派遣の許可申請や更新で監査証明が必要になったとき、最初に知りたいのは費用だと思います。ところが公的な相場はありません。金額は事務所ごとに決めているもので、対象とする決算の期間、事業所の数、帳簿の整備状況によって変わります。
検索して出てくる10万円から50万円といった数字も、それぞれの事務所の自社価格です。比べるときは、どこまでが含まれた金額なのかを見ないと意味がありません。
この記事では、当事務所の料金をそのまま開示したうえで、金額が何で決まるのか、そして申請そのものにかかる公的な費用との違いを整理します。
- 監査証明と合意された手続の費用(当事務所の料金)
- 手数料と登録免許税は別にかかること
- 金額が変わる4つの要素
- 見積りを出すために必要な資料
- 日程が遅れるほど費用が上がる理由
この記事の見出し
📌 当事務所の費用
事業所が1か所の場合の目安です。いずれも税別で、初回のご相談は無料です。
| 内容 | 料金の目安 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| 事前診断のみ | 無料 | 決算書と残高から3つの要件の充足を試算し、どの日付なら報告書を作れるかをご説明します |
| 報告書の作成まで | 9.8万円〜 | 中間決算または月次決算の確認、手続の実施、報告書の作成まで一式 |
| 記帳の巻き直しを含む | 25万円〜 | 月次決算が組めていない場合に、証憑から帳簿を作り直したうえで報告書まで |
事業所が複数ある場合は、確認する残高や証憑が増えるため別途お見積りします。金額の幅は、対象とする期間の長さと、帳簿がどこまで整っているかで決まります。事前診断は無料ですので、まず数字を見せていただくのが早道です。
いまの決算書で要件を満たすかどうかは、資料を拝見すればすぐに分かります。足りない場合の段取りと、必要な日数の見通しまでお示しします。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の監査証明と合意された手続に対応している公認会計士・税理士が直接対応します。初回のご相談は無料です。オンライン面談にも対応しており、お問い合わせから2営業日以内にご返信します。業務の内容と進め方は労働者派遣・有料職業紹介の監査証明のページにまとめています。
公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る
📌 申請そのものにかかる公的な費用は別
会計士に払う費用と、国に納める費用は別です。混同されやすいので先に整理します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 許可申請の手数料 | 120,000円に、事業所の数から1を減じた数に55,000円を乗じた額を加えた額 |
| 更新申請の手数料 | 55,000円に事業所の数を乗じた額 |
| 登録免許税(新規のみ) | 許可1件当たり9万円 |
手数料は申請書に相当額の収入印紙を貼って納付します。登録免許税は新規の許可のときだけで、更新にはかかりません。金額は労働者派遣事業関係業務取扱要領に置かれています。
📌 金額が変わる4つの要素
見積りが動く理由は、だいたいこの4つに集約されます。
| 要素 | 費用への効き方 |
|---|---|
| 対象とする決算 | 年度決算だけで足りるのか、中間決算または月次決算を作るのか。期中の決算を使う場合は、その期間の取引を確かめる作業が加わります |
| 事業所の数 | 確認する残高証明書や証憑が増えます。事業所が増えると必要な資産額も増えるため、判定そのものも変わります |
| 帳簿の整備状況 | いちばん幅が出るところです。月次決算が組めていて証憑が揃っていれば短時間で終わり、記帳が止まっていれば巻き直しから始まります |
| 監査証明か合意された手続か | 業務の性質が違うため、工数の読み方も変わります(次の節) |
📌 監査証明と合意された手続で費用が違う理由
監査証明は、財務諸表に対して意見を表明する業務です。意見を述べる以上、そのために必要な証拠を自分で判断して集めます。
これに対して合意された手続は、あらかじめ合意した手続を実施し、その結果を報告する業務です。日本公認会計士協会の専門業務実務指針4400は、合意された手続業務は監査業務でもレビュー業務でもそれ以外の保証業務でもなく、いかなる場合でも意見または保証の結論を表明することを目的として証拠を入手することはないとしています。手続の範囲が先に決まっているぶん、工数は読みやすくなります。
ただし安いほうを選べるわけではありません。新規の許可では監査証明しか使えず、合意された手続が認められるのは更新の場面に限られます。実務指針4450は、当面の間、更新に限り、事後の申立てに限る、という3つの限定を置いています。詳しくは監査証明と合意された手続の違い|派遣の許可申請をご覧ください。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら
📌 見積りに必要な資料
次のものがあれば、その日のうちに要件の充足を試算し、金額をお出しできます。
