決算日が異なる子会社の連結はどうするか
原則は、子会社が連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算(いわゆる仮決算)を行うことです(企業会計基準第22号第16項)。決算日の差異が3か月を超えない場合は、子会社の正規の決算を基礎として連結することもでき(同注4、連結財務諸表規則第12条)、その場合は連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致を調整します。
- 親会社が3月決算なら、12月・1月・2月決算の子会社は子会社の決算を使える。4月〜11月決算(差異が3か月を超える)なら3月末に仮決算が要る
- 子会社の決算を使うときは、差異期間の親子間取引(未達の商品、送金など)を調整する
- 有価証券報告書では、決算日が異なる子会社の内容と仮決算の有無を注記する(連結財務諸表規則第13条第4項)
2026年10月12日更新
子会社の決算日が親会社と違う。子会社に仮決算を組ませるべきなのか。
原則は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行うことです。企業会計基準第22号の第16項です。
ただし、決算日の差異が3か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができます。これは第16項の本文ではなく、注4に置かれた定めです。
- 原則は連結決算日での決算であること(第16項)
- 3か月の定めは注4にあること
- できるという書き方で、義務ではないこと
- 整理の対象は連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致であること
- 不一致が起きやすい場面
- 在外子会社では為替のレートにも効くこと
この記事の見出し
📌 結論 3か月は注4にある
3か月の定めは第16項の本文ではなく注4にあります。そして義務ではなく、できるという書き方です。
第16項は、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合には子会社は連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行う、としています。これが原則です。
注4は、子会社の決算日と連結決算日の差異が3か月を超えない場合には子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができる、としています。ただし、その場合には決算日が異なることから生じる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について必要な整理を行うものとする、と続きます。
できる、という書き方です。3か月以内なら必ずそうする、という意味ではありません。子会社の決算を使うか、連結決算日で組ませるかは会社が選びます。
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🧭 子会社の決算を使う場合
注4のただし書きが求めているのは、連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致の整理です。差異期間中のすべての取引ではありません。
注4のただし書きが求めているのは、連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致の整理です。差異期間中に起きたすべての取引を洗い直すことではありません。
実務では、親子間の債権債務の残高照合表を作るところから始めます。金額が合わない項目を並べ、その原因が決算日のずれによるものかどうかを分けていきます。
この作業は毎期発生します。様式を作って回せるようにしておいてください。
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🔍 不一致が起きやすいところ
洗い出しの対象は連結会社間の取引です。第三者との取引まで遡って調整する定めではありません。
いちばん多いのは、出荷と検収のタイミングによる債権債務のずれです。決算日が違うと、片方の期に載っているものがもう片方に載っていない状態が生じます。
送金も同じです。決算日後に子会社へ振り込むと、親会社では減っていて子会社ではまだ増えていない、という状態になります。
配当の決議も注意が必要です。子会社の決算日後に配当を決議した場合、親会社の受取配当金をどちらの期に計上するかの判断が要ります。
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💱 在外子会社の場合
海外子会社の場合、決算日のずれは為替のレートにも効いてきます。連結決算日のレートを使うのではありません。
海外子会社の決算日がずれている場合、為替のレートにも効いてきます。移管指針第2号の第33項は、貸借対照表項目の換算に適用する決算時の為替相場を在外子会社等の決算日における為替相場とする、としています。
第34項は、損益計算書項目の期中平均相場について、連結会計期間ではなく当該在外子会社等の会計期間に基づく期中平均相場とする、としています。
連結決算日のレートを機械的に当てはめると誤りになります。在外子会社の換算の全体像とあわせて確認してください。
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📋 決算月ごとの判定表(親会社が3月決算の場合)
連結財務諸表規則第12条も同じ定めを置いています。第1項は、事業年度の末日が連結決算日と異なる連結子会社は連結決算日に決算を行わなければならないとし、ただし書で、差異が3か月を超えない場合に子会社の事業年度に係る財務諸表を基礎とするときはこの限りでない、としています。第2項は、その場合の連結会社相互間の取引に係る会計記録の重要な不一致の調整を求めています。
親会社が3月決算で、子会社の決算日が3月末より前に来る場合を当てはめると次のとおりです。
| 子会社の決算日 | 3月末との差異 | 取扱い |
|---|---|---|
| 2月末 | 1か月 | 子会社の正規の決算を基礎にできる(注4)。仮決算を選んでもよい |
