akippaのIPO|優先株式の整理と総額表示の収益認識【Ⅰの部から読む上場準備】

※本記事は2026年10月7日時点の公表資料に基づきます。

akippa株式会社(証券コード627A)は、2026年8月18日に東京証券取引所から上場承認を受け、2026年9月18日に東証スタンダード市場に上場しました。個人宅や月極駐車場の空きスペースをスマートフォンで貸し借りできる駐車場マーケットプレイス「アキッパ」を運営する、大阪市浪速区に本店を置く会社です。本記事では、東京証券取引所に提出された「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」(全135ページ)を読み、上場準備会社の経営者・CFO・管理部門の方が実務の参考にできるポイントを整理します。

結論からいえば、akippaのⅠの部は「種類株式の整理を定款の変更まで含めて完了させる手順」と「プラットフォーム型ビジネスの収益認識・報酬制度・ガバナンスの説明の仕方」を学ぶのに適した事例です。優先株式を2度にわたり取得請求権の行使で普通株式に切り替えたこと、上場直前に取締役会を10名から5名の体制へ再編したこと、ユーザーが支払う金額の全額を売上高とする計上、業績連動報酬を定期同額給与の形で支給する設計など、準備中の会社がそのまま検討項目にできる論点が並んでいます。

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akippaはどんな会社で、いつ、どの市場に上場したのか

まず基本情報です。akippaの前身は、代表取締役社長CEOの金谷元気氏が2009年2月に大阪市平野区で設立した営業代行会社「合同会社ギャラクシーエージェンシー」です。2011年4月に株式会社へ組織変更し、駐車場シェアのサービスを始めた後の2015年2月に現在の商号に変更しました。決算期は12月で、Ⅰの部の最近事業年度は第17期(2025年12月期)、直近の中間期は第18期中間会計期間(2026年1月〜6月)です。

上場市場は東証スタンダード市場で、上場承認日(Ⅰの部の提出日)は2026年8月18日、上場日は2026年9月18日です。子会社はなく、Ⅰの部の財務諸表は単体のみです。事業は「アキッパ事業」の単一セグメントです。関係会社の状況には、SOMPOホールディングス株式会社が「その他の関係会社」(議決権の被所有割合33.5%)として記載されています。一方で、「提出会社の親会社等の情報」は「当社には、親会社等はありません」とされています。

従業員数は2026年7月31日時点で61名(ほかに臨時雇用者の年間平均26.3名)、平均年齢36.9歳、平均勤続年数6.29年、平均年間給与6,592千円と記載されています。拠点は大阪の本社と東京都千代田区のTOKYO OFFICEで、どちらも賃借です。従業員60名前後の規模で、スタンダード市場に求められるガバナンスと内部管理体制をどう整えたのかが、本記事の主な関心です。

項目 内容
会社名 akippa株式会社(akippa Inc.)
証券コード 627A
市場 東京証券取引所 スタンダード市場
上場承認日/上場日 2026年8月18日/2026年9月18日
設立 2009年2月(合同会社として設立、2011年4月に株式会社化)
本店 大阪府大阪市浪速区難波中二丁目10番70号
代表者 代表取締役社長CEO 金谷 元気
決算期 12月(最近事業年度:第17期 2025年12月期)
事業 アキッパ事業(単一セグメント)
従業員数(2026/7/31) 61名(臨時雇用者26.3名)
会計監査人 有限責任監査法人トーマツ

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何で稼ぐ会社なのか――事業内容と収益モデル

アキッパは、個人宅の駐車場や空いている月極駐車場などのスペースを、スマートフォン等で簡単に貸し借りできる駐車場マーケットプレイスです。ドライバーであるユーザーは、目的地周辺の駐車場を事前に予約・決済でき、到着後に空き駐車場を探す必要がありません。スペースの所有者であるオーナーは、精算機やゲートなどの設備投資や登録料・月額固定費なしで駐車場を貸し出し、利用があった分だけ収益を得られる成果報酬型の仕組みです。

Ⅰの部によれば、2025年12月末時点の累計ユーザー会員数は500万人を超え、2025年12月の月間平均で全国5.5万台以上の駐車場が利用可能となっています。利用目的別の駐車場売上構成比(2025年12月期)は「イベント」が約34%と最も高く、「通勤・通学」約16%、「旅行・観光」約9%、「家族、知人宅訪問」約9%、「ビジネス」約8%と続きます。掲載駐車場のエリア分布は首都圏約28%、関西圏約25%、主要都市約13%、地方約34%です。

収益の仕組みは、上場準備の観点から特に重要です。事業の内容の記載では、ユーザーが本サービスを通じて駐車場を予約・利用した際に支払われる駐車料金、サービス料及びバリュープラス会費等の全額を当社の売上高に計上し、受領した駐車料金から当社の手数料を差し引いた残額(報酬額)をオーナーに支払い、これを売上原価に計上すると説明されています。オーナーへの報酬は月末締め翌月末の振込です。

アキッパのビジネスモデル(取引とお金の流れ)ユーザー(ドライバー)akippa駐車場マーケットプレイスオーナー(駐車場の所有者)予約・決済駐車場の提供報酬の支払駐車場の掲載駐車場シェア専用保険(当社負担)パートナー(代理店)売上高:駐車料金・サービス料・バリュープラス会費等の全額売上原価:手数料を差し引いたオーナーへの報酬額開拓・取次

図1 ユーザーが支払う金額の全額を売上高に計上し、手数料を差し引いた報酬額をオーナーに支払って売上原価に計上する構造です(Ⅰの部「事業の内容」をもとに作成)

オーナーの開拓は、自社の営業社員、提携代理店である「パートナー」、そしてオーナー自身がアプリで登録する「オーナーモード」の3つの経路で行われています。オーナーモードではマイナンバーカードを利用した本人確認(JPKI方式)やAI等を用いた審査を取り入れています。また、損害保険ジャパン株式会社と共同開発した「駐車場シェア専用保険」を全登録駐車場に適用し、保険料は全額を当社が負担していると記載されています。

Ⅰの部では強みとして、高い市場シェア、営業力とプロダクト開発力の両立、テイクレート(取扱高に対する手数料率)の高さ、アセットライトなビジネスモデルの4点を挙げています。テイクレートは原則53.7%(2026年6月末時点)と記載されています。なお、直近2事業年度に売上高の10%以上を占める販売先はありません。売掛金の大半は決済代行会社に対するもので、第17期末の売掛金188,681千円のうち173,017千円がGMOペイメントゲートウェイ株式会社に対する残高です。

収益認識関係の注記では、売上高が「駐車場売上」「サービス料」「その他」に分解されています。第17期は駐車場売上3,239,243千円、サービス料479,160千円、その他101,859千円で、顧客との契約から生じる収益は3,820,264千円でした。これにリース取引に関する会計基準に基づく賃貸収入等の「その他の収益」8,027千円を加えたものが売上高3,828,291千円です。売上の大部分が駐車場売上であることがわかります。

