InfiniCloudのTOKYO PRO Market上場|特定投資家向け募集と1期監査【特定証券情報から読む上場準備】

※本記事は2026年11月3日時点の公表資料に基づきます。

InfiniCloud株式会社(証券コード670A)は、2026年10月30日に東京証券取引所へ上場を申請し(申請受付・特定証券情報の公表)、2026年11月30日にTOKYO PRO Market(TPM)へ上場する予定です。担当J-Adviserはフィリップ・キャピタル証券株式会社です。静岡市に本店を置き、企業が持つ既存のIT資産を活かしたまま移行できる国産のプライベートクラウドサービスを提供している会社で、2025年9月期(第24期)の売上高は604,318千円、従業員は22名(2026年9月30日現在)です。なお、2026年11月3日時点でJPXの一覧の上場承認日欄は空欄で、まだ上場承認は出ていません。本記事は上場申請中の公表資料をもとにしています。

結論からいえば、InfiniCloudの特定証券情報は「上場に合わせて特定投資家向けに新株を発行し(募集)、直前1期の監査とJ-Adviserの調査を経てTPMに上場する」という設計を、日程・金額・体制の数字で具体的に示している資料です。上場直前のA種優先株式の整理と株式分割、兼務者による内部監査と自己監査の回避、全員社外の監査役会、J-Adviser契約の解除条項など、一般市場(グロース・スタンダード)を目指す会社にとっても確認しておきたい論点が多く含まれています。

InfiniCloudとTOKYO PRO Market上場の概要

最初に上場の基本情報を整理します。原文は東証のTPM新規上場会社情報に掲載された書類で、表紙の公表書類名は「特定証券情報」、公表日は2026年10月30日です。表紙の【取引所金融商品市場等に関する事項】には「当社普通株式を2026年11月30日にTOKYO PRO Marketへ上場する予定」と記載されています。

TPMに上場する会社の多くは、上場時に新株の発行や株式の売出しを行わず、発行者情報に相当する情報を公表して上場します。これに対してInfiniCloudは、上場に際して「特定投資家向け取得勧誘」(一般市場でいう募集に相当)を行う予定です。そのため表紙は「特定証券情報」になっています。一方、既存株主が保有株を売り出す「特定投資家向け売付け勧誘等」は「該当事項はありません」とされており、売出しは予定されていません。

項目 内容
会社名 InfiniCloud株式会社(InfiniCloud Co. Ltd.)
証券コード 670A
市場 TOKYO PRO Market
上場予定日 2026年11月30日
上場申請日(申請受付・特定証券情報の公表) 2026年10月30日
上場承認日 未定(申請中。2026年11月3日時点でJPXの一覧の上場承認日欄は空欄。東証は原則として上場申請から10営業日後に上場を承認)
担当J-Adviser フィリップ・キャピタル証券株式会社(J-Adviser契約の締結は2026年1月15日)
上場時の勧誘 特定投資家向け取得勧誘:普通株式60,000株以内(想定公開価格1,700円、発行価額の総額102,000,000円は見込額)。特定投資家向け売付け勧誘等:なし
本店 静岡県静岡市葵区
設立 2001年11月(有限会社ジャストプレイヤーとして設立)
決算期 9月30日
従業員 22名(ほか臨時3名、2026年9月30日現在)。平均年齢36.3歳
事業 プライベートクラウドサービス(報告セグメントはクラウドサービス事業の単一)
監査人 有限責任監査法人トーマツ

日程を見ると、J-Adviser契約の締結(2026年1月15日)から上場申請(2026年10月30日)まで約9か月半です。TPMでは、上場申請の前に担当J-Adviserが上場適格性を調査・確認し、申請会社は上場申請日の30営業日程度前までに東証へ意向を表明して、東証との面談を経ます。そのうえで上場申請を行い、東証は原則として申請から10営業日後に上場を承認します。InfiniCloudの場合は、上場申請後に、仮条件の決定(11月10日)、需要の申告(11月11日〜13日)、発行価格の決定(11月17日)と、取得勧誘の手続が上場予定日に向けて進む日程になっています。

InfiniCloudの上場までの手続き(特定証券情報の日付)J-Adviser契約2026年1月15日上場申請・特定証券情報公表2026年10月30日上場承認原則、申請の10営業日後発行価格決定2026年11月17日上場予定日2026年11月30日※上場承認は東証の原則的な取扱い(申請から10営業日後)。承認の有無は東証の公表で確認する

図1 J-Adviser契約の締結日は特定証券情報「事業等のリスク」、上場申請(公表)日・発行価格決定日・上場予定日は特定証券情報の表紙と「証券情報」による。上場承認日はJPXの一覧で2026年11月3日時点空欄(申請中)。

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なぜTOKYO PRO Marketを選んだのか――原文の記載と市場の仕組み

InfiniCloudの特定証券情報には、「なぜTPMに上場するのか」を独立した項目として説明した記載はありません。記載されているのは、取得勧誘で得る手取金をクラウドサービス事業拡大のための機材購入費用と人件費に充てる予定であること、そして対処すべき課題で「信用力および知名度の向上」「技術者が定着しやすい労働環境の整備」を進めると記載していることです。本記事では、会社がTPMを選んだ理由を推測で補うことはせず、TPMという市場の仕組みを、InfiniCloudの記載に即して整理します。

なお東証は2026年4月から、新規上場時に「上場目的」(なぜTPMに上場するか・どう活用するか)を検討し開示するよう要請しています。これは東証の「お願い」であり、規程上の義務ではありません。上場目的の開示を確認したい場合は、上場後のTDnetでの開示を見ることになります。

TPMは「特定投資家」向けの市場

TPMは、金融商品取引法上の「特定取引所金融商品市場」で、プライム・スタンダード・グロースの一般市場とは別の市場です。一般投資家は取引所で買付けを行うことができず(保有株式の売却は可能)、買い手は特定投資家等に限られます。特定証券情報の冒頭の【投資者に対する注意事項】にも、TPMが特定投資家等を対象とした市場であること、J-Adviserが重要な役割を担うことが書かれています。

上場に際して特定投資家だけを相手方として新株の取得を勧誘する場合、有価証券届出書ではなく特定証券情報を公表します(金融商品取引法27条の31)。InfiniCloudの表紙が「特定証券情報」なのはこのためです。上場後は、年次と中間の「発行者情報」を、それぞれ期末から3か月以内に公表します。

形式基準がなく、J-Adviserが上場適格性を確認する

TPMには、株主数・流通株式・利益の額といった形式基準(数値基準)がありません。その代わりに、担当J-Adviserが「上場適格性要件」への適合を調査・確認し、上場適格性に係る宣誓書を東証に提出します。上場適格性要件は、企業としての相応性(上場予定日から12か月間の運転資金の確保など)、事業を公正かつ忠実に遂行していること、企業の規模や成熟度等に応じたコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制、適正な開示体制、反社会的勢力との関係がないことなどです。

InfiniCloudの特定証券情報には「上場予定日(2026年11月30日)から12か月間の当社の運転資本は、現状の自己資金及び借入による資金調達が可能であることから、十分である」との記載があり、この要件に対応する記載と読むことができます。

