減損の兆候をどこで拾うか。4つの例示が有名ですが、実務で問題になるのは中身の読み方です。
営業活動から生ずる損益が継続してマイナス。この継続しての意味は、企業会計基準適用指針第6号の第12項(2)にあります。おおむね過去2期がマイナスであったことを指す、です。
そして市場価格の著しい下落。第15項は、少なくとも市場価格が帳簿価額から50パーセント程度以上下落した場合が該当する、としています。少なくとも、です。それ未満でも兆候になり得ます。
- 4つは例示であって限定列挙ではないこと
- 継続してがおおむね過去2期であること
- 当期の見込みが明らかにプラスなら該当しないこと
- 営業活動から生ずる損益の範囲
- 50パーセントが少なくともであること
- 兆候と認識と測定が3段階であること
📌 結論 例示は4つ、読み方は適用指針
会計基準本体には項番号がありません。二の1の(1)から(4)という見出し番号です。項番号があるのは適用指針のほうです。
固定資産の減損に係る会計基準の二の1が、減損の兆候として4つを例示しています。営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナス、使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化、経営環境の著しい悪化、市場価格の著しい下落です。
これは例示です。この4つに該当しなければ兆候なし、という限定列挙ではありません。
そして会計基準の本体には項番号がありません。二の1の(1)から(4)という見出し番号です。減損会計基準第◯項という書き方は誤りです。項番号があるのは企業会計基準適用指針第6号のほうです。
📅 継続しての意味
おおむね、です。2期ちょうどで機械的に線を引くものではありません。当期の見込みも見ます。
適用指針第6号の第12項(2)は、継続してマイナスとは、おおむね過去2期がマイナスであったことを指す、としています。
ただし、当期の見込みが明らかにプラスとなる場合は該当しないと考えることが適当である、と続きます。過去2期だけを機械的に見るのではありません。
また、継続してマイナスとなる見込みとは、前期と当期以降の見込みが明らかにマイナスとなる場合を指すものと考えられる、としています。過去だけでなく将来の見込みも兆候になります。
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🧮 営業活動から生ずる損益
損益計算書の営業損益の行をそのまま使うのではありません。適用指針第6号 第12項(1)の定義に沿って作り直します。
第12項(1)は、営業活動から生ずる損益を、営業上の取引に関連して生ずる損益としています。そして減価償却費や本社費等の間接的に生ずる費用を含む、としています。
さらに、損益計算書上は原価性を有しないものとして営業損益に含まれていない項目でも、営業上の取引に関連して生じた損益であれば含まれます。たな卸資産の評価損が例として挙げられています。
一方、支払利息など財務活動から生ずる損益や、利益に関連する金額を課税標準とする税金は含まれません。大規模な経営改善計画等により生じた一時的な損益も含まれません。
🧭 兆候から先
兆候がある、イコール減損を計上する、ではありません。3段階です。
第11項は、減損の兆候がある場合には、当該資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行う、としています。
兆候があるだけでは減損損失は計上されません。割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比べ、下回っている場合に認識し、その後に回収可能価額まで減額します。3段階です。
のれんの減損についてはのれんの減損はいつ判定するかにまとめています。共用資産とのれんの兆候は第16項と第17項に別に定めがあります。
❓ よくある質問
A. 例示です。限定列挙ではありません。
A. おおむね過去2期がマイナスであったことを指します(適用指針第6号 第12項(2))。
A. 当期の見込みが明らかにプラスとなる場合は該当しないと考えることが適当とされています。
A. 含めます。本社費等の間接的に生ずる費用も含みます。
A. 含めません。財務活動から生ずる損益です。
A. 第15項は、少なくとも50パーセント程度以上下落した場合が該当する、としています。それ未満でも兆候となり得ます。
A. 第13項(4)は、遊休状態になり将来の用途が定まっていないこと、としています。遊休であるだけでは足りません。
A. しません。認識の判定と測定という段階が続きます。
📄 まとめ
兆候の4つは例示です。会計基準の本体に項番号はなく、読み方は適用指針第6号にあります。
継続してはおおむね過去2期。ただし当期の見込みが明らかにプラスなら該当しません。
営業活動から生ずる損益は、損益計算書の営業損益そのままではありません。定義に沿って作り直します。
いま兆候の判定表がないなら、資産グループごとに毎期同じ様式で作れるようにしてください。判定の記録が残っていないことのほうが、監査では問題になります。
📚 参考(公的な一次情報)
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