- 直近の決算書一式(貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書)
- 決算日以降の試算表(期中の決算で申し立てる場合)
- 事業所の一覧(所在地と、派遣事業を行っているかどうか)
- 許可証の写しと有効期間の満了日(更新の場合)
- 決算日以降に増資や資本振替をしている場合は、その資料
逆にいえば、この5点が揃うまで正確な金額は出せません。決算書だけでも要件の判定はできますので、まず判定だけを受けてから見積りを取る、という進め方で構いません。
📌 日程が遅れるほど費用は上がる
更新申請の期限は有効期間が満了する日の3箇月前までで、要領は申請日の超過は認められないとしています。ここから逆算すると、動き出しが遅いほど選べる手段が減り、費用は上がります。
| 動き出す時期 | できること |
|---|---|
| 満了の6か月前 | 直近の決算書で判定し、不足があれば増資や資本振替を落ち着いて検討できる |
| 満了の5か月前 | 期中の決算で申し立てる準備に入れる。基準日を選ぶ余地がある |
| 満了の4か月前 | 基準日が事実上決まる。残高証明書の手配だけで2週間ほどかかる |
| 満了の3か月前 | 提出の最終期限。ここで帳簿が整っていなければ巻き直しが必要になり、費用は上振れする |
記帳が止まっている状態から始めると、証憑を集めるところからやり直すことになります。これが9.8万円で済むか、その何倍にもなるかになる、いちばん大きな要因です。逆算の詳しい進め方は派遣許可の更新|費用と日程を逆算する、期中の決算をどう整えるかは派遣の中間決算と月次決算|監査証明を受ける準備にまとめています。
そもそも要件を満たしているかどうかが不安な方は、労働者派遣と有料職業紹介の許可|財産的基礎の要件と監査証明で全体像を確認してください。

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❓ よくある質問
A. 公的に決められた相場はありません。事務所ごとの価格です。当事務所は、報告書の作成までで9.8万円から(税別、事業所1か所)、記帳の巻き直しを含む場合で25万円から(税別)としています。
A. 手続の範囲が先に決まっているぶん工数は読みやすくなります。ただし新規の許可では使えません。更新の場面に限られ、実務指針4450の3つの限定を外れると使えない点にご注意ください。
A. はい。決算書と残高から3つの要件の充足を試算し、どの日付なら報告書を作れるかまでお伝えします。そのうえでお見積りをお出しします。
A. 要領は、公認会計士または監査法人による監査証明を受けた中間決算または月次決算による場合に限る、としています。税理士の資格だけでは実施できません。合意された手続も同じく公認会計士または監査法人が実施するものです。
A. 申請の手数料と、新規許可の場合は登録免許税がかかります。更新申請の手数料は55,000円に事業所の数を乗じた額、新規は120,000円に事業所の数から1を減じた数に55,000円を乗じた額を加えた額で、登録免許税は許可1件当たり9万円です。
📄 まとめ
監査証明の費用に公的な相場はありません。比べるときは金額だけでなく、事前診断が含まれるのか、期中の決算まで作るのか、記帳の巻き直しが必要かを揃えて見てください。
当事務所は、事前診断を無料、報告書の作成までを9.8万円から、記帳の巻き直しを含む場合を25万円からとしています(いずれも税別、事業所1か所)。
金額を動かすのは、対象とする決算の期間、事業所の数、帳簿の整備状況、そして監査証明か合意された手続かの4つです。このうち自社で先に手を打てるのは、帳簿の整備状況と、動き出す時期です。
更新の期限は満了日の3か月前で、超過は認められません。決算書1枚あれば要件の判定はできます。まず判定を受けて、不足があるかどうかをはっきりさせるところから始めてください。
⚖ 本記事の根拠
- 労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3 許可の要件(イ)財産的基礎に関する判断
- 同要領 第3(d)
- 労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3
- 同要領 第3 許可の有効期間の更新
- 日本公認会計士協会 専門業務実務指針4400(合意された手続業務の定義)
- 日本公認会計士協会 専門業務実務指針4450
- 労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3
- 同要領 第3 手数料の納付手続き一覧表(許可申請120,000円+55,000円×(事業所の数から1を減じた数)。更新申請55,000円×(事業所の数)。許可証再交付1枚1,500円。書換1枚3,000円)
- 同要領 第3(登録免許税は許可1件当たり9万円)
料金は当事務所の目安であり、業界の相場を示すものではありません。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。手数料および登録免許税は改正により変わることがありますので、申請にあたっては管轄の労働局および専門家にご確認ください。