適格合併の要件はどこで落ちるか。まず、支配関係の割合で見る要件の数が変わります。
法人税法第2条第12号の8のイは完全支配関係型で、金銭等不交付のほかに追加の要件はありません。ロは支配関係型で、従業者引継要件と事業継続要件の2つが加わります。ハは共同事業型で、政令の要件が5つになります。
そして共同事業型でよく誤解されるのが、規模要件と特定役員引継要件の関係です。この2つは別々の号ではありません。施行令第4条の3第4項第2号の中で、または、で結ばれています。
- 3つの類型と要件の数の違い
- 規模要件と特定役員引継要件が同じ号にあること
- 従業者のおおむね80パーセントの意味
- 金銭等不交付要件から除かれるもの
- 3分の2以上を持つ場合の特例
- 見込まれていること、という文言の重さ
📌 結論 関係の強さで要件の数が変わる
柱書が金銭等不交付を求め、イロハで関係と追加要件が変わります。完全支配関係なら追加要件はありません。
柱書は、株式または出資以外の資産が交付されないもの、としています。これが金銭等不交付要件です。
そのうえでイが完全支配関係、ロが支配関係、ハが共同事業です。完全支配関係があれば、対価要件だけで適格になります。
支配関係の定義は第2条第12号の7の5で、発行済株式等の総数または総額の百分の五十を超える数または金額の株式を直接または間接に保有する関係です。完全支配関係は第12号の7の6で、全部を保有する関係です。
🧭 共同事業要件は5つの号
規模要件と特定役員引継要件は、別々の号ではありません。第2号の中で、または、で結ばれています。どちらかを満たせば足ります。
施行令第4条の3の見出しは、適格組織再編成における株式の保有関係等です。第4項が合併の共同事業要件を定めています。
第1号が事業関連性、第2号が規模または特定役員、第3号が従業者、第4号が事業継続、第5号が株式継続保有です。
第2号の規模の指標として、売上金額、従業者の数、資本金の額もしくは出資金の額が条文に挙げられています。おおむね五倍を超えないこと、という書き方です。
規模が5倍を超えるなら、特定役員となることが見込まれていること、で代替できます。ここを別々の要件として両方を満たそうとする設計は、条文と合っていません。
支配関係の割合の確認、対価の設計、従業者の引継ぎ見込みの文書化、そして共同事業要件の各号への当てはめまで通してお受けします。すでに実行してしまった再編について、適格性を後から検証する作業もお受けします。見込まれていること、という文言をどう説明するかが実務の勝負どころです。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 対価に現金が混ざってもよい場合
3分の2以上を持っていれば、少数株主に現金を渡しても金銭等不交付要件を外しません。スクイーズアウト型の合併がここに入ります。
柱書の括弧書きが、金銭等不交付要件から除かれるものを列挙しています。
ひとつが剰余金の配当等として交付される金銭その他の資産。もうひとつが反対株主の買取請求に基づく対価です。
そして3つめが、合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数または総額の三分の二以上を有する場合に、合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産です。
3分の2以上を持っていれば、少数株主に現金を渡して締め出しても、金銭等不交付要件は外れません。この設計を知らないと、無理に株式を交付することになります。
📅 見込まれていること
見込まれていること、という文言です。実績ではありません。ただし、見込みの根拠は説明できなければなりません。
ロの従業者引継要件は、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれていること、です。
業務の範囲には、合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務が含まれます。また、合併後にさらに適格合併により主要事業が移転することが見込まれる場合には、その合併法人等の業務も含まれます。
事業継続要件は、主要な事業が引き続き行われることが見込まれていること、です。どちらも見込みで判定します。実績ではありません。
ただし、見込みであるからこそ、その根拠が要ります。人員配置の計画、事業計画、取締役会の決議。再編の実行前に文書で残してください。
❓ よくある質問
A. イに当たり、金銭等不交付のほかに追加の要件はありません。
A. 見込みです。おおむね百分の八十以上に相当する数の者が従事することが見込まれていること、という文言です。
A. 必要ありません。施行令第4条の3第4項第2号の中で、または、で結ばれています。
A. 売上金額、従業者の数、資本金の額もしくは出資金の額です。おおむね五倍を超えないこと、とされています。
A. 合併の直前に合併法人が3分の2以上を有していれば、金銭等不交付要件から除かれます。
A. 除外されています。
A. 適格分割は第2条第12号の11、適格現物出資は第12号の14です。イロハの3類型という構造は同じです。
A. 人員配置の計画、事業計画、取締役会の決議などです。実行前に日付の入った文書で残してください。
📄 まとめ
関係の強さで要件の数が変わります。完全支配関係なら対価要件だけです。
共同事業要件は施行令第4条の3第4項の5つの号。規模と特定役員は第2号の中で選択的です。
3分の2以上を持つ場合、少数株主への金銭交付は金銭等不交付要件から除かれます。
すべて見込みで判定します。だからこそ、実行前に根拠を文書で残してください。後から作った資料は通りません。
📚 参考(公的な一次情報)
- 法人税法(e-Gov法令検索) 第2条第12号の7の5、第12号の7の6、第12号の8
- 法人税法施行令(e-Gov法令検索) 第4条の3