ティアフォーのIPO|種類株式の普通株式化と補助金・委託事業の会計【Ⅰの部から読む上場準備】

※本記事は2026年10月6日時点の公表資料に基づきます。

2026年7月22日、自動運転ソフトウェアの開発を手がける株式会社ティアフォー(証券コード593A)が東証グロース市場に上場しました。同社は、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を基盤に、自動運転バスの提供、自動車メーカーとの量産向け共同開発、研究機関や政府機関向けのソリューションという3つのサービスを展開している会社です。SOMPOホールディングスやヤマハ発動機、いすゞ自動車、KDDIなど多くの事業会社が株主に名を連ねており、いわゆるディープテック型のスタートアップが上場に至った事例として、上場準備会社にとって学べる点の多いケースです。

結論からいえば、ティアフォーのⅠの部から学べるのは、①A種・A-1種・A-2種・B種の4種類の優先株式を上場前に取得請求権の行使で一斉に普通株式へ切り替え、株式分割と単元株制度の導入までを一続きで行った資本政策の手順、②政府の補助金を営業外収益、政府の委託事業を売上高として扱う会計処理と、それを踏まえた経営指標の選び方、③申請直前期に社外取締役2名と社外監査役2名を迎えて整えたガバナンス体制、④内部監査責任者1名に外部有識者の支援を組み合わせた内部監査体制の4点です。本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の記載をもとに、これらの論点を上場準備の実務の目線で整理します。

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ティアフォーはどのような会社で、どの市場に上場したのか

まず、会社と上場の概要を確認します。ティアフォーは、2015年12月に愛知県名古屋市中村区で設立された会社です。設立時の資本金は1,100万円でした。設立に先立つ2015年8月には、創業者である加藤真平氏が主体となって、名古屋大学の研究室で自動運転ソフトウェア「Autoware」をオープンソースとして初めて公開しています。その後、2024年12月に本社を東京都品川区北品川へ移転しました。

事業は「自動運転事業」の単一セグメントで、決算期は9月30日です。Ⅰの部の「最近事業年度」は第10期(2025年9月期)で、直近の中間期として第11期中間(2026年3月期中間、2025年10月〜2026年3月)の中間連結財務諸表も掲載されています。従業員数は2026年5月31日現在で連結418名(ほかに臨時従業員188名)、単体では404名で平均年齢は37.7歳です。2026年4月現在で社内のエンジニアは307名と記載されており、従業員の多くが技術者であることがわかります。

項目 内容
会社名 株式会社ティアフォー(英訳名 TIER IV, Inc.)
証券コード・市場 593A・東証グロース市場
上場日 2026年7月22日
本店所在地 東京都品川区北品川
代表者 代表取締役CEO 加藤 真平(創業者)
設立 2015年12月(名古屋市中村区、資本金1,100万円)
決算期 9月末(最近事業年度は第10期=2025年9月期)
事業 自動運転事業(単一セグメント)
従業員数 連結418名(臨時188名)、単体404名(2026年5月31日現在)
関係会社 連結子会社2社、持分法適用関連会社3社、その他の関係会社1社(SOMPOホールディングス)
会計監査人 EY新日本有限責任監査法人(2021年9月期から継続監査)

グループには、米国で事業を推進するTierIV North America Inc.(特定子会社)と、データ解析やソフトウェア・ハードウェア開発を行う株式会社Human Dataware Lab.の2社の連結子会社があります。また、ヤマハ発動機との合弁会社である株式会社eve autonomy(議決権49.0%)、ミナミホールディングスとの合弁であるAI教習所株式会社(同43.4%)、高精度3D地図の計測システム等を手がける株式会社マップフォー(同36.6%)の3社が持分法適用関連会社です。

親会社はありませんが、SOMPOホールディングスが議決権の24.1%(提出日現在)を保有し、Ⅰの部では「その他の関係会社」として記載されています。親会社のない会社であっても、20%以上の議決権を持つ事業会社の株主がいる場合には、その株主との関係をどのように整理して説明するかが上場準備の論点になります。この点は後ほど詳しく見ていきます。

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ティアフォーは何で稼いでいるのか(事業内容と収益モデル)

ティアフォーのミッションは「創造と破壊」、ビジョンは「自動運転の民主化」です。事業の中心にあるのは、オープンソースの自動運転ソフトウェアAutowareです。Autowareの知的財産権は、2018年12月に同社が中心となって設立した一般社団法人The Autoware Foundation(AWF)に帰属しており、AWFには100社を超える企業等が加盟していると記載されています。

同社は、このAutowareを基盤とした「リファレンスデザイン」を提供し、顧客ごとに必要となる「ラストワンマイル」の技術支援や開発を行うことで収益を得ています。製品としては、車載の自動運転ソフトウェアパッケージ「Pilot.Auto」、クラウド上の開発・運用基盤「Web.Auto」、センサーや演算装置などのハードウェアとソフトウェアを組み合わせた「Edge.Auto」の3つを持っています。量産フェーズに移行した後は、販売台数等に応じたライセンス・ロイヤルティを受け取るモデルを想定していると説明されています。

ティアフォーの事業モデルThe Autoware FoundationAutoware(OSS)の知的財産権を管理ティアフォーリファレンスデザインPilot / Web / Edge.Autoパートナー企業自治体折衝・実証支援(アイサンテクノロジー等)Mobility Service自動運転バスの架装・販売運行支援・保守Development ServiceOEMとの量産向け共同開発量産後はライセンス収入Solution ServiceSWライセンス・HW販売政府委託事業など地方自治体・交通事業者MaaS事業者自動車OEM特殊用途車両メーカー研究機関・教育機関企業・政府機関2025年9月期の売上構成:Mobility 35.4%/Development 20.8%/Solution 43.9%基盤協業

図1 オープンソース「Autoware」を基盤とした3つのサービスと主な顧客(Ⅰの部「事業の内容」をもとに筆者作成)

売上は3つのサービスに区分されています。Mobility Serviceは、自動車メーカーからベース車両を調達して自動運転システムを架装し、地方自治体や交通事業者に提供するサービスです。車両の販売に加え、走行準備の技術支援、運行・運用支援、レベル4の認可取得支援、保守といった継続的な収益も含まれます。Development Serviceは、自動車メーカーや特殊用途車両メーカーとの量産化に向けた共同開発で、2026年5月現在で協業する自動車メーカー・Tier1は計18社と記載されています。Solution Serviceは、研究機関や企業、政府機関向けのソフトウェアライセンス、トレーニング、ハードウェア販売、コンサルティングで、政府からの委託事業もここに含まれます。

2025年9月期の売上構成は、Mobility Serviceが2,267百万円(35.4%)、Development Serviceが1,330百万円(20.8%)、Solution Serviceが2,812百万円(43.9%)です。現時点では自動運転バスが中心で、主要な領域は「Mobility Serviceにおける自動運転バス」と「Development Serviceにおける閉鎖空間の特殊用途車両」と説明されています。

