上場を考えはじめた会社が、最初に受けるのがショートレビューです。ところが、何を調べるのか、いつ受けるのか、誰に頼めばよいのかは、意外と整理されていません。
ショートレビューで見つかった課題の量と重さが、その後の準備期間と費用を決めます。受け方を間違えると、課題の一覧だけが手元に残り、監査法人に監査を断られることもあります。
この記事では、日本公認会計士協会と金融庁の資料をもとに、ショートレビューの中身と頼む先の選び方を整理し、最後に当事務所の進め方と料金の目安を示します。
- ショートレビューの位置づけと、受ける時期
- 会計だけでなく、ガバナンスや人材、計画まで見られること
- 監査法人に頼む場合と、外部のアドバイザーに頼む場合の違い
- ショートレビューのあとに監査を断られる典型的な流れ
- 当事務所の進め方と料金の目安

上場申請から上場日まで 逆算スケジュールシート
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📌 ショートレビューとは何か
日本公認会計士協会の株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック(2026年2月公表)は、ショートレビューを、監査法人やアドバイザーがIPOに向けた課題の抽出を行うものと説明しています。呼び方は、予備調査、短期調査、制度調査、クイックレビューなど、さまざまです。
図 呼び名が違っても中身は同じです。抽出された課題は項目が多岐にわたるので、その後アドバイスを受けながら解決していきます。
同じガイドブックの標準的なスケジュールでは、ショートレビューはN-3期以前に置かれています。上場申請の直前2期間は監査法人による監査証明が必要なので、その前に課題を洗い出し、直しておく必要があるからです。
図 ショートレビューは、課題を直す期間と、直前2期の監査の前に来ます。ここでの見立てが、準備全体の長さを左右します。
📌 何を調べるのか
ショートレビューというと会計のチェックを思い浮かべがちですが、実際にはもっと広く見られます。日本公認会計士協会のガイドブックは、会計監査を受ける際の確認ポイントとして、収益基盤やビジネスモデル、ガバナンス体制、人材の確保、計画的な経営、社内規程、内部管理体制、会計処理、開示体制、関係会社の整理などを挙げています。
図 ショートレビューは、これらの領域を横断して、上場会社として足りないところを洗い出します。
会計と管理の面では、同じガイドブックの事前準備のポイントが参考になります。会計データと証憑の整理から、発生主義と収益認識基準への対応、原価計算、連結決算、関連当事者取引、労務管理、情報システムの内部統制まで、12の論点が並んでいます。
図 関連当事者取引、労務管理、収益認識は、経営者の判断や過去の慣行が絡むので、直すのに時間がかかりやすいところです。
関連当事者との取引について、ガイドブックは、取引条件に恣意性が介在しやすく、会社の業績を左右するおそれがあるため決算書の注記対象になっている、と説明しています。オーナー企業ほど、ここで指摘が増えます。
📌 誰に頼むか
ショートレビューを頼む先は、大きく分けて、監査を頼む予定の監査法人と、監査をしない外部のアドバイザーの2つです。
図 監査法人に頼めば、そのまま監査契約に進める可能性があります。外部のアドバイザーなら、課題を直す作業まで一緒に進められます。
ここで効いてくるのが独立性です。日本公認会計士協会のガイドブックは、ショートレビューとその後のアドバイザリー契約を監査予定の監査法人が行う場合、独立性の制約がある可能性があるとして注意を促しています。監査契約を結ぶにあたっては、アドバイザリー業務の提供に一定の制限が課されるとも書いています。
法律の側では、公認会計士法が、大会社等から一定の非監査業務で継続的な報酬を受けている場合に、その会社の監査を行うことを禁じています(第24条の2、第34条の11の2)。対象となる業務は、公認会計士法施行規則第5条に列挙されています。
図 記帳の代行や、会計システムの整備、内部監査の外部委託などで継続的な報酬を受けていると、監査はできません。上場準備で必要になる作業と重なるものが多くあります。
上場準備で実際に手が足りなくなるのは、まさにこうした作業です。規程を作る、業務フローを書く、内部監査を立ち上げる、会計処理を直す。監査をする立場からは踏み込みにくい部分を、誰が担うのかを先に決めておく必要があります。
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❓ ショートレビューのあとに監査を断られることがある
金融庁の株式新規上場(IPO)に係る監査事務所の選任等に関する連絡協議会報告書(2020年3月)は、監査法人によるショートレビューを受けたあと、相当期間が経過してから、内部管理体制の整備の遅れなどを理由に監査契約を断られる事例を、課題として挙げています。
