内部統制報告書は、内部統制府令に定められた様式に沿って作成します。記載事項は決まっており大部分は定型ですが、評価の範囲と評価結果の2つは会社ごとに内容が変わります。
評価の範囲では対象とした拠点と業務プロセス、除外した部分の理由を書きます。評価結果では有効かどうかを述べ、重要な不備があればその内容と是正の状況を書きます。
この記事では、記載事項、範囲と結果の書き方、監査法人とのすり合わせ、訂正が必要になった場合を整理します。
- 内部統制報告書の7つの記載事項
- 評価範囲の記載で問われる説明
- 評価の対象から除外した部分の書き方
- 重要な不備が期末までに是正された場合の結論
- 記載内容を監査法人とすり合わせる時期
- 訂正の内部統制報告書が必要になる場面
📌 結論 範囲と結果が中心
内部統制報告書は、内部統制府令に定められた様式に沿って作成します。記載事項は決まっており、大部分は定型の記載になりますが、評価の範囲と評価結果の2つは会社ごとに内容が変わります。
評価の範囲では、どの拠点とどの業務プロセスを対象としたか、そして対象から除外した部分があればその理由を書きます。評価結果では、有効であるかどうかを述べ、重要な不備があればその内容と是正の状況を書きます。
評価の範囲と結果が中心。他は様式に沿った定型の記載になる
🧭 評価範囲の記載
評価範囲の記載で問われるのは、なぜその範囲にしたのかという説明です。連結子会社のうち何社を対象としたか、どの勘定科目に至る業務プロセスを対象としたかを書きます。
除外した部分がある場合は、その理由を具体的に書きます。財務報告に及ぼす影響の重要性が僅少であるという趣旨の記載になりますが、その判断の根拠が評価の記録に残っている必要があります。報告書には書ききれない詳細も、監査法人から質問を受けます。
記載の内容は、監査法人と事前にすり合わせておく
期末近くに取得した子会社などで、評価が及ばなかった部分がある場合も、その旨と理由を書きます。取得の時期から期末までの期間が短く、評価に必要な手続を実施できなかったという説明です。
📊 評価結果の記載
評価結果は、基準日時点で内部統制が有効であるかどうかを述べます。重要な不備がなければ有効という結論になります。
除外や限定があるときほど、理由の書き方が問われる
期中に重要な不備が見つかり、期末までに是正された場合は、基準日時点では有効という結論になります。是正されたことを確かめた記録があることが前提です。
重要な不備が期末時点で残っている場合は、有効でないという結論になり、その内容と、財務諸表の信頼性に及ぼす影響、そして是正の計画を記載します。この記載は開示として重い意味を持っため、監査法人と十分にすり合わせます。
やむを得ない事情によって評価手続の一部を実施できなかった場合も、その事情と実施できなかった手続を記載します。この場合、評価結果をどう述べるかは事情の内容によります。
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🗂 監査法人とのすり合わせ
報告書の記載内容は、提出前に監査法人とすり合わせます。監査法人は会社の評価が適切かを監査する立場であり、記載の内容について意見が異なると、監査報告書の内容にも影響します。
すり合わせの時期は、評価がほぼ終わった段階です。ここで範囲の記載や不備の扱いについて見解が分かれると、決算の日程に影響します。評価範囲については期中から協議しておき、期末には数値の当てはめと結果の確認で済む状態にしておくのが理想です。
また、報告書の提出には社内の手続も必要です。取締役会での報告や承認をどう行うかを決めておき、決算の日程に組み込んでおきます。
⚖️ 訂正が必要になった場合
提出後に記載に誤りがあることが分かった場合や、後から重要な不備が判明した場合には、訂正の内部統制報告書を提出することになります。
訂正が必要になる典型が、提出後に過年度の誤りが発見されるケースです。財務諸表を訂正する場合、その誤りを検出できなかった内部統制についても、当時有効であったという結論が維持できるかを検討することになります。
訂正の判断は、誤りの内容と、それが内部統制の不備によるものかどうかによります。会計上の見積りの変更のように、統制の不備とは言えないものもあります。この判断は監査法人と協議のうえ行います。
訂正報告書を提出する事態を避けるには、評価の記録を丁寧に残しておくことが結局のところ有効です。どういう根拠で有効と判断したかが記録されていれば、後から検証もでき、説明もできます。
❓ よくある質問
A. 内部統制府令に定められています。記載事項も決まっており、大部分は定型の記載になります。
A. 評価の範囲と評価結果です。対象とした拠点と業務プロセス、除外の理由、有効かどうかの結論が該当します。
A. 対象と理由を具体的に書きます。財務報告に及ぼす影響の重要性が僅少であるという趣旨になりますが、判断の根拠が記録に残っている必要があります。
A. 評価が及ばなかった旨と理由を書きます。取得から期末までの期間が短く、必要な手続を実施できなかったという説明です。
A. 基準日時点で是正され、是正後の運用が確かめられていれば有効という結論になります。
A. 不備の内容、財務諸表の信頼性に及ぼす影響、是正の計画を記載します。開示として重い意味を持っため監査法人と十分にすり合わせます。
A. 評価がほぼ終わった段階です。範囲については期中から協議しておき、期末は数値の当てはめと結果の確認で済む状態にしておきます。
A. 提出後に記載の誤りが分かった場合や、後から重要な不備が判明した場合です。過年度の誤りが発見されたときの検討も含まれます。
📄 まとめ
報告書の記載事項は定型ですが、評価の範囲と評価結果は会社ごとに変わります。
範囲の記載では、除外した部分の理由が問われます。判断の根拠が評価の記録に残っている必要があります。
期中の重要な不備が期末までに是正され、是正後の運用が確かめられていれば有効という結論になります。
記載内容は提出前に監査法人とすり合わせます。範囲は期中から協議しておくと期末が楽になります。
訂正を避けるには、どういう根拠で有効と判断したかを記録に残しておくことが有効です。
公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。
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