主要な販売先を見ると、2025年9月期はアイサンテクノロジー株式会社が1,275百万円(19.9%)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が1,143百万円(17.8%)、経済産業省が800百万円(12.5%)でした。第11期中間期では経済産業省が1,122百万円(25.7%)と最も大きくなっています。アイサンテクノロジーは、主に自治体等との折衝や実証実験、車両販売などを担うパートナーで、同社が主に自動運転システムの開発を担うという役割分担が記載されています。

仕入側では、車両の架装・構築を担う株式会社トノックスが仕入額全体の57.6%、路車協調システムの開発を外注しているスマートモビリティインフラ技術研究組合が外注額全体の12.5%を占めています(2025年9月期)。また、自治体は3月末に向けて予算を消化し、官公庁は4月以降に予算を執行する傾向があるため、業績に季節変動があることも記載されています。

上場準備の実務では、このように特定の販売先・仕入先への依存度が高い場合、その取引先との関係が継続する根拠や、取引条件の妥当性を説明できるようにしておくことが求められます。特に、販売先が株主でもある場合(ティアフォーではアイサンテクノロジーが株主に含まれます)には、取引条件が一般の取引と同等であるかどうかが審査で確認されやすいポイントです。

KPIとして何を開示しているのか

ティアフォーは、目標とする経営指標として売上高、事業利益、経常利益を掲げています。事業利益は「売上高−売上原価−事業経費」と独自に定義されています。経常利益を重視する理由としては、政府の補助金による支援を踏まえ、財務規律をもって研究開発投資を行うためと説明されています。

あわせて、事業の進捗を示すKPIとして、実証実験・実装地域数、車両運用台数、開発プロジェクト顧客数の3つを開示しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期 2026年3月期中間
Mobility Service(百万円) 1,803 2,267 1,428
Development Service(百万円) 744 1,330 1,141
Solution Service(百万円) 1,323 2,812 1,799
実証実験・実装地域数(単年) 29 50 40
車両運用台数・公道(累計) 15台 25台 26台
車両運用台数・閉鎖空間(累計) 52台 89台 93台
開発プロジェクト顧客数(単年) 7 9 13
サービス別売上高の推移(連結)Mobility Service24/9期25/9期26/3中間1,8032,2671,428Development Service24/9期25/9期26/3中間7441,3301,141Solution Service24/9期25/9期26/3中間1,3232,8121,799中間期(6か月)は前期通期に対しDevelopmentが約86%、Solutionが約64%の水準

図2 サービス別売上高の推移(Ⅰの部「経営成績等の状況の概要」をもとに筆者作成、百万円。中間は6か月分)

公道の車両運用台数は、同社が販売した小型EV自動運転バスの累計台数です。閉鎖空間の台数は、関連会社のeve autonomyが導入した自動搬送車両の累計台数で、同社はその稼働台数に応じたライセンス料を受け取っています。このように、KPIの定義を「何を数えているのか」まで明示している点は、上場準備会社にとって参考になります。

車両運用台数(累計)の推移公道(台)閉鎖空間(台)24/9期25/9期26/3中間24/9期25/9期26/3中間152526528993

図3 公道(販売した小型EV自動運転バス)と閉鎖空間(eve autonomyが導入した自動搬送車両)の累計台数(Ⅰの部のKPIをもとに筆者作成)

グロース市場の上場審査では、事業計画の前提となる指標が、実績の数字とどのようにつながっているかが確認されます。KPIを開示する際は、定義を固定し、毎期同じ基準で集計できる仕組み(集計担当、根拠資料、承認手続)を上場前から運用しておくことが大切です。事業計画の作り方についてはIPO審査の「事業計画の合理性」で詳しく解説しています。

上場までにどのような歩みをたどったのか(沿革)

ティアフォーの沿革は、研究室発の技術を、事業会社との資本業務提携と政府の支援事業を組み合わせて社会実装へつなげてきた歩みとして整理できます。主なできごとは次のとおりです。

設立から上場までの主な沿革2015年Autoware公開会社設立2018年AWF設立KDDIと提携2020年eve autonomy設立2022年Pilot.Auto等提供開始2023年相模原でL4認可2024年いすゞ・スズキと資本提携2024年10月塩尻で一般道L4認可2025年9月マップフォーを持分法へ2026年2月種類株転換1:5株式分割2026年7月東証グロース上場※2024年3月いすゞ自動車、同年5月スズキと資本業務提携。2026年7月22日上場。

図4 ティアフォーの主な沿革(Ⅰの部「沿革」等をもとに筆者作成)

2017年にヤマハ発動機、2018年にKDDIと資本業務提携し、2018年9月には株式会社Human Dataware Lab.を完全子会社化しました。2020年にはヤマハ発動機との合弁でeve autonomyを設立し、同年12月に米国子会社を設立しています。2022年7月にはNEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択され、同年11月に「Pilot.Auto」「Web.Auto」の提供を開始しました。

2023年10月には、GLP ALFALINK相模原で道路運送車両法に基づくレベル4の認可を取得しました(実験目的)。2024年にはいすゞ自動車、スズキと資本業務提携を結び、同年10月には長野県塩尻市の一般道で、歩行者や一般車両が混在する環境において最大時速35kmでのレベル4認可を取得し、運転席無人での運行を実施しています。2025年3月には石川県小松市(小松駅〜小松空港)でもレベル4認可を取得しました。

2025年9月には、子会社であったマップフォーの株式を一部譲渡して連結子会社から持分法適用関連会社へ移行し、同年12月には東海旅客鉄道と資本業務提携を結んでいます。そして2026年2月に種類株式の普通株式化と1対5の株式分割を行い、同年7月の上場に至りました。

自動運転の分野では、事業の前提として許認可が欠かせません。Ⅰの部では、レベル4の許認可は自治体ごと、バス路線ごと、車両ごとに取得する必要があると説明されています。許認可が事業の前提となる会社では、どの許認可をいつ取得したのか、更新や取消しのリスクをどう管理しているのかを、沿革と事業等のリスクの両方で一貫して説明できるようにしておくことが重要です。この点はIPOで許認可はどこまで見られるかでも整理しています。

業績はどのように推移しているのか

ティアフォーの業績は、売上高が大きく伸びる一方で、研究開発を中心とした先行投資により損失が続いているという姿です。Ⅰの部では、損失や営業キャッシュ・フローのマイナスは研究開発及び事業基盤の整備のための先行投資によるものである旨が注記されています。

項目(連結・百万円) 2024年9月期 2025年9月期 2026年3月期中間
売上高 3,871 6,410 4,369
売上総利益 1,428 1,650 1,812
営業損失 △7,229 △10,506 △4,102
経常損失 △4,834 △5,504 △2,385
親会社株主に帰属する当期(中間)純損失 △4,834 △4,799 △2,470
純資産 18,007 13,170 11,730
総資産 21,577 17,580 16,835
自己資本比率 82.1% 73.5% -
営業キャッシュ・フロー △4,573 △7,282 △1,503
現金及び現金同等物の期末残高 14,420 6,932 8,786
売上高と経常損失の推移(単体・5期)売上高21/9期22/9期23/9期24/9期25/9期7217831,2943,2645,859経常損失(損失額)21/9期22/9期23/9期24/9期25/9期△3,314△3,907△3,614△4,624△4,979売上高は5期で約8倍に拡大。研究開発等の先行投資により経常損失が続いている