収益の分解(千円)駐車場売上2,737,8173,239,243サービス料361,194479,160その他(会費等)84,761101,859その他の収益7,4048,027第16期(2024年12月期)第17期(2025年12月期)

図2 収益認識関係注記「顧客との契約から生じる収益を分解した情報」より。その他の収益はリース取引に関する会計基準に基づく賃貸収入等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、売上総利益、予約数、利用UU(利用し支払いを行ったユーザーの重複を除いた数)、掲載駐車場数が挙げられています。このうち予約数と掲載駐車場数を「事業の根幹」と位置づけています。第14期から第18期中間期までの推移は次のとおりです。

指標 第14期(2022) 第15期(2023) 第16期(2024) 第17期(2025) 第18期中間(2026/1-6)
売上高(千円) 2,081,784 2,618,924 3,191,177 3,828,291 1,915,622
売上総利益(千円) 995,300 1,271,708 1,592,247 1,928,149 1,000,446
予約数 2,051,613 2,553,318 3,084,796 3,508,174 1,820,002
利用UU(人) 552,703 711,841 863,423 993,264 606,928
掲載駐車場数(台) 35,601 39,692 47,843 55,020 58,870

上場準備会社にとってのポイントは、KPIの定義を注記で明確にしていることです。akippaは、利用UUは各期の年間合計(第18期は1〜6月の6か月間)、掲載駐車場数は各年度の12月度(第18期は6月度)、予約数はキャンセルされた予約も含めて予約完了日ごとに集計したもの、と定義を書いています。審査では、KPIの数値がどのシステムから、どの定義で集計されたのかを確認されることが多く、定義と集計方法を文書化しておくことが欠かせません。

沿革と上場までの道のり――営業代行から駐車場プラットフォームへ

沿革の記載によれば、akippaは創業当初、携帯電話の販売代理などの営業代行を手がけていました。2010年9月に求人情報サービス、2013年1月に出版事業を始め、2013年5月に社内で世の中の困りごとを列挙する取り組みを行った際に出た「コインパーキングは現地に行って初めて満車と知る」という意見が、駐車場シェアの事業構想の出発点になったと書かれています。2014年4月に「あきっぱ!」(現アキッパ)のサービスを開始しました。

その後、2016年10月に出版事業を新設分割してgalaxy株式会社を設立し、2016年12月に求人情報サービスと営業代行事業を終了、2017年7月にgalaxy株式会社を売却しました。祖業から駐車場シェアへの事業の集中が、上場申請の数年前までに完了していることになります。2019年10月にはSOMPOホールディングス株式会社と資本業務提携を行い、2022年8月にISMS認証を取得しています。

沿革の主要イベント2009/2営業代行で創業2014/4「あきっぱ!」開始2015/2akippa株式会社に商号変更2017/7出版子会社を売却2019/10SOMPOHDと資本業務提携2022/8ISMS認証取得2025/4オーナーモード正式リリース2025/12日本サービス大賞国土交通大臣賞2026/8/18上場承認2026/9/18スタンダード市場に上場

図3 営業代行会社として創業し、駐車場シェアのサービスを軸に事業を転換してきた流れ(Ⅰの部「沿革」より)

上場準備会社にとって、事業の転換や子会社の売却の経緯は、審査で「なぜその事業をやめたのか」「売却先との取引や関係は残っていないか」を説明する対象になります。akippaのように、旧事業を会社分割で切り出してから売却し、上場申請時点では子会社も関連会社もない状態にしておくと、グループの範囲がシンプルになり、関係会社管理や連結決算の論点が生じません。逆に、事業の整理が申請直前までずれ込むと、Ⅰの部の記載や審査の説明が複雑になります。

業績はどう推移してきたのか――黒字化と「継続性及び収益性」

主要な経営指標等の推移によれば、売上高は第13期(2021年12月期)の1,480,320千円から第17期(2025年12月期)の3,828,291千円まで毎期増加しています。第17期の増収率は20.0%で、昨年度から注力してきた大型スタジアム周辺や地方における非日常利用が見込まれる駐車場の開拓が奏功したと説明されています。

利益面では、第13期は経常損失310,532千円、第14期は経常損失73,656千円でした。Ⅰの部の注記では、人員採用と開発費の先行投資を行っていたことが損失の理由とされています。第15期に経常利益50,237千円と黒字に転じ、第16期は30,681千円、第17期は204,273千円でした。第17期の営業利益は201,114千円で、前期の30,485千円から559.7%増加しています。

売上高の推移(単体・百万円)01,0002,0003,0004,000第13期第14期第15期第16期第17期売上高(単体)

図4 第13期〜第17期の売上高(百万円未満四捨五入)。第13〜15期は金融商品取引法に準ずる監査を受けていない数値です

経常損益の推移(百万円)△311△745031204第13期第14期第15期第16期第17期

図5 第13期・第14期は人員採用・開発費の先行投資により経常損失、第15期以降は経常利益(百万円未満四捨五入)

単体(千円) 第13期 2021/12 第14期 2022/12 第15期 2023/12 第16期 2024/12 第17期 2025/12
売上高 1,480,320 2,081,784 2,618,924 3,191,177 3,828,291
経常利益又は経常損失(△) △310,532 △73,656 50,237 30,681 204,273
当期純利益又は当期純損失(△) △314,314 △77,437 85,975 40,556 223,233
純資産額 252,965 174,804 260,779 301,336 524,570
総資産額 806,919 734,135 779,308 802,827 1,050,213
自己資本比率(%) 31.3 23.8 33.5 37.5 49.9
営業活動によるCF ― ― ― 70,106 237,729

表の読み方で注意したい点が2つあります。1つ目は、第13期から第15期の数値は会社計算規則に基づいて算出したもので、金融商品取引法に準ずる監査証明を受けていないことです。監査を受けているのは第16期と第17期の財務諸表で、第18期中間期は期中レビューの対象です。2つ目は、第15期まではキャッシュ・フロー計算書を作成していなかったため、キャッシュ・フローの数値は第16期からしか記載がないことです。

第17期の損益を段階別にみると、売上高3,828,291千円から売上原価1,900,142千円を差し引いた売上総利益は1,928,149千円です。売上原価の大部分はオーナーへの支払報酬(1,896,376千円)です。販売費及び一般管理費は1,727,034千円で、主な費目は支払手数料538,704千円、給料及び手当423,083千円、外注費260,845千円、広告宣伝費113,244千円でした。法人税等合計が△18,960千円(法人税等調整額△22,857千円を含む)となっているため、当期純利益223,233千円は経常利益を上回っています。

第17期(2025年12月期)の損益の段階(百万円)売上高3,828売上原価-1,900販管費-1,727営業外損益+3法人税等+19当期純利益223

図6 売上高から売上原価(主にオーナーへの支払報酬)と販管費を差し引いて営業利益201百万円。法人税等合計が△18,960千円のため当期純利益が経常利益を上回っています(百万円未満四捨五入)