一般市場との違い

項目 TOKYO PRO Market 一般市場(グロース・スタンダード等)
買い手 特定投資家等(一般投資家は買付け不可、売却は可) 制限なし
形式基準 なし(J-Adviserが上場適格性を調査・確認) 株主数・流通株式等の数値基準あり
申請から承認まで 原則として申請から10営業日後に承認(申請前にJ-Adviserの調査と意向表明) 東証の上場審査を経て承認
上場前の監査期間 最近1年間 直前2期
上場時の開示書類 特定証券情報(勧誘を行わない場合は発行者情報に相当する情報) 有価証券届出書・新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
上場後の定期開示 発行者情報(年次・中間、各期末後3か月以内) 有価証券報告書・半期報告書
四半期開示 任意 取引所規則上の四半期決算短信
内部統制報告書 任意 金融商品取引法に基づき提出
J-Adviser 契約の維持が上場維持の前提 なし

このうち監査期間の違いは、InfiniCloudの財務情報の読み方にも直結します。後の「業績の推移」で詳しく見るとおり、監査を受けているのは第24期(2025年9月期)の財務諸表だけです。上場準備を進める会社の全体像は IPO準備の全体像(N-3期〜N期) でも整理しています。

事業内容と収益モデル――何で稼いでいるか

InfiniCloudは、大規模な基幹システムや長年運用してきたIT資産を持つエンタープライズ企業に、オンプレミス環境からの移行先となるプライベートクラウドサービスを提供しています。中核サービスは、自社開発の仮想化基盤「InfiniCloud HV」をベースにした「High Response Private Cloud(HRPC)」と、Oracle Solaris SPARCシステムの移行先として使える「Solaris SPARC Private Cloud」の2つです。InfiniCloud HVはオープンソースのXen・KVMをベースにしたハイパーバイザーで、VMwareからの代替ニーズに適合するよう設計されていると記載されています。

もう一つの特徴が、データセンターを不動産として自社保有せず、国内の複数のデータセンターをソフトウエアとネットワークで連携させる分散型の基盤です。会社はこれを「分散+」と定義し、2030年までの経営目標として「日本のクラウドを『分散+』する」ことを掲げています。主要な設備の状況には、本社のほか焼津・飯田橋・堂島の各データセンターと「飯田橋データセンター他4拠点」が並んでいます。また、2024年11月からはデータセンター事業者向けにクラウド基盤のOEM販売を始めています。

InfiniCloudの事業の全体像(プライベートクラウドの提供)エンタープライズ企業(既存IT資産・基幹系)SIer・販売代理店(パートナー経由の販売)法人・個人の利用者(ストレージサービス)InfiniCloud株式会社(静岡市)HRPC/Solaris SPARC Private Cloudストレージ・ネットワーク・InfiniCloud AI国内の複数データセンター(焼津・飯田橋・堂島 ほか)ソフトウエアとネットワークで連携する「分散+」データセンター事業者にはクラウド基盤をOEM/ODMの形で提供(2024年11月 OEM販売開始)サービス提供基盤として利用

図2 特定証券情報「事業の内容」「対処すべき課題」の記載をもとに作成。データセンター名は「主要な設備の状況」による。

売上の内訳は、収益認識関係注記の「顧客との契約から生じる収益を分解した情報」で確認できます。第24期は、報告セグメントであるクラウドサービス事業が539,124千円(Conventional Cloud 188,637千円、Cloud Native 215,813千円、Network 116,775千円、InfiniCLOUD 10,533千円、その他7,365千円)、報告セグメントに含まれない「その他」(ライセンス販売を含む商品販売事業、アドバイザリー事業等)が65,193千円で、合計604,318千円です。前期(第23期)と比べると、Cloud Nativeが157,897千円から215,813千円に増えています。

第24期(2025年9月期)の売上高の内訳(千円)060,000120,000180,000240,000ConventionalCloud NativeNetworkInfiniCLOUDその他その他事業188,637215,813116,77510,5337,36565,193クラウドサービス事業 計 539,124(左の5本)その他 65,193

図3 収益認識関係注記「顧客との契約から生じる収益を分解した情報」による。左の5本がクラウドサービス事業(報告セグメント)、右端は報告セグメントに含まれない「その他」(ライセンス販売を含む商品販売事業・アドバイザリー事業等)。合計604,318千円。

費用面では、売上原価明細書に原価構造が示されています。第24期の当期総費用319,963千円のうち、労務費が65,319千円(20.4%)、経費が254,644千円(79.6%)です。経費の主な内訳はデータセンター利用料91,397千円、仕入高45,620千円、ライセンス利用料43,379千円(前期17,026千円)、減価償却費40,114千円、保守料19,794千円で、データセンターやサーバ機器といったインフラにかかる費用が大きいことがわかります。原価計算は実際原価による個別原価計算です。

主要な販売先への依存

販売実績の注記には、総販売実績の10%以上を占める相手先として2社が記載されています。株式会社BREXA Holdings(旧 株式会社アウトソーシング)は第23期228,665千円(44.5%)、第24期244,543千円(40.5%)、第25期中間68,106千円(22.4%)、KSG株式会社は第23期140,360千円(27.3%)、第24期174,196千円(28.8%)、第25期中間110,416千円(36.3%)です。

事業等のリスクでは、BREXA Holdingsについて、2025年7月に社名変更を伴う大規模な体制変更を実施している状況と現状の営業状況を考慮すると、今後は同社への売上依存度は20%ほどに下がる見込みであり、販売代理店制度を整備して販路を拡大し依存度を下げる方針と記載しています。KSGについては、販売代理店制度を整備する以前から複数の顧客に販売実績があり、今後も取引拡大を見込む一方、他の販売先との取引をそれ以上に拡大して相対的に依存度を低くする方針です。金融商品関係注記には、第24期末の営業債権のうち74.4%が特定の大口顧客に対するものであることも記載されています。

主要な販売先と総販売実績に対する割合相手先第23期第24期第25期中間BREXA Holdings(旧 アウトソーシング)228,66544.5%244,54340.5%68,10622.4%KSG株式会社140,36027.3%174,19628.8%110,41636.3%2社合計71.8%69.3%58.7%第24期末の営業債権のうち74.4%が特定の大口顧客に対するもの

図4 「生産、受注及び販売の状況」の主な相手先別の販売実績による(金額は千円)。2社合計は各期の割合を足したもの。営業債権の集中は金融商品関係注記(第24期末)による。

上場準備の実務では、特定顧客への依存そのものよりも、その状況を会社がどう認識し、どう開示し、どう管理しているかが確認されます。InfiniCloudの記載は、依存度の数値、見込み、低減策を並べて書いている点で、事業等のリスクの書き方の具体例になります。与信管理については、与信管理規程に従い取引先ごとの与信残高を設定し、主要な取引先の状況を定期的にモニタリングしていると記載されています。

沿革と上場までの道のり

InfiniCloudは、2001年11月に代表取締役の瀧 康史氏らが、ゲームソフトウエアの配信事業を主な目的として有限会社ジャストプレイヤーを静岡市に設立したことに始まります。2002年11月にWEBサーバのレンタルサービスを始めてクラウド事業に参入し、2006年7月に株式会社へ改組、2007年2月には第二種電気通信事業者の届出を行っています。商号は2021年1月にテラクラウド株式会社、2023年4月に現在のInfiniCloud株式会社へ変更しました。