図5 単体の売上高と経常損失の推移(Ⅰの部「主要な経営指標等の推移」をもとに筆者作成、百万円)

単体の売上高は、2021年9月期の721百万円から2025年9月期の5,859百万円まで、5期で約8倍に増えています。連結の2025年9月期の売上高は6,410百万円で、前期比65.6%の増加です。Ⅰの部では、増収の要因として、Mobility Serviceでの実証案件の拡大と車両販売の増加、Development Serviceでの既存プロジェクトのスケールアップと新規顧客の獲得、Solution Serviceでの政府委託事業の進捗と新規獲得が挙げられています。

受注の状況を見ると、2025年9月期の受注高は6,823百万円(前期比161.9%)、受注残高は1,362百万円(同120.6%)で、大幅な増加は主に政府委託事業の採択や実証実験件数の増加によるものと説明されています。第11期中間期の受注高は4,939百万円、受注残高は1,932百万円です。

営業損失と経常損失の差は何か

ティアフォーの損益計算書で特徴的なのは、営業損失と経常損失の差が大きいことです。2025年9月期は、営業損失10,506百万円に対して経常損失は5,504百万円でした。この差の大部分は、営業外収益に計上された補助金収入5,525百万円です。一方で営業外費用には、持分法による投資損失513百万円が含まれています。

営業損失から経常損失まで(2025年9月期・連結)営業損失-10,506補助金収入+5,525その他収益+41持分法損失-513その他費用-51経常損失-5,504補助金収入(営業外収益)が営業損失の約半分を埋める構造

図6 2025年9月期の営業損失から経常損失への増減(連結損益計算書をもとに筆者作成、百万円)

販売費及び一般管理費は12,156百万円で、前期から3,498百万円増加しました。その中心は研究開発費で、2025年9月期の研究開発費は8,551百万円、うち補助金の受給対象となった部分が5,525百万円と記載されています。つまり、研究開発費を販売費及び一般管理費に計上し、それに対応する補助金を営業外収益に計上しているため、営業損益の段階では費用だけが表れ、経常損益の段階で補助金が加わる構造になっています。会社が経常利益を目標指標の一つとしているのは、こうした損益構造を踏まえたものと読み取れます。

2025年9月期には、マップフォー株式の一部譲渡による子会社株式売却益685百万円を特別利益に計上しており、親会社株主に帰属する当期純損失は4,799百万円となりました。第11期中間期は、売上高4,369百万円、営業損失4,102百万円、補助金収入2,498百万円、経常損失2,385百万円です。

グロース市場での「成長可能性」の示し方

グロース市場は、赤字の会社であっても上場できる市場です。その代わりに、上場審査では高い成長可能性があることを、事業計画とその根拠によって説明することが求められます。また、上場時とその後毎年、「事業計画及び成長可能性に関する事項」を開示する必要があります。

ティアフォーのⅠの部では、国内のバスの稼働台数(約6.2万台と推定する委託調査)や、バス事業者の約8割が路線の削減を検討しているという調査、2030年にバスドライバーが3.6万人不足するという見通し、政府の「交通政策基本計画」で2030年度までに自動運転サービス車両を10,000台とする目標などが、経営環境として示されています。そのうえで、バス・シャトルや特殊用途車両は「先行逃げ切り(First-Mover)」、タクシー・トラック・乗用車は「後方追い上げ(Fast-Follower)」と、領域ごとに戦略を分けています。

経営環境と領域ごとの戦略バス稼働台数約6.2万台(推定)バス事業者の約8割路線削減を検討2030年に運転手3.6万人不足の見通し2030年度までに自動運転10,000台目標領域ごとに戦略を分ける先行逃げ切り(First-Mover)バス・シャトル/特殊用途車両後方追い上げ(Fast-Follower)タクシー・トラック・乗用車中期の方針:収益の主軸をDevelopment Serviceの量産車向けリカーリング収入へ移していく

図7 Ⅰの部「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載をもとに筆者作成

また、中期的には収益の主軸をDevelopment Serviceの量産車向けのリカーリング収入へ移していく方針で、黒字化までは一定の期間を要する可能性があることも、対処すべき課題として率直に記載されています。

赤字の上場準備会社にとって大切なのは、「いつ、何によって、どの程度の利益が出るのか」を、市場の規模、KPI、コスト構造の3つでつなげて説明できることです。また、資金繰りについても、上場までと上場後に必要な資金をどのように確保するかを示す必要があります。ティアフォーでは、金融機関3社と総額6,000百万円の当座貸越契約を結び、長期借入1,000百万円も実行したうえで、「提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はない」と記載しています。グロース市場で求められる成長可能性の考え方はグロース市場の「高い成長可能性」とは、赤字企業の審査の考え方はIPO審査の「企業の継続性及び収益性」で解説しています。

資本政策と株主構成はどうなっているのか

ここからは、上場準備会社にとって特に参考になる資本政策を見ていきます。ティアフォーは上場前にA種、A-1種、A-2種、B種という4種類の優先株式を発行していました。いずれも配当は普通株式と同順位の優先株式です。発行時の価格は、株式分割後に換算するとA種344円、A-1種400円、A-2種1,600円、B種2,000円で、DCF法、純資産方式、類似会社比準方式を総合的に勘案して決めたと記載されています。

直近の第三者割当はどう行われたのか

上場前の直近期間の第三者割当は、いずれもB種優先株式を事業会社に割り当てるものでした。発行の目的は「安定株主及び取引先との関係強化」とされています。

発行日 割当先 株数(分割後) 発行価格(分割後) 総額
2024年3月1日 いすゞ自動車 3,000,000株 2,000円 60億円
2024年3月1日 三菱商事 250,000株 2,000円 5億円
2024年5月31日 スズキ 500,000株 2,000円 10億円
2025年12月26日 東海旅客鉄道 500,000株 2,000円 10億円

2025年12月26日の東海旅客鉄道への割当については、上場規程施行規則268条に基づく継続保有の確約(割当日から上場日以後6か月を経過する日まで、ただしその日が払込期日から1年を経過していない場合は1年を経過する日まで)が付されています。上場申請日の直前事業年度の末日から1年前以降に第三者割当を行った場合には、このような継続保有の確約が必要になります。上場直前の増資を検討する際は、割当先がこの確約に応じられるかどうかを事前に確認しておくことが欠かせません。詳しくは上場前に株式を動かすとどうなるか(継続所有の確約)をご覧ください。

種類株式をどのように普通株式へ切り替えたのか

ティアフォーは、2026年2月5日に、全ての種類株主が普通株式を対価とする取得請求権を行使し、会社法155条4号に基づいて全ての種類株式を自己株式として取得しました。交換比率は1対1で、普通株式5,764,898株(分割前)を交付し、取得した種類株式は同日に消却しています。これに先立つ2026年2月2日の臨時株主総会では、種類株式の発行に関する定款の定めを廃止し、発行可能株式総数を150,000,000株に変更しました。そして2026年2月6日に普通株式1株を5株に分割し、同日に単元株式数を100株とする単元株制度を導入しています。