図 課題の一覧をもらうこと自体は、準備の出発点にすぎません。直す段取りと担い手を決めないまま時間が過ぎると、監査の受け入れそのものが危うくなります。
同じ報告書は、IPOを目指す企業に対して、専門的知見を持つ公認会計士を積極的に活用し、監査法人や証券会社との対話を深めることを求めています。ショートレビューの報告を受けたら、どの課題を、いつまでに、誰が直すのかを、その場で工程表に落とすことをおすすめします。
📌 当事務所の進め方
当事務所は監査をしない立場で、ショートレビューと、その後の課題の改善をお引き受けしています。いきなり網羅的な調査に入るのではなく、簡易版で急所を見てから進め方を決めることもできます。料金はすべて税別の目安で、詳しくは料金の目安のページにまとめています。
図 プレショートレビューは2〜3週間で40万〜60万円、ショートレビューは6〜8週間で70万〜100万円が目安です。改善の支援は工程を切り出して月額でお引き受けします。
課題を直して体制が整った段階で、監査法人を選び、監査法人のショートレビューを受けていただく流れが、監査の受け入れを得やすい順番だと考えています。準備全体の費用の見通しはIPOにかかる費用はいくらかで、支援の内容はIPO支援業務のページで整理しています。
監査法人に頼む前の準備として、課題の洗い出しから改善の工程表づくりまでお引き受けしています。まず急所だけを見たい場合は、プレショートレビューからご相談ください。上場申請書類と内部統制の実務に携わっている公認会計士・税理士が直接対応します。初回のご相談は無料です。オンライン面談にも対応しており、お問い合わせから2営業日以内にご返信します。
公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援と内部統制の整備支援を行っています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る
❓ よくある質問
A. 日本公認会計士協会のガイドブックは、ショートレビューをN-3期以前の課題抽出と位置づけています。上場申請の直前2期間は監査法人の監査証明が必要なので、その前に課題を直す期間を確保できる時期に受けるのが基本です。
A. 監査法人でも、監査をしない外部のアドバイザーでも受けられます。監査法人に頼めば監査契約に進める可能性がありますが、独立性の制約から、課題を直す作業には深く関われません。外部のアドバイザーで課題を直してから、監査法人のショートレビューを受ける会社もあります。
A. 会計処理だけでなく、ビジネスモデル、ガバナンス体制、人材、予算と月次決算、社内規程、内部管理体制、開示体制、関係会社の整理まで見られます。関連当事者取引や労務管理は、直すのに時間がかかりやすい論点です。
A. 公的な統計は見当たりません。当事務所では、プレショートレビューが2〜3週間で40万〜60万円、ショートレビューが6〜8週間で70万〜100万円を目安にしています(税別)。規模や拠点数で変わるため、着手前に書面でご提示します。
A. あります。金融庁の連絡協議会報告書は、ショートレビューを受けたあと相当期間が過ぎてから、内部管理体制の整備の遅れなどを理由に監査契約を断られる事例を課題として挙げています。課題を直す段取りを先に決めておくことが大切です。
📄 まとめ
ショートレビューは、監査法人やアドバイザーがIPOに向けた課題を抽出するもので、日本公認会計士協会のガイドブックはN-3期以前に位置づけています。見られるのは会計だけでなく、ビジネスモデル、ガバナンス、人材、計画、規程、内部管理体制、開示、関係会社まで広く及びます。
頼む先は、監査予定の監査法人か、監査をしない外部のアドバイザーです。監査法人には独立性の制約があり、公認会計士法は、大会社等から記帳の代行や内部監査の外部委託などで継続的な報酬を受けている場合に、その会社の監査を行うことを禁じています。上場準備で手が足りなくなるのは、まさにこの部分です。
金融庁の報告書が指摘するとおり、ショートレビューを受けても改善が遅れれば、監査を断られることがあります。課題の一覧を受け取ったら、その場で、何を、いつまでに、誰が直すのかを決めてください。
⚖ 本記事の根拠
- 日本公認会計士協会「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」(2026年2月13日公表)
- 金融庁「株式新規上場(IPO)に係る監査事務所の選任等に関する連絡協議会報告書」(2020年3月27日)
- 公認会計士法 第2条・第24条の2・第34条の11の2
- 公認会計士法施行規則 第5条
- 日本取引所グループ「上場スケジュール」「上場関係者と役割」
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の会計処理および税務上の判断は、監査人および顧問税理士にご確認ください。
📚 参考(公的な一次情報)
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