連結範囲から外せる子会社はあるか|重要性の4基準の計算例と非連結子会社の扱い

連結範囲から外せる子会社

子会社は原則としてすべて連結します(企業会計基準第22号 第13項)。支配が一時的な子会社と、連結すると利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある子会社は連結の範囲に含めず(第14項)、重要性の乏しい子会社は含めないことができます(注3)。重要性は、資産・売上高・利益・利益剰余金の4項目への影響と、数字に表れない質的な要因をあわせて判断します(監査・保証実務委員会実務指針第52号)。

  • 4項目の割合について、何%以下なら除外できるという数値の基準は、会計基準にも実務指針第52号にもありません
  • 経営戦略上重要な子会社や、セグメント情報の開示に重要な影響を与える子会社などは、原則として非連結にできません
  • 外した非連結子会社には原則として持分法を適用し、有価証券報告書では主要な非連結子会社の名称と除外の理由を注記します

2026年10月12日更新

小さい子会社まで全部連結しないといけないのか。除外できる場合はあります。ただし入口は3つに限られています。

支配が一時的であると認められる企業と、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業。この2つは連結の範囲に含めません。企業会計基準第22号の第14項です。

そして重要性の乏しい子会社は、連結の範囲に含めないことができます。こちらは注3です。含めない、と、含めないことができる。書き分けられています。

この記事でわかること

  • 原則はすべての子会社を連結すること(第13項)
  • 第14項は強制除外、注3は任意除外であること
  • 重要性は資産・売上高・利益・利益剰余金で見ること
  • 4項目の出典が監査上の取扱いであること
  • 支配が一時的の意味が狭いこと
  • 判断を著しく誤らせるおそれは限定的であること

📌 結論 入口は3つ

図1 除外の3つの入口区分扱い根拠支配が一時的であると認められる企業連結の範囲に含めない(強制)第22号 第14項(1)連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業連結の範囲に含めない(強制)同 第14項(2)重要性の乏しい子会社連結の範囲に含めないことができる(任意)同 注3

第14項は含めない、注3は含めないことができる。強制と任意で書き分けられています。ここを混同すると説明が通りません。

第13項は、親会社は原則としてすべての子会社を連結の範囲に含める、としています。ここが出発点です。

第14項は、支配が一時的であると認められる企業と、それ以外の企業であって連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業について、連結の範囲に含めないとしています。これは強制です。

注3は、資産、売上高等を考慮して連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものについて、連結の範囲に含めないことができるとしています。こちらは任意です。

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📏 重要性はどこで測るか

図2 重要性はどこで測るか論点内容会計基準の書きぶり資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいもの(注3)監査上の取扱い少なくとも資産、売上高、利益及び利益剰余金の4項目に与える影響をもって判断すべき(監査・保証実務委員会実務指針第52号 第4項)適用指針第22号重要性の乏しい子会社の判断基準は置かれていません

4項目という考え方は会計基準ではなく監査上の取扱いに出てきます。社内資料に書くときは出典を分けてください。

会計基準は資産、売上高等としか書いていません。ではどこまで見るのか。

日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会実務指針第52号の第4項が、少なくとも資産、売上高、利益及び利益剰余金の4項目に与える影響をもって判断すべきとしています。

この4項目という考え方は、会計基準ではなく監査上の取扱いに出てきます。社内の判断資料に書くときは、出典を分けて書いてください。なお、適用指針第22号には重要性の乏しい子会社の判断基準は置かれていません。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援と内部統制の整備支援を行っています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

🧭 判断の順番

図3 判断の順番原則としてすべての子会社を連結の範囲に含める(第13項)支配が一時的か、判断を著しく誤らせるおそれがあるかを確認する(第14項)該当すれば連結の範囲に含めない該当しなければ、重要性の乏しさを検討する(注3)資産・売上高・利益・利益剰余金への影響を並べて判断する