種類株式が残ったままでは、普通株式だけを上場させることになり、種類株主の権利(優先分配やみなし清算など)が上場後の株主との関係で問題になります。そのため、上場前に種類株式を普通株式へ切り替えるのが一般的です。ティアフォーの例は、取締役会決議(2026年1月16日)、臨時株主総会での定款変更、取得請求権の行使と消却、株式分割、単元株制度の導入という一連の手続を、短い期間で順序立てて行った例として参考になります。

上場直前の株式に関する手続の流れ2024〜25年B種優先株式事業会社へ割当各回の後減資で資本金100百万円に2026年1月CB一部行使(10円)2026年2月5日種類株式を普通株式化・消却2026年2月6日1:5株式分割単元株100株2026年2月25日資本準備金減少欠損填補2026年4月CB全量行使完了2026年6月29日Ⅰの部提出2026年7月22日東証グロース上場※B種の発行価格は分割後換算2,000円。種類株式はA種・A-1種・A-2種・B種の4種類

図8 2024年以降の主な資本政策上の手続(Ⅰの部「発行済株式総数、資本金等の推移」「株式公開情報」をもとに筆者作成)

実務上のポイントは、①種類株主全員から取得請求権を行使してもらう段取り(株主間契約の定めや事前の同意取得)、②転換比率の確認(希薄化防止条項による調整がないか)、③取得した自己株式の消却と登記、④定款変更と株式分割の順序、の4つです。種類株式の扱いについては種類株式は上場前に普通株式へ戻すのか、みなし清算条項についてはみなし清算条項で解説しています。

減資を繰り返している理由は何か

ティアフォーの「発行済株式総数、資本金等の推移」を見ると、第三者割当で資本金が増えるたびに減資を行い、資本金を100百万円前後に戻していることがわかります。2021年9月以降、減資は5回行われており、いずれも目的は「資本政策の柔軟性及び機動性を確保すること」と記載されています(会社法447条1項)。さらに、2026年2月25日には資本準備金を5,507百万円減少させ、その他資本剰余金を利益剰余金へ振り替えて欠損を填補しています。

増資と減資のサイクル第三者割当(優先株式の発行)資本金が増加減資(会社法447条1項)資本金を100百万円前後に資本金を一定額以下に保つと、次の扱いを避けられる税務上の中小法人等の扱いから外れない会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上)に該当しない注意:減資には株主総会の決議と債権者保護手続が必要(日程と登記を事前に確認)増資のたびに繰り返す(2021年9月以降5回)

図9 Ⅰの部「発行済株式総数、資本金等の推移」及び本文の説明をもとに筆者作成

スタートアップでは、増資のたびに資本金が大きくなると、税務上の中小法人等の扱いから外れたり、会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上)に該当して会計監査人の設置が必要になったりします。減資によって資本金を一定額以下に保つ方法は、こうした点を踏まえてよく使われます。ただし、減資には株主総会の決議と債権者保護手続が必要であり、上場準備の期間中に行う場合は、スケジュールと登記の手順をあらかじめ確認しておく必要があります。

上場前の株式の移動価格にはどのような幅があったのか

Ⅰの部の第四部「株式公開情報」には、上場申請日の直前事業年度の末日の2年前の日から上場日の前日までの特別利害関係者等の株式の移動が記載されます(上場規程施行規則266条)。ティアフォーの記載からは、同じ時期の移動でも、取引の性質によって価格の決め方が異なることがわかります。

日付 移動の内容 単価(分割後) 価格の決め方
2025年9月30日 SMBC信託銀行(信託口)からRGCM 1号投資事業有限責任組合へ500,000株 1,200円 ファンドの償還期限を見据えた投資回収。DCF法及び類似会社比準方式を参考に当事者間で協議
2026年1月8日 元取締役から資産管理会社へ750,000株 430.2円 所有者の事情。税務上の時価(財産評価基本通達188の配当還元価額)を参考に協議
2026年1月30日 第1回転換社債型新株予約権付社債の行使(100,000株) 10円 2017年発行の社債の行使価額
2026年2月5日 種類株式から普通株式への転換(SOMPOホールディングス等) - 取得請求権の行使

上場前の株式の移動は、主幹事証券や取引所の審査で、価格の算定根拠と移動の理由が確認されます。ファンド間の譲渡ではDCF法や類似会社比準方式、個人から資産管理会社への移動では税務上の時価(配当還元価額)を参考にするなど、取引の当事者や目的に応じて価格の根拠を説明できるようにしておくことが重要です。同じ時期に価格が大きく異なる移動がある場合ほど、それぞれの根拠資料(株価算定書、協議の記録)を整えておく必要があります。株価の算定方法については未公開株式の株価算定はどの方法を使うかで解説しています。

ストックオプションと潜在株式はどのくらいあるのか

ティアフォーは2017年から継続してストックオプション(新株予約権)を発行しており、第1回から第20回まで、多くの回次で第1次、第2次と分けて付与しています。行使価額(分割後)は、初期の2円・60円から、400円、800円、1,000円へと段階的に上がっており、米国子会社の役員・従業員向けには7.6米ドルの回次もあります。

主な回次 決議日 付与対象者(当初) 目的株式数(2026年5月31日) 行使価額(分割後)
第1回第1次 2017年6月 従業員5名、子会社役員9名 375,000株 2円
第5回 2018年10月 取締役2名、従業員25名、子会社役員4名 585,500株 400円
第10回第2次 2022年9月 従業員7名 270,000株 1,000円
第14回 2024年9月 取締役1名 100,000株 60円
第15回 2024年9月 取締役2名 260,000株 400円
第18回第1次 2026年2月 執行役員2名、従業員74名 535,500株 1,000円
第20回第1次 2026年2月 取締役1名、執行役員1名 350,000株 1,000円

行使の条件は共通で、上場後6か月を経過した場合、又は支配権移転取引等を会社が承認した場合に限り行使できる設計です。2026年5月31日現在の潜在株式は合計6,133,000株で、発行済株式数46,074,490株の13.3%にあたります。事業等のリスクでも、新株予約権の行使による株式の希薄化が記載されています。

会計処理については、未公開企業であるため、ストック・オプションの公正な評価単価に代えて本源的価値(株式価値はDCF法を基礎として算定)で見積もる方法をとっています。2024年9月期には株式報酬費用242百万円を販売費及び一般管理費に計上しています。行使価額が算定時点の株式価値を下回る場合には本源的価値が生じ、費用計上が必要になる点は、上場準備会社が付与条件を設計する際に意識しておきたいポイントです。ストック・オプションの注記の書き方はストック・オプションの注記の記載例、税制適格の要件は税制適格ストックオプションで整理しています。

株主構成と流通株式の考え方

大株主の保有割合(潜在株式を含む)SOMPOホールディングス21.3%加藤 真平(代表取締役CEO)11.0%ジャフコSV5共有投資事業有限責任組合6.9%ヤマハ発動機6.6%出川 章理(元取締役会長)6.3%いすゞ自動車5.7%KDDI4.0%アイサンテクノロジー3.0%UTEC 4号投資事業有限責任組合3.0%株主数29名(2026年5月31日)。新株予約権(潜在株式)は6,133,000株で、発行済株式数の13.3%