サービス面では、2012年12月にSolarisSPARC版プライベートクラウド、2014年1月にBtoC向けオンラインストレージ「Teraクラウド」、2016年6月に共用レンタルサーバ「JPWS」、2020年2月にクラウド型VPNサービスを始めています。2023年10月にはISMS(ISO27001)とISMSクラウドセキュリティ(ISO27017)の認証を取得し、2024年11月にデータセンター事業者向けOEM販売、2025年8月に国産AIオーケストレーション基盤「InfiniCloud AI」、2026年3月にさくらインターネット社との協業による「InfiniCloud AIパッケージ」の提供を始めています。

上場準備の面では、2022年以降に株式分割と第三者割当を重ね、2026年1月15日にJ-Adviser契約を締結し、2026年3月にA種優先株式の整理と株式分割を行ったうえで、2026年10月30日に上場申請に至っています。

InfiniCloudの沿革と上場準備の主な出来事2001年11月有限会社として設立(静岡市)2002年11月WEBサーバのレンタル(クラウド事業開始)2012年12月SolarisSPARC版プライベートクラウド2014年1月オンラインストレージ「Teraクラウド」2023年4月InfiniCloud株式会社に商号変更2023年10月ISO27001・ISO27017認証取得2024年11月データセンター事業者向けOEM販売開始2025年8月「InfiniCloud AI」提供開始2026年1月15日J-Adviser契約締結2026年3月A種優先株式の整理1株→4株の株式分割2026年10月30日上場申請特定証券情報公表2026年11月30日TPM上場予定上段・中段:事業の沿革 下段:上場準備の主な出来事

図5 上段・中段は特定証券情報「沿革」、下段は「事業等のリスク」「発行済株式総数、資本金等の推移」と表紙による。

業績の推移と読み方

特定証券情報の「主要な経営指標等の推移」には、第22期(2023年9月期)から第24期(2025年9月期)までの3事業年度と、第25期の中間会計期間(2025年10月〜2026年3月)の数値が載っています。InfiniCloudは子会社がなく、財務諸表は単体のみです。

項目(千円) 第22期 2023年9月期 第23期 2024年9月期 第24期 2025年9月期 第25期中間 2026年3月
売上高 523,378 513,287 604,318 303,946
営業利益又は営業損失 記載なし △48,339 28,654 15,621
経常利益又は経常損失 3,874 △50,282 36,544 9,926
当期(中間)純利益又は純損失 3,288 △48,201 35,957 6,983
純資産額 59,561 49,760 89,318 102,301
総資産額 226,975 263,416 318,426 332,844
自己資本比率 26.2% 18.9% 28.0% 30.7%
営業活動によるCF 95,244 △48,795 113,697 19,078
従業員数(臨時) 17(3) 24(3) 25(3) 23(3)
監査・レビュー 監査なし 監査なし 監査(無限定適正意見) 期中レビュー

第23期は売上高が513,287千円(前期523,378千円)で、営業損失48,339千円、経常損失50,282千円、当期純損失48,201千円でした。第24期は売上高604,318千円(前期比17.7%増)、営業利益28,654千円、経常利益36,544千円、当期純利益35,957千円です。会社は第24期について、知名度向上のための広告宣伝と体制強化のための人員採用を積極的に行うとともに、既存顧客の環境の追加・入れ替えを中心に案件獲得が進み、下半期に新規顧客の案件が稼働を始めたことなどにより売上が順調に推移したと説明しています。費用面では、ライセンス利用料の高騰やエンジニアの増員・機材購入があった一方、保守契約の見直しや各種原価の抑制で利益を確保したとしています。

第25期中間は売上高303,946千円、営業利益15,621千円、経常利益9,926千円、中間純利益6,983千円です。営業外費用に上場関連費用4,807千円が計上されています。セグメントの説明では、世界的な半導体不足に伴うSSD価格の高騰やデータセンターの移設などで原価は増えたものの、前事業年度の下期に獲得した新規案件が寄与したとしています。

売上高(棒)と経常損益の推移(千円)0200,000400,000600,000800,000第22期第23期第24期523,378513,287604,318経常損益(千円)第22期 3,874第23期 △50,282第24期 36,544第25期中間 9,926第25期中間の売上高 303,946第22期=2023年9月期、第23期=2024年9月期、第24期=2025年9月期

図6 「主要な経営指標等の推移」による。第24期のみ有限責任監査法人トーマツの監査を受けており、第22期・第23期は監査を受けていない。第25期中間は期中レビュー。中間期(6か月)は期間が異なるためグラフに含めていない。

財政状態では、第24期末の総資産318,426千円に対して負債229,108千円、純資産89,318千円で、自己資本比率は28.0%です。繰越利益剰余金は第23期末△109,639千円、第24期末△73,681千円とマイナスが続いています。借入金は短期借入金77,900千円、1年内返済予定の長期借入金26,170千円、長期借入金41,882千円で、金融機関からの借入金のうち第24期末で122,571千円は代表取締役の債務保証を受けています(後述)。第25期中間には有形固定資産の取得による支出が91,604千円あり、現金及び預金は第24期末117,782千円から中間期末57,833千円に減っています。取得勧誘の手取金を機材購入費用に充てる計画は、こうした設備投資の状況とあわせて読むことができます。

監査を受けているのはどの期か

ここで重要なのは、数値ごとの保証の水準です。主要な経営指標等の推移の注記によれば、第24期の財務諸表は特例110条5項の規定に基づき有限責任監査法人トーマツの監査を受けていますが、第22期と第23期の財務諸表は監査を受けていません。第25期中間の財務諸表は監査ではなく期中レビューです。監査報告書の「その他の事項」にも、2024年9月30日をもって終了した前事業年度の財務諸表は監査されていない旨が書かれています。

したがって、第23期の赤字と第24期の黒字を比べるときは、比較の一方が未監査の数値であることを前提に読む必要があります。また第25期中間の数値は期中レビューの結論(適正に表示していないと信じさせる事項が認められなかった)が付いたもので、年度監査と同じ水準の保証ではありません。監査法人の選定時期については 監査法人はいつまでに決めるか もご覧ください。

特定証券情報の財務数値と監査・期中レビューの範囲第22期2023年9月期監査なし第23期2024年9月期監査なし第24期2025年9月期監査(無限定適正意見)第25期中間2025年10月〜2026年3月期中レビューTOKYO PRO Marketの上場前の監査期間は「最近1年間」(一般市場の新規上場では直前2期の監査が求められる)監査人:有限責任監査法人トーマツ(業務執行社員2名、補助者は公認会計士6名)

図7 「主要な経営指標等の推移」の注記、「経理の状況」の監査証明についての記載、監査報告書・期中レビュー報告書(いずれも2026年10月27日付)による。

特定投資家向け取得勧誘(募集)の内容

InfiniCloudの上場で特徴的なのが、上場に合わせて特定投資家向けに新株を発行する点です。2026年10月30日の取締役会決議に基づき、株主割当てによらない特定投資家向け取得勧誘として普通株式60,000株以内を発行します。発行数は上限で、実際には申込期間に申込のあった株式数が発行されます。