第18期中間期(2026年1〜6月)は、売上高1,915,622千円、営業利益119,344千円、経常利益123,927千円、中間純利益104,659千円でした。Ⅰの部では、販売費及び一般管理費は固定費の割合が高く、売上高の増加に対して増加幅が抑制されたため利益幅が大きく拡大したと説明されています。なお、業績には季節変動があり、夏休みやお盆休みが重なる第3四半期(7〜9月)は売上が高く、プロスポーツのオフシーズンと重なる第1四半期(1〜3月)は相対的に低くなる傾向があると記載されています。

スタンダード市場の実質審査基準には「企業の継続性及び収益性」があり、継続的に事業を営み、安定的な収益基盤を有していることが問われます。この点の考え方はIPO審査の「企業の継続性及び収益性」で詳しく解説しています。akippaのように、過去に先行投資による損失を計上していても、損失の理由を説明でき、直近期に利益を計上し、KPIとの関係で増収の要因を示せることが、説明の土台になります。実質審査基準の全体像はIPOの実質審査基準とはも参考にしてください。

資本政策と株主構成――優先株式の整理と事業会社株主

優先株式は2度、普通株式に切り替えられた

akippaの資本政策で目を引くのは、優先株式の扱いです。「発行済株式総数、資本金等の推移」によれば、2022年12月13日にA種からD種までの優先株主が株式取得請求権を行使し、会社は全ての優先株式を自己株式として取得して、1株につき普通株式1株を交付しました。取得した優先株式は2022年12月23日に消却されています。その後、2023年1月11日に1株を3株とする株式分割を行い、2023年3月27日の定時株主総会で、普通株式の一部をA種からD種までの優先株式に変更しています。

そして上場申請を控えた2026年4月27日、優先株主が再び株式取得請求権を行使し、全ての優先株式(A種589,800株、B種339,000株、C種693,600株、D種144,702株、計1,767,102株)が1株につき普通株式1株と引き換えられました。取得した優先株式は2026年4月28日の取締役会決議により2026年5月13日に消却され、同日の臨時株主総会で優先株式に関する定款の定めを廃止し、単元株式数を100株とする単元株制度を採用しています。これにより発行済株式は普通株式5,884,140株のみとなりました。

株式分割と優先株式の変遷2018/9/191:200の株式分割2022/12/13優先株式を普通株式化2022/12/23取得した優先株式を消却2023/1/111:3の株式分割2023/3/27普通株式の一部をA〜D種に変更2026/4/27取得請求権の行使で普通株式化2026/4/28取締役会で消却を決議2026/5/13優先株式消却定款の定め廃止2026/5/13単元株制度(100株)採用2026/9/18上場(公募後6,262,140株)

図7 Ⅰの部「発行済株式総数、資本金等の推移」「自己株式の取得等の状況」等より。Ⅰの部提出時点の発行済株式総数は5,884,140株で、上場時発行済株式数6,262,140株は公募378,000株を含みます(JPX新規上場会社概要)。優先株式は2度、取得請求権の行使により1株につき普通株式1株と引き換えられています

上場準備会社にとっての実務上のポイントは、種類株式の整理が「取得・交付」「消却」「定款の定めの廃止」「単元株制度の採用」という一連の手続で完結することです。取得請求権の行使による取得は会社法155条4号の取得にあたり、Ⅰの部の「自己株式の取得等の状況」にもその旨が記載されています。取得した自己株式(優先株式)の消却は取締役会決議(会社法178条)で行えますが、発行可能種類株式の定めを残すかどうかは定款変更の問題で、株主総会の特別決議が必要です。上場時に種類株式を残さない設計にするなら、どの手続をどの順番で、いつまでに行うかを主幹事証券や法律事務所と早めに決めておく必要があります。種類株式の扱いの全体像は種類株式は上場前に普通株式へ戻すのかで解説しています。

もう一つ見落としやすい点は、1株当たり純資産額の算定です。akippaの第16期・第17期の1株当たり純資産額は△394.74円、△340.52円とマイナスで表示されています。これは、残余財産の分配について優先的な権利を持つ優先株式の払込金額(第17期末で1,926,498千円)を純資産の部の合計額から控除して算定しているためで、注記にその内訳(A種400,277千円、B種369,736千円、C種809,200千円、D種347,284千円)が示されています。純資産そのもの(第17期末524,570千円)がマイナスであるわけではありません。優先株式が残っている会社では、Ⅰの部の1株当たり指標の見え方を事前に確認しておくとよいでしょう。

株主構成――事業会社が上位に並ぶ

第四部「株主の状況」によれば、新株予約権による潜在株式を含む総数6,761,633株に対し、SOMPOホールディングス株式会社が1,969,140株(29.12%)、代表取締役の金谷元気氏が1,143,703株(16.91%、うち新株予約権135,391株)、株式会社ディー・エヌ・エーが978,600株(14.47%)を保有しています。続いて住友商事株式会社329,400株(4.87%)、グロービス5号ファンド投資事業有限責任組合288,672株(4.27%)などが並びます。上位には事業会社が多く、ファンドの比率は相対的に小さい構成です。

ここで注意したいのは、これらの割合はⅠの部記載時点のもので、しかも潜在株式を含む総数を分母にしている点です。関係会社の状況に記載されたSOMPOホールディングスの議決権の被所有割合は33.5%で、分母の違いにより数値が異なります。また、上場時には公募・売出しによって株主構成が変わるため、Ⅰの部の割合をそのまま上場後の割合として読むことはできません。

主要株主の所有割合(Ⅰの部記載時点)SOMPOホールディングス29.12%金谷元気(代表取締役)16.91%ディー・エヌ・エー14.47%住友商事4.87%グロービス5号ファンド4.27%トリドールHD2.45%日本駐車場開発2.33%小林寛之(取締役)2.19%Globis Fund V, L.P.1.82%西野将規(取締役)1.75%事業会社ファンド役員

図8 「株主の状況」より。新株予約権による潜在株式を含む総数6,761,633株に対する割合で、上場時(公募・売出し後)の割合ではありません。従業員1名(178,728株・2.64%)は省略

事業会社が大株主となっている会社では、審査で「親会社等からの独立性」や、大株主との取引条件の妥当性が確認されます。akippaはSOMPOホールディングスとの間で「営業上の取引」があると記載している一方、関連当事者情報は第16期・第17期とも「該当事項はありません」としています。その他の関係会社がある場合の考え方はIPO審査の「親会社等からの独立性」を参考にしてください。

また、スタンダード市場の形式要件には流通株式比率(25%以上)などの基準があります。流通株式から除かれるのは、上場株式数の10%以上を所有する者や役員等が所有する株式などで、大株主上位10名という旧ルールではありません。事業会社株主の保有比率が高い会社は、上場時の流通株式比率を早めに試算しておくことが重要です。計算方法は流通株式比率の計算式と調べ方で解説しています。