図10 上位株主の保有割合(Ⅰの部「株主の状況」をもとに筆者作成。潜在株式を含む総数52,207,490株に対する割合)

2026年5月31日現在の株主数は29名で、所有者別ではその他の法人が70.43%、個人その他が27.13%を占めています。潜在株式を含めた上位株主は、SOMPOホールディングス(21.3%)、代表取締役CEOの加藤真平氏(11.0%)、ジャフコSV5共有投資事業有限責任組合(6.9%)、ヤマハ発動機(6.6%)と続き、いすゞ自動車、KDDI、アイサンテクノロジー、スズキ、東海旅客鉄道、三菱商事、大成建設、ブリヂストン、ソニーグループなど、多くの事業会社が株主になっています。東京大学と名古屋大学がそれぞれ100,000株のストックオプションを保有している点も特徴です。

ベンチャーキャピタル等の保有は7,082,500株(発行済株式数の15.4%)と記載されています。SOMPOホールディングスとは、上場後180日間のロックアップの合意を予定しているとされています。

グロース市場の上場基準では、株主数150人以上、流通株式数1,000単位以上、流通株式比率25%以上などが求められます。事業会社の株主が多い会社では、どの株主が流通株式から除かれるか(主要株主、役員、自己株式など)を事前に整理し、公募・売出しの規模で基準を満たせるかを確認しておく必要があります。計算の方法は流通株式比率の計算式と調べ方で詳しく解説しています。

流通株式の基準を確認する流れ株主名簿を整理(現在の株主数29名)流通株式から除く株主を特定公募・売出しの規模を検討主要株主・役員・自己株式など基準を満たすか株主数150人以上流通株式数1,000単位以上流通株式比率25%以上照合

図11 本文の説明をもとに筆者作成(基準はグロース市場の主なもの)

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コーポレート・ガバナンスはどう整えたのか

ティアフォーは、取締役会、監査役会、会計監査人を置く監査役会設置会社です。あわせて執行役員制度を導入し、管理・監督と業務執行を分ける体制をとっています。

ティアフォーの機関設計株主総会取締役会4名(うち社外2名)・月1回監査役会3名(全員社外)・月1回代表取締役CEO執行役員7名を統括会計監査人EY新日本有限責任監査法人経営会議CEOの諮問機関内部監査室CEO直轄・1名リスクマネジメント委員会コンプライアンス委員会任意の報酬検討会議(社外取締役1名+代表取締役)選任選任選定・監督監査連携・評価

図12 ティアフォーのコーポレート・ガバナンス体制(Ⅰの部「コーポレート・ガバナンスの概要」をもとに筆者作成)

取締役会は代表取締役CEOの加藤真平氏が議長を務め、取締役4名(うち社外取締役2名)で構成されています。原則として月1回開催し、2025年9月期は計14回開催されました。社外取締役は、投資・経営の経験が豊富な川﨑達生氏と、ソニーCSLの代表取締役社長でAI分野に詳しい北野宏明氏の2名です。監査役会は常勤監査役の阪崎史郎氏が議長を務め、監査役3名全員が社外監査役です。社外監査役の山本龍太朗氏は弁護士、中室牧子氏は大学教授です。

役職 氏名 主な経歴
代表取締役CEO 加藤 真平 名古屋大学准教授等を経て2015年に当社を創業。東京大学特任准教授、AWFフェロー
取締役CFO 阪口 聡志 監査法人、複数社のCFOを経て2018年から当社取締役CFO
社外取締役 川﨑 達生 投資ファンド代表取締役等。2025年4月就任
社外取締役 北野 宏明 ソニーCSL代表取締役社長等。2025年4月就任
常勤監査役(社外) 阪崎 史郎 事業会社のグループ経営監査担当等。2024年3月就任
監査役(社外) 山本 龍太朗 弁護士。2025年7月就任
監査役(社外) 中室 牧子 大学教授。2025年7月就任

社外取締役2名は2025年3月の臨時株主総会で、社外監査役2名は2025年7月の臨時株主総会で選任されており、申請直前期にガバナンス体制を整えたことがわかります。社外役員はいずれも、当社との間に人的関係、資本的関係、取引関係その他の利害関係はないと記載されています。また、2025年12月の定時株主総会で、大株主でもある取締役会長が退任しています。

上場審査では、社外役員を選任した時期だけでなく、その後に取締役会や監査役会へ実際に出席し、実質的な議論に参加しているかどうかが確認されます。ティアフォーでは、Ⅰの部に各役員の出席回数が記載されています。社外役員を選任する場合は、上場申請の1年前程度までには選任し、出席実績を積み上げておくのが望ましいでしょう。機関設計の選び方は監査役会設置会社と監査等委員会設置会社はどちらを選ぶ?、社外取締役の人数は社外取締役は何人必要かで解説しています。

経営会議と2つの委員会はどのような役割か

取締役会の下には、代表取締役CEOを議長とする経営会議が置かれています。経営会議には常勤取締役、常勤監査役、執行役員・CXOの全員が参加し、CEOの諮問機関として取締役会の決議事項を事前に審議するとともに、CEOの決裁事項を審議・決議しています。

また、CEOを委員長とするリスクマネジメント委員会とコンプライアンス委員会が設置されています。リスクマネジメント委員会は危機管理規程に基づき、リスクマップを用いた全社的なリスク管理(ERM)を担っています。コンプライアンス委員会は、自動運転に関する法令の遵守状況を全社横断で監督し、内部通報制度の運用をモニタリングするほか、出荷前のゲートレビューによって法規への適合を確認する役割も担っていると記載されています。

自動運転のように、事故や法令違反が事業の継続に直結する分野では、一般的なコンプライアンス体制に加えて、製品・サービスの安全性を確認する社内の関門(ゲート)を設け、その運用を委員会で監督する仕組みが重要になります。上場準備会社でも、自社の事業に固有のリスクに対応する統制を、ガバナンス体制の中にどう位置付けるかを考えておくとよいでしょう。

役員報酬はどのように決めているのか

取締役の報酬は金銭による固定の基本報酬で、株主総会で決議された上限(年200百万円)の範囲内で、取締役会から授権された代表取締役が個別の額を決定しています。その客観性を補うため、独立社外取締役1名と代表取締役で構成される任意の「報酬検討会議」を設け、取締役の継続の可否や報酬額の妥当性を事前に検討・答申する仕組みをとっています。監査役の報酬は上限年30百万円の範囲で監査役会の協議によって決めています。2025年9月期の役員報酬の総額は114百万円(10名)で、全額が固定報酬です。また、非金銭報酬として新株予約権を割り当てています。

取締役報酬の決定の流れ株主総会上限 年200百万円取締役会代表取締役に授権報酬検討会議社外取締役1名+代表代表取締役個別の額を決定報酬検討会議は取締役の継続の可否と報酬額の妥当性を事前に検討・答申監査役の報酬:上限 年30百万円の範囲で監査役会の協議により決定

図13 Ⅰの部「役員の報酬等」をもとに筆者作成

報酬の決定を代表取締役に一任する場合、上場審査では、その決定プロセスに客観性があるかが確認されます。任意の委員会や会議体を設けて社外取締役の意見を反映させる方法は、規模の小さい上場準備会社でも取り入れやすい工夫です。

