海外子会社の財務諸表を円に直すとき、どのレートを使うのか。項目ごとに違います。
資産と負債は決算時の為替相場、資本は取得時または発生時の為替相場、収益と費用は原則として期中平均相場です。使うレートが違うので、円換算後の貸借は一致しません。
その差額が為替換算調整勘定です。誤差ではなく、レートを使い分けた結果として必ず出るものです。
- 項目ごとに使うレートが違うこと
- 為替換算調整勘定が生まれる仕組み
- 親会社との取引の収益費用は例外があること
- 在外支店と在外子会社等は別の定めであること
- 決算日が違うときのレートの取り方
- 為替換算調整勘定の区分
📌 結論 項目ごとに違う
外貨建取引等会計処理基準の三です。資産負債と資本で使うレートが違うため、貸借が合わなくなります。その差が為替換算調整勘定です。
外貨建取引等会計処理基準の三が、在外子会社等の財務諸表項目の換算を定めています。資産及び負債は決算時の為替相場、資本は取得時または発生時の為替相場、収益及び費用は原則として期中平均相場です。
収益及び費用には例外があります。親会社との取引による収益及び費用の換算については、親会社が換算に用いる為替相場によります。そこで生じる差額は当期の為替差損益として処理します。
この例外を落とすと、内部取引の相殺消去で差額が残ります。連結の作業でつまずく典型的な原因の1つです。
💱 為替換算調整勘定
為替換算調整勘定は誤差ではなく、レートを使い分けた結果として必ず出るものです。
三の4は、換算によって生じた換算差額については為替換算調整勘定として記載する、としています。
ですから為替換算調整勘定が出ること自体は正常です。ゼロにしようとして調整をかけるようなものではありません。
ただし、金額が大きく動いたときには理由を説明できるようにしておいてください。為替の変動なのか、子会社の純資産が増えたのか、追加投資があったのか。要因を分けて説明できるかどうかが問われます。
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🏢 在外支店とは別
解説記事では番号を取り違えているものが多くあります。三が在外子会社等です。四という大見出しは存在しません。
在外支店の財務諸表項目の換算は二、在外子会社等の財務諸表項目の換算は三です。別の定めです。
解説記事では、三を在外支店、四を在外子会社等としているものを見かけますが、四という大見出しは基準にありません。引用するときは原典で番号を確かめてください。
実務でも、支店と子会社では換算の考え方が違います。為替換算調整勘定は在外子会社等の話です。
📅 決算日が違うとき
子会社の決算日が親会社と違う場合、レートも子会社の決算日と会計期間に合わせます。連結決算日のレートではありません。
移管指針第2号の第33項は、在外子会社等の決算日が連結決算日と異なる場合、貸借対照表項目の換算に適用する決算時の為替相場は在外子会社等の決算日における為替相場とする、としています。
第34項は、損益計算書項目の換算に適用する期中平均相場について、連結会計期間に基づく期中平均相場ではなく、当該在外子会社等の会計期間に基づく期中平均相場とする、としています。
連結決算日のレートを機械的に当てはめると誤りになります。決算日のずれそのものの扱いとあわせて確認してください。
❓ よくある質問
A. 決算時の為替相場です。
A. 株式取得時の資本は取得時の為替相場、取得後に生じた資本は発生時の為替相場です。
A. 原則として期中平均相場です。決算時の為替相場によることも妨げられません。
A. 親会社が換算に用いる為替相場によります。そこで生じる差額は当期の為替差損益です。
A. 項目ごとに使うレートが違うためです。誤差ではありません。
A. 親会社持分割合は純資産の部に、非支配株主持分割合は非支配株主持分に含めて計上します(移管指針第2号 第41項)。
A. 貸借対照表項目は子会社の決算日の為替相場、損益計算書項目は子会社の会計期間に基づく期中平均相場です。
A. 違います。在外支店は基準の二、在外子会社等は三で、別に定められています。
📄 まとめ
資産負債は決算時、資本は取得時または発生時、収益費用は期中平均。この3つを押さえれば換算は組めます。
親会社との取引による収益費用だけは例外で、親会社が使うレートに合わせ、差額は為替差損益です。
為替換算調整勘定は必然的に出るものです。ゼロにするものではなく、増減の理由を説明できるようにしておくものです。
海外子会社が1社のうちに換算のルールを文書にしておくか、増えてから整理するか。増えてからでは、過去にさかのぼって作り直すことになります。
📚 参考(公的な一次情報)
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