フローチャートは業務の流れを図で表した文書です。業務記述書と同じ内容を扱いますが、文章では見えないことが図にすると見えてきます。
部門をまたぐ箇所、同じ人が連続して行う工程、判断が入る分岐の多さといったものが一目で分かります。作る順序は業務記述書が先です。
この記事では、記号と書き方、図にして気づくこと、粒度の合わせ方、更新の回し方を整理します。
- フローチャートを作る4段階と、業務記述書を先に作る理由
- よく使う記号と、1つの箱に1つの作業だけ書く理由
- 部門ごとにレーンを分ける書き方の効果
- 図にすると見える5つのことと、そこから気づくこと
- 統制が箱として現れる粒度の合わせ方
- 更新が滞らないようにする工夫
図 業務フローチャートの作り方の判定
📌 結論 図にすると流れの偏りが見える
フローチャートは、業務の流れを図で表した文書です。業務記述書と同じ内容を扱いますが、文章では見えないことが図にすると見えてきます。部門をまたぐ箇所、同じ人が連続して行う工程、判断が入る分岐の多さといったものです。
作る順序は、業務記述書が先です。文章で流れを整理してから図にすると、記述の抜けも見つかります。逆に図を先に作ると、細部の記述が省かれたまま進んでしまいます。
業務記述書を先に作り、それを図にするという順序にする
🧭 記号と書き方
フローチャートの記号に決まりはありませんが、社内で統一しておく必要があります。処理、判断、書類、データ、開始と終了という5種類があれば、たいていの業務は表現できます。記号の種類を増やしすぎると、読む側が凡例を見ながら読むことになり、かえって分かりにくくなります。
記号の種類を増やしすぎない。読み手が迷わない程度に絞る
1つの箱には1つの作業だけを書きます。受注を入力し与信を確認して受注書を出力する、と1つの箱に詰め込むと、どこに統制があるのかが分かりません。作業を分けて並べることで、統制の位置がはっきりします。
担当する部門ごとにレーンを分ける書き方が広く使われます。縦または横に部門の帯を作り、その帯のなかに作業を配置する形です。この書き方をすると、部門をまたぐ箇所が線として見えるようになります。
📊 図にして気づくこと
レーンで分けたフローチャートを見ると、いくつかのことが一目で分かります。1つのレーンのなかに箱が連続していれば、その部門または担当者が一連の作業を単独で行っているということです。職務の分離が働いていない可能性があります。
文章では気づけないことが、図にすると一目で分かる
判断の記号が多い業務は、例外処理が多いということです。標準の流れが定まっていないか、標準から外れる案件が常態化している可能性があります。それぞれの分岐について、どのくらいの頻度で発生するかを確かめると、実態が見えます。
統制の位置も見えます。統制の印が後工程に偏っていれば、誤りが起きてから検出されるまでの期間が長いということです。前工程で防ぐ統制がないかを検討する材料になります。
前の工程へ戻る線が多い場合は、手戻りが起きているということです。統制の話とは別に、業務の効率の問題として現場に共有すると喜ばれます。評価の副産物として業務改善につながる場面です。
記号の統一から統制の位置づけまで、読み手に伝わる作り方をご提案します。上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援と内部統制の導入、内部監査対応を行っている公認会計士・税理士が直接対応します。初回のご相談は無料です。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら
🗂 粒度をどこに合わせるか
粒度の判断はよく迷うところです。細かく書きすぎると図が巨大になり、粗すぎると統制の位置が示せません。目安としては、統制が行われる箇所が箱として現れる粒度にします。
統制のない一連の作業は、まとめて1つの箱にして構いません。逆に、承認や照合が行われる箇所は、必ず独立した箱にします。統制がどこで働いているかが読み取れることが、フローチャートの主な役割だからです。
また、1枚に収まらない業務は、工程で区切って複数枚に分けます。1枚あたり15から20の箱までが読める限界です。それを超えるなら、受注から出荷まで、出荷から売上計上までといった形で分割し、接続の箇所を明示します。
⚖️ 更新をどう回すか
フローチャートは更新が滞りやすい文書です。作図の手間がかかるため、業務が変わっても直されずに残ることがあります。
対策としては、作図に使うツールを簡単なものにしておきます。凝った図を作ると更新が億劫になります。表計算ソフトの図形機能や、簡単な作図ツールで十分です。見栄えより、直しやすさを優先します。
また、業務記述書とフローチャートは同時に直すという運用にします。片方だけ直すと内容がずれ、どちらが正しいのか分からなくなります。変更があったときに両方を直す担当を決めておけば、ずれは起きません。年次の評価では、この2つが一致しているかを確認する作業を手続に含めておきます。
❓ よくある質問
A. 業務記述書が先です。文章で流れを整理してから図にすると記述の抜けも見つかります。図を先に作ると細部が省かれたまま進みます。
A. ありませんが、社内で統一しておきます。処理、判断、書類、データ、開始と終了の5種類があればたいていの業務は表現できます。
A. 1つの箱には1つの作業だけを書きます。詰め込むとどこに統制があるのかが分からなくなります。
A. 部門をまたぐ箇所が線として見えます。引き継ぎの箇所はリスクが生じやすいため、そこに目が向くようになります。
A. 例外処理が多いということです。それぞれの分岐がどのくらいの頻度で発生するかを確かめると実態が見えます。
A. 統制が行われる箇所が箱として現れる粒度にします。統制のない一連の作業はまとめてよく、承認や照合は必ず独立した箱にします。
A. 工程で区切って複数枚に分けます。1枚あたり15から20の箱までが読める限界です。接続の箇所を明示します。
A. 作図のツールを簡単なものにし、見栄えより直しやすさを優先します。業務記述書と同時に直す運用にして、担当を決めておきます。
📄 まとめ
フローチャートは業務記述書の後に作ります。文章で整理してから図にすると、記述の抜けも見つかります。
記号は社内で統一し、種類を絞ります。1つの箱には1つの作業だけを書き、統制の箇所は独立した箱にします。
レーンで分けると、部門をまたぐ箇所や1人が連続して行う工程が一目で分かります。
統制の印が後工程に偏っていれば、誤りの検出が遅れます。前工程で防ぐ統制の検討につながります。
更新は業務記述書と同時に行い、年次の評価で両者が一致しているかを確認します。
公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。
制度の全体像
評価範囲の決定
文書化
- 業務記述書の作り方
- フローチャートの作り方(この記事)
- 財務報告リスクの識別
- コントロールの記載
評価の実施
IT統制
不備と改善
整備と設計
報告と立て直し