発行価格は、日本証券業協会の規則に定めるブックビルディング方式に準拠して決めます。ブックランナーはフィリップ・キャピタル証券で、仮条件を2026年11月10日に決定し、需要の申告(11月11日〜13日)を経て、11月17日に発行価格を決定する予定です。仮条件は、事業内容・経営成績・財政状態、類似性が高い上場企業との比較、価格算定能力が高いと推定される特定投資家等の意見などを総合的に勘案して決めるとされています。また「本取得勧誘において、株式の引受けは実施いたしません」と明記されており、証券会社による引受けはありません。そのため発行諸費用には引受手数料が含まれていません。

項目 内容
形態 株主割当てによらない特定投資家向け取得勧誘
発行数 普通株式60,000株以内(申込のあった株式数を発行)
想定公開価格 1,700円
発行価額の総額(見込) 102,000,000円(資本組入額の総額51,000,000円)
資本組入額 資本金等増加限度額の2分の1(1円未満切上げ)。残りは資本準備金
発行価格の決定方法 ブックビルディング方式に準拠(仮条件11月10日、決定11月17日)
申込期間・払込期日 2026年11月18日〜11月20日・2026年11月26日
株式受渡期日 2026年11月30日(上場日)
引受け 実施しない
特定投資家向け売付け勧誘等(売出し) 該当事項なし
安定操作 該当事項なし
特定投資家向け取得勧誘(募集)の日程仮条件決定11月10日需要の申告11月11日〜13日発行価格決定11月17日申込期間11月18日〜20日払込期日11月26日株式受渡・上場予定日11月30日株式の引受けは行わない。ブックランナーはフィリップ・キャピタル証券(ブックビルディング方式に準拠)

図8 特定証券情報「特定投資家向け取得勧誘の方法及び条件」による(いずれも2026年の予定)。

手取金の使途も具体的です。払込金額の総額102,000千円から発行諸費用の概算額5,100千円を差し引いた差引手取概算額96,900千円を、クラウドサービス事業拡大のための機材購入費用66,900千円と人件費30,000千円に充てる予定で、支払予定時期はいずれも2027年9月期〜2028年9月期です。実際の充当時期までは安全性の高い金融商品等で運用する方針とされています。なお、これらの金額は想定公開価格を基礎とした見込額で、発行価格と申込株数によって変わります。

手取金の見込額と使途(千円)払込金額の総額(見込)102,000発行諸費用の概算額△5,100差引手取概算額96,900機材購入費用66,900人件費30,000想定公開価格1,700円×60,000株支払予定:2027年9月期〜2028年9月期

図9 想定公開価格1,700円を基礎とした見込額(特定証券情報「新規発行による手取金の使途」)。発行数は60,000株を上限とし、申込のあった株式数が発行される。

東証が2026年6月15日時点で集計した上場目的の開示状況では、上場目的に「増資」を挙げた会社は11社(10%)でした。TPMでは資金調達を伴わない上場が多く、InfiniCloudのように上場時に募集を行うケースは、TPMでの資金調達の手続(ブックビルディング準拠の価格決定、申込・払込、受渡と上場日の関係)を具体的に知る材料になります。一般市場のブックビルディングの仕組みは ブックビルディングとは で解説しています。

読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか

いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。

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資本政策と株主構成

次に、上場までの株式の動きを見ます。「発行済株式総数、資本金等の推移」によれば、InfiniCloudは2022年10月8日に普通株式1株を110株に分割して88,000株とし、2022年11月30日に法人株主4社への第三者割当(普通株式13,500株、1株6,000円)で101,500株になりました。2024年9月27日には個人株主3名への普通株式3,000株と、法人株主1社へのA種優先株式3,400株の第三者割当(いずれも1株6,000円)を行い、資本金は99,700千円になっています。

さらに2025年10月1日に役員4名へ普通株式1,600株(1株6,000円)を割り当て、資本金は104,500千円になりました。2026年3月11日にはA種優先株式3,400株を取得して普通株式3,400株を交付し、取得したA種優先株式を消却しています。そして2026年3月13日に普通株式1株を4株に分割し、発行済株式総数は438,000株(普通株式のみ)になりました。株式分割の目的は「上場準備に伴う当社株式の流動性向上および投資単位の適正化」です。分割にあわせて、定款の発行可能株式総数を220,000株から1,752,000株に変更しています。

発行済株式総数の推移(資本政策の時系列)2022年10月8日1株→110株の分割普通 88,000株2022年11月30日第三者割当(法人4社)普通 101,500株2024年9月27日第三者割当(個人3名・VC)普通104,500+A種3,4002025年10月1日第三者割当(役員4名)普通106,100+A種3,4002026年3月11日A種を取得・普通株式交付A種消却 → 普通109,5002026年3月13日1株→4株の分割普通 438,000株

図10 「発行済株式総数、資本金等の推移」による。第三者割当の発行価格はいずれも1株6,000円(2026年3月13日の株式分割前)。

A種優先株式は上場前に普通株式へ

A種優先株式3,400株は、2024年9月27日に静岡キャピタル8号投資事業有限責任組合(出資約束金額の総額15億円)に1株6,000円で割り当てられたものです。2026年2月24日の取締役会で、普通株式を対価とする取得条項を満たしたことにより、A種優先株式1株につき普通株式1株を交付して全株を自己株式として取得することと、会社法178条に基づく自己株式の消却を決議し、2026年3月11日に取得と消却を行っています。

1株当たり情報の注記では、A種優先株式は残余財産の分配で普通株式より優先される株式であるため、1株当たり純資産額の算定にあたってA種優先株式の払込金額20,400千円を純資産から控除していました。上場前に普通株式へ一本化しておくことで、上場後の株式は権利内容に限定のない普通株式だけになります。種類株式の扱いの一般論は 種類株式は上場前に普通株式へ戻すのか で整理しています。

A種優先株式を上場前に普通株式へ整理した流れ静岡キャピタル8号投資事業有限責任組合A種優先株式 3,400株2026年2月24日 取締役会取得条項に基づく取得(A種1株→普通1株)普通株式 3,400株を交付(2026年3月11日)取得したA種優先株式3,400株を同日消却(会社法178条)発行済株式は普通株式のみに払込期日:2024年9月27日発行価格:1株6,000円

図11 「自己株式の取得等の状況」「重要な後発事象」「発行済株式総数、資本金等の推移」による。

株主構成――資産管理会社が過半を保有

第四部「株主の状況」によると、筆頭株主は合同会社瀧事務所で240,000株(52.28%)です。役員の状況の注記では、代表取締役 瀧 康史氏の所有株式数259,200株は同氏の資産管理会社が所有する240,000株を含むとされており、本人の直接保有19,200株(4.18%)と合わせた株数になります。以下、込山 弘貴氏(39,200株、8.54%)、前島 晃一氏(35,200株、7.67%)、取締役CTOの小熊 浩典氏(30,400株、6.62%)、静岡キャピタル8号投資事業有限責任組合(26,600株、5.79%)、株式会社田中邦裕事務所(20,000株、4.35%)、静岡キャピタル株式会社(13,000株、2.83%)、株式会社Geolocation Technology(8,000株、1.74%)と続きます。