ストック・オプション――第1〜7回の失効と第8・9回の発行

ストック・オプション等関係の注記によれば、akippaは2015年から2022年にかけて第1回から第7回の新株予約権を付与してきましたが、2024年12月期にいずれも前事業年度末の残数が全て失効しています。そのうえで、2024年11月29日に第8回新株予約権(取締役3名、執行役員5名、従業員34名、普通株式709,893株、行使価額550円)を付与し、2026年5月13日に第9回新株予約権(取締役3名、執行役員4名、従業員2名、普通株式178,100株、行使価額580円)を付与しました。

回 付与日 行使価額 株式数(分割換算後) 状況
第1回 2015年2月27日 287円 231,000株 2024年12月期に失効
第2回・第3回 2016年1月18日/6月28日 679円 54,000株/109,800株 2024年12月期に失効
第4回 2018年9月20日 834円 176,400株 2024年12月期に失効
第5回・第6回 2020年3月28日/8月27日 1,934円 235,170株/60,360株 2024年12月期に失効
第7回 2022年7月1日 1,933円 2,400株 2024年12月期に失効
第8回 2024年11月29日 550円 709,893株 行使期間 2026/11/30〜2034/11/14
第9回 2026年5月13日 580円 178,100株 行使期間 2028/5/13〜2036/4/28

第8回・第9回の行使条件は、当社株式が上場した場合に限り行使でき、上場日後180日目までは行使できないこと、行使時に当社または関係会社の取締役・監査役・従業員の地位にあること(取締役会が正当な理由があると認めた場合を除く)、相続人は行使できないことなどです。事業等のリスクでは、一部の割当契約で割当日から2年経過後1年ごとに付与個数の2分の1を行使できるとし、急激な希薄化が起きない仕組みにしていると説明されています。本書提出日の前月末時点の潜在株式数は877,493株で、発行済株式総数5,884,140株の14.91%にあたります。

第三者割当等の概況では、第8回・第9回の発行価格はDCF法により算出した価格によって決定したと記載されています。会計面では、付与時点で未公開企業であったため公正な評価単価を本源的価値で見積もり、その基礎となる株式評価はDCF法によっています。ストック・オプションに係る費用計上額は「該当事項はありません」とされています。役員報酬の方針では、長期インセンティブ(LTI)として当面は税制適格ストック・オプションを活用すると明記しています。税制適格の要件や設計の考え方は税制適格ストックオプションで詳しく解説しています。

ストック・オプション(第8回・第9回)の行使の流れ割当第8回 2024/11/29第9回 2026/5/13株式の上場(上場した場合に限り行使可能)上場日後180日間は行使不可行使期間の開始第8回 2026/11/30第9回 2028/5/13在籍要件を満たせば行使可能第8回:行使価額550円709,893株(発行数は699,393株)第9回:行使価額580円178,100株

図9 新株予約権の行使の条件より。行使時に当社または関係会社の取締役・監査役・従業員の地位にあること、相続人は行使できないことも条件です

第9回は、基準事業年度(2025年12月期)の末日の1年前より後に役員・従業員に報酬として割り当てた新株予約権にあたるため、有価証券上場規程施行規則272条に基づき、割当を受けた役員・従業員との間で、原則として割当日から上場日の前日または行使日のいずれか早い日まで所有する等の確約を行ったと記載されています。この確約が必要になるのは、一定期間内に行われた第三者割当等や報酬としての新株予約権の割当てに限られ、上場前のすべての割当てに必要となるわけではありません。継続所有の確約の考え方は上場前に株式を動かすとどうなるか(継続所有の確約)を参考にしてください。

上場前の株式移動――移動価格はストック・オプションの行使価額と同水準

「特別利害関係者等の株式等の移動状況」には、2026年4月27日の優先株式の普通株式化による移動(SOMPOホールディングス656,502株、グロービス5号ファンド288,672株、住友商事158,400株など)に加え、2026年5月13日に株式会社SMBC信託銀行(信託口)から日本駐車場開発株式会社へ普通株式157,800株が単価580円(総額91,524,000円)で移動したことが記載されています。移動理由は「所有者の意向による」です。

この移動の単価580円は、同じ2026年5月13日に割り当てられた第9回新株予約権の行使価額580円と同じ水準です。上場前の株式移動では、移動価格の算定根拠と、同時期の新株予約権の行使価額や第三者割当の価格との整合性が審査で確認されます。未上場株式の価格算定の考え方は未上場株式の株価算定はどの方法を使うかで解説しています。

上場前の株式の動き(2026年)全ての優先株主A〜D種 計1,767,102株当社が取得(2026/4/27)1株につき普通株式1株を交付SMBC信託銀行(信託口)日本駐車場開発株式会社単価580円・総額91,524,000円2026/5/13 普通株式157,800株

図10 「特別利害関係者等の株式等の移動状況」より。優先株式の普通株式化は対価の授受を伴わない1対1の交換です

コーポレート・ガバナンス――上場直前に取締役会を5名体制へ

機関設計は監査役会設置会社

akippaは、会社法上の機関として株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する監査役会設置会社です。Ⅰの部では、当社の事業に精通した取締役で構成される取締役会が経営の基本方針や重要な業務執行を決定し、監査役及び監査役会が独立した立場から取締役の職務執行を監査することが業務執行の適正性確保に有効と判断した、と選択理由を説明しています。コンプライアンスや重要な法的判断については顧問弁護士と連携する体制です。

取締役会のほかに、代表取締役・常勤取締役・執行役員が出席する経営会議(原則毎週)と、全社的なリスク管理の課題と対応策を協議するリスク・コンプライアンス委員会(委員長:代表取締役、事務局:取締役CFO、半年に一度及び必要に応じて臨時)が置かれています。経営会議には、独立役員である社外取締役1名と常勤監査役も出席し、必要に応じて意見を聴取するとされています。また、執行役員制度を導入しており、取締役以外の執行役員は4名です。

akippaのコーポレート・ガバナンス体制株主総会取締役会5名(うち社外2名)監査役会3名(うち社外2名)代表取締役社長CEO会計監査人(トーマツ)経営会議(毎週)リスク・コンプライアンス委員会内部監査担当者 2名監査選定・監督連携三様監査

図11 監査役会設置会社。取締役5名(うち社外2名)、監査役3名(うち社外2名)。リスク・コンプライアンス委員会の委員長は代表取締役、事務局は取締役CFO(Ⅰの部「コーポレート・ガバナンスの概要」をもとに作成)

機関設計の選択肢として、監査役会設置会社のほかに監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社があります。どれを選ぶかは、社外役員の確保のしやすさ、常勤者の置き方、取締役会の監督機能の設計によって変わります。比較の考え方は監査役会設置会社と監査等委員会設置会社はどちらを選ぶ?、審査で見られる点はIPO審査の「機関設計」とはで解説しています。

