分社型分割と分割型分割はどう違うか|対価の行き先とみなし配当

分社型分割と分割型分割の違いは、対価がどこへ行くかです。

法人税法第2条第12号の10の分社型分割は、分割対価資産が分割法人の株主等に交付されない場合です。会社に残るので、子会社ができます。

第12号の9の分割型分割は、分割対価資産の全てが分割法人の株主等に交付される場合です。株主が承継会社の株式を直接持ちます。

この記事でわかること

  • 2つの分割の号番号と定義
  • 会社法に分割型分割という語がないこと
  • 剰余金の配当の定めで作ること
  • 適格分割型と適格分社型の号番号
  • みなし配当が生じる場合
  • 選び方の順番

📌 結論 対価が株主に行くか会社に残るか

図1 2つの分割の定義(法人税法第2条)定義第12号の9(分割型分割)分割対価資産の全てが分割法人の株主等に交付される場合、または分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合の分割第12号の10(分社型分割分割対価資産が分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く)第12号の12適格分割型分割第12号の13適格分社型分割

対価が株主に行くか、会社に残るか。これだけの違いです。会社に残るのが分社型で、子会社ができます。

第12号の9のイが、分割対価資産の全てが分割法人の株主等に交付される場合、または直接に交付される場合です。ロは無対価分割で分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合等を扱います。

第12号の10のイが、分割対価資産が分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割です。無対価分割は除かれます。ロが無対価分割で分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合です。

そして適格分割型分割が第12号の12、適格分社型分割が第12号の13です。号番号を取り違えると条文にたどり着けません。

🧭 会社法では剰余金の配当として作る

図2 会社法にはどう書かれているか内容第758条第8号ロ(吸収分割契約)剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継株式会社の株式のみであるものに限る。第758条第8号イ第171条第1項の規定による株式の取得(取得対価が吸収分割承継株式会社の株式のみであるものに限る。)第763条第1項第12号ロ(新設分割計画)剰余金の配当(配当財産が新設分割設立株式会社の株式のみであるものに限る。

会社法に分割型分割という語はありません。効力発生日または成立日に剰余金の配当等を行う旨を分割契約や分割計画に定める、という形で作ります。

会社法に分割型分割という類型はありません。吸収分割契約に定める事項を列挙した第758条の第8号を見てください。

第8号ロが、剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継株式会社の株式のみであるものに限る。)です。効力発生日にこの配当を行う旨を分割契約に定めることで、対価が株主に渡ります。

新設分割の場合は第763条第1項第12号です。柱書が、新設分割株式会社が新設分割設立株式会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨、としています。ロが同じく剰余金の配当です。

会社法の条文を探しても分割型分割は出てきません。この2箇条を見てください。

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🧾 みなし配当はどこで生じるか

図3 みなし配当が生じる場合事由法人税法第24条第1項第1号合併(適格合併を除く)同 第2号分割型分割(適格分割型分割を除く)同 第3号株式分配(適格株式分配を除く)同 第4号資本の払戻し、残余財産の分配同 第5号自己株式の取得

分割型分割でも、適格であればみなし配当は生じません。非適格の分割型分割が第2号です。分社型分割は第24条第1項に挙げられていません。

法人税法第24条第1項が、みなし配当が生じる事由を列挙しています。第1号が合併(適格合併を除く)、第2号が分割型分割(適格分割型分割を除く)です。

適格であれば生じません。非適格の分割型分割が対象です。

そして分社型分割は第24条第1項に挙げられていません。対価が株主に交付されないため、株主段階の課税が生じないという構造です。

📅 選び方の順番

図4 どちらを選ぶか切り出した事業を子会社として持ちたいか、株主が直接持つ形にしたいかを決め子会社にするなら分社型、株主が直接持つなら分割型分割型にするなら、分割契約または分割計画に剰余金の配当の定めを置く適格要件を満たすかを確認する(第12号の12または第12号の13)非適格の分割型分割ならみなし配当が生じることを織り込む

税務上の分類が先ではありません。何を実現したいかを決めてから、会社法の書き方を選びます。

税務上の分類から入らないでください。まず、切り出した事業を子会社として持ちたいのか、株主が直接持つ形にしたいのかを決めます。

持株会社を作りたいなら分社型、事業を株主に分けたいなら分割型です。そのうえで、会社法上の書き方と適格要件を確認します。

繰越欠損金の引継ぎと使用制限については欠損金の繰越控除とはもあわせてご覧ください。分割では合併と扱いが異なります。

❓ よくある質問

Q. 分割型分割の号番号は。

A. 法人税法第2条第12号の9です。分社型分割は第12号の10です。

Q. 適格の号番号は。

A. 適格分割型分割が第12号の12、適格分社型分割が第12号の13です。

Q. 会社法に分割型分割はありますか。

A. その語はありません。第758条第8号ロまたは第763条第1項第12号ロの剰余金の配当の定めで作ります。

Q. 分割型でみなし配当は必ず生じますか。

A. 生じません。第24条第1項第2号は適格分割型分割を除いています。

Q. 分社型でみなし配当は生じますか。

A. 第24条第1項に分社型分割は挙げられていません。

Q. 無対価分割はどちらですか。

A. 保有関係によって分かれます。第12号の9ロと第12号の10ロを確認してください。

Q. 持株会社を作るならどちらですか。

A. 事業を子会社に移すなら分社型です。株式移転を使う方法もあります。

Q. 対価は株式だけですか。

A. 適格分割の柱書は、分割承継法人または分割承継親法人のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの、としています。

📄 まとめ

対価が株主に行けば分割型、会社に残れば分社型です。号番号は第12号の9と第12号の10です。

会社法に分割型分割という語はありません。剰余金の配当の定めで作ります。

みなし配当は非適格の分割型分割で生じます(第24条第1項第2号)。

何を実現したいかを先に決めてください。税務上の分類は、その結果として決まります。

📚 参考(公的な一次情報)

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