ここでの割合は、発行済株式438,000株に新株予約権による潜在株式19,552株を加えた株式総数457,552株に対するもので、上場申請時点の記載です。上場時には取得勧誘による新株(最大60,000株)が加わるため、上場後の比率はこれと異なります。所有者別状況(2026年9月30日現在)では株主数は13名で、その他の法人が61.18%、個人その他が29.32%、金融商品取引業者が9.04%を所有しています。

株主の状況(株式総数に対する割合)合同会社瀧事務所(資産管理会社)52.28%込山 弘貴8.54%前島 晃一7.67%小熊 浩典(取締役CTO)6.62%静岡キャピタル8号投資事業有限責任組合5.79%株式会社田中邦裕事務所4.35%瀧 康史(代表取締役)4.18%静岡キャピタル株式会社2.83%株式会社Geolocation Technology1.74%新株予約権による潜在株式(合計)4.27%上場申請時点の記載。取得勧誘で新株が発行されると比率は変わる

図12 特定証券情報「株主の状況」(第四部)による。割合は株式総数457,552株(発行済株式438,000株+新株予約権による潜在株式19,552株)に対するもので、上場時(特定投資家向け取得勧誘の後)の比率ではない。代表取締役の資産管理会社の保有と本人の直接保有を合わせると259,200株。

第三者割当と株式の移動――価格の算定方法

第四部には、直前期末から遡った期間の第三者割当等と、特別利害関係者等の株式の移動が記載されています。価格と算定方法は次のとおりです(株数・単価は2026年3月13日の株式分割前)。

日付 内容 株数 単価 価格の算定方法
2024年9月27日 第三者割当(A種優先株式、静岡キャピタル8号投資事業有限責任組合) 3,400株 6,000円 DCF法により算出した価格を総合的に勘案
2024年9月27日 第三者割当(普通株式、瀧 康史氏・込山 弘貴氏・小熊 浩典氏 各1,000株) 3,000株 6,000円 DCF法により算出した価格を総合的に勘案
2025年10月1日 第三者割当(普通株式、向 正裕氏・孫 龍活氏・杉山 悦男氏 各500株、大野 篤氏100株) 1,600株 6,000円 DCF法により算出した価格を総合的に勘案
2026年2月26日 株式譲渡(OCP1号投資事業有限責任組合 → 株式会社田中邦裕事務所) 5,000株 4,200円 DCF方式により算出した価格を総合的に勘案し当事者間で協議
2026年3月10日 株式譲渡(瀧 康史氏 → 合同会社瀧事務所) 43,500株 617円 純資産方式により算出した価格を総合的に勘案し当事者間で協議
2026年3月11日 A種優先株式から普通株式への転換(静岡キャピタル8号投資事業有限責任組合) 3,400株 ― 取得条項による交付

2025年10月1日の第三者割当の割当先4名は、取締役2名(向 正裕氏、孫 龍活氏)と監査役2名(杉山 悦男氏、大野 篤氏)で、資金の使途は運転資金とされています。株式の移動では、代表取締役から資産管理会社への譲渡と、投資事業有限責任組合から事業会社への譲渡で、それぞれ異なる算定方法(純資産方式とDCF方式)が使われています。

上場前の株価は、取引の当事者・目的・時期によって算定方法が分かれることがあります。上場準備会社としては、取引ごとに算定方法と根拠資料、決定の経緯を残し、開示書類に記載できる状態にしておくことが実務上のポイントです。算定方法の選び方は 未上場株式の株価算定はどの方法を使うか で解説しています。

ストック・オプションは2回、潜在株式は4.27%

InfiniCloudは、会社法に基づく新株予約権によるストック・オプション制度を採用しています。第1回は2023年9月28日の臨時株主総会と2023年10月31日の取締役会で決議し、2023年11月1日に従業員17名に付与しました。第2回は2025年9月19日の臨時株主総会と2025年9月26日の取締役会で決議し、2025年10月1日に従業員25名に割り当てています(金銭の払込みを要しない新株予約権)。行使価格はいずれも付与時1株6,000円で、株式分割により1,500円に調整されています。

2026年9月30日現在の目的となる株式数は第1回8,932株、第2回10,620株で、合計19,552株は株式総数457,552株の4.27%にあたります。行使条件は、発行時に従業員であった者が行使時に当社又は当社子会社の取締役・監査役・従業員の地位にあること、相続人による行使は認めないことです。第1回の付与対象者は、その後の退職と役員就任により、本書公表日現在では取締役2名と従業員になっています。

ストック・オプション(新株予約権)2回の比較項目第1回新株予約権第2回新株予約権決議(株主総会)2023年9月28日2025年9月19日付与日・割当日2023年11月1日2025年10月1日付与対象(付与時)当社従業員17名当社従業員25名行使価格(分割後)1株1,500円1株1,500円行使期間2025年11月1日〜2033年9月27日2027年9月27日〜2035年9月19日個数(2026年9月30日)2,233個2,655個目的となる株式数8,932株10,620株主な行使条件行使時に当社の役職員であること・相続人の行使不可(両回共通)

図13 「新株予約権等の状況」「ストック・オプション制度の内容」による。行使価格は付与時1株6,000円で、2026年3月13日の1株→4株の分割により1,500円に調整。第2回は金銭の払込みを要しない新株予約権(「重要な後発事象」の注記)。

会計処理については、付与時に未公開企業であったため、公正な評価単価に代えて単位当たりの本源的価値で見積もっており、付与時の単位当たりの本源的価値が0円であることから、ストック・オプションに係る費用計上額はありません(第23期・第24期)。本源的価値の算定の基礎となる株式価値は、類似会社比較法により算出した価格を総合的に勘案して決めたと記載されています。未公開企業の本源的価値による見積りは、上場後には使えない取扱いなので、上場後に付与する新株予約権は公正な評価単価で見積もることになります。注記の書き方は ストック・オプションの注記の記載例 を参考にしてください。

継続所有の確約とロックアップは別のもの

第四部の第三者割当等の概況には、TPMの特例115条・同施行規則107条の定めが記載されています。新規上場申請日の直前事業年度の末日(InfiniCloudでは2025年9月30日)の1年前から上場日の前日までの期間に第三者割当による募集株式や新株予約権の割当てを行っている場合、割当てを受けた者に、上場日以後6か月を経過する日(割当て後1年を経過していない場合は割当てから1年を経過する日)まで所有することなどを担当J-Adviserに対して確約させるもので、書面を提出しないときは申請の不受理又は受理の取消しの措置がとられます。InfiniCloudは、新株予約権①②について、割当てを受けた者との間でこの確約を行っている旨を記載しています。

これとは別に、証券情報の「ロックアップについて」では、本取得勧誘に関連して、2023年10月1日から公表日までの間に増資に応じた個人・法人が、担当J-Adviserの事前の書面による同意なしには、上場日後6か月の2027年5月30日まで(又は割当てから1年を経過していない場合は1年を経過するまで)当社普通株式等の譲渡・処分等を行わない旨の書面を差し入れていると記載されています。規則に基づく継続所有の確約と、取得勧誘に関連して差し入れるロックアップの書面は、根拠も対象範囲も異なる別の仕組みです。一般市場での継続所有の確約は 上場前に株式を動かすとどうなるか(継続所有の確約) で解説しています。

