内部統制の評価は、期中に一度行い、期末までの期間について改めて確かめるという2段階で進めるのが一般的です。前者を期中評価、後者をロールフォワード評価と呼びます。
2回に分ける理由は、不備を早く見つけて改善する時間を作るためです。期末に一度だけでは、不備が見つかっても直す時間がありません。
この記事では、期中評価の時期、ロールフォワードで確かめること、マニュアルの準備、不備が見つかったときの期限の考え方を整理します。
- 期中評価とロールフォワード評価の違いを5つの観点で整理
- 期中評価の時期が早すぎても遅すぎても困る理由
- ロールフォワードを4段階で行う進め方
- 変更の有無を確かめる5つの視点
- ロールフォワードのマニュアルに書くこと
- 不備の改善に期限を設けるべき理由
図 ロールフォワード評価で確かめる点
この記事の見出し
📌 結論 2回に分けるのは改善の時間を作るため
内部統制の評価は、期中に一度行い、期末までの期間について改めて確かめるという2段階で進めるのが一般的です。前者を期中評価、後者をロールフォワード評価と呼びます。
2回に分ける理由は、不備を早く見つけて改善する時間を作るためです。期末に一度だけ評価する形にすると、不備が見つかっても直す時間がありません。期中に評価しておけば、残りの期間で改善し、改善後の運用を確かめることができます。
ロールフォワードは変更がないことの確認が中心になる
🧭 期中評価をいつ行うか
期中評価の時期は、早すぎても遅すぎても具合が悪くなります。早すぎると、評価の対象となる期間が短く、サンプルとして確かめられる件数が足りません。遅すぎると、不備が見つかったときに改善の時間がありません。
目安としては、上期の終わりから下期の前半に行う形が使いやすいところです。3月決算であれば、9月から12月にかけて評価を進めるという配分です。この時期であれば、月次の統制であれば6件から9件が母集団にあり、サンプルとして十分な件数が確保できます。
プロセスごとに時期をずらすと、負荷が平準化されます。すべてを同じ月に評価しようとすると、資料の依頼が集中して現場も評価する側も回りません。
変更の有無の確認が先。全件を同じように見直す必要はない
📊 ロールフォワードで何を確かめるか
ロールフォワード評価では、期中評価の後から期末までの期間について確かめます。ここで行うのは、期中と同じ量の評価ではありません。統制の設計と運用が変わっていないことを確かめ、少数のサンプルで実施を確認するという形になります。
変更の有無を確かめる視点は5つあります。担当者の交代、手続の変更、システムの入れ替えや改修、組織の統廃合、新しい類型の取引です。この5つを担当者に聞くだけで、見直しが必要な統制がほぼ特定できます。
この5つを聞くだけで、見直しが必要な統制がほぼ特定できる
変更がない統制については、期間に応じた少数のサンプルを確かめます。期中評価から期末までが3か月であれば、月次の統制なら1件から2件を見る形です。件数の考え方は監査法人と事前にすり合わせておきます。
変更があった統制については、整備状況の評価からやり直します。設計が変わっているため、変更後の統制がリスクに対して有効かをまず確かめる必要があります。そのうえで、変更後の期間について運用を評価します。
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🗂 マニュアルを作っておく
ロールフォワード評価は、期末前後の忙しい時期に行うことになります。この時期に何をどうするかを考えていると間に合わないため、手順をマニュアルにしておきます。
マニュアルに書くのは、対象とする統制の範囲、変更の有無を確かめる方法と質問の項目、変更がない場合のサンプル件数、変更があった場合の進め方、そして記録の様式です。数ページで足ります。
この準備をしておくと、担当者が交代しても同じ手順で進められます。また、複数の拠点で同時にロールフォワードを行う場合も、手順が統一されていれば結果の比較ができます。
⚖️ 期中評価で不備が見つかったとき
期中評価で不備が見つかった場合、改善して、改善後の運用を評価するという流れになります。ここで重要なのが、改善後にどのくらいの期間の運用を確かめれば足りるかという判断です。
統制が改善された後、期末までにその統制が十分な回数実施されている必要があります。月次の統制であれば、期末まで3か月あれば3件の実施があり、評価の対象にできます。期末の1か月前に改善しても、1件しか実施がなく、有効と結論づけることは難しくなります。
このため、不備の改善には期限を設けます。期末の3か月前までに改善を完了するという目安を置き、それに間に合わない不備については、その年度は不備が残る前提で影響を検討します。期限を決めておかないと、改善の作業が期末まで延び、結局評価ができないという事態になります。
❓ よくある質問
A. 不備を早く見つけて改善する時間を作るためです。期末に一度だけ評価する形では、不備が見つかっても直す時間がありません。
A. 上期の終わりから下期の前半が使いやすいところです。早すぎるとサンプルの件数が足りず、遅すぎると改善の時間がありません。
A. しません。統制の設計と運用が変わっていないことを確かめ、少数のサンプルで実施を確認する形になります。
A. 担当者の交代、手続の変更、システムの入れ替え、組織の統廃合、新しい類型の取引の5つを聞きます。これで見直しが必要な統制がほぼ特定できます。
A. 整備状況の評価からやり直します。設計が変わっているため、変更後の統制がリスクに有効かをまず確かめます。
A. 期中評価から期末までの期間に応じた少数の件数です。考え方は監査法人と事前にすり合わせておきます。
A. 対象の範囲、変更の確認方法と質問項目、サンプル件数、変更があった場合の進め方、記録の様式です。数ページで足ります。
A. 期末の3か月前までを目安にします。改善後に統制が十分な回数実施されていないと、有効と結論づけることが難しくなります。
📄 まとめ
評価を期中とロールフォワードの2回に分けるのは、不備を改善する時間を作るためです。
期中評価は上期の終わりから下期の前半が目安です。プロセスごとに時期をずらすと負荷が平準化されます。
ロールフォワードは変更がないことの確認が中心です。5つの視点を聞くだけで見直しの対象が特定できます。
期末前後の忙しい時期に行うため、手順をマニュアルにしておきます。数ページで足ります。
不備の改善には期限を設けます。期末の直前に改善しても、実施の回数が足りず有効と結論づけられません。
公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。
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評価範囲の決定
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- 整備状況と運用状況の評価
- 期中評価とロールフォワード(この記事)
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