時価のレベル1・2・3はどう見分けるか|重要なインプットの最も低いレベル

時価のレベル1、2、3をどう見分けるか。そして注記でどのレベルに入れるか。

レベルの定義は企業会計基準第30号の第11項にあります。レベル1は活発な市場における同一の資産又は負債に関する相場価格、レベル2は直接または間接的に観察可能なインプットのうちレベル1以外、レベル3は観察できないインプットです。

そして分類のルールは第12項です。複数のレベルに区分される場合には、重要なインプットが属するレベルのうち最も低いレベルに区分します。最も高いレベル、ではありません。

この記事でわかること

  • レベル1・2・3の定義(第11項)
  • 優先順位はインプットの話であること
  • 分類は最も低いレベルによること(第12項)
  • 注記の根拠が金融商品会計基準であること
  • 市場価格のない株式等の扱い
  • 時価の定義が出口価格であること

📌 結論 最も低いレベルに寄せる

図1 3つのレベルレベルインプットの内容レベル1時価の算定日において、企業が入手できる活発な市場における同一の資産又は負債に関する相場価格であり調整されていないものレベル2資産又は負債について直接又は間接的に観察可能なインプットのうち、レベル1のインプット以外のインプットレベル3資産又は負債について観察できないインプット

企業会計基準第30号 第11項です。レベル1が最も優先順位が高く、レベル3が最も低い、と定められています。優先順位はインプットの話です。

第11項は、時価の算定に用いるインプットを3つのレベルに分け、レベル1のインプットが最も優先順位が高く、レベル3のインプットが最も優先順位が低い、としています。

ここで優先順位と言っているのはインプットの話です。評価技法の優先順位ではありません。評価技法については第8項が、関連性のある観察可能なインプットを最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にする、としています。

そして第12項です。時価の算定に用いたインプットが複数のレベルに区分される場合には、重要なインプットが属するレベルのうち最も低いレベルに当該時価を区分します。

🧭 レベルの決め方

図2 レベルの決め方時価の算定に用いたインプットを洗い出すそれぞれがレベル1か2か3かを判定する複数のレベルに区分される場合を確認する重要なインプットが属するレベルのうち、最も低いレベルに区分する(第12項

最も高いレベルではありません。最も低いレベルです。ここを逆に覚えていると、注記の区分が全部ずれます。

実務では、まず使ったインプットを一覧にします。相場価格、金利、信用スプレッド、割引率、将来キャッシュ・フローの見積り。これらがそれぞれどのレベルかを判定します。

次に、そのうちどれが重要なインプットかを判断します。そして重要なものの中で最も低いレベルに、その時価全体を区分します。

1つでも重要なレベル3のインプットが入っていれば、その時価はレベル3です。ここが逆になっていると、注記の表が全部ずれます。

時価の算定と注記をお引き受けします

評価技法の選定、インプットの洗い出しとレベル判定、重要性の判断、そしてレベルごとの内訳の注記まで通してお受けします。非上場株式や複雑な金融商品を持っている会社では、算定書の読み方からご一緒します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。

お問い合わせはこちら開示と注記の通し整理を読む料金の目安を見る

読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか

いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。

初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら

📝 注記の根拠

図3 注記の根拠はどこか論点根拠レベルごとの内訳等を注記すること企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第40-2項(3)注記の具体的な内容企業会計基準適用指針第19号 第5-2項レベル分類のルール企業会計基準第30号 第12項市場価格のない株式等時価を注記せず、概要及び貸借対照表計上額を注記する(第40-2項(2)なお書き)

注記を求めているのは金融商品会計基準です。時価算定会計基準はレベル分類のルールを定めるもので、注記の要求規定ではありません。

レベルごとの内訳等に関する事項を注記することを求めているのは、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の第40-2項(3)です。

その具体的な内容は、企業会計基準適用指針第19号の第5-2項が定めています。時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債について、適切な区分に基づき、レベル1、レベル2、レベル3の時価の合計額をそれぞれ注記します。

なお、市場価格のない株式等については時価を注記しません。第40-2項(2)のなお書きにより、当該金融商品の概要及び貸借対照表計上額を注記します。

🚫 まちがえやすいところ

図4 まちがえやすいところよくある誤解実際時価とは市場価格のこと算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、売却によって受け取る価格または移転のために支払う価格です(第5項)レベル分類は最も高いレベルによる重要なインプットが属するレベルのうち最も低いレベルです(第12項)レベル3は時価が算定できないレベル3も時価です。注記の対象になりますレベル別注記の根拠は時価算定会計基準金融商品会計基準 第40-2項(3)と適用指針第19号 第5-2項で

この4つを押さえておけば、監査法人との議論で足元をすくわれません。

第5項の時価の定義は、算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格または負債の移転のために支払う価格です。売る側から見た価格、いわゆる出口価格の考え方です。

市場価格そのものではありません。市場価格はレベル1のインプットの1つです。

そしてレベル3も時価です。時価が算定できないという意味ではありません。観察できないインプットを使って算定した時価、という意味です。

❓ よくある質問

Q. レベル1とは何ですか。

A. 活発な市場における同一の資産又は負債に関する相場価格であり調整されていないものです(第11項)。

Q. レベル2とレベル3の違いは。

A. レベル2は直接または間接的に観察可能なインプット、レベル3は観察できないインプットです。

Q. 複数のレベルが混ざったら。

A. 重要なインプットが属するレベルのうち最も低いレベルに区分します(第12項)。

Q. 優先順位とは何の優先順位ですか。

A. インプットの優先順位です。評価技法の優先順位ではありません。

Q. 注記の根拠はどこですか。

A. 金融商品会計基準 第40-2項(3)と、適用指針第19号 第5-2項です。

Q. 市場価格のない株式等は。

A. 時価を注記せず、概要及び貸借対照表計上額を注記します。

Q. 重要性が乏しい場合は。

A. 注記を省略することができるとされています。

Q. 個別でも注記しますか。

A. 連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しないとされています。

📄 まとめ

レベルの定義は第11項、分類のルールは第12項です。重要なインプットが属するレベルのうち最も低いレベルに寄せます。

優先順位はインプットの話で、評価技法の話ではありません。

注記を求めているのは金融商品会計基準の第40-2項(3)、内容は適用指針第19号の第5-2項です。

いま使っている算定書に、インプットとその出所が書かれているか。まずそこを確かめてください。レベル判定はそこからしか始まりません。

📚 参考(公的な一次情報)

IPO支援に強い、公認会計士 IPO支援に強い、公認会計士

ベンチャー・スタートアップ企業の
経営管理支援・IPO支援

お問い合わせ

書くより話すほうが早いときは、お電話でも承ります TEL 03-6820-0406