コーポレート・ガバナンス――全員社外の監査役会

InfiniCloudは、会社法に基づき取締役会と監査役会を置く監査役会設置会社です。取締役会は代表取締役の瀧 康史氏を議長とする5名で、常勤取締役4名(瀧 康史氏、小熊 浩典氏、向 正裕氏、山田 泰資氏)と非常勤の社外取締役1名(孫 龍活氏)で構成され、原則月1回の定時取締役会と必要に応じた臨時取締役会を開催しています。監査役会は、常勤の社外監査役である杉山 悦男氏を議長とする3名で、非常勤の社外監査役2名(大野 篤氏、小澤 公一氏)を含め、監査役3名全員が社外監査役です。監査役会も原則月1回開催し、監査役は取締役会に出席して必要に応じて意見を述べるほか、重要書類の閲覧や各部門へのヒアリングを行っています。

会社はこの体制を採用する理由を、事業内容及び会社規模に鑑み、業務執行機能と監督・監査機能のバランスを効率的に発揮する観点から最適と考えていると説明しています。TPMには一般市場のような機関設計の形式要件はなく、企業の規模や成熟度等に応じたガバナンス体制の整備・運用が上場適格性として確認されます。取締役会・監査役会の年間の開催回数や出席状況は、特定証券情報には記載されていません。

InfiniCloudの機関設計と主な会議体株主総会取締役会(5名)常勤取締役4名+社外取締役1名原則月1回+臨時監査役会(3名・全員社外)常勤1名+非常勤2名原則月1回+臨時代表取締役CEO(業務執行)内部監査責任者+担当者3名(兼務)会計監査人有限責任監査法人トーマツリスク・コンプライアンス委員会委員長:代表取締役・四半期1回選任選任監査選定・監督指名・報告報告・連携連携

図14 「コーポレート・ガバナンスの状況」による。取締役会・監査役会の開催頻度は原文の「原則月1回」の記載で、実績の開催回数は記載されていない。

役職 氏名 主な経歴(特定証券情報の略歴から) 所有株式数
代表取締役CEO 瀧 康史 ソニー・コンピュータエンタテインメント、ポリフォニー・デジタルを経て2001年11月に当社を設立 259,200株(資産管理会社保有分240,000株を含む)
取締役COO 山田 泰資 静岡朝日テレビ。2021年2月当社営業本部長、2025年10月取締役COO ―
取締役CTO 小熊 浩典 ビーピーエス取締役等。2021年7月当社取締役CTO兼エンジニアリング本部長 30,400株
取締役CFO 向 正裕 セガ、インフォコム、WOW WORLD GROUP。2023年9月当社管理本部長、2025年10月取締役CFO 2,000株
取締役(社外) 孫 龍活 音楽・通信・IT企業での勤務経験(ワーナーミュージック・ジャパン執行役員等)。2022年11月当社取締役 2,000株
常勤監査役(社外) 杉山 悦男 富士通静岡エンジニアリング(現 富士通)。2025年10月当社常勤監査役 2,000株
監査役(社外) 大野 篤 三菱重工業、日興証券、東京証券取引所グループ(現 日本取引所グループ)、リーディング証券等 400株
監査役(社外) 小澤 公一 監査法人トーマツ、公認会計士・税理士事務所、監査法人和宏事務所社員。2022年11月当社監査役 ―

取締役の定数は7名以内、取締役の選任決議は議決権の3分の1以上を有する株主の出席とその過半数で行い、累積投票によらない旨を定款に定めています。業務執行取締役等でない取締役と監査役とは、会社法427条1項に基づく責任限定契約を結んでいます。2025年9月期の役員報酬の総額は53,310千円ですが、報酬の決定方針や決定方法についての記載はありません。

監査役会の構成の特徴は、公認会計士・税理士の小澤 公一氏と、証券会社や東京証券取引所グループでの勤務経験を持つ大野 篤氏が非常勤の社外監査役に入っている点です。上場準備では、財務・会計と資本市場の実務に通じた監査役がいることで、監査役監査の論点が広がります。監査役の知見については 監査役に会計の知識は必要か、常勤監査役の要否については 常勤監査役は必要か もご覧ください。なお、コーポレートガバナンス・コードの適用範囲についてJPXが示しているのはプライム・スタンダード(全原則)とグロース(基本原則)で、TPMへの言及はありません。

関連当事者取引――代表者による債務保証

関連当事者情報には、代表取締役で主要株主の瀧 康史氏(議決権の被所有割合 直接44.8%・間接15.3%)が、当社の金融機関からの借入金について債務保証をしている取引が記載されています。取引金額(債務保証を受けている借入金の期末残高)は第23期末97,195千円、第24期末122,571千円で、保証料の支払いはありません。特定証券情報には、この債務保証の解消予定についての記載はありません。

代表者による借入金の債務保証は、上場準備会社でよく見られる関連当事者取引です。一般市場の上場準備では、取引の必要性と条件の妥当性、解消の方針を整理することが求められるのが通例です。考え方は 社長個人と会社の取引はどう解消するか で解説しています。

内部監査・内部統制――専任者を置かない内部監査

内部監査について、InfiniCloudは「専任の内部監査責任者、内部監査担当者を配置しておりません」と明記しています。そのうえで、年間の内部監査計画に従い、代表取締役が指名した内部監査責任者と内部監査担当者3名が全部署を監査しています。兼務者による内部監査で問題になるのが自己監査ですが、会社は「自己監査とならないよう、自己が所属している部門以外について内部監査を実施」しているとしています。内部監査責任者は監査結果と改善事項を代表取締役に報告し、各部門に改善事項を通知して改善状況をフォローアップする体制です。

内部監査の体制と自己監査の回避代表取締役内部監査責任者・内部監査担当者3名(専任者なし・代表取締役が指名)部門A(担当者Xの所属)部門B(担当者Yの所属)部門C(担当者Zの所属)自己監査の回避:担当者は自己が所属している部門以外を監査する改善事項は各部門に通知し、改善状況をフォローアップ指名/結果の報告先全部署を監査

図15 「コーポレート・ガバナンスの状況」の内部監査の記載による。部門名は説明のための例示。

従業員22名規模の会社で専任の内部監査部門を置くのは負担が大きく、兼務者による相互監査は小規模な上場準備会社でよく採られる方法です。その場合に確認されるのは、誰がどの部門を監査するかの割当て、監査計画と報告の記録、指摘事項のフォローアップが実際に回っているかどうかです。兼務と自己監査の回避の考え方は 内部監査の担当者と兼務(自己監査の回避) で詳しく解説しています。

内部統制の基本方針と三様監査

内部統制システムについては、2022年11月14日の取締役会で内部統制基本方針を決議しています。方針には、行動規範とコンプライアンス規程、代表取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会、取締役・監査役・使用人を対象とする社内通報制度(ヘルプライン)と通報者の不利益取扱いの禁止、反社会的勢力排除規程(所管は管理本部、取引先との契約への暴力団排除条項の織込み、不当要求防止責任者の選出)などが並びます。