その他の関係会社と関連当事者取引はどう説明されているか

SOMPOホールディングスは議決権の24.1%を保有する「その他の関係会社」です。Ⅰの部の事業等のリスクでは、同社との関係について、役員の招聘などの人的関係はなく、借入もなく、事前承認や事前報告を求められる事項もないことが記載されています。自動運転に係る保険加入等の取引はあるものの、関連当事者取引規程を整備し、取引条件の合理性を取締役会等で確認しているとしています。

その他の関係会社との関係の整理SOMPOホールディングス(その他の関係会社)ティアフォー観点Ⅰの部の記載人的関係役員の招聘などはない資金関係借入はない事前承認・報告求められる事項はない取引関係保険加入等あり(規程に基づき条件を確認)株式上場後180日間のロックアップを予定議決権 24.1%

図14 Ⅰの部「事業等のリスク」の記載をもとに筆者作成

関連当事者との取引の注記では、2025年9月期に関連会社eve autonomyの第三者割当増資を490百万円で引き受けた取引が記載されています。役員や個人の主要株主との取引は、2024年9月期・2025年9月期とも該当がありません。

大株主である事業会社との関係は、上場審査の「企業経営の健全性」や「独立性」の観点から確認されます。人的関係、資金関係、取引関係、事前承認事項の有無をそれぞれ整理し、取引条件の決め方を規程と承認手続で裏付けておくことが基本です。関連当事者取引の考え方はIPO審査の「企業経営の健全性」(関連当事者取引)で解説しています。

創業者への依存はどう説明されているか

ティアフォーは、事業等のリスクで、創業者であり代表取締役CEOである加藤真平氏への依存度が「未だ高い」ことを記載しています。加藤氏はAutowareの開発を主導し、AWFの代表理事を務めた経緯があり、現在も東京大学大学院の特任准教授とAWFのフェローを兼ねています。

創業者への依存はスタートアップでは珍しくありませんが、上場審査では、特定の人物に依存しない経営体制の構築に向けて、どのような取組みをしているかが問われます。ティアフォーでは、CFO、CHRO、CIO、COO、CSO、CTOの執行役員を置き、経営会議で意思決定を分担する体制をとっています。兼職がある場合は、職務に専念できる体制や、兼職先との利益相反の管理も説明できるようにしておくとよいでしょう。

内部監査と内部統制の体制はどうなっているのか

ティアフォーの内部監査は、代表取締役直轄の内部監査室が担っており、内部監査責任者は1名です。年間計画に従って全部門と子会社を対象に監査を行い、結果を代表取締役と取締役会に直接報告し、改善状況をフォローしています。必要に応じて、業務委託の形式で外部の有識者の支援を受けることも記載されています。

三様監査の連携として、内部監査室は常勤監査役と毎月、会計監査人と四半期に1回、情報・意見交換を行っています。また、内部統制の構築・運用を推進する経営企画部とも適時に連携しています。

三様監査と内部統制推進部門の連携常勤監査役・監査役会重点:内部統制の構築・運用内部監査室責任者1名・CEO直轄外部有識者の支援会計監査人EY新日本公認会計士16名ほか代表取締役・取締役会(直接報告)経営企画部内部統制の構築・運用を推進毎月の情報・意見交換相当性評価・連携四半期に1回の情報・意見交換監査結果を報告適時連携

図15 監査役・内部監査室・会計監査人の連携(Ⅰの部「監査の状況」をもとに筆者作成)

内部監査の担当者が少人数の場合、上場準備会社が特に注意すべきなのは「自己監査の回避」です。内部監査担当者が他部門の業務を兼務していると、自分が担当した業務を自分で監査することになり、監査の独立性が損なわれます。担当者が1名の場合は、①内部監査担当者の所属する部署を監査するときは別の者(他部署の担当者や外部の専門家)が監査する、②外部の専門家に一部の監査を委託して専門性と客観性を補う、といった工夫が一般的です。ティアフォーのように外部有識者の支援を受ける体制は、人数の制約を補う方法の一つです。

内部監査の人数と体制は内部監査の人数と体制、兼務と自己監査の回避は内部監査の担当者と兼務(自己監査の回避)で詳しく解説しています。

監査役会は2025年9月期に計7回開催され、重点監査項目として「内部統制システムの構築・運用状況」と「25年度事業計画のPDCAの状況」を挙げていました。期末には提言事項と翌期の重点監査項目を取締役会に報告しています。会社自身も、対処すべき課題の一つとして「内部統制システムの構築及び運用」を掲げています。

内部統制システムの基本方針は11項目で構成されており、行動規範、財務報告の適正性(商取引管理・経理規程)、内部監査規程、文書管理規程、リスクマネジメント基本方針、職務権限規程、子会社管理(ルールの整備と、原則として取締役及び監査役を派遣)、監査役の補助使用人、監査役への報告体制、通報者の不利益取扱いの禁止などが定められています。

上場後は、財務報告に係る内部統制の評価(J-SOX)が求められます。新規上場企業は、上場後3年間は内部統制報告書に対する監査人の監査を免除される制度がありますが(資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上の会社を除く)、経営者による評価と報告そのものは必要です。上場準備の段階から、業務記述書・フローチャート・リスクコントロールマトリクスの3点セットを整え、運用の記録を残しておくことが大切です。進め方はJ-SOXの進め方をご覧ください。

子会社や関連会社の管理はどう考えるか

ティアフォーは米国子会社と国内子会社に加え、3社の持分法適用関連会社を持ち、多くの関係会社で役員を兼任しています(たとえばeve autonomyとAI教習所にはそれぞれ2名)。2025年9月期には、学生と共同で設立した子会社について、グループ内でのシナジー発揮が難しく方向性に相違があったことから、マップフォー株式の一部譲渡や子会社3社の清算により連結の範囲を見直しています。

ティアフォーのグループ構成SOMPOホールディングス(その他の関係会社)ティアフォー連結子会社(2社)TierIV North America米国・特定子会社Human Dataware Lab.データ解析・SW/HW開発持分法適用関連会社(3社)eve autonomy(49.0%)ヤマハ発動機との合弁AI教習所(43.4%)ミナミHDとの合弁マップフォー(36.6%)25年9月に子会社から移行eve autonomyとAI教習所には、それぞれ2名の役員が兼任24.1%

図16 Ⅰの部「関係会社の状況」等をもとに筆者作成(%は議決権の所有割合)

上場準備では、グループ会社の数や役割が事業上の必要性に照らして合理的か、子会社の管理規程や報告体制が実際に機能しているかが確認されます。目的を終えた子会社を整理し、グループ構造を簡素にしておくことは、管理の負担を減らし、審査での説明をしやすくするうえでも有効です。

