資本金が1億円を超えると、中小法人向けの特例がまとめて使えなくなります。軽減税率、交際費の定額控除、少額減価償却資産、貸倒引当金、繰越欠損金の控除限度額です。
そして外形標準課税。ここは令和6年度の改正で考え方が変わりました。資本金1億円以下でも、払込資本の額が10億円を超えていれば対象になります。令和7年4月1日以後に開始する事業年度からです。
資本金を1億円以下に減らせば外形標準課税から外れる、という前提はもう成り立ちません。
- 1億円を境に変わる制度の一覧
- 大法人の子会社は1億円以下でも使えないこと
- 外形標準課税の新しい基準
- 減資への対応と100パーセント子法人への対応の適用時期
- 交際費の1人当たり1万円
- 上場時の資本金の決め方
📌 結論 1億円で6つの制度が変わる
大法人(資本金5億円以上)による完全支配関係がある普通法人は、資本金が1億円以下でもこれらの特例が使えません(第66条第5項第2号)。
法人税法第66条第1項が百分の二十三・二の税率、第2項が資本金1億円以下の普通法人等について年800万円以下の金額に百分の十九としています。
そのうえで租税特別措置法第42条の3の2が、年800万円以下の部分に百分の十五という特例を置いています。所得の金額が年10億円を超える事業年度については百分の十七です。適用期間は令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度です。
そして第66条第5項が、これらの特例を使えない法人を列挙しています。第2号が、大法人(イ 資本金の額または出資金の額が五億円以上である法人、ロ 相互会社等、ハ 受託法人)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人です。
親会社の資本金が5億円以上なら、自社の資本金が1億円以下でも中小法人向けの特例は使えません。この除外は貸倒引当金(第52条第1項第1号)と繰越欠損金の控除限度額の特例(第57条第11項第1号)にも引用されています。
🧭 外形標準課税は払込資本の額で見る
資本金を1億円以下に減らせば外形標準課税から外れる、という前提はもう成り立ちません。払込資本の額で見ます。
地方税法第72条の2第1項第1号ロが、資本金の額もしくは出資金の額が一億円以下のものを所得割のみの対象としています。反対解釈で、1億円超の法人に付加価値割と資本割が課されます。
令和6年度の改正で、2つの手当てが入りました。ひとつが減資への対応です。総務大臣通知によれば、資本金1億円以下のもののうち、払込資本の額が10億円を超えるものが対象になります。適用は令和7年4月1日以後に開始する事業年度からです。
もうひとつが100パーセント子法人等への対応です。払込資本の額が50億円を超える法人等との間に完全支配関係がある法人のうち、払込資本の額が2億円を超えるものが対象になります。適用は令和8年4月1日以後に開始する事業年度からです。
払込資本の額は、地方税法第72条の2の条文上は、出資を受けた金額として政令で定める金額、とされています。資本金と資本剰余金の合計額という文言は条文にはありません。
上場時の払込みをどう資本金と資本準備金に配分するか。この判断で、上場後の税負担が変わります。法人税、地方税、外形標準課税の3つを並べて試算し、増資の前に数字を出します。すでに1億円を超えている会社について、大法人の子会社に当たらないかの確認や、外形標準課税の新しい基準への当てはめもお受けします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 交際費は2段階で変わる
1人当たりの基準は令和6年4月1日以後に支出する分から1万円です。5,000円のまま運用している会社が残っています。
租税特別措置法第61条の4第1項が、接待飲食費の百分の五十に相当する金額を超える部分を損金不算入としています。適用期間は令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度です。
第2項が、資本金1億円以下の法人について定額控除限度額を定めています。八百万円に当該適用年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額、です。
そして飲食費から除かれる1人当たりの金額は、措置法施行令第37条の5第1項により1万円です。国税庁のタックスアンサーによれば、令和6年3月31日以前に支出された飲食等に係る費用についての基準金額は5,000円以下でした。
あわせて、期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人は、接待飲食費の50パーセントの特例も使えず、全額が損金不算入になります。
📅 上場時にどう決めるか
上場時の払込みで資本金が1億円を超えます。その事業年度から負担が変わりますので、事前に試算しておいてください。
上場時の払込みで資本金が1億円を超えます。会社法上、払込金額の2分の1を超えない額は資本準備金とすることができますから、配分の余地があります。
ただし、資本金を小さくしても払込資本の額は変わりません。外形標準課税の新しい基準は払込資本の額で見ますので、配分だけでは外れません。
少額減価償却資産の特例については少額減価償却資産は10万・20万・30万のどれを使うかにまとめています。1億円を超えると30万円の枠が使えなくなります。
❓ よくある質問
A. 軽減税率、交際費の定額控除、少額減価償却資産、貸倒引当金、繰越欠損金の控除限度額です。
A. 第66条第5項第2号により、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある普通法人は除かれます。
A. 外れません。資本金1億円以下でも払込資本の額が10億円を超えれば対象です。令和7年4月1日以後に開始する事業年度からです。
A. 払込資本の額が50億円を超える法人等との完全支配関係があり、自らの払込資本の額が2億円を超えれば対象です。令和8年4月1日以後に開始する事業年度からです。
A. 1万円です。令和6年3月31日以前に支出された分は5,000円以下でした。
A. 令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度です。
A. 所得の金額が年10億円を超える事業年度については百分の十七です。
A. 原則は所得の金額の百分の五十。中小法人等は第57条第11項の読み替えで全額です。
📄 まとめ
1億円を超えると6つの制度が変わります。親会社が大きければ1億円以下でも使えません。
外形標準課税は払込資本の額で見る仕組みが加わりました。減資では外れません。
交際費の1人当たりの基準は1万円です。5,000円のまま運用していないか確認してください。
上場時の資本金の配分は、税負担を試算してから決めてください。増資したあとでは動かせません。
📚 参考(公的な一次情報)
- 法人税法(e-Gov法令検索) 第52条、第57条、第66条
- 租税特別措置法(e-Gov法令検索) 第42条の3の2、第61条の4、第67条の5
- 法人事業税における外形標準課税(総務省) 適用開始時期
- No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算(国税庁)