出発点は第13項の全部連結です。除外は例外という順番で組み立ててください。

全部連結が原則で、除外は例外です。この順番で組み立ててください。逆から入ると、除外を前提とした説明になってしまいます。

重要性の判断は毎期行います。前期に除外したから今期も除外、という運用にはできません。子会社が成長すれば、いずれ連結の範囲に入ります。

そして、除外した理由は毎期文書に残してください。上場審査でも監査でも、必ず聞かれるところです。

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🔍 支配が一時的とは

図4 支配が一時的とはどういう場合か論点内容適用指針の考え方当連結会計年度において支配に該当しているものの、直前連結会計年度において支配に該当しておらず、かつ翌連結会計年度以降相当の期間にわたって支配に該当しないことが確実に予定されている場合(適用指針第22号 第18項)判断を著しく誤らせるおそれ一般に、それは限定的であると考えられる(同 第19項)持分法の場合子会社の場合と同様に、それは限定的であると考えられる(同 第26項)

どちらも入口が狭く作られています。使いやすい除外規定ではありません。

適用指針第22号の第18項は、支配が一時的であると認められる企業について、当連結会計年度において支配に該当しているものの、直前連結会計年度において支配に該当しておらず、かつ翌連結会計年度以降相当の期間にわたって支配に該当しないことが確実に予定されている場合をいう、としています。

入口が狭く作られています。売却を検討しているというだけでは足りません。確実に予定されている、という要件です。

第19項は、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれについて、一般にそれは限定的であると考えられるとしています。第26項も持分法について同じことを言っています。使いやすい除外規定ではないということです。

🧮 重要性の判定(4つの基準と計算例)

監査・保証実務委員会実務指針第52号の第4項は、次の4つの割合で影響を測るとしています。利益と利益剰余金は「持分に見合う額」で計算する点が、資産と売上高との違いです。

基準 分子 分母
資産基準 非連結子会社の総資産額の合計額 親会社の総資産額と連結子会社の総資産額の合計額
売上高基準 非連結子会社の売上高の合計額 親会社の売上高と連結子会社の売上高の合計額
利益基準 非連結子会社の当期純損益のうち持分に見合う額の合計額 親会社の当期純損益と、連結子会社の当期純損益のうち持分に見合う額の合計額
利益剰余金基準 非連結子会社の利益剰余金のうち持分に見合う額の合計額 親会社の利益剰余金と、連結子会社の利益剰余金のうち持分に見合う額の合計額

計算の基礎は、原則として会社間の債権債務、取引、未実現損益を消去した後の金額です(第4-2項(3))。子会社の決算日と連結決算日の差が3か月以内なら子会社の決算期の数字を使え、事業の性質上、当期純損益が年度ごとに大きく変動する場合は最近5年間の平均を使うなどの方法も認められています(同(4)〜(6))。また、第14項で連結から外す子会社(支配が一時的な会社など)は、この計算に含めません(同(1))。

計算例

架空の例です。親会社と連結子会社の合計(会社間取引の消去後)が、総資産10,000、売上高8,000、当期純利益400(連結子会社分は持分に見合う額)、利益剰余金3,000(同)だとします。非連結にしたいのは、100%子会社X社(総資産150、売上高120、当期純利益10、利益剰余金40)と、60%子会社Y社(総資産100、売上高80、当期純利益5、利益剰余金50)の2社です。

基準 X社とY社の合計(分子) 分母 割合
資産基準 250(150+100) 10,000 2.5%
売上高基準 200(120+80) 8,000 2.5%
利益基準 13(10×100%+5×60%) 400 3.25%
利益剰余金基準 70(40×100%+50×60%) 3,000 約2.3%

割合は1社ずつではなく、非連結にする子会社の合計で計算します。そして、この割合が何%以下なら重要性が乏しいといえるかは、会計基準にも実務指針第52号にも数値で示されていません。割合を出したうえで、次の質的な要因とあわせて判断し、その過程を文書に残します。