監査役と内部監査責任者・担当者が毎月連絡会を開いて連携することも方針に書かれており、ガバナンスの状況では、監査役・監査法人・内部監査責任者がそれぞれの監査計画と実施状況、監査結果について報告を受け、相互に情報連携と意見交換を行っているとしています。リスク・コンプライアンス委員会は代表取締役を委員長に各本部長と事務局メンバーで構成され、四半期に1回開催されています。また方針には、内部監査責任者・担当者が取締役会の承認した内部統制評価基本計画書に基づいて内部統制評価を行い、その結果を取締役会に上程することも定められています。

TPMでは金融商品取引法の内部統制報告書の提出は任意ですが、財務報告の信頼性を確保する体制を整備するという方針は基本方針に明記されています。三様監査の連携は 監査役監査・内部監査・会計監査(三様監査) で整理しています。

会計・開示の論点

収益認識――構築は一時点、利用料は期間

重要な会計方針の「収益及び費用の計上基準」では、クラウドサービス事業について、サービス導入までの環境構築等は当社のプラットフォームサービスを顧客が利用可能な状態にすることで履行義務が充足されると判断して一時点で収益を認識し、その後の利用料は一定の期間にわたり履行義務を充足する取引として契約期間にわたって収益を認識すると記載されています。その他の事業の商品販売(主に他社から仕入れたソフトウエアライセンス等)は、商品を引き渡す一時点で収益を認識します。

第24期末の契約資産は44千円、契約負債は2,522千円で、契約負債の増加(1,000千円)は、クラウドサービス事業の新規案件で初期費用が発生したためと説明されています。残存履行義務に配分した取引価格の注記には、当初の契約期間が1年以内の契約などを対象外とする実務上の便法を適用しています。

収益を認識する時点(重要な会計方針)環境構築等(サービス導入まで)クラウドサービスの利用料ソフトウエアライセンス等の商品販売一時点で認識顧客が利用可能な状態にした時点一定の期間にわたり認識契約期間にわたって一時点で認識商品の引渡時点クラウドサービス事業(報告セグメント)その他(商品販売等)

図16 「重要な会計方針」5.収益及び費用の計上基準による。

クラウドサービスのように、導入時の構築作業と継続的なサービス提供が一つの契約に含まれる取引では、構築作業を別個の履行義務とみるか、継続サービスと一体とみるかの判断が収益の計上時期を左右します。上場準備では、この判断の根拠を契約書と実際のサービス提供の実態に照らして説明できるようにしておくことが重要です。収益認識の論点は 上場審査で問われる収益認識 で解説しています。

重要な会計上の見積り――固定資産の減損

重要な会計上の見積りとして開示されているのは固定資産の減損です。第24期末の有形固定資産は118,829千円、無形固定資産は7,253千円で、減損損失は計上されていませんが、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクに鑑みて開示項目としています。資産グループは管理会計上の区分を行う際の単位等を考慮して決め、共用資産はより大きな単位で減損の兆候を判定します。兆候がある場合は割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比べ、認識が必要なら回収可能価額まで減額します。割引前将来キャッシュ・フローの見積りは取締役会で承認された事業計画を基礎とし、既存顧客の追加案件や新規顧客の案件獲得による売上の増加を前提としているため、将来の案件獲得予測を重要な仮定としています。

固定資産の減損の判定の流れ(重要な会計上の見積り)資産グループの決定(管理会計上の区分等)減損の兆候があるか減損損失なし割引前将来CFの総額<帳簿価額か減損損失なし回収可能価額まで減額減少額を減損損失に重要な仮定取締役会承認の事業計画(案件獲得予測)なしありいいえはい

図17 「重要な会計上の見積り」の記載による。第24期末の有形固定資産118,829千円・無形固定資産7,253千円。減損損失は計上されていない。

サーバ機器などの設備を自社で保有してサービスを提供する事業では、設備投資が先行し、案件獲得の見込みが外れると投資の回収可能性が問題になります。事業等のリスクでも「設備投資における固定資産減損リスク」が挙げられており、会計上の見積りの注記とリスク情報が対応しています。

その他の特徴的な注記

注記 内容
税効果会計 繰延税金資産の純額はゼロ。税務上の繰越欠損金(法定実効税率を乗じた額)は第23期末29,580千円、第24期末14,339千円で、全額に評価性引当額を計上
法定実効税率の変更 2025年10月1日払込の第三者割当増資により翌事業年度から外形標準課税が適用される見込み。防衛特別法人税とあわせ、33.6%から29.9%・30.8%に変更(影響は軽微)
退職給付 2024年4月に退職一時金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行し、第23期に退職給付制度終了益2,349千円を計上
資産除去債務 本社の建物原状回復義務。使用見込期間15年、割引率0.2%、第24期末4,330千円
当座貸越契約 第24期末は取引銀行1行・極度額50,000千円(実行残高なし)、第25期中間期末は2行・極度額100,000千円(実行残高63,000千円)
未適用の会計基準 リースに関する会計基準(企業会計基準第34号)等を2028年9月期の期首から適用予定。影響額は評価中

会計監査は有限責任監査法人トーマツ(静岡事務所)が担当し、2025年9月期の監査を執行した公認会計士は西川 福之氏と嶋田 聖氏の2名(いずれも継続監査年数7年以内)、補助者は公認会計士6名です。最近事業年度(第24期)の監査報酬は監査証明業務に基づく報酬18,300千円で、非監査業務に基づく報酬はありません。監査報酬は、会社の規模・特性、監査時間等を勘案し、取締役会の決議にあたり監査役会の同意を得て決めています。

事業等のリスクとJ-Adviser契約

事業等のリスクには20項目が挙げられています。セキュリティ、自然災害(電力コストを含む)、半導体及びソフトウエアサプライチェーン(台湾・アメリカ・欧州などからの調達、為替、地政学リスク)、BtoCサービスの不正利用、システム障害、取引先の信用、人材の獲得競争、技術トレンドの変化、代表者への依存、ガバナンス、訴訟、法的規制(電気通信事業法、特定商取引法、特定電子メール法、情報流通プラットフォーム対処法など)、税務上の繰越欠損金、資金調達、固定資産の減損、AI関連、計算資源・モデル供給、配当、販売先への依存、J-Adviser契約です。各リスクの発生可能性や影響度の記載はありません。

代表者への依存については、創業者で創業以来の最高経営責任者である瀧 康史氏に依存する部分が相当程度存在すると記載し、経営管理体制の強化と人材の育成を進めているとしています。配当については、現在は成長拡大期にあり、配当の実施とその時期は未定とされています。

J-Adviser契約の解除条項

TPMならではのリスクが、J-Adviser契約です。InfiniCloudは2026年1月15日にフィリップ・キャピタル証券と担当J-Adviser契約を結んでおり、この契約は新規上場と上場維持の前提となる契約で、契約が解除され、かつ他の担当J-Adviserを確保できない場合はTPMから上場廃止になると記載されています。

契約には、J-Adviserが即日無催告で解除できる場合として①〜⑳の番号を付けた条項があります。債務超過、銀行取引の停止、破産手続・再生手続・更生手続、事業活動の停止、不適当な合併等、支配株主との取引の健全性の毀損、発行者情報等の提出遅延、虚偽記載又は不適正意見等、法令違反及び上場規程違反等、株式の譲渡制限、完全子会社化、株主の権利の不当な制限、反社会的勢力の関与などです。ただし④は「③に該当することとなった場合においても、再建計画の開示を行った場合には、原則として本契約の解除は行わない」という例外の定めで、解除事由そのものではありません。

