関係会社株式評価損49,627千円と、同社への貸付金に係る関係会社貸倒引当金繰入額48,116千円が特別損失として計上されています。北米展開は成長戦略の柱のひとつとされており、事業等のリスクでは、新規事業について収益化までの期間制限、追加投資の上限額、撤退基準を設定していると記載されています。

子会社の取得・設立と主な会計処理KOMPEITOKOMPEITO USA Inc.単体:株式評価損49,627千円貸倒引当金繰入48,116千円ODYデリバリーズ乳製品宅配事業を譲受のれん25,341千円優食(株式取得)取得原価200,000千円のれん35,385千円のれんはいずれも5年間で均等償却新規事業は収益化までの期間制限、追加投資の上限額、撤退基準を設定

図17 Ⅰの部「企業結合等関係」注記・単体の損益計算書等をもとに筆者作成

上場準備会社にとっては、M&Aを行うたびに、取得原価の配分、のれんの償却期間、減損の兆候の判定を文書化しておくことが大切です。のれんの審査上の見られ方はIPO審査でのれんの減損リスクはどう見られるかで解説しています。

監査法人と監査報酬

会計監査人はESネクスト有限責任監査法人で、継続監査期間は2年間です。業務執行社員2名のほか、補助者として公認会計士6名、その他10名が関与しています。監査証明業務に基づく報酬は、前連結会計年度が14,000千円、最近連結会計年度が23,000千円で、非監査業務に基づく報酬はありません。選定理由は、業務執行体制、品質管理体制、独立性、監査業務執行の妥当性及び監査報酬水準を総合的に勘案したと記載されています。

また、責任限定契約は社外取締役・社外監査役に加えて会計監査人とも締結していると記載されています。監査法人の選定時期については監査法人はいつまでに決めるかをご覧ください。

事業等のリスクには何が書かれ、審査ではどこが問われやすいのか?

KOMPEITOのⅠの部では、事業等のリスクが24項目にわたって記載され、それぞれに発生可能性、発生時期、影響度が示されています。事業運営、マーケティング・顧客基盤、事業環境・外部要因、組織・経営体制、財務・資本政策の5つに分けて整理されている点も読みやすい工夫です。主な項目を表にまとめます。

区分 主なリスク 発生可能性/影響度 Ⅰの部に記載された対応等
事業運営 サービスの安全性、品質 低/中 品質管理の専任部隊、工場・ピッキングセンターの実査
事業運営 配送体制の確保 中/中 配送関連業者のM&Aによる一部内製化
顧客基盤 提携金融機関(地方銀行等)を通じた販売チャネルへの依存 中/中 提携見直し、地銀再編、紹介手数料条件の変化等を認識
外部要因 食事補助に係る税制上の優遇措置 低/中 2026年4月以後支給分から非課税限度額が月額3,500円→7,500円(税別)に改正
外部要因 原材料及び配送費用等の高騰 中/中 販売価格改定の可能性
外部要因 パンデミック 低/大 2020年の緊急事態宣言時に一時休止が相次いだ経験
組織・経営体制 新規事業、M&Aを含むグループ会社事業 低/中 収益化までの期間制限、追加投資上限額、撤退基準の設定
財務・資本政策 VC等による株式売却 中/中 ロックアップで調整(投資ファンド保有比率約66%)

このなかで、上場準備会社が自社に置き換えて考えやすいのは、次のような論点です。

1つ目は販売チャネルの依存です。売上高の10%以上を占める顧客はいなくても、特定の紹介ルートに顧客獲得が偏っていれば、それ自体がリスクになります。チャネルごとの獲得件数や契約条件を把握し、説明できるようにしておくことが大切です。

2つ目は税制や制度への依存です。同社のサービスは、従業員が食事代の半分以上を負担し、会社負担が一定額以下であれば非課税となる所得税の取扱いと関係しています。制度改正が追い風にも逆風にもなりうることを、リスクとして正面から書いている点は参考になります。

3つ目は外部委託先への依存です。製造の大部分を委託先に頼り、配送も多くを委託しているため、委託先の稼働やガバナンスがリスク項目として独立して記載されています。審査では、委託先の管理方法や代替手段の有無が確認されやすいポイントです。

4つ目は特定人物への依存です。代表取締役CEOへの依存がリスクとして記載されています。創業者が筆頭株主であり、関連当事者取引として債務保証もある会社では、権限委譲の状況や組織的な経営体制が説明できるかが問われます。審査の全体像はIPOの実質審査基準とは、引受審査については主幹事証券の引受審査では何を聞かれるかをご覧ください。

KOMPEITOのケースから上場準備会社が学べること

ここまでの内容を踏まえて、KOMPEITOのⅠの部から引き出せる実務上の示唆を7つにまとめます。

1. 優先株式の出口は発行時に設計しておく。5種類の優先株式を、取締役会決議から約2週間で取得条項により普通株式に切り替え、その後に株式分割と単元株制度の採用を行っています。上場前の手続を短期間で進めるには、発行時点で取得条項などの設計が整っていることが前提になります。