| 1月末 | 2か月 | 同上 |
| 12月末 | 3か月 | 同上(3か月を超えないため含まれる) |
| 11月末 | 4か月 | 3月末に仮決算が必要(第16項) |
| 10月末 | 5か月 | 同上 |
| 9月末 | 6か月 | 同上 |
上場準備では、申請期までにどちらの方法にするかを決め、毎期同じ方法で連結します。子会社の決算日を変えて揃える期は、子会社から取り込む期間が12か月と異なる月数になります(12月決算の子会社を3月決算に変えれば15か月)。その期間の損益をどう取り込むかは、方針を決めて監査法人と事前に合意しておいてください。
有価証券報告書では、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の一つとして「連結子会社の事業年度等に関する事項」を注記します。決算日が異なる連結子会社がある場合に、その内容と、連結のための決算が行われたかどうかを書きます(連結財務諸表規則第13条第4項)。
🧮 重要な不一致を調整する仕訳例
架空の数字で、子会社の正規の決算を使う場合の調整を示します。親会社P社は3月決算、子会社S社は12月決算です。S社の12月末の財務諸表を使って、P社の3月末の連結財務諸表を作ります。
差異期間(1月から3月)に次の2つの親子間取引がありました。2月20日、P社がS社に商品を2,000万円で販売しました(P社の原価1,600万円、3月末時点で未入金。S社は3月末時点でこの商品を保有)。3月10日、P社がS社に500万円を貸し付け、送金しました。S社の12月末の財務諸表には、どちらも載っていません。
| 手順 | 連結上の調整仕訳 | ねらい |
|---|---|---|
| ①商品の取込み | 商品 2,000万円/買掛金 2,000万円 | S社側に、P社の売上に対応する仕入を取り込む |
| ②債権債務の消去 | 買掛金 2,000万円/売掛金 2,000万円 | P社の売掛金と相殺する |
| ③取引高と未実現利益の消去 | 売上高 2,000万円/売上原価 1,600万円、商品 400万円 | グループ外に売れていない商品の利益400万円を消す |
| ④送金の取込み | 現金預金 500万円/借入金 500万円 | S社側に、P社からの借入を取り込む |
| ⑤貸付金の消去 | 借入金 500万円/貸付金 500万円 | P社の貸付金と相殺する |
検算します。③は借方2,000万円、貸方1,600万円+400万円=2,000万円で一致します。①から③の結果、連結上の商品はP社の原価と同じ1,600万円(2,000万円-400万円)になり、この取引から生じる売上高と売上原価は残りません。④と⑤の後は、P社の貸付金500万円とS社の借入金が消え、送金した現金500万円だけが連結貸借対照表に残ります。
どの取引を調整するかは、注4のとおり連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致です。毎期、差異期間の親子間取引の一覧と残高照合表を作り、金額の大きいものから調整の要否を判断してください。
決算日を揃えるときの取り込み期間
子会社の決算日を連結決算日に揃えると、変更した期だけ子会社から取り込む期間が12か月でなくなります。3月決算の親会社の場合の例です。
| 変更前の子会社の決算日 | 変更する期に取り込む期間 | 12か月との差 |
|---|---|---|
| 12月末 | 1月1日から翌年3月31日まで(15か月) | 3か月多い |
| 2月末 | 3月1日から翌年3月31日まで(13か月) | 1か月多い |
| 12月末(子会社は決算期を変えず、仮決算に切り替える) | 前期の12月期の翌日から当期の3月末まで(15か月) | 3か月多い |
どの方法でも、差の期間の損益をどう取り込むかと、注記の書き方を先に決めておきます。上場申請期の前に済ませておくと、申請書類の期間比較が読みやすくなります。
❓ よくある質問
A. 連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行うことです(第16項)。
A. 第16項の本文ではなく注4です。
A. できる、という書き方です。会社が選びます。
A. 決算日が異なることから生じる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致です。
A. 注4が求めているのは連結会社間の取引です。
A. 連結決算日に決算を行うことになります。
A. 貸借対照表項目は子会社の決算日の為替相場、損益計算書項目は子会社の会計期間の期中平均相場です。
A. 揃えれば整理の手間はなくなります。子会社側の負担と比べて決めてください。
A. 使えます。注4と連結財務諸表規則第12条は「3か月を超えない場合」としているため、3か月ちょうどは含まれます。
A. 連結子会社の事業年度等に関する事項として、決算日が異なる連結子会社の内容と、連結のための決算が行われたかどうかを注記します(連結財務諸表規則第13条第4項)。
📄 まとめ
原則は連結決算日での決算です。3か月以内なら子会社の決算を使うこともできます。この定めは第16項ではなく注4にあります。
子会社の決算を使う場合は、連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致を整理します。
在外子会社では為替のレートにも効いてきます。連結決算日のレートではありません。
決算日を揃えるか、毎期整理を続けるか。子会社が3社を超えたあたりで、揃えたほうが早いという判断になることが多いように思います。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準委員会) 第16項、注4
- 移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(企業会計基準委員会) 第33項、第34項
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(e-Gov法令検索) 第12条、第13条第4項
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