新リース会計基準の導入支援は外部に頼むべきか|費用の目安・依頼範囲・依頼先の選び方

結論 新リース会計基準の対応は、契約の洗い出しなど社内でしかできない作業と、判断や計算など外部の知見が効く作業に分かれます。全部を任せるか全部を自社でやるかではなく、工程ごとに切り分けて依頼するのが現実的です。

  • 強制適用は2027年4月1日以後開始する事業年度の期首から(2025年4月1日以後開始する事業年度の期首から早期適用可)。3月決算会社なら2027年4月1日に始まる事業年度からです。
  • 当事務所の新リース会計基準の導入支援は一括40万〜120万円(税別)、期間は4〜8か月が目安です。契約件数と拠点数で変わります。
  • 費用を動かすのは、契約数、拠点数、子会社の有無、システムの使い方、IFRS第16号の経験の有無です。
  • 自社の監査人には、公認会計士法や日本公認会計士協会の倫理規則による独立性の規制により、財務書類の作成にあたる作業は頼めないことがあります。助言と作業の区別を最初に確認してください。

新リース会計基準(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」)の適用により、借手は原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を貸借対照表に計上することになります。経理部門だけで対応できるのか、外部のコンサルや会計事務所に頼むべきか、頼むならいくらかかり、どこに頼めばよいのか。この記事は、そうした発注前の判断に必要な情報をまとめたものです。

基準の全体像は新リース会計基準とは?いつから適用かと全体像、見積り金額が変わる要因の詳しい解説は新リース会計基準の対応費用はどう決まる?見積りを左右する4つの要因と外部委託の切り分けで扱っています。本記事は、外部に頼むかどうかの判断と、依頼先の選び方に重点を置きます。

新リース会計基準の導入支援は外部に頼むべきか|判断の目安

外部に頼むかどうかは、会社の規模よりも「社内に判断できる人と時間があるか」で決まります。目安を整理すると次のとおりです。

会社の状況 進め方の目安
リース契約が少なく、不動産賃貸借も本社など数件。経理に新基準を読み込む時間がある 自社中心で進め、会計方針や判定の結論だけを外部に確認してもらう
店舗・営業所・倉庫など拠点が多く、契約が部署ごとに散在している 契約の洗い出しは社内で行い、リースの識別やリース期間の判定、計算モデルづくりを外部に頼む
子会社があり連結で対応する。決算日程に余裕がない 移行計画の管理(PMO)から注記作成まで、継続的な伴走を検討する
上場準備中、または監査法人との協議が始まっている 監査人が確認する論点を先回りして整理できる支援者を入れる

外部に頼むと費用はかかりますが、論点の判断を誤って後から台帳や計算をやり直す手戻りを減らせます。反対に、外部に頼んでも、契約の所在を知っているのは社内の担当者です。契約の洗い出しまで丸ごと任せようとすると、確認のやり取りが増え、かえって費用がかさむことがあります。

外部に頼むか迷う場合は、次の3つを社内で確かめてみてください。1つ目は、リースを含む可能性のある契約がどこに何件あるかを、おおよそでも答えられるか。2つ目は、リース期間の判定や割引率の決め方について、基準と適用指針を読んで方針案を作れる担当者がいるか。3つ目は、その担当者が月次・年次決算と並行して、適用開始までに必要な時間を確保できるか。いずれかに不安があれば、その部分だけを外部に頼むという選択肢があります。

自社に当てはめるとどうなるか、個別にお答えします

新リース会計基準の導入支援:契約の棚卸し、リース期間・割引率の決め方、台帳と注記の作成まで。初回のご相談は無料、オンラインにも対応しています。
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自社でやる範囲と外部に頼む範囲はどう分けるか

