上場スケジュールはどこで遅れるか|標準審査期間と2年ルール

上場スケジュールはどこで遅れるか。審査そのものより、その手前で止まることのほうが多いというのが実感です。

東京証券取引所の新規上場ガイドブックによれば、標準審査期間はプライム市場で3か月、グロース市場で2か月です。グロース市場編には、上場承認から約1か月後に上場する旨も書かれています。

この期間は、申請が受理されてからのものです。受理されるためには形式要件を満たしていなければなりません。監査意見と組織再編が、そこで効いてきます。

この記事でわかること

  • 標準審査期間が市場で違うこと
  • 承認から上場までの期間
  • 監査意見の水準が2期で違うこと
  • 合併等の実施の見込みの2年ルール
  • 遅れが出る場所の順番
  • 予備申請の区分について確認できないこと

📌 結論 審査期間は市場で違う

図1 標準審査期間市場標準審査期間承認から上場までプライム3か月グロース2か月約1か月後出典新規上場ガイドブック(東京証券取引所)同左

審査期間は申請してからの期間です。ここが延びる理由の大半は、質問への回答が返らないことです。

プライム市場編のガイドブックには、審査期間は3か月を標準審査期間としています、と書かれています。グロース市場編には、2か月を標準審査期間としています、とあります。

日本取引所グループの上場スケジュールのページにも、グロース市場は審査期間が2か月になります、という記載があります。

そしてグロース市場編には、上場承認から約1か月後に上場します、とあります。承認は上場のゴールではありません。承認後の約1か月に、公募・売出しの手続と開示の準備が入ります。

🧭 監査意見で止まる

図2 監査意見が足りないと審査の対象にならない対象求められる意見根拠最近2年間のうち最近1年間を除く部分無限定適正意見 または 除外事項を付した限定付適正意見規程第205条第6号 b最近1年間原則として無限定適正意見規程第205条第6号 c

形式要件です。第205条に適合するものだけが第207条の上場審査の対象になります。ここで止まると、審査そのものが始まりません。

形式要件のひとつが、規程第205条第6号です。最近2年間のうち最近1年間を除く部分については、無限定適正意見または除外事項を付した限定付適正意見が記載されていること。最近1年間については原則として無限定適正意見です。

第205条の柱書は、第207条に定めるスタンダード市場の上場審査は次の各号に適合するものを対象として行う、としています。形式要件を満たさなければ、審査そのものが始まりません。

監査法人をいつまでに決めるかの逆算は監査法人はいつまでに決めれば間に合うかにまとめています。

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直前々期の期首から申請日までを月単位で引き直し、どの月に何が終わっていなければならないかを決めます。決算早期化、月次の締め、監査法人と主幹事への回答体制、そして組織再編の実施時期の調整まで含みます。すでに遅れが出ている場合は、どこで止まっているかの切り分けからお受けします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。

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🧾 組織再編は2年動かす

図3 組織再編で申請が受理されない場合論点内容根拠有価証券上場規程第205条第13号(合併等の実施の見込み)期間新規上場申請日以後、基準事業年度の末日から2年以内対象合併、会社分割、子会社化、非子会社化、事業の譲受け又は譲渡該当すると申請会社が実質的な存続会社でなくなると認められる場合に該当しないこと

上場直前の組織再編は、スケジュールを1年単位で動かします。再編を検討しているなら、申請時期から逆算してください。

規程第205条第13号が、合併等の実施の見込みを定めています。新規上場申請日以後、基準事業年度の末日から2年以内に、合併、会社分割、子会社化、非子会社化、事業の譲受けまたは譲渡を行う予定があり、かつ申請会社が実質的な存続会社でなくなると認められる場合に該当しないこと、という内容です。

実質的な存続会社でなくなる、という判定がポイントです。規模の大きな再編を上場直前に行うと、ここで引っかかります。

再編の実施時期は、税務や事業上の都合だけで決めないでください。申請時期から2年を逆算して、どこに置くかを先に決めます。

📅 遅れる場所は決まっている

図4 遅れが出る場所直前々期の期首までに監査に耐える帳簿ができていない直前期の監査意見が無限定にならない組織再編が第205条第13号に触れる引受審査の質問への回答が返らない取引所からの追加質問で審査期間が延びる上場承認から上場までの約1か月に開示の準備が間に合わない

遅れの多くは審査そのものではなく、その手前で起きています。時間軸を先に引いてください。

審査期間そのものが延びる理由の多くは、質問への回答が返らないことです。主幹事の引受審査でも、取引所の審査でも同じです。

回答が遅れるのは、担当者が忙しいからではありません。数値の出所が一本化されていないからです。同じ質問に別の資料から答えると、次の質問が増えます。

なお、予備申請と本申請の区分については、日本取引所グループの公表資料で説明を確認できませんでした。上場承認後の延期や取消しに関する条番号も、今回は確認できていません。この2点は、主幹事に直接お尋ねください。

❓ よくある質問

Q. 審査期間はどれくらいですか。

A. プライム市場で3か月、グロース市場で2か月が標準審査期間です。

Q. 承認されたらすぐ上場ですか。

A. グロース市場編のガイドブックに、上場承認から約1か月後に上場します、とあります。

Q. 直前々期の監査意見が限定付でも申請できますか。

A. 形式要件上は可能です(規程第205条第6号b)。直前期は原則として無限定適正意見が必要です。

Q. 上場直前に合併できますか。

A. 第205条第13号に該当すると、実質的な存続会社でなくなると認められる場合に当たり得ます。基準事業年度の末日から2年以内が対象です。

Q. 予備申請という制度はありますか。

A. 日本取引所グループの公表資料では確認できませんでした。主幹事にご確認ください。

Q. 審査期間が延びる理由は何ですか。

A. 多くは質問への回答の遅れです。数値の出所を一本化しておくことが最も効きます。

Q. 申請が受理されないことがありますか。

A. 形式要件に適合しない場合、審査の対象になりません(第205条柱書)。

Q. 上場延期はどう決まりますか。

A. 上場承認後の延期や取消しに関する条番号は、今回確認できていません。

📄 まとめ

標準審査期間はプライム3か月、グロース2か月。承認から上場までは約1か月です。

直前々期は限定付適正意見でも形式要件は満たしますが、直前期は原則として無限定適正意見です。

組織再編は基準事業年度の末日から2年以内が対象です。実施時期は申請時期から逆算します。

遅れの多くは審査の前で起きています。まず時間軸を1枚に引いて、どこが空白かを見てください。

📚 参考(公的な一次情報)

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