創業者の持株比率はどこまで下げてよいか。上場審査基準の形式要件に、創業者の持株比率を直接定めた数値基準は見当たりません。
効いてくるのは流通株式比率です。プライム市場で35パーセント以上、スタンダード市場とグロース市場で25パーセント以上。この放出量から逆算します。
そして会社法側では、3分の2以上で特別決議を単独可決、3分の1超で阻止、という線があります。ただし3分の1超で阻止できると定めた条文はありません。決議要件からの帰結です。
- 議決権の割合ごとにできること
- 3分の1超が条文ではないこと
- 少数株主権の保有期間要件
- 公開会社になると変わること
- 市場ごとの流通株式比率
- 創業者の持株比率に数値基準がないこと
📌 結論 基準は流通株式比率から逆算する
3分の1超で拒否権が持てる、と定めた条文はありません。定足数は定款で3分の1以上まで引き下げられるので、定款を先に読んでください。
会社法第309条第1項が普通決議、第2項が特別決議です。第2項の要件は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数、です。
この決議要件から、3分の1を超えて持っていれば特別決議の成立を阻止できる、という帰結が出ます。条文にそう書いてあるわけではありません。
そして第2項は、定足数を定款で3分の1以上まで引き下げられるとし、決議要件は定款で加重できるとしています。定款を読まずに3分の1という数字だけを追わないでください。
🧭 少数株主権は割合と期間で決まる
上場すれば公開会社です。保有期間の要件が効くようになります。上場前と上場後で、少数株主が使える手が変わります。
株主総会の招集請求は第297条第1項です。総株主の議決権の100分の3以上を6か月前から引き続き有する株主が請求できます。定款で割合を下回る定めをすることも、期間を短縮することもできます。
第2項により、公開会社でない会社では保有期間の要件がありません。第4項は、請求後に招集手続がされない場合などに、裁判所の許可を得て自ら招集できるとしています。
株主提案権は第303条と第305条です。取締役会設置会社では、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上を6か月前から引き続き有する株主に限られ、株主総会の日の8週間前までに請求します。第305条第4項は、議案の数が10を超えるときに超過分について適用しないとしています。
会計帳簿の閲覧等の請求は第433条第1項です。総株主の議決権の100分の3以上、または発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主です。議決権でも株式数でもよい、という書き方になっています。
目指す市場の流通株式比率から逆算し、各ラウンドの調達額と価額を置いて、上場時の創業者の議決権割合を試算します。ストックオプションの発行枠、従業員持株会、そして安定株主の設計まで含めて数字にします。すでに複数ラウンドを終えている会社でも、いまの位置から上場時にどうなるかは計算できます。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 上場時に必要な放出量
創業者の持株比率について数値基準を定めた規定は、上場審査基準の形式要件には見当たりません。効いてくるのは流通株式比率です。
流通株式比率は、プライム市場で35パーセント以上、スタンダード市場とグロース市場で25パーセント以上です。
流通株式数はプライムで2万単位以上、スタンダードで2,000単位以上、グロースで1,000単位以上。流通株式時価総額はそれぞれ100億円以上、10億円以上、5億円以上です。
株主数は上場時見込みで、プライム800人以上、スタンダード400人以上、グロース150人以上です。
創業者の持株比率について数値基準を定めた規定は、これらの形式要件には見当たりません。ただし創業者の持株は流通株式から除かれますので、間接的に上限が決まります。
📅 どこまで下げてよいか
資本政策は先に進むだけで戻せません。放出量から逆算して、いまのラウンドの条件を決めてください。
グロース市場で25パーセントを放出するなら、創業者側に残るのは最大で75パーセントです。ここからストックオプションの行使分と、VCなどの持分を引きます。
3分の2を確保したいのか、3分の1超で足りるのか。この判断は、上場後に何を決めたいかによります。定款変更や組織再編を単独で決めたいなら3分の2、拒否できれば足りるなら3分の1超です。
流通株式の計算方法は流通株式数・流通株式時価総額・流通株式比率の計算方法にまとめています。
❓ よくある質問
A. 上場審査基準の形式要件に創業者の持株比率の数値基準は見当たりません。流通株式比率から逆算します。
A. そう定めた条文はありません。第309条第2項の決議要件からの帰結です。定款で定足数を下げていれば変わります。
A. プライム35パーセント以上、スタンダードとグロースは25パーセント以上です。
A. 上場時見込みで、プライム800人以上、スタンダード400人以上、グロース150人以上です。
A. 議決権または発行済株式の100分の3以上です(第433条第1項)。
A. 取締役会設置会社では100分の1以上または300個以上を6か月前から保有し、8週間前までに請求します。
A. 第305条第4項が、10を超えるときは超過分に適用しないとしています。
A. 公開会社になると保有期間の要件が効きます。上場前は非公開会社であれば期間要件がありません。
📄 まとめ
創業者の持株比率に直接の数値基準はありません。効くのは流通株式比率です。
3分の1超の拒否権は条文ではなく、決議要件からの帰結です。定款を確認してください。
少数株主権は割合と保有期間で決まり、公開会社になると期間要件が効きます。
上場時の放出量から逆算してください。いまのラウンドの条件は、上場時の比率を決めてしまいます。
📚 参考(公的な一次情報)
- 会社法(e-Gov法令検索) 第297条、第303条、第305条、第309条、第433条
- 上場審査基準(プライム市場・日本取引所グループ)
- 上場審査基準(スタンダード市場・日本取引所グループ)
- 上場審査基準(グロース市場・日本取引所グループ)
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