取締役会は10名から5名へ

取締役会の出席状況の表をみると、最近事業年度(2025年12月期)の取締役会は13回開催され、10名の取締役が在任していました。このうち原田明典氏は2026年3月26日の定時株主総会終結の時をもって退任し、今野穣氏、三輪徳和氏、渡部達也氏、桜井慎平氏、前場将孝氏の5名は2026年5月13日の臨時株主総会終結の時をもって退任しています。一方、2026年3月26日の定時株主総会で橋本舜氏が社外取締役に新たに選任されました。この結果、Ⅰの部提出時点の取締役会は5名(うち社外取締役2名)となっています。

2025年12月期の出席率は、原田氏の92%(13回中12回)を除き全員100%です。取締役会では、月次予算実績の進捗状況のモニタリング、内部統制及びリスクへの対応状況の確認、重要な取引の承認等を審議していると記載されています。

役職 氏名 主な経歴(Ⅰの部の略歴より要約) 所有株式数
代表取締役社長CEO 金谷 元気 2009年2月に当社設立 1,008,312株
取締役副社長COO 小林 寛之 監査法人トーマツ、トリドール常務取締役兼CFO等を経て2020年7月入社 ―
取締役CFO 西野 将規 監査法人トーマツ等を経て2016年5月入社、2025年3月取締役 ―
社外取締役 杉山 全功 ザッパラス、enishの代表取締役社長等。2017年8月就任 30,000株
社外取締役 橋本 舜 ディー・エヌ・エーを経てベースフード設立・代表取締役社長。2026年3月就任 ―
常勤監査役 清水 保彰 新日本有限責任監査法人等を経て2018年2月入社、同年4月監査役 ―
社外監査役 村田 雅幸 大阪証券取引所、東京証券取引所の執行役員等 ―
社外監査役 山口 要介 弁護士(岩谷・村本・山口法律事務所 共同パートナー) ―

上場準備の途中では、出資を受けたベンチャーキャピタルや事業会社から取締役が派遣され、取締役の人数が多くなることがよくあります。上場後は、業務執行と監督のバランス、社外取締役の独立性、意思決定のスピードが問われるため、上場申請までに取締役会の構成を見直す会社は少なくありません。akippaは、上場申請の直前期に取締役6名の退任(2026年3月26日に1名、5月13日に5名)と社外取締役1名の選任を行い、業務執行取締役3名と社外取締役2名の構成にしています。

スタンダード市場の上場会社にはコーポレートガバナンス・コードの全原則が適用され、原則4-10(2026年7月改訂前は原則4-8)では独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきとされています(コンプライ・オア・エクスプレイン)。社外取締役の人数の考え方は社外取締役は何人必要かを参考にしてください。役員構成の変更は、定時株主総会と臨時株主総会のどちらで行うか、任期をどう揃えるかも含めて、上場スケジュールに組み込んでおく必要があります。akippaの取締役の任期は1年、監査役の任期は4年で、いずれも2026年5月13日の臨時株主総会終結の時から起算すると記載されています。

独自の「社外役員の独立性判断基準」と、主要株主出身の社外取締役

akippaは、金融商品取引所が定める一般的な独立性基準を踏まえ、独自の「社外役員の独立性判断基準」を策定しています。過去10年間に当社の業務執行者でないこと、当社を主要な取引先とする者(当社の年間売上高の2%を超える支払いを行った者)やその業務執行者でないこと、当社から多額の報酬(個人の場合は年間1千万円超)を得ている専門家でないこと、当社総議決権の10%以上を保有する大株主の業務執行者でないこと、などの8項目です。

このうち社外取締役の橋本氏については、過去に主要株主である株式会社ディー・エヌ・エーから当社へ出向した経験(2015年2月〜2015年6月、役職なし)があることを開示したうえで、2016年に同社を退職しており、出向の終了から既に10年以上が経過していること、選任は当社が主体的に行い同社からの推薦や干渉等はないことを挙げ、一般株主との間に利益相反が生じるおそれはないと判断したと説明しています。

大株主や取引先と過去に関係がある人物を社外役員に選ぶ場合は、どの基準に照らして独立性を判断したのかを具体的に書けるようにしておくことが大切です。東証の独立性基準に抵触しなければ、事業会社株主の出身者でも独立役員となる余地はありますが、その場合でも関係の内容や経過年数を開示して説明することが求められます。なお、東証は2026年7月の上場規則改正(7月10日施行)で独立性基準を広げ、上場会社の主要株主(議決権10%以上)やその業務執行者(最近において該当していた者を含む)等は、2026年12月1日以後に終了する事業年度に係る定時株主総会から独立役員の要件を満たさないこととなりました。主要株主の出身者を独立役員とする場合は、改正後の基準に照らした確認が必要です。

役員報酬――STIを「定期同額給与」で支給する設計

役員の報酬等の記載によれば、2026年3月26日の定時株主総会で、取締役の報酬限度額を年額200百万円以内、監査役の報酬限度額を年額30百万円以内と決議しています。社内取締役の報酬は基本報酬、短期インセンティブ(STI)、長期インセンティブ(LTI)で構成され、社外取締役と監査役は固定の基本報酬のみです。代表取締役社長CEOについては、中長期的に「固定報酬:変動報酬(STI+LTI)=概ね6:4」を目指す方針です。

特徴的なのはSTIの支給方法です。STIは原則として売上高や利益等の全社業績指標の単年度の目標達成率に連動して算出しますが、税務上の要件等を考慮し、算出された個人別支給額を12等分して、評価対象期間の翌事業年度の毎月の基本報酬に加算する形(定期同額給与)で支給するとしています。Ⅰの部では「形式的には基本報酬の増額となりますが、実態としてはSTIの後払いの位置づけ」と説明されています。LTIは、当面は税制適格ストック・オプションを活用する方針です。

取締役報酬の決め方と構成執行役員CHROが評価結果をもとに案を策定独立役員である取締役に諮問取締役会で協議個人別の報酬額を決定基本報酬(固定・毎月金銭)STI目標達成率に連動翌期に12等分で支給LTI税制適格ストック・オプションCEOは中長期で「固定:変動(STI+LTI)=概ね6:4」を目指す

図12 株主総会で決議された限度額(取締役年額200百万円以内)の範囲で決定。社外取締役と監査役は固定の基本報酬のみ(Ⅰの部「役員の報酬等」をもとに作成)

報酬の決定プロセスは、取締役及び執行役員の人事評価事務局である執行役員CHROが各取締役の評価結果等をもとに案を策定し、独立役員である取締役に諮問したうえで、取締役会の協議を経て個人別の報酬額を決定する流れです。各監査役の報酬は監査役会の協議により決定されます。2025年12月期の報酬総額は、取締役(社外取締役を除く)39,240千円(3名)、監査役(社外監査役を除く)7,440千円(1名)、社外役員8,400千円(4名)で、いずれも基本報酬のみでした。

上場準備会社にとってのポイントは、報酬制度を「税務」と「開示」の両面から設計しておくことです。業績連動給与を損金算入するには法人税法上の要件があり、未上場会社や上場直後の会社では満たしにくい場合があります。akippaのように定期同額給与の形を取る設計は、その一つの対応例です。また、役員報酬の決定方針や決定プロセスは、開示府令に基づく有価証券報告書の記載事項であり、Ⅰの部でも同様の記載が求められます。報酬を誰が起案し、誰の意見を聴いて、どの機関が決めるのかを規程や取締役会決議で明確にしておきましょう。