新リース対応の工程と、社内・外部の分担の考え方は次のとおりです。

工程 自社が担う部分 外部に頼みやすい部分
契約の棚卸し 各部署・拠点からの契約書や請求書の収集 収集方法の設計、リースを含む契約の抽出、非リース部分の区分
会計方針の決定 最終的な方針の決定(経営者の判断) 短期リース・少額リースの簡便的な取扱い、リース期間・割引率の社内ルール案
リース期間・割引率の判定 延長・解約の見込みなど事業上の情報の提供 判定の論点整理、根拠資料の作成
計算・台帳 運用後の更新、新規契約の登録 使用権資産・リース負債の計算、台帳とExcelモデルの構築、引き継ぎ
税務 申告書の作成(顧問税理士と連携) 会計と税務の差異の整理、申告調整の考え方
開示・監査対応 監査法人への説明の窓口 注記のドラフト作成、監査法人との事前協議の資料づくり

大切なのは、外部に頼んでも会計方針を決める責任は会社に残るという点です。外部の支援者は選択肢と根拠を示し、作業を代行しますが、どの方針を採るかは会社が決め、監査法人に説明します。リース期間や割引率の考え方は新リース会計基準の割引率とは?追加借入利子率の決め方、簡便的な取扱いは新リース会計基準の短期リース・少額リースとは?で解説しています。

当事務所の新リース会計基準 導入支援では、契約の棚卸し代行、使用権資産・リース負債の計算代行、会計方針・判定ルールの策定、管理台帳・Excelモデルの構築、開示注記の作成代行、移行PMO・監査対応の6つのメニューから、必要な工程だけを切り出してご依頼いただけます。

新リース導入支援の費用の目安と、費用が変わる要因

新リース会計基準の導入支援の費用について、公表された相場の統計は見当たりません。各社の金額は、どの工程まで含むか、システム導入を含むかで前提が大きく違うため、金額だけを比べるのは難しいのが実情です。当事務所の料金は、料金の目安ページのとおり一括40万〜120万円(税別)、期間は4〜8か月が目安で、契約件数と拠点数で変わります。

金額が上下する主な要因は次のとおりです。

要因 費用が抑えやすい場合 費用が増えやすい場合
契約数 リースを含む契約が少なく、様式が揃っている 契約が多く、不動産・設備・車両・業務委託など種類が多い
拠点数 本社のみ、または少数の拠点 店舗や営業所が多く、拠点ごとに契約が管理されている
子会社 単体のみ 連結子会社があり、親子間リースの消去や子会社ごとの方針統一が必要
システム 既存の固定資産システムやExcelで台帳を運用できる 新しいリース管理システムを選定・導入し、データ移行を伴う
IFRS第16号の経験 海外子会社などでIFRS第16号の適用経験があり、社内に知見がある 使用権資産の会計処理を社内で扱った経験がない
契約情報の整備状況 契約書が電子化され一元管理されている 契約書が各部署に紙で保管され、所在がわからないものもある

また、外部費用だけでなく、経理部門や各拠点の担当者が使う社内の時間も、実質的なコストです。工程ごとの外部委託の効き方は対応費用はどう決まる?の記事で詳しく整理しています。

読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか

いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。

初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら / 新リース会計基準の導入支援を見る

新リース会計基準はいつから?適用時期から逆算するスケジュール

企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年9月に公表した企業会計基準第34号は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するとしています。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用することもできます。

3月決算の会社を例にすると、準備の流れは次のようになります。12月決算の会社は2028年1月1日に始まる事業年度から適用になるため、各段階が9か月後ろにずれます。

時期(3月決算の例) 主な作業
いま〜2026年内 現状診断、契約の棚卸し
〜2027年3月(適用前の事業年度末) 会計方針の決定、影響額の試算、台帳と計算モデルの整備
2027年4月1日 適用開始。期首の使用権資産とリース負債を計上
2028年3月期の決算 注記の作成、監査対応

当事務所の支援期間の目安は4〜8か月ですが、契約の棚卸しは社内の回収作業に時間がかかるため、早めに着手するほど選択肢が残ります。適用初年度の期首の扱いは経過措置の選び方によって変わります(新リース会計基準の経過措置とは?)。影響額が財務指標にどう表れるかは新リース会計基準の影響は?自己資本比率・EBITDAへのインパクトをご覧ください。