実務指針第52号の第4-2項(2)は、非連結子会社を金額の小さい順に機械的に選ぶのではなく、個々の子会社の特性を考えるとしています。中・長期の経営戦略上重要な子会社、グループの製造・販売・流通・財務などの業務の全部または重要な一部を実質的に担っている子会社、セグメント情報の開示に重要な影響を与える子会社、多額の含み損や発生の可能性の高い重要な偶発事象を抱えている子会社は、原則として非連結にできないとされています。製造・販売などの同じ業務部門に属する子会社が複数ある場合(地域別の販売会社など)は、原則としてその全体を1社とみなして判断します。

📎 外した子会社はどう扱うか(持分法と注記)

連結の範囲から外しても、その子会社がグループの財務諸表から消えるわけではありません。持分法の適用と、注記での開示が続きます。

項目 扱い 根拠
非連結子会社への投資 原則として持分法を適用する。連結財務諸表に重要な影響を与えない場合は持分法を適用しないことができる 企業会計基準第16号 第6項
持分法を適用するかの重要性 利益と利益剰余金の2項目について、持分に見合う額で影響を測る 監査・保証実務委員会実務指針第52号 第5項
連結の範囲の注記 非連結子会社がある場合、主要な非連結子会社の名称と連結の範囲から除いた理由 連結財務諸表規則 第13条第2項第2号
持分法の適用の注記 持分法を適用しない非連結子会社がある場合、主要な会社の名称と持分法を適用しない理由 同 第13条第3項第2号・第3号

持分法を適用すると、非連結子会社との取引に係る未実現利益の消去も必要になります。親会社などの連結会社から非連結子会社に売った場合は、持分相当額ではなく全額を消去します。詳しくは持分法の未実現利益はどこまで消去するかで扱っています。

注記には除外の理由を書きますので、社内の判断資料と注記の文言がつながっている必要があります。上場準備の会社では、審査で連結範囲を問われたときにこの判断資料を示すことになります。

❓ よくある質問

Q. 原則はどうなっていますか。

A. 親会社は原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めます(第13項)。

Q. 第14項と注3は何が違いますか。

A. 第14項は含めない(強制)、注3は含めないことができる(任意)です。

Q. 重要性は何で見ますか。

A. 会計基準は資産、売上高等としています。監査上の取扱いでは、少なくとも資産、売上高、利益及び利益剰余金の4項目です。

Q. 4項目は会計基準に書いてありますか。

A. 会計基準ではなく、監査・保証実務委員会実務指針第52号 第4項です。

Q. 具体的な割合の基準はありますか。

A. 会計基準にも適用指針にも数値基準は置かれていません。

Q. 支配が一時的とはどういう場合ですか。

A. 当期は支配しているが前期は支配しておらず、翌期以降相当の期間にわたって支配しないことが確実に予定されている場合です。

Q. 前期に除外したら今期も除外できますか。

A. 毎期判断します。子会社が成長すれば連結の範囲に入ります。

Q. 除外した理由は残しますか。

A. 残してください。上場審査でも監査でも聞かれます。

Q. 重要性の4基準は何%以下なら除外できますか。

A. 数値の基準は、会計基準にも監査・保証実務委員会実務指針第52号にもありません。非連結にする子会社の合計で4つの割合を計算し、質的な要因とあわせて判断します。

Q. 連結から外した子会社はどう扱いますか。

A. 原則として持分法を適用します(企業会計基準第16号 第6項)。有価証券報告書の連結財務諸表では、主要な非連結子会社の名称と連結の範囲から除いた理由を注記します(連結財務諸表規則 第13条第2項)。

📄 まとめ

原則はすべての子会社を連結することです。除外の入口は3つ、うち2つは強制、1つは任意です。

重要性は資産、売上高、利益、利益剰余金への影響で見ます。ただしこの4項目は監査上の取扱いに出てくるもので、会計基準の定めではありません。

支配が一時的という除外は、確実に予定されている、という狭い要件です。

いま除外している子会社があるなら、その理由を毎期の文書に残す運用になっているかを確かめてください。残っていなければ、今期から始めてください。

📚 参考(公的な一次情報)

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