上場前に株式を動かすと、誰との取引かによって扱いが変わります。基準は特別利害関係者等にあたるかどうかです。
有価証券上場規程施行規則 第2条が、特別利害関係者等を、企業内容等の開示に関する内閣府令 第1条第31号イに規定する特別利害関係者をいう、と定義しています。範囲はイからニまでの4区分です。
そして第三者割当を受けた者には継続所有の確約が求められます。対象は、基準事業年度の末日の1年前の日以後に割り当てたものです(施行規則第268条第1項)。
- 特別利害関係者等の4つの区分
- 議決権の50パーセント超と20パーセント以上の線引き
- 株主のうち上位10番目以内が含まれること
- 継続所有の確約の対象期間
- 親引けが原則として禁止であること
- 180日という数字の出どころ
📌 結論 まず誰が特別利害関係者等かを確定する
企業内容等の開示に関する内閣府令 第1条第31号です。有価証券上場規程施行規則 第2条が、この定義を引いています。
イは役員本人、その配偶者と二親等内の血族、そしてこれらの者が議決権の百分の五十を超えて所有する会社です。関係会社とその役員も含まれます。
ロは株主のうち議決権が多い順に十番目以内となる者です。役員でもなく取引関係もない投資家でも、順位で入ります。
ハは人的関係会社と資本的関係会社、およびその役員です。ここは議決権の百分の二十以上が線です。イの五十パーセント超と混同しないでください。
ニは金融商品取引業者とその役員です。証券会社が株主に入っている場合はここに該当します。
🧭 継続所有の確約はどこまで遡るか
直前々期の期首以後、という説明を見かけますが、施行規則の文言は基準事業年度の末日の1年前の日以後です。ここは条文を確認してください。
東京証券取引所の提出書類の一覧に、継続所有等に関する確約を証する書類が挙げられています。根拠は施行規則第268条第1項、新株予約権については第270条第1項です。
対象は、基準事業年度の末日の1年前の日以後に割り当てたものに限られます。ストックオプションとしての新株予約権も同じ期間です。
直前々期の期首以後、という説明が広く出回っていますが、施行規則の文言は基準事業年度の末日の1年前の日以後です。似ていますが起算点が違います。実際の割当日が境界の近くにあるなら、条文の文言で確認してください。
あわせて、割当先が譲渡した場合には通知書類の提出が求められます。確約を取っただけで終わりではありません。
誰が特別利害関係者等にあたるかの洗い出し、移動の価額の算定根拠の作成、特別利害関係者一覧表への反映、そして継続所有の確約書の管理まで通してお受けします。役員や親族が絡む移動は、価額の説明が後から作れません。動かす前にご相談ください。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 親引けは原則として禁止
上場時に取引先へ株を回したい、という相談は多いのですが、親引けは原則として禁止です。例外の要件は書面で確約を取ることまで含みます。
日本証券業協会の株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分等に関する規則、通称の配分規則です。第2条第2項が、親引けを行ってはならない、としています。
例外として親引けが許容される場合の要件のひとつが、同項第3号です。主幹事会員が親引け予定先から、180日を経過する日まで継続して所有することの確約を書面で取り付けることを求めています。
上場時に取引先や従業員に株を回したい、という相談はよくあります。ただ、原則は禁止です。例外を使うなら、要件を先に確認してください。
📅 動かす前にやること
動かしたあとで理由を作ると、価額の妥当性が説明できません。順番が逆にならないようにしてください。
提出書類としては、特別利害関係者一覧表(施行規則第204条第1項第18号a)と、株券等の分布状況表(同第19号)が挙げられています。
なお、株式移動状況表という名称の提出書類は、東京証券取引所の提出書類一覧では確認できませんでした。呼び名が実務で定着していても、根拠を探すときは正式名称で当たってください。
名義株の整理についてはIPOにおける株主数の要件とはにも触れています。
❓ よくある質問
A. 企業内容等の開示に関する内閣府令 第1条第31号です。上場規程施行規則第2条がこれを引いています。
A. 配偶者と二親等内の血族です。
A. 議決権が多い順に十番目以内であれば該当します(ロ)。
A. イは百分の五十を超えて所有する会社、ハは人的関係会社・資本的関係会社で百分の二十以上です。区分ごとに違います。
A. 基準事業年度の末日の1年前の日以後に割り当てたものです(施行規則第268条第1項)。
A. 新株予約権については施行規則第270条第1項に定めがあります。
A. 配分規則第2条第2項は原則として禁止しています。例外の要件のひとつが180日の継続所有の確約です。
A. 譲渡が生じた場合は通知書類の提出が求められます。確約に反した譲渡は別の問題になります。
📄 まとめ
特別利害関係者等は開示府令第1条第31号のイからニまでで決まります。株主の上位10番目以内も入ります。
継続所有の確約の対象は、基準事業年度の末日の1年前の日以後に割り当てたものです。
親引けは原則として禁止で、例外には180日の継続所有の確約が要ります。
株式を動かすときは、価額の算定根拠を先に作ってください。あとから作った資料は、審査で必ず時期を聞かれます。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業内容等の開示に関する内閣府令(e-Gov法令検索) 第1条第31号
- 新規上場申請に係る提出書類等(内国株券・東京証券取引所) 継続所有等に関する確約を証する書類
- 株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分等に関する規則(日本証券業協会) 第2条第2項
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