関連当事者との取引は「該当事項なし」

関連当事者情報は、第16期・第17期とも「該当事項はありません」と記載されています。その他の関係会社であるSOMPOホールディングスとの間には「営業上の取引」があると関係会社の状況に記載されており、事業の内容ではSOMPOホールディングス及び損害保険ジャパンとの業務提携により、全国の保険代理店網を通じた駐車場開拓を行っていると説明されています。

上場審査では、役員や大株主との取引について、取引の必要性と条件の妥当性が確認されます。上場準備の過程で役員との取引を解消したり、取引条件を見直したりするケースも多くあります。審査での考え方はIPO審査の「企業経営の健全性」(関連当事者取引)、開示の範囲は関連当事者との取引はどこまで開示するかで解説しています。

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内部監査・内部統制――兼務2名でも自己監査を避ける

独立部門を置かない内部監査の体制

監査の状況によれば、akippaの内部監査は、代表取締役が任命する内部監査担当者2名が実施しています。独立した内部監査部門は持たず、内部監査担当者は他部門を兼務していますが、自己監査を回避するため、内部監査には被監査部門の当事者が加わらない体制をとっていると記載されています。

内部監査担当者は、代表取締役の承認を得た内部監査計画に基づいて内部監査を実施し、監査結果を代表取締役に報告するとともに、監査役及び取締役会へ報告しています。監査対象となった部門には業務改善等のための指摘を行い、後日、改善状況を確認しています。

内部監査の流れと自己監査の回避代表取締役が内部監査担当者を任命(2名・他部門と兼務)内部監査計画を作成し代表取締役が承認計画に基づき内部監査を実施(被監査部門の当事者は加わらない)監査結果を代表取締役に報告監査役及び取締役会にも報告被監査部門へ改善を指摘し後日、改善状況を確認自己監査の回避被監査部門の当事者は監査に加わらない

図13 独立した内部監査部門は置かず、代表取締役が任命する他部門兼務の担当者2名が実施。被監査部門の当事者は監査に加わりません(Ⅰの部「監査の状況」をもとに作成)

従業員数十名規模の会社では、内部監査専任者を置くことが難しい場合が多く、他部門との兼務で体制を組むことは珍しくありません。その場合に必ず問われるのが「自分の部門を自分で監査していないか」という自己監査の問題です。akippaは担当者を2名とし、被監査部門の当事者が監査に加わらない体制をとっていると記載しています。一般的には、担当者を複数置き、ある担当者の所属部門は別の担当者が監査するように担当を割り振ると、兼務でも独立性を説明しやすくなります。兼務の設計については内部監査の担当者と兼務(自己監査の回避)、人数の考え方は内部監査の人数と体制を参考にしてください。

もう一つの特徴は、監査結果の報告先に代表取締役だけでなく監査役と取締役会が含まれていることです。内部監査の報告先が社長だけだと、社長自身が関わる業務への監査の実効性を説明しにくくなります。報告先の設計は内部監査の報告先は社長だけでよいのかで詳しく解説しています。

三様監査の連携

監査役会は常勤監査役1名、非常勤の社外監査役2名の計3名で、2025年12月期は13回開催され、各監査役の出席率は100%でした。常勤監査役の清水保彰氏は公認会計士で、財務・会計に関する専門的な知見を有していると記載されています。社外監査役は、東京証券取引所での実務経験を持つ村田雅幸氏と、弁護士の山口要介氏です。

監査役は、内部監査担当者、会計監査人と定期的に意見交換を行い、三者間で情報共有することで相互連携を図っているとされています。内部監査の実施状況については、監査上の問題点や課題等の情報を都度共有し、会計監査人からは監査結果の報告を聴取しています。また、内部統制システムの基本方針では、監査役が定期的に代表取締役や内部監査担当と意見交換を行うこと、必要に応じて独自に弁護士や公認会計士等の専門家の助力を得られることも定めています。

三様監査の連携監査役会常勤1名(公認会計士)社外2名内部監査担当者2名(兼務)会計監査人有限責任監査法人トーマツ問題点・課題を都度共有監査結果の報告聴取定期的な意見交換

図14 監査役は内部監査担当者・会計監査人と定期的に意見交換し、三者間で情報共有していると記載されています

常勤監査役が社外ではなく社内出身の公認会計士である点も、実務上の参考になります。常勤監査役は日常的に重要な会議に出席し、書類を閲覧し、役職員へのヒアリングを行うため、会計や内部統制の知識があると監査の質が上がります。常勤監査役の要否や監査役の会計知識については、常勤監査役は必要か、監査役に会計の知識は必要かも参考にしてください。三様監査の全体像は監査役監査・内部監査・会計監査(三様監査)で解説しています。

リスク管理とコンプライアンスの仕組み

内部統制システムに関する基本方針は2016年5月16日の取締役会で決議されています。リスク管理については「リスク・コンプライアンス規程」を定め、業務上のリスクを積極的に予見し、適切に評価したうえで、リスクの回避、軽減及び移転その他必要な措置を事前に講じるとしています。不測の事態が発生した場合は、代表取締役を本部長とし、顧問弁護士等の社外の専門家を含む対策本部を編成すると定めています。

サステナビリティに関するリスク及び機会についても、リスク・コンプライアンス委員会で協議し、取締役会に報告する体制です。情報管理では2022年8月にISMS認証を取得し、個人情報管理責任者を中心とする個人情報保護体制を構築しています。なお、提出日現在、子会社及び関連会社はないため、子会社の業務の適正を確保するための体制は「該当事項はありません」とされています。

上場準備会社にとって、リスク管理の委員会や規程は「作ること」よりも「運用の記録を残すこと」が重要です。委員会の開催頻度、議題、取締役会への報告内容を議事録で示せるようにしておきましょう。内部統制の整備の進め方はJ-SOXの進め方で解説しています。

会計・開示の論点――総額表示の収益認識と繰延税金資産

収益認識:3つの収益と認識時点

重要な会計方針の「収益及び費用の計上基準」では、アキッパ事業の主な履行義務と収益を認識する通常の時点が、駐車場の利用、サービス料、バリュープラス会費の3つに分けて記載されています。

駐車場の利用は、掲載されている駐車スペースについてユーザーに予約の手配を行い、駐車場オーナーとユーザー間の駐車場利用の機会をマッチング(仲介)する義務とされ、ユーザーによる駐車場予約日時の到来時点で収益を認識します。サービス料は、アプリやウェブサイト等を通じて駐車場の検索、予約、決済を可能とするプラットフォームの利用サービスを提供する義務で、ユーザーによる駐車場利用が行われた時点で収益を認識します。バリュープラス会費は、通常会員よりも早期に駐車場を予約できる権利の付与等のサービスを契約期間にわたり提供する義務で、契約期間にわたって収益を認識し、会員に付与する割引クーポンは顧客に支払われる対価として売上高から控除しています。

