IPOで許認可はどこまで見られるか|グロースは継続性ではなく開示で見る

IPOで許認可はどこまで確認されるか。答えは市場によって枠組みが違います。

スタンダード市場では、企業の継続性及び収益性の枠で見られます(上場審査等に関するガイドラインⅡ2(3)d)。継続に支障を来す要因が発生している状況が見られないこと、が観点です。

グロース市場は違います。企業内容、リスク情報等の開示の適切性の枠です(同ガイドラインⅣ2(2)d)。求められるのは、有効期間、取消事由、支障を来す要因を開示することです。

この記事でわかること

  • 市場ごとに枠組みが違うこと
  • 許認可だけでなく契約も含まれること
  • グロースで求められる開示の4点
  • 法令遵守の体制がどこで見られるか
  • 係争中の紛争の取扱い
  • 行政処分歴に名指しの規定がないこと

📌 結論 グロースは継続性ではなく開示で見る

図1 許認可はどの基準で見られるか市場規程の条ガイドライン枠組みスタンダード第207条第1項第1号Ⅱ 2(3)d企業の継続性及び収益性プライム第213条第1項第1号企業の継続性及び収益性グロース第219条第1項第1号Ⅳ 2(2)d企業内容、リスク情報等の開示の適切性

グロース市場には企業の継続性及び収益性という基準がありません。許認可は開示の適切性の枠で見られます。準備する資料の形が変わります。

スタンダード市場とプライム市場の実質審査基準の第1号は、企業の継続性及び収益性です。許認可はその下位の項目として、主要な事業活動の前提となる事項という形で置かれています。

グロース市場の第1号は、企業内容、リスク情報等の開示の適切性です。第4号に事業計画の合理性があり、企業の継続性及び収益性という基準そのものがありません。

したがって、グロース市場を目指す会社が、許認可が継続していることを説明する資料ばかり作っても、求められているものとずれます。開示すべき4点を用意してください。

🧭 契約も前提になる

図2 主要な事業活動の前提となる事項に含まれるもの区分許認可等主要な業務又は製商品に係る許可、認可、免許若しくは登録契約販売代理店契約若しくは生産委託契約審査の観点(スタンダード)その継続に支障を来す要因が発生している状況が見られないこと

許認可だけではありません。事業の前提になっている契約も同じ枠で見られます。1社に依存した販売代理店契約はここに入ります。

ガイドラインの定義は、主要な業務又は製商品に係る許可、認可、免許若しくは登録、そして販売代理店契約若しくは生産委託契約を挙げています。

つまり、法令に基づく許認可だけではありません。事業が特定の契約に依存しているなら、その契約も同じ枠で見られます。

売上の大半が1社との販売代理店契約から生じている会社は、契約期間、更新条件、解約条項を整理してください。契約書に一方的な解約権があるなら、それ自体が論点になります。

事業の前提となる事項の洗い出しと開示資料の作成をお引き受けします

許認可の一覧化、根拠法令と有効期間の確認、依存度の高い契約の抽出、そしてⅠの部の事業等のリスクに載せる文案の作成まで通してお受けします。グロース市場では、継続していることより、期限と取消事由を書けているかが問われます。同業他社のⅠの部の記載も踏まえて設計します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。

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🧾 法令遵守と係争

図3 グロースで開示が求められる4点記号内容(a)主要な事業活動の前提となる事項の内容(b)許認可等の有効期間その他の期限(c)取消しその他の事由(d)その継続に支障を来す要因

ガイドラインⅣ2(2)dです。継続していることを示すのではなく、期限と取消事由とリスクを開示することが求められます。

法令遵守は別の号で見られます。ガイドラインⅡ4(5)が、規程第207条第1項第3号の内部管理体制の有効性に関する審査として、法令等を遵守するための有効な体制が適切に整備、運用されていることを求めています。

あわせて、最近において重大な法令違反を犯しておらず、今後においても重大な法令違反となるおそれのある行為を行っていないこと、とされています。

係争については、ガイドラインⅡ6(2)およびⅣ6(2)が、経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと、としています。第5号のその他公益又は投資者保護の観点の下位項目です。

📅 行政処分歴はどう扱われるか

図4 準備の順番事業に必要な許認可、免許、登録をすべて洗い出す根拠法令、有効期間、更新時期、取消事由を一覧にする事業の前提になっている契約(販売代理店・生産委託)を加える継続に支障を来す要因があるかを検討する法令遵守の体制と過去の違反の有無を整理する係争中の紛争があれば影響額を見積もる

一覧がないこと自体が指摘になります。更新期限が近いものから並べてください。

ガイドラインに、行政処分という語を名指しした規定は確認できませんでした。最も近いのは、上のⅡ4(5)の重大な法令違反に関する定めです。

したがって、処分歴があるから上場できない、という条文はありません。問われるのは、その違反が重大かどうか、そして再発しない体制ができているかどうかです。

内部通報の体制については内部通報体制は上場審査でどこまで見られるかにまとめています。法令違反を早期に把握する仕組みとして、あわせて整理してください。

❓ よくある質問

Q. 許認可はどの基準で見られますか。

A. スタンダードとプライムは企業の継続性及び収益性、グロースは企業内容、リスク情報等の開示の適切性です。

Q. 契約も対象ですか。

A. 販売代理店契約と生産委託契約がガイドラインに例示されています。

Q. グロースでは何を開示しますか。

A. 前提事項の内容、有効期間その他の期限、取消しその他の事由、継続に支障を来す要因の4点です。

Q. 過去に行政処分を受けていると上場できませんか。

A. そう定めた規定は確認できません。重大な法令違反かどうか、体制が整っているかが問われます。

Q. 係争中の訴訟があると不利ですか。

A. ガイドラインは、経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと、としています。重大性の判断です。

Q. 許認可の更新時期はいつまでに整理しますか。

A. 申請の前です。更新が申請期にかかるものは、その旨と見込みを説明できるようにしてください。

Q. 法令遵守はどの号で見られますか。

A. 内部管理体制の有効性です(規程第207条第1項第3号、ガイドラインⅡ4(5))。

Q. 事業等のリスクとの関係は。

A. グロースでは開示の適切性の枠で見られるため、Ⅰの部の事業等のリスクの記載と直結します。

📄 まとめ

許認可は、スタンダードとプライムでは継続性、グロースでは開示の枠で見られます。

対象は許認可だけでなく、事業の前提となる契約を含みます。

行政処分を名指しした規定はありません。重大な法令違反かどうかと、体制の有無です。

まず一覧を作ってください。期限と取消事由が並んでいない会社は、それだけで準備不足に見えます。

📚 参考(公的な一次情報)

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