連結キャッシュ・フロー計算書を、各社のキャッシュ・フロー計算書を合算して作るのか。それとも連結の財務諸表から作るのか。
両方あります。前者が原則法、後者が簡便法です。ただし、この呼び方が出てくるのは作成基準ではなく実務指針の結論の背景です。
移管指針第6号の第47項が、簡便的に連結損益計算書並びに連結貸借対照表の期首残高と期末残高の増減額の分析及びその他の情報から作成することも認められる、としています。
- 原則法と簡便法の違い
- 簡便法の根拠が移管指針第6号 第47項であること
- 直接法と間接法は選択適用であること
- 資金の範囲は現金及び現金同等物であること
- 3か月以内が定義ではなく例示であること
- どちらを選ぶかの考え方
📌 結論 原則法と簡便法
簡便法は認められていますが、原則法を採用した場合と同様のキャッシュ・フローに関する情報が得られるよう留意する、という条件付きです。
作成基準は、連結キャッシュ・フロー計算書の作成に当たっては連結会社相互間のキャッシュ・フローは相殺消去しなければならない、としています。各社のキャッシュ・フロー計算書を連結することが想定されているということです。
そのうえで移管指針第6号の第47項が、簡便的に連結損益計算書並びに連結貸借対照表の期首残高と期末残高の増減額の分析及びその他の情報から作成することも認められる、としています。
ただし条件があります。原則法を採用した場合と同様のキャッシュ・フローに関する情報が得られるよう留意する、という一文です。簡便法は情報の質を落としてよいという意味ではありません。
🔀 直接法と間接法
作成基準 第三 一は、次のいずれかの方法により表示しなければならない、としています。原則と例外の関係ではありません。
作成基準の第三 一は、営業活動によるキャッシュ・フローについて、次のいずれかの方法により表示しなければならない、としています。直接法と間接法です。
選択適用です。間接法が原則で直接法が例外、という関係ではありません。実務では間接法が多く使われていますが、それは選択の結果です。
直接法を選ぶと、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示することになります。営業収入や仕入支出を実額で拾える体制が要ります。
原則法と簡便法の選択、資金の範囲の決定、区分ごとの表示の整理、連結会社相互間の相殺消去、そして増減分析の様式づくりまで通してお受けします。初めて連結キャッシュ・フロー計算書を作る会社では、検算のやり方までご一緒します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら
💰 資金の範囲
3か月以内という数字は定義ではなく注2の例示です。定義に組み込んで書くと誤りになります。
作成基準の第二 一は、対象とする資金の範囲を現金及び現金同等物とし、現金を手許現金及び要求払預金、現金同等物を容易に換金可能であり価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資と定義しています。
注2は、現金同等物には例えば取得日から満期日又は償還日までの期間が3か月以内の短期投資である定期預金などが含まれる、としています。
3か月以内という数字は例示です。定義そのものに書かれているわけではありません。定義に組み込んで説明すると、期間だけで機械的に判定することになってしまいます。
🧭 どちらを選ぶか
簡便法は手を抜く方法ではありません。得られる情報が同じであることを確かめる作業が要ります。
子会社が少なく、各社でキャッシュ・フロー計算書を作れるなら原則法が素直です。連結会社相互間のキャッシュ・フローを相殺消去します。
子会社が多く、各社の作成負担が重い場合は簡便法という選択肢があります。移管指針第6号には設例による解説も置かれています。
どちらを選んでも、検算はしてください。期末の現金及び現金同等物の残高が貸借対照表と合っているか。ここが合わないまま提出することはできません。
❓ よくある質問
A. 簡便法も認められています。ただし原則法と同様の情報が得られるよう留意することとされています。
A. 作成基準本文ではなく、移管指針第6号 第47項(結論の背景)と設例による解説です。
A. 違います。作成基準 第三 一は、いずれかの方法により表示しなければならない、としています。選択適用です。
A. 現金及び現金同等物です。現金は手許現金及び要求払預金です。
A. 定義ではありません。注2の例示です。
A. 相殺消去しなければならないとされています。
A. 2024年7月にASBJへ移管され、移管指針第6号になりました。
A. 期末の現金及び現金同等物の残高が貸借対照表と整合しているかです。
📄 まとめ
連結キャッシュ・フロー計算書は、各社のキャッシュ・フロー計算書を連結する方法と、連結の財務諸表から作る方法があります。呼び方が出てくるのは実務指針の結論の背景です。
営業活動によるキャッシュ・フローの表示は直接法と間接法の選択適用です。原則と例外ではありません。
資金の範囲は現金及び現金同等物。3か月以内は定義ではなく例示です。
子会社に各社分を作らせるか、連結の数字から組むか。子会社の経理体制で決めることになりますが、どちらにしても検算の手順は先に決めておいてください。
📚 参考(公的な一次情報)
あわせて読みたい