このほか、契約違反があった場合は相当の期間(特段の事情のない限り1ヶ月)を定めて書面で催告し、是正されなければ解除できること、合意によりいつでも解除できること、いずれかの当事者から1ヶ月前に書面で通知して解除できることが定められています。公表日現在、解除条項に該当する事象は生じていないとされています。

J-Adviser契約の解除と上場廃止の関係J-Adviser契約(2026年1月15日締結)フィリップ・キャピタル証券即日無催告解除①〜⑳の条項(④は解除しない場合の例外の定め)催告による解除契約違反→相当期間(原則1ヶ月)の書面催告合意解除・通知解除合意でいつでも1ヶ月前の書面通知解除され、他のJ-Adviserを確保できない場合TOKYO PRO Marketから上場廃止

図18 特定証券情報「事業等のリスク」(20)J-Adviser契約による。即日無催告解除の条項は①〜⑳の番号が付いているが、④は「再建計画の開示を行った場合には原則として解除しない」という例外の定めで、解除事由ではない。

一般市場では主幹事証券との関係は上場時の引受けが中心ですが、TPMではJ-Adviser契約の維持そのものが上場維持の前提です。解除条項には、発行者情報の提出遅延や監査報告書の不適正意見など、上場後の開示・決算体制に関わる事由が含まれています。上場後も年2回の発行者情報を期限内に公表できる決算・開示体制を整えておくことが、契約維持の観点からも重要になります。適時開示の体制づくりは IPOの適時開示体制 も参考になります。

上場準備会社が学べること

  1. 上場時の募集の有無で開示書類が変わる。InfiniCloudは特定投資家向け取得勧誘を行うため、表紙が「特定証券情報」です。TPMで資金調達を予定するなら、発行数・想定価格・日程・手取金の使途を早めに固める必要があります。
  2. 引受けのない募集では日程管理を会社自身が担う。申込取扱場所は会社の本店、払込取扱場所は会社指定の銀行口座です。仮条件の決定から払込、受渡(上場日)までの事務を社内で回せるかを確認しておきます。
  3. 監査済みの期と未監査の期を区別して説明する。監査は第24期のみで、第22期・第23期は未監査、第25期中間は期中レビューです。業績の説明資料でも、数値ごとの保証の水準を明示します。
  4. 種類株式は上場前に整理する。A種優先株式を取得条項で普通株式に替えて消却し、株式分割で投資単位を調整しています。投資契約の取得条項・転換条件を上場日程に合わせて確認します。
  5. 株式の移動と価格の根拠を記録する。第三者割当と株式移動ごとに、DCF法・純資産方式などの算定方法が記載されています。取引ごとの根拠資料と決定経緯を残しておきます。
  6. 小規模でも内部監査の独立性を確保する。専任者を置かず、兼務者が自分の所属部門以外を監査する方法で自己監査を回避しています。割当表と記録で運用を示せるようにします。
  7. 顧客集中は数値・見込み・対策をセットで開示する。主要販売先2社の割合、今後の見込み、販売代理店制度による低減策が具体的に書かれています。
  8. J-Adviser契約の解除条項を上場後の体制から逆算する。発行者情報の提出遅延や不適正意見が解除事由に含まれるため、決算・開示の体制を上場後まで見据えて整えます。
  • 上場時に特定投資家向け取得勧誘(募集)や売付け勧誘等(売出し)を行うか決め、表紙の書類名(特定証券情報か発行者情報か)を確認したか
  • 上場前の監査期間(最近1年間)と、監査を受けていない期・期中レビューの期を区別して説明できるか
  • 種類株式・新株予約権の取得条項や行使条件を、上場日程に合わせて確認したか
  • 上場前の第三者割当・株式移動について、価格の算定方法と根拠資料を記録しているか
  • 内部監査の担当者の割当てで、自己の所属部門を監査しない仕組みができているか
  • J-Adviser契約の解除条項を読み、上場後の発行者情報の公表体制を準備しているか

よくある質問

Q1. TPMへの上場で資金調達はできますか?

できます。InfiniCloudは上場に際して特定投資家向け取得勧誘を行い、普通株式60,000株以内を発行する予定です(想定公開価格1,700円で発行価額の総額102,000,000円は見込額)。ただしTPMでは資金調達を伴わない上場も多く、東証の2026年6月15日時点の集計では、上場目的に「増資」を挙げた会社は11社(10%)でした。

Q2. TPMでは何期分の監査が必要ですか?

上場前の監査期間は「最近1年間」です。InfiniCloudでは第24期(2025年9月期)の財務諸表が有限責任監査法人トーマツの監査を受けており、第22期・第23期は監査を受けていません。第25期中間は期中レビューです。一般市場の新規上場(直前2期)とは異なります。

Q3. 上場承認はいつ出るのですか?

東証は原則として上場申請から10営業日後に上場を承認します。InfiniCloudは2026年10月30日に上場を申請しており、2026年11月3日時点ではJPXの一覧の上場承認日欄は空欄です。上場予定日は2026年11月30日です。

Q4. 専任の内部監査担当者がいなくても上場できますか?

InfiniCloudは専任者を置かず、代表取締役が指名した内部監査責任者・担当者3名が、自己の所属部門以外を監査する方法をとっています。TPMの上場適格性では、企業の規模や成熟度等に応じた内部管理体制の整備・運用が確認されるため、兼務でも独立性と記録をどう確保するかを説明できることが大切です。

最初の一歩は、上場時の「勧誘の有無」と「監査の期」を決めること

TPMへの上場を考える会社がまず決めるべきなのは、上場時に特定投資家向けの募集や売出しを行うかどうかと、どの事業年度から監査を受けるかです。この2つで、公表する書類、日程、社内で用意する事務、監査法人との契約時期が決まります。InfiniCloudの特定証券情報は、その両方を具体的な日付と金額で示した実例として参考になります。

まとめ

InfiniCloud株式会社は、2026年10月30日に上場を申請し、2026年11月30日にTOKYO PRO Marketへ上場する予定です(2026年11月3日時点で上場承認前)。特定証券情報からは、上場に合わせた特定投資家向け取得勧誘(普通株式60,000株以内、想定公開価格1,700円、引受けなし)、直前1期(第24期)の監査と中間期の期中レビュー、A種優先株式の普通株式への整理と1株→4株の株式分割、全員社外の監査役会、兼務者による相互の内部監査、J-Adviser契約の解除条項といった、上場準備の具体的な論点を読み取ることができます。

一般市場を目指す会社にとっても、資本政策の時系列の整理、監査済みと未監査の数値の区別、内部監査の独立性の確保は共通の課題です。自社の準備状況と照らし合わせる材料として活用してください。上場準備全体の進め方は IPO準備 完全ガイド で解説しています。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

本記事の根拠

免責:本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件に対する法務、会計、税務その他の専門的助言を構成するものではありません。実際の対応は、最新の法令・取引所規則・公表資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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