小さい子会社まで全部連結しないといけないのか。除外できる場合はあります。ただし入口は3つに限られています。
支配が一時的であると認められる企業と、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業。この2つは連結の範囲に含めません。企業会計基準第22号の第14項です。
そして重要性の乏しい子会社は、連結の範囲に含めないことができます。こちらは注3です。含めない、と、含めないことができる。書き分けられています。
- 原則はすべての子会社を連結すること(第13項)
- 第14項は強制除外、注3は任意除外であること
- 重要性は資産・売上高・利益・利益剰余金で見ること
- 4項目の出典が監査上の取扱いであること
- 支配が一時的の意味が狭いこと
- 判断を著しく誤らせるおそれは限定的であること
📌 結論 入口は3つ
第14項は含めない、注3は含めないことができる。強制と任意で書き分けられています。ここを混同すると説明が通りません。
第13項は、親会社は原則としてすべての子会社を連結の範囲に含める、としています。ここが出発点です。
第14項は、支配が一時的であると認められる企業と、それ以外の企業であって連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業について、連結の範囲に含めないとしています。これは強制です。
注3は、資産、売上高等を考慮して連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものについて、連結の範囲に含めないことができるとしています。こちらは任意です。
📏 重要性はどこで測るか
4項目という考え方は会計基準ではなく監査上の取扱いに出てきます。社内資料に書くときは出典を分けてください。
会計基準は資産、売上高等としか書いていません。ではどこまで見るのか。
日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会実務指針第52号の第4項が、少なくとも資産、売上高、利益及び利益剰余金の4項目に与える影響をもって判断すべきとしています。
この4項目という考え方は、会計基準ではなく監査上の取扱いに出てきます。社内の判断資料に書くときは、出典を分けて書いてください。なお、適用指針第22号には重要性の乏しい子会社の判断基準は置かれていません。
子会社と関連会社の範囲の判定、重要性の乏しさの判断資料の作成、除外した理由の文書化、そして監査法人への説明まで通してお受けします。上場準備の会社では、審査で連結範囲を問われたときに示せる資料の形からご一緒します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら
🧭 判断の順番
出発点は第13項の全部連結です。除外は例外という順番で組み立ててください。
全部連結が原則で、除外は例外です。この順番で組み立ててください。逆から入ると、除外を前提とした説明になってしまいます。
重要性の判断は毎期行います。前期に除外したから今期も除外、という運用にはできません。子会社が成長すれば、いずれ連結の範囲に入ります。
そして、除外した理由は毎期文書に残してください。上場審査でも監査でも、必ず聞かれるところです。
🔍 支配が一時的とは
どちらも入口が狭く作られています。使いやすい除外規定ではありません。
適用指針第22号の第18項は、支配が一時的であると認められる企業について、当連結会計年度において支配に該当しているものの、直前連結会計年度において支配に該当しておらず、かつ翌連結会計年度以降相当の期間にわたって支配に該当しないことが確実に予定されている場合をいう、としています。
入口が狭く作られています。売却を検討しているというだけでは足りません。確実に予定されている、という要件です。
第19項は、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれについて、一般にそれは限定的であると考えられるとしています。第26項も持分法について同じことを言っています。使いやすい除外規定ではないということです。
❓ よくある質問
A. 親会社は原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めます(第13項)。
A. 第14項は含めない(強制)、注3は含めないことができる(任意)です。
A. 会計基準は資産、売上高等としています。監査上の取扱いでは、少なくとも資産、売上高、利益及び利益剰余金の4項目です。
A. 会計基準ではなく、監査・保証実務委員会実務指針第52号 第4項です。
A. 会計基準にも適用指針にも数値基準は置かれていません。
A. 当期は支配しているが前期は支配しておらず、翌期以降相当の期間にわたって支配しないことが確実に予定されている場合です。
A. 毎期判断します。子会社が成長すれば連結の範囲に入ります。
A. 残してください。上場審査でも監査でも聞かれます。
📄 まとめ
原則はすべての子会社を連結することです。除外の入口は3つ、うち2つは強制、1つは任意です。
重要性は資産、売上高、利益、利益剰余金への影響で見ます。ただしこの4項目は監査上の取扱いに出てくるもので、会計基準の定めではありません。
支配が一時的という除外は、確実に予定されている、という狭い要件です。
いま除外している子会社があるなら、その理由を毎期の文書に残す運用になっているかを確かめてください。残っていなければ、今期から始めてください。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準委員会) 第13項、第14項、注3
- 企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準委員会) 第18項、第19項、第26項
- 監査・保証実務委員会実務指針第52号(日本公認会計士協会) 第4項