労働者派遣事業の許可の更新申請には期限があります。有効期間が満了する日の3箇月前まで。要領は、申請日の超過は認められない、と明記しています。
中間決算や月次決算を使う場合は、そこからさらに前倒しが必要です。残高証明書の取得だけでも2週間ほどかかります。
この記事では、満了日から逆算したスケジュールと、かかる費用を整理します。
- 有効期間と更新申請の期限
- 許可申請と更新申請の手数料
- 新規許可でかかる登録免許税
- 6か月前から3か月前までにやること
- 申請書と報告書の数字を合わせること
この記事の見出し
📌 期限を過ぎたら受け付けてもらえない
労働者派遣事業の許可の有効期間は、新規の許可では3年、更新後は5年です(労働者派遣法10条1項および4項)。
更新の申請には期限があります。要領は、許可有効期間更新申請関係書類等は、当該許可の有効期間が満了する日の3箇月前までに、事業主管轄労働局に提出しなければならないこととなっており、申請日の超過は認められない、としています。根拠は労働者派遣法施行規則5条1項です。
申請日の超過は認められない。この一文が重いところです。満了日の直前に気づいても、そこから間に合わせることはできません。
満了日から逆算して、いつまでに何をするかを決めます。
📌 かかる費用
要領には手数料の一覧表があります。労働者派遣事業に関する主なものは次のとおりです。
| 手続 | 手数料 |
|---|---|
| 許可申請 | 120,000円+55,000円×(事業所の数から1を減じた数) |
| 許可の有効期間の更新申請 | 55,000円×(事業所の数) |
| 許可証の再交付申請 | 許可証1枚につき1,500円 |
| 許可証の書換申請 | 許可証1枚につき3,000円 |
手数料は、申請書に相当額の収入印紙を貼って納付します。申請書を受理し、収入印紙に消印した後は返還されません。
新規の許可については、これとは別に登録免許税がかかります。要領は、納税額として、許可1件当たり9万円が課される、としています(登録免許税法別表第1第81号)。納付は現金納付が原則で、領収証書を申請書に貼って提出します。
公認会計士に監査証明や合意された手続を依頼する場合の費用は、これらとは別に生じます。対象とする決算の期間、事業所の数、帳簿の整備状況によって変わりますので、資料を拝見したうえでの見積りになります。
📌 更新は同一性を保ったまま期間を延ばすもの
要領は、許可の有効期間の更新について、更新時前と許可内容の同一性を存続させつつ、その有効期間のみを延長するものである、と説明しています。
したがって、更新にあたって変更する事項がある場合は、更新の手続とあわせて変更の届出の手続を行う必要があります。事業所を増やす、名称を変える、といった変更がある場合は、更新の準備と同時に整理してください。
また、更新の審査では、当初の許可時および過去の有効期間更新時において適合していると認めた許可要件について、特段の事情変更がないことが確認されます。資産要件だけでなく、キャリア形成支援制度の実施状況なども見られます。
📌 6か月前にやること
逆算のスケジュールを具体的に置きます。まず満了日の6か月前です。この時点で、直近の決算書をもとに3つの要件を試算してください。
基準資産額が2,000万円に事業所の数を乗じた額以上か。基準資産額が負債の総額の7分の1以上か。自己名義の現金・預金が1,500万円に事業所の数を乗じた額以上か。3つを別々に計算します。
ここで足りていれば、あとは通常の更新手続です。足りていない場合は、いまの残高で計算し直します。決算後に増えているなら中間決算または月次決算の道があり、増えていないなら増資などの手当てが必要になります。
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📌 5か月前から4か月前にやること
中間決算または月次決算を使うと決めたら、対象の日付を確定させ、決算書の整備に入ります。あわせて金融機関に残高証明書を依頼します。金融機関によっては発行までに2週間ほどかかります。
記帳が遅れている場合は、この段階で追いつかせます。年に一度しか決算を組んでいない会社では、ここに最も時間がかかります。
決算書が固まったら、公認会計士が手続を実施し、報告書を作成します。満了日の4か月前には報告書を受け取れる形にしておくと、申請書の作成に余裕が生まれます。
📌 3か月前が最終期限
更新申請の書類は、満了日の3箇月前までに事業主管轄労働局に提出します。報告書と申請書の数字が一致しているかを、提出前に必ず確認してください。
労働者派遣事業計画書(様式第3号)の資産等の状況の欄には、報告書の対象とした決算の数字を記載することになります。決算書と申請書と報告書の3つで数字がずれていると、そこから確認のやり取りが始まります。
申請後は、事業主管轄労働局と事業所管轄労働局で実地調査等による確認と書類の審査が行われ、結果が本省に送付されます。追加の質問が来ることもありますので、担当者が対応できる状態にしておいてください。
そして、満了日の3箇月前を過ぎてからでは申請ができません。逆算のうえで、余裕を持って動いてください。
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公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る
❓ よくある質問
A. 許可の有効期間が満了する日の3箇月前までです。要領は申請日の超過は認められないとしていますので、過ぎてからでは受け付けてもらえません。
A. 55,000円に労働者派遣事業を行う事業所の数を乗じた額です。申請書に相当額の収入印紙を貼って納付します。
A. 手数料が120,000円に、事業所の数から1を減じた数に55,000円を乗じた額を加えた額です。これとは別に、許可1件当たり9万円の登録免許税が課されます。
A. 更新は、更新時前と許可内容の同一性を存続させつつ有効期間のみを延長するものです。変更する事項がある場合は、更新の手続とあわせて変更の届出の手続を行う必要があります。
A. 対象とする決算の期間、事業所の数、帳簿の整備状況によって変わります。資料を拝見したうえで個別にお見積りします。初回のご相談は無料です。
📄 まとめ
許可の有効期間は新規で3年、更新後は5年です。更新申請は有効期間が満了する日の3箇月前までに行い、申請日の超過は認められません。
更新申請の手数料は55,000円に事業所の数を乗じた額です。新規の許可申請は120,000円に事業所の数から1を減じた数に55,000円を乗じた額を加えた額で、別に登録免許税9万円がかかります。
満了日の6か月前に要件を試算し、5か月前から決算書を整備し、4か月前に報告書を受け取る。この段取りなら3箇月前の期限に間に合います。
決算書と申請書と報告書で数字がずれていると確認のやり取りが増えます。提出前に必ず突き合わせてください。
⚖ 本記事の根拠
- 労働者派遣法10条1項および4項(許可の有効期間は3年、更新後は5年)、同条2項(更新)
- 労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3(許可有効期間更新申請関係書類等は、当該許可の有効期間が満了する日の3箇月前までに、事業主管轄労働局に提出しなければならないこととなっており、申請日の超過は認められない。労働者派遣法施行規則5条1項)
- 同要領 第3(許可の有効期間の更新とは、更新時前と許可内容の同一性を存続させつつ、その有効期間のみを延長するもの)
- 同要領 第3 手数料の納付手続き一覧表(許可申請120,000円+55,000円×(事業所の数から1を減じた数)。更新申請55,000円×(事業所の数)。許可証再交付1枚1,500円。書換1枚3,000円)
- 同要領 第3(登録免許税は許可1件当たり9万円。登録免許税法別表第1第81号)
公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。