資本連結でのれんはどこから出てくるのか。順番を押さえると迷わなくなります。
まず子会社の資産と負債を時価で評価します。次に子会社の資本を親会社に帰属する部分と非支配株主に帰属する部分に分けます。そして親会社に帰属する部分を親会社の投資と相殺消去します。そこで残った差額がのれんです。
企業会計基準第22号でいうと、相殺消去が第23項、差額をのれんとするのが第24項です。その後の償却は企業結合会計基準の第32項に飛びます。
- のれんは最後に出る差額であること
- 相殺消去が第23項、のれんが第24項であること
- 投資の金額は支配獲得日の時価によること
- 子会社の資本に評価差額が含まれること
- 償却は企業結合会計基準 第32項によること
- 年数の理由を書けるようにすること
📌 結論 差額が先ではなく後
のれんは最後に出てくる差額です。先にのれんを見積もるのではありません。
のれんを先に見積もって、そのあとで相殺消去するのではありません。相殺消去した結果として残った差額がのれんです。
第24項は、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本との相殺消去にあたり差額が生じる場合には当該差額をのれん(又は負ののれん)とする、としています。
ですから、のれんの金額が想定と違ったときに疑うべきは、時価評価か、資本の分け方か、投資の金額のどれかです。のれんそのものを動かすことはできません。
📐 条文の位置
第22号は差額をのれんとするところまでを定め、その後の会計処理は企業結合会計基準に投げています。2つの基準にまたがる論点です。
第22号は差額をのれんとするところまでを定めています。その後の会計処理は、第24項のなお書きが企業結合会計基準の第32項(又は第33項)に従うとしています。
つまり2つの基準にまたがる論点です。社内で議論するときは、いまどちらの話をしているのかを分けてください。
子会社相互間の投資と資本の相殺消去は第25項です。孫会社がある場合はここも見ることになります。
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🧮 相殺の対象
第23項が、投資は支配獲得日の時価、子会社の資本は株主資本と評価・換算差額等と評価差額からなる、と定めています。ここを取り違えると差額の金額が変わります。
第23項は、投資の金額を支配獲得日の時価とし、子会社の資本を個別貸借対照表上の純資産の部における株主資本及び評価・換算差額等と評価差額からなるとしています。
評価差額が入っている点が実務の要点です。時価評価をしないまま相殺すると、差額がそのままのれんに乗ってしまいます。
注7は、支配獲得日の子会社の資本を親会社に帰属する部分と非支配株主に帰属する部分に分け、前者を親会社の投資と相殺消去し、後者を非支配株主持分として処理するとしています。支配獲得日後に生じた利益剰余金と評価・換算差額等のうち非支配株主に帰属する部分も、非支配株主持分です。
⏳ のれんが出たあと
年数の決め方そのものが説明を求められます。何年にしたかではなく、なぜその年数かを書けるようにしてください。
企業結合会計基準の第32項は、のれんを資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法その他の合理的な方法により規則的に償却するとしています。金額に重要性が乏しい場合は発生した事業年度の費用として処理できます。
実務で説明を求められるのは年数の根拠です。回収期間なのか、主要な顧客契約の残存期間なのか、事業計画の期間なのか。決め方はのれんの償却年数は何年にするかにまとめています。
そして償却を始めたあとは減損の検討が続きます。兆候の拾い方はのれんの減損はいつ判定するかをご覧ください。
❓ よくある質問
A. 企業会計基準第22号 第24項です。相殺消去そのものは第23項です。
A. 支配獲得日の時価です(第23項)。
A. 個別貸借対照表上の純資産の部における株主資本及び評価・換算差額等と評価差額です(第23項)。
A. 評価差額に相当する部分がのれんに乗ります。
A. 企業結合会計基準 第32項です。第22号 第24項がそこへ従うとしています。
A. 20年以内のその効果の及ぶ期間です。年数そのものより、その年数にした理由を説明できるかどうかが問われます。
A. 企業結合会計基準 第33項に従って処理します。
A. 子会社相互間の投資と資本の相殺消去として第25項を見ることになります。
📄 まとめ
のれんは相殺消去の結果として残る差額です。時価評価、資本の分け方、投資の金額の3つが決まれば自動的に決まります。
相殺消去は第23項、のれんは第24項、その後の償却は企業結合会計基準の第32項です。
実務で説明を求められるのは、金額そのものより償却年数の根拠です。
いま子会社を取得したところなら、時価評価の資料づくりから始めてください。あとから作り直すのがいちばん時間のかかる部分です。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準委員会) 第23項、第24項、第25項、注7
- 企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準委員会) 第31項、第32項、第33項
- 移管指針第4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(企業会計基準委員会)
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