欠損を填補するために準備金を取り崩したい。債権者への公告は必要か。
不要になる場合があります。会社法第449条第1項のただし書きです。ただし条件は厳しく、準備金の額のみを減少する場合で、かつ2つの要件をいずれも満たすときに限られます。
資本金の額を減少する場合は、常に債権者の異議手続が必要です。ここを混同しないでください。
- 不要になるのは準備金のみを減少する場合に限られること
- ただし書きの2要件(第449条第1項第1号・第2号)
- いずれにも該当することが必要であること
- 定時株主総会であることが要件であること
- 欠損の額の算定(会社計算規則第151条)
- 資本金の減少では常に必要であること
📌 結論 準備金のみのときだけ
不要になるのは、準備金の額のみを減少する場合に限られます。資本金の額を減少するなら常に必要です。
会社法第449条第1項は、株式会社が資本金又は準備金の額を減少する場合には、債権者は異議を述べることができる、としています。減少する準備金の額の全部を資本金とする場合は除かれます。
そしてただし書きです。準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでない。つまり債権者は異議を述べることができない、すなわち異議手続が不要になります。
資本金の額を減少する場合は、このただし書きの対象になりません。減資であれば公告と個別催告が必要です。
📐 2つの要件
いずれにも該当するとき、と条文にあります。いずれか、ではありません。両方を満たす必要があります。
第1号は、定時株主総会において第448条第1項各号に掲げる事項を定めることです。第448条第1項各号とは、減少する準備金の額、減少する準備金の額の全部または一部を資本金とするときはその旨と資本金とする額、効力発生日です。
第2号は、減少する準備金の額が、その定時株主総会の日における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないことです。
いずれにも該当するとき、と書かれています。いずれか、ではありません。両方です。ここを読み違えている資料を見かけます。
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🧭 手続の流れ
臨時株主総会では要件を満たしません。定時株主総会であることが第1号の要件です。
第1号は定時株主総会を求めています。臨時株主総会では要件を満たしません。決算のタイミングに合わせて進めることになります。
そして第2号の欠損の額を先に計算します。減少する準備金の額がこの額を超えていれば、ただし書きは使えません。
要件を満たさない場合は、通常どおり公告と個別催告を行います。期間もかかりますので、スケジュールを先に引いてください。
🧮 欠損の額の算定
分配可能額がプラスなら、第2号はマイナスになるので欠損の額は零です。つまり準備金を減らす余地がありません。
会社計算規則第151条は、法第449条第1項第2号の法務省令で定める方法として、次に掲げる額のうちいずれか高い額をもって欠損の額とする方法、としています。第1号が零、第2号が零から分配可能額を減じて得た額です。
分配可能額がプラスであれば、第2号はマイナスになります。したがって高いほうは第1号の零となり、欠損の額は零です。この場合、減少できる準備金の額も零になります。
つまり、このただし書きは分配可能額がマイナスの会社のための規定です。分配可能額の計算そのものとあわせて確認してください。
❓ よくある質問
A. 準備金の額のみを減少する場合で、第449条第1項ただし書きの2つをいずれも満たすときに限ります。
A. 常に債権者の異議手続が必要です。
A. 条文は、いずれにも該当するとき、としています。両方必要です。
A. 第1号は定時株主総会を求めています。
A. 会社計算規則第151条により、零と、零から分配可能額を減じて得た額のうち、いずれか高い額です。
A. 欠損の額は零になります。ただし書きを使う余地がありません。
A. 減少する準備金の額の全部を資本金とする場合は、第449条第1項の括弧書きによりそもそも対象外です。
A. 会社法第452条です。損失の処理などを株主総会の決議で行います。
📄 まとめ
債権者の異議手続が不要になるのは、準備金の額のみを減少する場合に限られます。
要件は2つ、いずれにも該当することが必要です。定時株主総会での決議と、欠損の額を超えないこと。
欠損の額は会社計算規則第151条で算定します。分配可能額がプラスなら零です。
スケジュールを先に引いてください。ただし書きが使えない場合、公告と個別催告の期間が必要になります。
📚 参考(公的な一次情報)
- 会社法(e-Gov法令検索) 第447条、第448条、第449条、第450条、第451条、第452条
- 会社計算規則(e-Gov法令検索) 第151条
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