収益を認識する時点駐車場の利用(駐車場売上)ユーザーによる駐車場予約日時の到来時点で認識サービス料アプリ等を通じて駐車場利用が行われた時点で認識バリュープラス会費契約期間にわたり認識(前受分は契約負債)

図15 「重要な会計方針 収益及び費用の計上基準」より。会員向けの割引クーポンは顧客に支払われる対価として売上高から控除します

また、事業の内容の記載では、ユーザーから受領した駐車料金、サービス料及びバリュープラス会費等の全額を売上高に計上し、オーナーへの報酬額を売上原価に計上すると説明されています。第17期の売上原価1,900,142千円のうち1,896,376千円が支払報酬です。第17期の売上総利益率は約50.4%(売上総利益1,928,149千円÷売上高3,828,291千円)です。契約負債(主にバリュープラス会費の前受収益)は、第17期末で31,845千円、第18期中間会計期間末で38,723千円でした。

プラットフォーム型のビジネスでは、ユーザーが支払う金額の全額を売上高とする「総額表示」か、手数料部分だけを売上高とする「純額表示」かが、売上高の規模を大きく左右します。収益認識会計基準では、財又はサービスが顧客に提供される前に企業がそれを支配しているか(本人)、他の当事者による提供を手配する役割か(代理人)を判定し、その結果により総額か純額かが決まります。上場準備会社は、契約書、利用規約、価格決定や在庫リスクの実態などの判断材料を整理し、監査法人と協議した結論を文書化しておくことが欠かせません。上場審査での収益認識の見られ方は上場審査で問われる収益認識、基準の全体像は収益認識基準 完全ガイドで解説しています。

収益の分解(千円) 第16期(2024年12月期) 第17期(2025年12月期) 第18期中間(2026年1〜6月)
駐車場売上 2,737,817 3,239,243 1,612,132
サービス料 361,194 479,160 255,381
その他 84,761 101,859 43,757
顧客との契約から生じる収益 3,183,773 3,820,264 1,911,272
その他の収益 7,404 8,027 4,350
売上高 3,191,177 3,828,291 1,915,622

重要な会計上の見積り:繰延税金資産の回収可能性

重要な会計上の見積りとして記載されているのは、繰延税金資産の回収可能性の1項目です。計上額は第16期末53,183千円、第17期末76,040千円で、主として翌期の課税所得見込み(業績予想)に基づいて見積もっていると説明されています。実際の市場状況が経営者の見積りより悪化した場合には、繰延税金資産の取り崩しが発生する可能性があるとしています。

税効果会計関係の注記によれば、第17期末の繰延税金資産小計は705,769千円で、そこから評価性引当額629,727千円(うち税務上の繰越欠損金に係るもの585,169千円)を控除した76,040千円を計上しています。税務上の繰越欠損金(税額)641,434千円のうち、回収可能と判断したのは56,265千円です。評価性引当額は前期から154,863千円減少しており、税引前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は△9.3%でした。

繰延税金資産の計上額(第17期末・百万円)小計706評価性引当額-630計上額76

図16 税効果会計関係注記より。繰延税金資産小計705,769千円から評価性引当額629,727千円を控除し、76,040千円を計上(百万円未満四捨五入)

過去に損失を計上してきた会社が黒字化すると、繰延税金資産の計上(評価性引当額の取り崩し)により法人税等調整額がマイナスとなり、当期純利益が税引前利益を上回ることがあります。akippaの第17期もその例です。上場準備会社では、企業の分類(回収可能性適用指針の分類)の判断、将来の課税所得の見積りに使う事業計画との整合性が、監査法人とのあいだで論点になります。Ⅰの部の事業計画やKPIと、税効果の見積りに使う計画が食い違わないよう管理しておきましょう。

このほか、注記では、新リース会計基準(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等)を2028年12月期の期首から適用予定で、影響額は現時点で評価中であること、本社の原状回復義務に係る資産除去債務(第17期末13,141千円)、選択型確定拠出制度などが記載されています。継続企業の前提に関する注記やのれんはありません。

監査法人と監査報酬

会計監査人は有限責任監査法人トーマツで、継続監査期間は4年間、業務を執行した公認会計士は中田信之氏と福岡宏之氏、補助者は公認会計士9名、その他17名です。監査報酬(監査証明業務に基づく報酬)は、最近事業年度の前事業年度が20,000千円、最近事業年度が22,900千円で、非監査業務に基づく報酬はありません。監査報酬の決定方針は定めていないものの、見積書の提示を受け、監査計画、監査日数及び当社の規模を総合的に勘案し、監査法人と協議のうえ監査役会の同意を得て決定するとしています。

第13期から第15期の財務諸表は金融商品取引法に準ずる監査を受けておらず、監査を受けているのは第16期・第17期の2期分です。上場申請には原則として直前2期の監査証明が必要であり、監査契約の時期から逆算して準備を進める必要があります。監査法人の選定時期の考え方は監査法人はいつまでに決めるかを参考にしてください。

事業等のリスクと審査で問われやすい点

akippaの事業等のリスクでは、各項目に発生可能性、発生する可能性のある時期、影響度が付記されています。発生可能性が「高」とされているのは、競合他社の動向(影響度:小)、季節変動及び天候(影響度:小)、新株予約権の行使による株式価値の希薄化(影響度:中)の3項目です。発生可能性「中」には、パートナーへの依存(影響度:中)と優秀な人材の獲得・育成(影響度:中)があります。

パートナーへの依存については、2025年度の新規掲載車室のうちパートナー経由が約16.0%、上位3社で約11.7%を占めると具体的な数値が示されています。法的規制のリスク(発生可能性:低、影響度:大)では、駐車場法、道路交通法、自動車の保管場所の確保等に関する法律、電気通信事業法、特定商取引法、情報流通プラットフォーム対処法などが挙げられています。また、第三者への依存として、アプリストアや決済代行会社など外部事業者のサービスへの依存も記載されています。

事業等のリスクの発生可能性と影響度高中低影響度:小影響度:中影響度:大発生可能性競合他社の動向季節変動・天候新株予約権の行使による希薄化(該当なし)(該当なし)パートナーへの依存優秀な人材の獲得(該当なし)特定人物への依存ソフトウェアの資産計上配当政策健全性・システム・IT訴訟・知財・反社内部管理体制資金使途・繰越欠損金市場・自然災害第三者への依存情報管理法的規制

図17 Ⅰの部「事業等のリスク」に記載された発生可能性・影響度をもとに配置(項目名は要約)

上場準備会社にとってのポイントは、リスクの記載と社内の対応策を対応させることです。akippaは、プラットフォームの健全性に関して「駐車場掲載基準」の運用や24時間対応の外部委託コールセンター、全登録駐車場に適用する専用保険などの取り組みを事業の内容で説明しています。審査では、記載したリスクに対して誰が、どの会議体で、どのように管理しているのかを聞かれるため、リスク・コンプライアンス委員会の議事録や規程と結び付けて説明できるようにしておきましょう。

