従業員持株会はいつ作るか。上場の直前ではなく、拠出の実績が積み上がる時期からです。
制度の枠組みは、日本証券業協会の持株制度に関するガイドラインにあります。平成5年1月11日制定、令和7年6月12日最終改正です。第2章2.が、従業員持株会は民法第667条第1項に基づく組合であるとしています。
そして奨励金を出せるのは従業員持株会だけです。役員持株会と取引先持株会は、ガイドラインが奨励金等を禁止しています。
- 持株会が民法上の組合であること
- 奨励金を出せるのが従業員持株会だけであること
- 拠出金額の上限が200万円未満であること
- インサイダー規制の適用除外の根拠条文
- 除外規定に持株会という語がないこと
- 流通株式から除かれるのが役員持株会であること
📌 結論 枠組みは日証協のガイドライン
日本証券業協会の持株制度に関するガイドラインです。平成5年1月11日制定、令和7年6月12日最終改正。奨励金を出せるのは従業員持株会です。
ガイドラインの構成は、第1章が総則、第2章が従業員持株会、第3章が拡大従業員持株会、第4章が役員持株会、第5章が拡大役員持株会、第6章が取引先持株会です。末尾に税務上の取扱いの参考が付いています。
第2章の項目は、目的、設立、取得対象株式、会員の範囲、入会、拠出金等、拠出金額の変更、拠出の休止・再開、奨励金、事務委託料、取得方法、取得株式の管理等、配当金の取扱い、現物組入れの制限、退会、退会処理、一人株主、規約の変更です。
第2章6.の拠出金等が、1会員1回当たり200万円未満という上限を定めています。この金額は、後述するインサイダー取引規制の適用除外の要件と揃っています。
🧭 インサイダー規制の適用除外はどこにあるか
施行令ではなく内閣府令です。そして第166条第6項第2号は新株予約権の行使に関する規定で、持株会の規定ではありません。
根拠は金融商品取引法第166条第6項第12号で、内閣府令に委ねられています。委任先は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第4号です。
条文の書き方は、上場会社等の役員または従業員が当該上場会社等の他の役員または従業員と共同して株券等の買付けを行う場合であって、一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われる場合、というものです。そして各役員または従業員の一回当たりの拠出金額が二百万円に満たない場合に限る、とされています。
条文に持株会という語は使われていません。共同で、計画に従い、個別の判断によらず、継続的に買う。この4つを満たす仕組みとして書かれています。
なお、金融商品取引法第166条第6項第2号は新株予約権等の行使による取得に関する規定で、持株会の規定ではありません。
規約の設計、奨励金の率の決定、拠出の実績の積み上げ方、そして上場時の株主数と流通株式比率への影響の試算まで通してお受けします。役員持株会を作るかどうかは、流通株式の計算が変わるため先に決めておく必要があります。株主数の要件との兼ね合いも含めて設計します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 流通株式の扱い
役員持株会は明文で除かれます。従業員持株会は条文の除外事由に出てきません。ただし所有割合が10パーセント以上になれば第2号で除かれます。
有価証券上場規程第2条が流通株式を定義しています。当該有価証券の数の10パーセント以上を所有する者が所有する有価証券その他の流通性の乏しい有価証券として施行規則で定めるものを除いたもの、という書き方です。
除外の内容は施行規則第8条第1項に列挙されています。第1号が発行者、第2号が10パーセント以上を所有する者または組合等、第3号が役員等、第4号が国内に本店を有する銀行・生命保険会社・損害保険会社等です。
第3号のaに、役員持株会を含み、と明記されています。一方、従業員持株会は除外事由に記載されていません。
ただし、従業員持株会の所有割合が10パーセント以上になれば、第2号により除かれます。設立時から、上場時の所有割合を見込んで設計してください。
📅 いつ作るか
上場の直前に作ると、拠出の実績が積み上がりません。株主数の要件にも効くので、早めに設立してください。
上場の直前に作ると、拠出の実績が積み上がりません。会員数も増えません。
株主数の要件はIPOにおける株主数の要件とはにまとめています。持株会は組合ですから、株主名簿上は理事長名義の1名です。株主数の頭数には効きません。
効くのは従業員の資産形成と、退職時の受け皿です。制度として回るまでに時間がかかりますので、上場を意識し始めた時点で設立を検討してください。
❓ よくある質問
A. ガイドライン第2章2.は、民法第667条第1項に基づく組合としています。
A. 従業員持株会です。役員持株会と取引先持株会はガイドラインが奨励金等を禁止しています。
A. ガイドライン第2章6.が1会員1回当たり200万円未満としています。
A. 金融商品取引法第166条第6項第12号と、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第4号です。
A. 内閣府令です。委任先を取り違えている解説が見られます。
A. 施行規則第8条第1項の除外事由に記載されているのは役員持株会です。従業員持株会は記載されていません。
A. 10パーセント以上になれば第2号により流通株式から除かれます。
A. 組合ですから、株主名簿上は1名です。株主数の要件には効きません。
📄 まとめ
持株会は民法上の組合です。枠組みは日証協のガイドラインにあります。
奨励金を出せるのは従業員持株会だけです。役員持株会と取引先持株会は禁止されています。
インサイダー規制の適用除外は内閣府令第59条第1項第4号。金額は一回当たり200万円未満です。
流通株式から明文で除かれるのは役員持株会です。役員持株会を作るなら、その分を見込んで比率を設計してください。
📚 参考(公的な一次情報)
- 持株制度に関するガイドライン(日本証券業協会) 令和7年6月12日最終改正
- 金融商品取引法(e-Gov法令検索) 第166条第6項
- 有価証券の取引等の規制に関する内閣府令(e-Gov法令検索) 第59条第1項第4号
- 流通株式(日本取引所グループ) 定義と除外
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