報告セグメントをどう決めるか。手順を1つでも入れ替えると結論が変わります。
順番は、事業セグメントの識別、集約、量的基準、結合、75パーセント基準です。集約は量的基準の前、結合は量的基準の後にあります。
そして条件の読み方です。定義と集約はすべての要件、量的基準はいずれか1つ、結合は要素の過半数。ANDとORが入り混じっています。
- 決める順番(第6項から第15項)
- 集約は量的基準の前、結合は後であること
- 量的基準はいずれかを満たせばよいこと
- 10パーセントと75パーセントで分母が違うこと
- 利益と資産は無条件、負債は条件付きであること
- マネジメント・アプローチが本文の用語ではないこと
📌 結論 順番で決まる
集約は量的基準の前、結合は量的基準の後。この順番が入れ替わると結論が変わります。
第6項が事業セグメントを定義し、第11項が集約の要件を定め、第12項が量的基準、第13項が量的基準を満たさないもの同士の結合、第14項が75パーセント基準です。
集約と結合は別の制度です。集約は量的基準を当てはめる前に行うもので、要素はすべて概ね類似している必要があります。結合は量的基準を満たさないセグメント同士について、要素の過半数が概ね類似していれば足ります。
この2つを同じものとして扱うと、本来は分けて開示すべきものを1つにまとめてしまいます。
🔀 ANDとOR
定義と集約はすべて、量的基準はいずれか、結合は過半数。ここが実務でいちばん間違えられます。
第6項の事業セグメントは、収益を稼得し費用が発生する事業活動に関わるもの、最高経営意思決定機関が資源配分の意思決定を行い業績を評価するために経営成績を定期的に検討するもの、分離された財務情報を入手できるもの。この3つのすべてに該当するものです。
第12項の量的基準は、売上高、利益又は損失、資産の3つのいずれかを満たせば報告セグメントになります。3つすべてではありません。
なお第12項には、量的基準のいずれにも満たない事業セグメントを報告セグメントとして開示することを妨げない、という一文もあります。あえて開示することはできます。
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📐 分母が違う
10パーセントは内部売上高を含み、75パーセントは外部顧客への売上高です。同じ数字で説明すると誤りになります。
量的基準の売上高には、事業セグメント間の内部売上高又は振替高を含みます。外部売上高だけで判定するのではありません。
一方、75パーセント基準は報告セグメントの外部顧客への売上高の合計額が損益計算書の売上高の75パーセント未満かどうかで見ます。こちらは外部顧客への売上高です。
10パーセントと75パーセントを同じ数字の並びで説明している資料をよく見かけますが、分子も分母も違います。計算シートを作るときは、必ず列を分けてください。
📝 何を開示するか
利益と資産は無条件、負債は条件付き。3つを並列で書いている資料は要注意です。
第19項は、各報告セグメントの利益(又は損失)及び資産の額を開示しなければならない、としています。無条件です。
第20項は、負債について、最高経営意思決定機関に対して定期的に提供され使用されている場合に開示しなければならない、としています。条件付きです。
なお、マネジメント・アプローチという言葉は会計基準の本文には出てきません。結論の背景(第45項から第50項)で使われている説明上の概念です。本文の用語として引用しないでください。また、適用指針第20号の第4項は、持分法を適用している関連会社であっても事業セグメントを構成することがあり得るとしています。機械的に除外しないよう注意してください。
❓ よくある質問
A. 第6項の3要件すべてに該当することです。
A. いずれかを満たせば報告セグメントになります。
A. 含みます(第12項(1))。
A. 報告セグメントの外部顧客への売上高の合計額と、損益計算書の売上高です。
A. 違います。集約は量的基準の前で要素すべてが概ね類似、結合は量的基準の後で要素の過半数が概ね類似です。
A. 最高経営意思決定機関に定期的に提供され使用されている場合に開示します(第20項)。
A. 本文には出てきません。結論の背景で使われている概念です。
A. なることがあり得ます(適用指針第20号 第4項)。
📄 まとめ
手順は、識別、集約、量的基準、結合、75パーセント基準の順です。集約と結合の位置を入れ替えないでください。
定義と集約はすべての要件、量的基準はいずれか、結合は過半数。条件の読み方が場所ごとに違います。
10パーセントは内部売上高を含み、75パーセントは外部顧客への売上高です。分母が違います。
社内の管理区分をそのままセグメント区分にするか、開示用に別の区分を作るか。前者のほうが説明はしやすくなりますが、管理区分を頻繁に変える会社では毎期の説明が増えます。どちらを取るか、先に決めておいてください。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準委員会) 第4項、第6項、第10項から第15項、第19項、第20項、第21項、第25項
- 企業会計基準適用指針第20号「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準委員会) 第4項、第8項、第9項
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