また、スタンダード市場の実質審査基準は「企業の継続性及び収益性」「企業経営の健全性」「企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性」「企業内容等の開示の適正性」「その他公益又は投資者保護の観点」で構成されています。季節変動が大きい事業では、四半期ごとの業績の振れを予算に織り込み、予実差異の理由を説明できる管理体制が求められます。

上場準備会社が学べること

akippaのⅠの部から、上場準備会社が実務に取り入れられる示唆を整理します。

akippaのⅠの部から学べる主なポイント種類株式の整理は定款廃止まで一続き取締役会を上場仕様の5名体制へ再編独自の独立性基準で社外役員を説明総額か純額かをビジネスモデルで説明兼務の内部監査は当事者を外す報酬は税務と開示を一体で設計

図18 本記事で取り上げた論点のまとめ

1. 種類株式の整理は「取得・消却・定款変更・単元株」まで一続きで計画する。akippaは取得請求権の行使による取得から、取締役会決議による消却、臨時株主総会での定款の定めの廃止と単元株制度の採用までを2026年4月27日から5月13日までの間に完了させています。どの手続にどの決議が必要かを一覧にしておくと、スケジュールが組みやすくなります。

2. 取締役会の構成は上場仕様に作り替える。取締役10名の体制から、業務執行取締役3名・社外取締役2名の構成へ移行しています。退任と選任のタイミングを、定時株主総会と臨時株主総会に分けて設計している点も参考になります。

3. 社外役員の独立性は「基準」と「事実」で説明する。独自の独立性判断基準を定め、主要株主での出向経験がある社外取締役について、期間、経過年数、選任の経緯を具体的に開示しています。

4. 収益の計上方法はビジネスモデルの説明とセットで整える。総額で売上高を計上し、オーナーへの報酬を売上原価とする構造を、事業の内容と会計方針の両方で説明しています。履行義務ごとに認識時点を整理し、収益の分解情報も示しています。

5. 兼務の内部監査でも、自己監査の回避と報告ルートで独立性を確保する。担当者2名の体制で被監査部門の当事者が監査に加わらないようにし、結果を代表取締役だけでなく監査役と取締役会にも報告しています。

6. 役員報酬は税務と開示を一体で設計する。STIを翌期の定期同額給与で支給する設計と、CHROによる起案から独立役員への諮問、取締役会での決定というプロセスを明文化しています。

7. ストック・オプションは「上場時点の希薄化」と「上場後の行使」を設計する。旧SOが全て失効した後に新たな第8回・第9回を発行し、上場後180日間の行使制限や段階的な行使条件を設けています。潜在株式比率の説明もリスク情報に記載されています。

上場準備のチェックリスト

  • 種類株式を上場前に整理する場合の手続(取得、消却、定款の定めの廃止、単元株制度の採用)と、それぞれの決議機関・日程を一覧にしているか
  • 投資家派遣の取締役の退任時期と、独立社外取締役の選任時期を、株主総会のスケジュールに組み込んでいるか
  • 社外役員の独立性判断基準を定め、候補者ごとに該当しないことの確認記録を残しているか
  • プラットフォーム取引の総額・純額の判断根拠と、履行義務ごとの収益認識時点を文書化し、監査法人と合意しているか
  • 内部監査を兼務で行う場合に、被監査部門の当事者が監査に加わらない担当割りと、取締役会・監査役への報告ルートを定めているか
  • 業績連動報酬の支給方法(税務上の取扱い)と、報酬の決定プロセス(起案者、諮問先、決定機関)を規程・決議で明確にしているか

よくある質問

Q1. 上場直前に取締役の人数を大きく減らしても問題はありませんか?

人数を減らすこと自体が問題になるわけではありません。重要なのは、上場後の取締役会が業務執行の監督と重要な意思決定を適切に行える構成になっているかです。akippaは2026年3月と5月の株主総会で取締役6名が退任し、業務執行取締役3名と社外取締役2名の構成にしています。変更の理由や後任の体制を、審査で説明できるようにしておくことが大切です。

Q2. 内部監査の担当者が2名とも兼務でも上場審査は通りますか?

兼務であっても、自己監査を避ける仕組みと、計画・実施・報告・改善確認のサイクルが運用されていれば、体制として説明することは可能です。akippaは独立した内部監査部門を置かず、他部門を兼務する2名の担当者が、被監査部門の当事者が加わらない形で内部監査を行っています。

Q3. 優先株式が残っていると、1株当たり純資産がマイナスになるのはなぜですか?

優先株式の払込金額など、普通株主に帰属しない金額を純資産の部の合計額から控除して1株当たり純資産額を算定するためです。akippaの第17期の1株当たり純資産額は△340.52円ですが、純資産額自体は524,570千円とプラスです。

Q4. 業績連動の報酬を定期同額給与で支給するとは、どういう意味ですか?

akippaでは、STIとして算出した個人別の金額を12等分し、翌事業年度の毎月の基本報酬に加算して支給しています。形式的には基本報酬の増額ですが、実態はSTIの後払いと説明されています。税務上の要件等を考慮した設計とされており、導入する場合は税理士や監査法人と取扱いを確認する必要があります。

最初の一歩は、自社の「株式」と「取締役会」の上場後の姿を描くことから

akippaの事例が示すように、上場直前期には種類株式の整理、取締役会の再編、ストック・オプションの発行、報酬制度の見直しなどが短期間に集中します。まずは、上場時点の株式の種類と株主構成、上場後の取締役会・監査役会のメンバー構成を紙に書き出し、現在の状態との差分を「いつ、どの決議で埋めるか」を整理することから始めてみてください。上場準備の全体像はIPO準備の全体像(N-3期〜N期)、ガバナンス整備の進め方は上場準備のガバナンスも参考になります。

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まとめ

akippa株式会社は、営業代行会社として2009年に創業し、2014年に始めた駐車場マーケットプレイス「アキッパ」を軸に成長してきた会社で、2026年9月18日に東証スタンダード市場に上場しました。Ⅰの部からは、優先株式を取得請求権の行使により普通株式に切り替え、消却・定款の定めの廃止・単元株制度の採用まで一続きで行った資本政策、上場直前に取締役会を5名体制へ再編し、独自の独立性判断基準で社外役員を説明するガバナンス、兼務2名でも自己監査を避ける内部監査の体制を読み取ることができます。

会計面では、ユーザーが支払う金額の全額を売上高とし、オーナーへの報酬を売上原価とする計上方法、3つの履行義務ごとの収益認識時点、黒字化に伴う繰延税金資産の計上が主な論点です。上場準備会社の方は、本記事のチェックリストを使って、自社の株式・取締役会・収益認識の整理状況を確認してみてください。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

本記事の根拠

免責:本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件に対する法務、会計、税務その他の専門的助言を構成するものではありません。実際の対応は、最新の法令・取引所規則・公表資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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