会計・開示ではどこが論点になるのか

収益認識はサービスごとにどう整理されているか

ティアフォーは、収益認識会計基準の5つのステップに沿って、サービスごとに履行義務と収益を認識する時点を詳しく開示しています。主な内容を整理すると次のとおりです。

サービス 主な履行義務 収益を認識する時点
Mobility Service 自動運転システムを架装した車両・ハードウェアの販売 引渡時点
Mobility Service 走行準備・運行支援・認可取得支援などの業務委託 一定期間(見積総原価に対する実際原価の割合で進捗度を測定)
Mobility Service 保守・アフターサービス 契約期間にわたり均等
Development Service 専用開発支援・カスタマイズ 一定期間(原価比例)
Development Service ソフトウェアライセンス 契約期間にわたり均等
Solution Service 業務委託(政府委託事業等を含む) 一定期間(原価比例)
Solution Service 関連デバイスの販売 引渡時点

進捗度は原則として見積総原価に対する実際原価の割合で測定し、収益が確実に測定可能な特定のマイルストーンが契約に明確に定められている場合は、それによることとされています。収益の分解情報を見ると、2025年9月期の売上高6,410百万円のうち、一定の期間にわたり認識する収益が4,711百万円、一時点で認識する収益が1,682百万円で、一定期間の収益が中心です。契約資産は2024年9月期末の544百万円から2025年9月期末の1,016百万円に増えており、政府の委託事業等の進捗によるものと説明されています。

原価比例法で収益を認識する場合、見積総原価の精度が売上高と利益を左右します。上場準備会社では、①案件ごとの見積総原価の作成と承認、②実際原価の集計(工数の記録を含む)、③見積りの定期的な見直しと変更の記録、④赤字が見込まれる案件の受注損失引当金の検討、という一連の手続を整えておく必要があります。ティアフォーでも2025年9月期から受注損失引当金(17百万円)を計上しています。収益認識の審査上の論点は上場審査で問われる収益認識で解説しています。

補助金と委託事業はどう区分されているか

ティアフォーの会計で最も特徴的なのは、政府の支援事業の扱いです。補助金・助成金として受け取るもの(グリーンイノベーション基金、ディープテック・スタートアップ支援基金など)は営業外収益の「補助金収入」に計上され、2025年9月期は5,525百万円でした。一方、NEDOや経済産業省からの委託事業の対価は売上高に計上されており、主にSolution Serviceのコンサルティングに含まれています。

Ⅰの部には、政府の助成・委託事業の契約の一覧も記載されています。たとえばグリーンイノベーション基金事業は、助成対象費用の総額が約254億円(うち契約を締結済みの期間分が約165億円)で、期間は2022年9月から2031年3月まで、途中にステージゲートがあると記載されています。なお、ここでの契約総額は助成対象費用の総額であり、助成金の額とは異なる旨が注記されています。

日本の会計基準には、政府補助金の会計処理や表示を包括的に定めた基準はなく、実務では、補助金を営業外収益に計上する方法が多くとられています。上場準備会社が補助金や委託事業を多く扱う場合には、次の点を整理しておくとよいでしょう。

第一に、補助金(給付)と委託事業(役務提供の対価)の区別です。委託事業は成果物の提供と対価の関係があるため、売上高として収益認識基準を適用するのが一般的です。第二に、補助金の収益を計上する時点で、交付決定や確定検査の状況を踏まえて、受け取ることが確実かどうかを判断する手続です。第三に、研究開発費のうち補助金の対象となる部分の区分と、補助事業ごとの費用の集計です。ティアフォーのように、研究開発費のうち補助金の受給対象分を開示している例は、損益の構造を読み手に伝えるうえで参考になります。

補助金と委託事業の会計上の区分補助金・助成金(給付)政府の委託事業(役務提供の対価)グリーンイノベーション基金ディープテック・スタートアップ支援基金NEDO・経済産業省からの委託成果物の提供と対価の関係営業外収益「補助金収入」2025年9月期 5,525百万円売上高(主にSolution Service)収益認識基準を適用整理しておく3つの点①補助金と委託事業の区別②受け取りが確実かの判断(交付決定等)③補助対象となる研究開発費の区分・集計

図17 Ⅰの部の会計方針・注記及び本文の説明をもとに筆者作成

見積りや特徴的な注記

重要な会計上の見積りとして、単体の財務諸表では関係会社株式の評価が記載されています。2024年9月期には関係会社株式評価損1,170百万円を計上しました。連結では、2025年9月期に棚卸資産評価損455百万円を売上原価に計上しています。税効果会計では、繰延税金資産の小計8,695百万円に対して評価性引当額8,673百万円を計上しており、単体の繰延税金資産は全額に評価性引当額が設定されています。

借入については、2026年2月に三菱UFJ銀行から1,000百万円(期間2年、無担保・無保証)を借り入れ、ネット現預金(現金及び預金から有利子負債を控除した額)を各月末に一定額以上に維持するという財務制限条項が付されています。財務制限条項がある借入では、条項に抵触した場合の影響を把握し、毎月モニタリングする体制が必要です。

監査法人と監査報酬

会計監査人はEY新日本有限責任監査法人で、継続監査期間は2021年9月期以降です。監査業務に係る補助者は公認会計士16名、その他32名と記載されています。監査証明業務に基づく報酬は、2024年9月期が25百万円、2025年9月期が33百万円で、非監査業務に基づく報酬はありません。監査役会は、日本監査役協会の実務指針を踏まえて会計監査人の評価基準を定め、監査報酬に同意しています。

監査法人の選定は、上場準備のスケジュールの起点になります。ショートレビューを経て監査契約を結び、上場申請の直前2期間について金融商品取引法に準じた監査を受ける必要があるため、遅くとも上場申請の3期前には監査法人を決めておきたいところです。詳しくは監査法人はいつまでに決めるかをご覧ください。

事業等のリスクと審査で問われやすい点

ティアフォーの事業等のリスクは25項目にわたり、各項目に「顕在化の可能性」「影響度」「顕在化の時期」を付けて整理しています。冒頭では、ディープテック領域で量産化のビジネスモデルや対象市場が発展途上であることから、一般的な事業と比べて相対的にリスクが高い可能性があると明記しています。

リスク項目 可能性/影響度/時期 主な内容と対応
事故の発生 小/大/未定 レベル2・レベル4での法的責任関係を詳しく説明。出荷前検査、ゲートレビュー、ルートのリスクアセスメント、自動運転専用保険等で対応
Autowareの利用 小/大/未定 知的財産権はAWFが管理。AWFの方針変更による利用条件への影響
政策動向の変化 中/中/中期 研究開発費の一部を政府の補助金に依存
法的規制 小/中/長期 レベル4の許認可は自治体・路線・車両ごとに取得。一地域の事故が他地域に影響する可能性
特定経営者への依存 小/中/未定 創業者CEOへの依存度が未だ高い
SOMPOホールディングスとの関係 小/中/特定時期なし 人的関係・借入・事前承認事項なし。上場後180日のロックアップを予定
特定の取引先への依存 中/小/未定 主要販売先・仕入先・外注先への依存、季節変動
新株予約権による希薄化 中/小/中期 潜在株式は発行済株式数の13.3%

リスクごとに可能性・影響度・時期を示す書き方は、読み手にとってリスクの重みがわかりやすく、上場準備会社でも取り入れやすい方法です。特に「事故の発生」の項目では、民法、道路交通法、自動車損害賠償保障法、製造物責任法に基づく責任関係をレベル別に整理し、2026年5月現在で公道での人身事故は0件であること、保険で備えていることまで記載しています。事業に固有の重大なリスクについては、法的な責任の所在、発生を防ぐ社内の仕組み、発生した場合の財務的な備えの3点を示すと、説得力のある記載になります。