2. 減資やDESなど資本の動きには目的を明記する。欠損填補の無償減資2回、金銭債権の現物出資によるC2種の発行など、資本金の推移には一つひとつ理由があります。Ⅰの部では目的が記載されるため、議事録や手続書類で裏付けておく必要があります。

3. 株価算定の方法と根拠を残す。第三者割当、株式移動、ストック・オプションのそれぞれで、PSR法などの算定方法が記載されています。上場前の価格は審査で必ず確認されるため、算定書を保存しておくことが大切です。

4. 融資や社外協力者に付随する新株予約権の扱いを決めておく。日本政策金融公庫の新株予約権付融資には、三者の合意書で上場時の買取りの方法と価格の算式が定められています。

5. 独立した内部監査部署がなくても、自己監査回避と記録で体制を説明する。兼務の担当者2名と外部委託で、子会社を含めた内部監査を行う体制が示されています。

6. KPIの定義と会計情報を対応させる。ARR、限界利益率、解約率の定義を明示し、収益認識の2本立てと対応させることで、成長性の説明に一貫性が生まれます。

7. 急成長とM&Aの局面ではガバナンスの重点を明示する。監査役会の重点監査事項に子会社管理体制をあげ、任意の役員報酬委員会を設置するなど、規模の拡大に合わせて体制を補強した経緯が読み取れます。

  • 優先株式の取得条項・転換比率・決議手順を定款と投資契約で確認したか
  • 減資・DES・株式移動など資本の動きの目的と手続書類を整理したか
  • 第三者割当・株式移動・ストック・オプションの価格算定書を保存しているか
  • 融資付随の新株予約権など、上場時の取扱いが未定の潜在株式はないか
  • 内部監査の自己監査回避ルールと、子会社を含む監査計画・記録はそろっているか
  • KPI(ARR・限界利益率・解約率等)の定義を文書化し、会計数値と対応させているか

よくある質問

Q1. 赤字の会社でもグロース市場に上場できますか?

グロース市場では利益の額に関する形式要件はなく、赤字でも上場は可能です。ただし、事業計画の合理性や高い成長可能性について、根拠をもって説明することが求められます。KOMPEITOも第13期までは損失でしたが、損失の理由と収益体制の強化策、その後の利益計上を数字で示しています。

Q2. 優先株式は上場前に必ず普通株式に戻す必要がありますか?

実務上は、上場前にすべての優先株式を普通株式に切り替えるのが一般的です。KOMPEITOは取得条項により優先株式を取得し、1株につき普通株式1株を交付したうえで消却し、種類株式に関する定款の定めを廃止しています。

Q3. 内部監査は専任の部署がないといけませんか?

必ずしも専任部署は必要ありません。KOMPEITOのように、他部門の担当者が兼務し、外部委託を組み合わせる体制もあります。その場合は、自己監査を避けるルールを定め、監査計画から改善のフォローアップまでの記録を残しておくことが重要です。

Q4. M&Aをしながら上場準備を進めてもよいですか?

可能ですが、子会社の内部統制、連結決算、のれんの評価、子会社管理規程の運用など、審査で確認される範囲が広がります。KOMPEITOのように、取得の経緯や会計処理、リスクと対応をⅠの部で説明できるよう、取得のたびに資料を整えておくことが大切です。

最初の一歩は「自社の資本構成と潜在株式の一覧表」を作ること

KOMPEITOのように資金調達の回数が多い会社ほど、上場直前の資本政策の整理に時間がかかります。まずは、発行済みの株式の種類と株数、各種類株式の取得条項や転換の条件、ストック・オプションや融資に付随する新株予約権の内容と上場時の取扱いを、一つの表にまとめてみてください。どこに未決定の論点があるかが見えれば、主幹事証券や監査法人との協議もスムーズに進みます。資本政策の基本は資本政策はなぜやり直せないかも参考になります。

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KOMPEITOのⅠの部と比べる 上場準備ギャップ診断シート(Excel)

KOMPEITOの機関設計・内部監査・会計・資本政策の25論点を、自社の状況と並べて点検できます。申請期の期末日を入れると上場までの逆算表も作れます。

まとめ

KOMPEITOは、設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」を全国の中小企業を中心に展開し、2026年9月に東証グロース市場に上場しました。Ⅰの部からは、5種類の優先株式の普通株式への切り替え、2回の無償減資、日本政策金融公庫の新株予約権付融資の扱い、PSR法を含む株価算定といった資本政策の具体例を学べます。

ガバナンスと内部統制では、監査役全員が社外の監査役会、任意の役員報酬委員会、兼務と外部委託による内部監査、子会社管理を重点とする監査役監査が示されています。会計面では、月額利用料と商品代金を分けた収益認識、黒字化局面での繰延税金資産の計上、M&Aに伴うのれんの会計処理が主な論点です。上場準備を進める会社にとって、自社の状況に置き換えて確認しやすい事例といえるでしょう。

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ショートレビュー、資本政策、機関設計、内部監査・内部統制、会計方針と開示、Ⅰの部の作成、審査対応まで、上場準備の実務を公認会計士が支援します。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

本記事の根拠

免責:本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件に対する法務、会計、税務その他の専門的助言を構成するものではありません。実際の対応は、最新の法令・取引所規則・公表資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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