業績予想と実績の乖離はどこから開示が要るか|売上高10パーセントと利益30パーセント

業績予想と実績がずれたとき、どこから開示が要るのか。数値は公表されています。

売上高は10パーセント、営業利益・経常利益・純利益は30パーセントです。正確には、新たに算出した予想値または決算値を直近の予想値で除した数値が、売上高で1.1以上または0.9以下、各利益で1.3以上または0.7以下となる場合です。

そして配当予想の修正には軽微基準がありません。期中に当期の予想値を修正したなら、幅にかかわらず開示が必要です。

この記事でわかること

  • 売上高10パーセント、利益30パーセントの根拠
  • 比率をどちらで割るのか
  • 配当予想には軽微基準がないこと
  • 修正の開示と差異の開示が別であること
  • 判定を月次に組み込む方法
  • 上場申請期の下方修正の扱い

📌 結論 売上高は10パーセント、利益は30パーセント

図1 業績予想の修正が要る水準科目開示が必要になる比率連結売上高新たに算出した予想値または決算値を直近の予想値で除した数値が 1.1以上 または 0.9以下連結営業利益同 1.3以上 または 0.7以下連結経常利益同 1.3以上 または 0.7以下親会社株主に帰属する当期純利益同 1.3以上 または 0.7以下

売上高は10パーセント、各利益は30パーセントです。連結財務諸表を作成していない会社は個別で読み替えます。根拠は上場規程第405条第1項・第3項と施行規則第407条各号です。

根拠は有価証券上場規程第405条第1項および第3項、そして同施行規則第407条各号です。東京証券取引所の上場会社向けの案内にこの条番号が示されています。

計算は、新たに算出した予想値または決算値を、直近に公表した予想値で除します。分母が直近の予想値です。実績で割るのではありません。

連結財務諸表を作成している会社は連結の数値で判定します。作成していない会社は個別の数値に読み替えます。

そして純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です。少数株主持分を含む数値ではありません。

🧭 配当予想には軽微基準がない

図2 軽微基準に当たれば開示は不要科目軽微基準(この範囲内なら開示不要)売上高0.9超 1.1未満営業利益・経常利益・純利益0.7超 1.3未満配当予想の修正軽微基準はありません

配当予想には軽微基準がありません。期中に当期の予想値を修正したなら、金額の大小にかかわらず開示が必要です(上場規程第405条第2項・第3項)。

業績予想については、売上高が0.9超1.1未満、各利益が0.7超1.3未満であれば軽微基準に当たり、開示は不要です。

一方、配当予想の修正には軽微基準がありません。東京証券取引所の説明に、本項目に軽微基準はありません、と明記されています。根拠は上場規程第405条第2項および第3項です。

1円の増配でも開示が要る、ということです。業績予想と同じ感覚で軽微基準を探すと、開示漏れになります。

予想値の作り方と修正判定の仕組みづくりをお引き受けします

上場後は、予想を出すこと自体より、ずれたときに遅滞なく出せるかが問われます。月次の着地見込みの作り方、判定の様式、開示文案のひな型、そして取締役会での決議の残し方まで設計します。上場準備の段階から、予算と実績の差異を説明できる形に整えます。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。

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🧾 修正の開示と差異の開示は別

図3 差異と修正は別物場面何を出すか期中に予想値を見直した業績予想の修正の開示決算値が直近の予想値と乖離した予想値と決算値との差異の開示どちらも規程第405条と施行規則第407条の同じ数値基準で判定する

決算短信を出せば差異の開示も済む、ということにはなりません。乖離が基準に当たるなら、差異についての開示が別に要ります。

期中に予想値そのものを見直したときは、業績予想の修正の開示です。決算が確定して、その決算値が直近の予想値と乖離していたときは、予想値と決算値との差異の開示です。

判定に使う数値基準は同じです。ただ、出す場面が違います。決算短信を出したから差異の開示も兼ねている、とはなりません。

決算短信の訂正が必要になったときの手順は決算短信を訂正するときの手順にまとめています。

📅 上場申請期の下方修正

図4 月次で回す判定の順番月次で着地見込みを更新する直近に公表した予想値と比べ、比率を計算する売上高は1.1以上または0.9以下、各利益は1.3以上または0.7以下かを見る当たれば、遅滞なく修正を開示する決算が確定したら、決算値と直近の予想値の差異を同じ基準で判定する

決算作業が終わってから気づく、が最も多い遅延です。判定は月次の中に組み込んでください。

上場申請をした事業年度に業績予想を下方修正した場合、審査でどう扱われるか。東京証券取引所の公表資料には、これを明示した記載を確認できませんでした。

ただ、グロース市場の実質審査基準には事業計画の合理性が置かれています(規程第219条第1項第4号)。予想を外したこと自体より、外した理由を説明できるか、見込みの作り方が変わったかが問われます。

上場前から、月次の着地見込みと年度予想の関係を文書で残してください。上場後に必要になる判定の仕組みは、そのまま準備期間の予実管理から作れます。

❓ よくある質問

Q. 売上高は何パーセントで開示が要りますか。

A. 直近の予想値で除した数値が1.1以上または0.9以下のときです。10パーセントです。

Q. 利益は何パーセントですか。

A. 1.3以上または0.7以下です。30パーセントです。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が対象です。

Q. 分母はどちらですか。

A. 直近に公表した予想値です。新たな予想値または決算値を、直近の予想値で除します。

Q. 配当予想にも軽微基準がありますか。

A. ありません。期中に当期の予想値を修正したなら開示が必要です。

Q. 連結を作っていない場合は。

A. 個別の数値に読み替えて判定します。

Q. 決算短信を出せば差異の開示も済みますか。

A. 済みません。予想値と決算値との差異の開示は別に判定します。

Q. 根拠条番号はどこですか。

A. 有価証券上場規程第405条第1項から第3項と、同施行規則第407条各号です。

Q. 申請期に下方修正すると上場できませんか。

A. そう定めた公表資料は確認できません。理由の説明と、見込みの作り方が問われます。

📄 まとめ

売上高10パーセント、各利益30パーセント。分母は直近に公表した予想値です。

配当予想の修正には軽微基準がありません。幅にかかわらず開示です。

予想の修正と、予想値と決算値との差異は別の開示です。

上場してから仕組みを作るのでは間に合いません。準備期間の予実管理を、そのまま判定の様式に育ててください。

📚 参考(公的な一次情報)

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