審査の場面では、補助金への依存度とその継続性、許認可の維持、主要な取引先との関係、大株主である事業会社との関係、創業者に依存しない体制づくりなどが確認されやすい論点と考えられます。主幹事証券の審査で聞かれる内容は主幹事証券の引受審査では何を聞かれるかで解説しています。

ティアフォーの事例から上場準備会社が学べること

ここまで見てきた内容から、上場準備会社が自社の準備に生かせる実務上の示唆を7つに整理します。

1. 種類株式の整理は「手続の順序」を先に設計する

取締役会決議、臨時株主総会での定款変更、取得請求権の行使、自己株式の消却、株式分割、単元株制度の導入という一連の手続は、順序と日程を誤ると登記や開示の手戻りにつながります。種類株主全員の協力が必要になるため、株主間契約の内容を早い段階で確認し、主幹事証券・司法書士と一緒にスケジュールを組むことが大切です。

2. 株式の移動価格は取引ごとに根拠を残す

同じ時期でも、ファンド間の譲渡、個人の資産管理会社への移動、新株予約権の行使などで価格は大きく異なりえます。それぞれの価格の決め方(DCF法、類似会社比準方式、配当還元価額など)と、移動の理由を文書で残しておくことが、Ⅰの部の記載と審査対応の基礎になります。

3. 補助金・委託事業は会計処理と管理の両面で整える

補助金と委託事業を区別し、表示区分、収益計上の時点、対象費用の集計方法を会計方針として定めることが出発点です。あわせて、補助事業ごとの経費管理や実績報告の手続を内部統制の対象として運用しておくと、審査で依存度や継続性を問われたときにも説明がしやすくなります。

4. 損益構造に合わせて経営指標を選び、定義を開示する

ティアフォーは、補助金を含めた経常利益と、独自に定義した事業利益を目標指標にしています。自社の損益構造の特徴を踏まえて指標を選び、その定義と選んだ理由を説明することで、事業計画の読み手の理解を助けることができます。

5. 社外役員は早めに選任し、出席実績を積む

社外取締役・社外監査役を申請直前期に迎える場合でも、取締役会や監査役会への出席と議論の実績を積み上げる時間が必要です。選任の時期から逆算して、上場申請までの期間を確保しておきましょう。

6. 少人数の内部監査は外部の支援と三様監査で補う

内部監査責任者が1名でも、外部有識者の支援、常勤監査役との毎月の情報交換、会計監査人との定期的な連携を組み合わせることで、監査の範囲と専門性を補うことができます。自己監査を避けるルールもあわせて定めておきましょう。

7. 事業に固有のリスクは「責任・予防・備え」で説明する

事故のように影響の大きいリスクは、法的な責任の所在、発生を防ぐ社内の仕組み、発生時の財務的な備え(保険など)をセットで示すことで、読み手の理解が深まります。リスクごとに可能性・影響度・時期を示す方法も参考になります。

上場準備のチェックリスト

  • 種類株式を普通株式へ切り替える手続(定款変更、取得請求、消却、株式分割、単元株)の順序と日程を決めているか
  • 上場前の株式の移動・第三者割当について、価格の算定根拠と理由を文書で残しているか
  • 補助金と委託事業を区別し、表示区分と収益計上の時点を会計方針として定めているか
  • 原価比例法による収益認識のために、見積総原価の作成・見直しと実際原価の集計の手続を運用しているか
  • 社外役員を上場申請の十分前に選任し、取締役会・監査役会への出席実績を積んでいるか
  • 内部監査の自己監査を避けるルールと、三様監査の定期的な連携の場を設けているか

よくある質問

Q1. 種類株式は上場前に必ず普通株式へ切り替える必要がありますか?

一般的には、上場前に全ての種類株式を普通株式へ切り替えます。ティアフォーでは、全ての種類株主が取得請求権を行使し、会社が種類株式を取得して普通株式を交付したうえで、取得した種類株式を消却しました。あわせて種類株式に関する定款の定めも廃止しています。

Q2. 補助金収入は売上高に含めてもよいのですか?

補助金(給付)は一般に営業外収益に計上する実務が多く、ティアフォーも補助金収入を営業外収益に計上しています。一方、政府からの委託事業は役務提供の対価として売上高に計上しています。どちらにあたるかは契約の内容で判断し、会計方針として一貫して適用することが大切です。

Q3. 内部監査の担当者が1名でも上場できますか?

担当者の人数だけで判断されるわけではなく、監査計画どおりに全部門・子会社を監査できているか、自己監査を避けられているかなど、実効性が確認されます。ティアフォーは内部監査責任者1名の体制で、必要に応じて外部有識者の支援を受けています。

Q4. 赤字のままグロース市場に上場できますか?

グロース市場は利益の額に関する形式基準を設けておらず、赤字でも上場は可能です。ただし、高い成長可能性を事業計画と根拠で説明すること、上場後も事業計画及び成長可能性に関する事項を開示し続けることが求められます。

最初の一歩は、自社の株主名簿と資本政策の履歴を整理することから

資本政策は、一度実行すると後から修正することが難しい分野です。まずは、創業から現在までの株主名簿、発行した株式・新株予約権の種類と条件、各回の発行価格と算定根拠、株式の移動の履歴を一覧にしてみてください。ティアフォーのように種類株式や多数のストックオプションを発行している会社ほど、この整理が上場準備の土台になります。全体の進め方は上場準備の資本政策やIPO準備の全体像(N-3期〜N期)もあわせてご覧ください。

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ティアフォーのⅠの部と比べる 上場準備ギャップ診断シート(Excel)

ティアフォーの機関設計・内部監査・会計・資本政策の25論点を、自社の状況と並べて点検できます。申請期の期末日を入れると上場までの逆算表も作れます。

まとめ

ティアフォーは、オープンソースの自動運転ソフトウェアAutowareを基盤に、自動運転バスの提供、自動車メーカーとの量産向け共同開発、政府機関等へのソリューションを展開する会社として、2026年7月22日に東証グロース市場に上場しました。

Ⅰの部からは、4種類の優先株式を上場前に普通株式へ切り替えた手順、事業会社への第三者割当と継続保有の確約、株式の移動ごとの価格の決め方、補助金と委託事業を区別した会計処理と経営指標の選び方、申請直前期に整えた社外役員の体制、少人数の内部監査を外部支援と三様監査で補う体制など、上場準備会社にとって具体的な参考になる記載を多く読み取ることができます。自社の状況と照らし合わせながら、準備の優先順位を考える材料にしていただければ幸いです。

上場準備の体制づくりを相談したい方へ

ショートレビュー、資本政策、機関設計、内部監査・内部統制、会計方針と開示、Ⅰの部の作成、審査対応まで、上場準備の実務を公認会計士が支援します。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

本記事の根拠

免責:本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件に対する法務、会計、税務その他の専門的助言を構成するものではありません。実際の対応は、最新の法令・取引所規則・公表資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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