名義株は、上場審査で流通株式比率の計算を狂わせます。実際に問題になった事例が公表されています。
東京証券取引所が2014年7月29日に公表した、他人名義株式に起因する上場規則違反についてです。上場会社の代表者が他人名義で自社株式を保有しており、流通株式比率基準を充足していなかった、とされています。
さらに、申請書類で代表者の持株数等に関し虚偽の記載を行っていたことから、上場契約違約金の対象とされました。数字が合わないだけでは終わりません。
- 株主名簿の記載事項
- 名義書換えが対抗要件であること
- 実質株主の帰属を定めた条文がないこと
- 名義書換えが共同請求であること
- 東証で実際に起きた事例
- 解消の進め方
📌 結論 流通株式比率と申請書類の両方に効く
名義株は、流通株式比率の計算を狂わせます。数字が変わるだけでなく、申請書類の記載が虚偽になります。
名義株があると、代表者が実質的に保有している株式が他人名義になっているため、流通株式として計算されてしまいます。比率が実際より高く出ます。
公表事例では、この結果として審査基準を充足していなかったこと、そして申請書類の記載が虚偽であったことが問題とされました。
したがって、名義株の整理は数字を合わせるための作業ではありません。申請書類の記載が事実と合っているかという話です。
🧭 会社法は何を定めているか
取得した日まで書きます。名義株を整理するときは、この取得日の記載と実際の払込みの時期が合っているかが問われます。
第121条が株主名簿の記載事項です。氏名または名称および住所、有する株式の数、取得した日、株券発行会社であれば株券の番号です。
取得した日まで記載します。名義株の整理では、この記載と実際の払込みの時期が合っているかが確認の起点になります。
設立時の株主名簿が残っていない会社があります。まず、いつ誰がいくら払い込んだかを追える資料を探してください。
株主名簿と払込記録の突合、当時の関係者への確認、配当と議決権行使の実績の整理、そして解消に伴う課税関係の検討まで通してお受けします。名義人が亡くなっている、連絡が取れない、といった事案も扱います。上場を目指すなら、審査が始まる前に終わらせておく論点です。整理の方針を決めるところからご相談ください。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 対抗要件と帰属は別
第130条は対抗要件の規定です。実質株主に株式が帰属すると直接定めた条文は会社法にありません。
第130条第1項は、株式の譲渡は取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない、としています。対抗要件の規定です。
実質株主に株式が帰属する、と直接定めた条文は会社法にありません。誰の株式かは、払込みの事実と当事者の意思から判断されます。
第133条第1項は、株式を取得した者が会社に対して株主名簿記載事項の記載を請求できるとし、第2項が、法務省令で定める場合を除き名簿上の株主と共同してしなければならない、としています。
名簿上の株主の協力が要る、ということです。名義人と連絡が取れない事案が難しいのはこのためです。
📅 課税関係をどう確認するか
設立が古い会社ほど、当時の関係者が残っていません。記憶がある人がいるうちに、書面で残してください。
名義株の解消に伴う贈与税の取扱いについて、国税庁の公表資料を今回は確認できていません。個別の事情によって結論が変わる論点ですので、事案ごとに確認が必要です。
確認できているのは、誰が払い込んだか、誰が配当を受け取っていたか、誰が議決権を行使していたか、という事実の積み上げが判断の材料になるということです。
設立が古い会社ほど、当時の関係者が残っていません。記憶がある人がいるうちに、書面で残してください。
株主数の要件についてはIPOにおける株主数の要件とはにまとめています。
❓ よくある質問
A. 東証が公表した事例では、流通株式比率基準の充足と申請書類の記載の両方が問題とされました。
A. 氏名または名称および住所、株式の数、取得した日、株券発行会社であれば株券の番号です(第121条)。
A. ありません。第130条は対抗要件の規定です。
A. 第133条第2項により、法務省令で定める場合を除き名簿上の株主と共同して請求します。
A. 共同請求ができないため、別の手当てが必要です。事実関係の記録を先に固めてください。
A. 国税庁の公表資料を今回は確認できていません。事案ごとの確認が必要です。
A. 審査が始まる前です。申請書類の記載に直結します。
A. 払込みの記録、配当の受領、議決権の行使。この3つの実績が判断の材料になります。
📄 まとめ
名義株は流通株式比率の計算を狂わせ、申請書類の記載を虚偽にします。
株主名簿の記載は対抗要件であって、帰属を定めるものではありません。
名義書換えは名簿上の株主との共同請求です。名義人の協力が要ります。
当時を知る人がいるうちに、払込みと配当の事実を書面で残してください。時間が経つほど解消が難しくなります。
📚 参考(公的な一次情報)
- 他人名義株式に起因する上場規則違反について(東京証券取引所・2014年7月29日)
- 会社法(e-Gov法令検索) 第121条、第130条、第133条
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