持分法を適用していた関連会社の株式を買い増して子会社にした。連結で利益が出るのはなぜか。
段階取得に係る損益です。企業会計基準第21号の第25項が定めています。個別財務諸表では出ません。連結財務諸表だけで出ます。
理由は取得原価の算定方法が違うからです。個別は個々の取引ごとの原価の合計額、連結は個々の取引すべての企業結合日における時価。この差が損益になります。
- 段階取得に係る損益が連結だけで出ること
- 個別と連結で取得原価の算定が違うこと
- 比較の相手が持分法による評価額になること
- 根拠が企業会計基準第21号 第25項であること
- 既存持分の時価の算定が論点になること
- 用意しておく資料
📌 結論 連結だけで出る
企業会計基準第21号 第25項です。段階取得に係る損益は連結上だけで出ます。個別では出ません。
第25項は、取得が複数の取引により達成された場合、つまり段階取得における被取得企業の取得原価の算定について、個別財務諸表上と連結財務諸表上で分けて定めています。
個別財務諸表上は、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって取得原価とします。単純な積み上げです。
連結財務諸表上は、支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって取得原価を算定します。そして当該取得原価と個々の取引ごとの原価の合計額との差額を、当期の段階取得に係る損益として処理します。
🔄 持分法からの移行
持分法適用関連会社と企業結合した場合、比較の相手は持分法による評価額です。原価の合計額ではありません。
持分法を適用していた関連会社を子会社にした場合、比較の相手が変わります。第25項(2)のなお書きに、持分法適用関連会社と企業結合した場合には持分法による評価額とする、という括弧書きが入っています。
つまり、既存持分の帳簿価額は取得原価の単純合計ではなく、持分法によって評価された金額です。持分法適用期間中の利益の取り込みや、のれん相当額の償却が反映された金額になります。
この読み替えを落とすと、段階取得に係る損益の金額が変わります。持分法の未実現損益の扱いとあわせて確認してください。
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📐 条文の読み方
第25項(2)のなお書きに、持分法適用関連会社と企業結合した場合の読み替えが括弧書きで入っています。ここが実務で効きます。
第25項は1つの項の中に、個別と連結の両方が書かれています。(1)が個別、(2)が連結です。
そして(2)のなお書きに差額の処理と、持分法適用関連会社の場合の読み替えが入っています。短い条文ですが、実務で必要な情報がすべてここに詰まっています。
なお、段階取得に係る損益を損益計算書のどの区分に表示するかは、第25項には書かれていません。表示区分については別に確かめてください。
🛠 用意するもの
既存持分の時価をどう出したかが必ず問われます。第三者算定書を取るかどうかも含めて、早めに決めてください。
いちばん問われるのは、既存持分の企業結合日における時価をどう算定したかです。非上場会社であれば、第三者による算定を取るかどうかも含めて検討することになります。
あわせて、支配獲得日の子会社の資産と負債の時価評価も必要です。資本連結の入口ですので、こちらも同時に進めます。
計算過程は必ず書面に残してください。段階取得に係る損益は金額が大きくなりやすく、監査でも審査でも必ず見られる項目です。
❓ よくある質問
A. 出ません。連結財務諸表上だけです(第25項(1)(2))。
A. 支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価です。
A. 個々の取引ごとの原価の合計額です。持分法適用関連会社と企業結合した場合は持分法による評価額です。
A. 企業会計基準第21号 第25項です。
A. 企業結合日における時価です。非上場会社では算定方法と根拠を書面に残してください。
A. 第25項には表示区分の定めがありません。別に確かめてください。
A. あります。条文は段階取得に係る損益としています。
A. 買い増しを決める前です。連結上の影響を先に試算してください。
📄 まとめ
段階取得に係る損益は連結だけで出ます。個別と連結で取得原価の算定方法が違うためです。
持分法適用関連会社を子会社にした場合、比較の相手は持分法による評価額になります。
実務で問われるのは既存持分の時価の算定根拠です。書面に残してください。
買い増しを実行してから処理を考えるか、実行前に試算するか。金額が大きくなりやすい論点ですので、先に試算しておくことをおすすめします。
📚 参考(公的な一次情報)
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