新リース会計基準のコンサルはどこに頼む?依頼先の比較

主な依頼先と、それぞれで確認しておきたい点は次のとおりです。

依頼先 向いている場面 確認しておきたい点
自社の監査法人 論点ごとの見解の確認、事前協議 監査人は独立性の規制があり、台帳作成や計算の代行など財務書類の作成にあたる作業は頼めないことがある
監査法人グループのアドバイザリー法人 大規模な企業グループ、海外子会社を含む対応 自社の監査人と同じグループの場合、同様に独立性の制約を受けないか
システムベンダー リース管理システムの導入とデータ移行 会計方針の判定(リースの識別、リース期間など)まで支援範囲に含まれるか
独立系の会計事務所・コンサル 中小・中堅企業、上場準備会社。必要な工程だけを頼みたい場合 担当者が実際に作業するか、税務との差異や監査対応まで見られるか

監査法人の独立性について補足します。公認会計士法は、監査法人やその監査法人が実質的に支配する法人などが、大会社等から財務書類の調製など内閣府令で定める非監査証明業務により継続的な報酬を受けている場合、その会社の財務書類の監査をしてはならないと定めています(第34条の11の2。公認会計士個人については第24条の2)。この規定の対象は上場会社や一定規模以上の会計監査人設置会社などの「大会社等」ですが、それ以外の会社でも、日本公認会計士協会の倫理規則により監査人が提供できる非監査業務は制限されます。そのため、監査人に「計算と台帳づくりを任せる」ことは難しい場合があります。一方、論点についての見解の確認や事前協議は、監査の過程で行われるものです。どこまで頼めるかは、監査人に直接確認してください。

監査を受けていない会社や、上場準備でこれから監査を受ける会社の場合も、将来の監査人との関係を考えて、作業を担う支援者と監査人を分けておくと進めやすくなります。

新リース導入支援の見積りで確認すること

見積りや提案書を受け取ったら、次の点を確認してください。複数社を比べる場合は、同じ条件に揃っているかが重要です。

  1. 支援範囲:助言だけか、棚卸しや計算、注記作成まで代行するのか。工程ごとに書かれているか。
  2. 対象の範囲:単体のみか、子会社を含むか。対象とする契約件数・拠点数の前提。
  3. 成果物:会計方針書、判定の根拠資料、リース台帳、計算モデル、注記ドラフトのどれが含まれるか。
  4. 引き継ぎ:適用後に自社で台帳を更新できるよう、操作方法や更新手順の引き継ぎがあるか。
  5. 監査対応:監査法人との協議への同席や、照会への回答が含まれるか。
  6. 追加費用の条件:契約件数が想定を超えた場合、スケジュールが延びた場合の扱い。
  7. システムとの関係:システム導入費用が別にかかるか、方針決定の前に導入を前提としていないか。
  8. 担当者:実際に作業する担当者と、その会計・監査の経験。

よくある質問

新リース会計基準の導入支援の費用はいくらですか。

当事務所では一括40万〜120万円(税別)が目安で、契約件数と拠点数によって変わります。棚卸しや注記作成など特定の工程だけを依頼するスポットのご依頼もできます。現状を伺ったうえで、必要な工程と金額を無料でご提示します。

監査法人に相談すれば、外部のコンサルは不要ですか。

論点についての見解は監査法人に確認できますが、監査人は独立性の規制により、計算や台帳の作成など財務書類の作成にあたる作業を代行できない場合があります。作業の担い手が社内にいなければ、外部の支援を検討することになります。

いつから準備を始めればよいですか。

3月決算の会社は2027年4月1日に始まる事業年度の期首から適用されます。契約の棚卸しには社内での回収に時間がかかるため、まだ着手していない場合は、できるだけ早く棚卸しを始めると、方針決定と影響額の試算に余裕を持てます。

システムを導入しないと対応できませんか。

契約件数が少なければ、Excelの台帳と計算モデルで運用できることもあります。先に会計方針と簡便的な取扱いを決めてから、必要な機能を見極めてシステムを選ぶと、過不足のない投資にしやすくなります。

ご相談・お見積り

当事務所は東京都台東区の公認会計士・税理士事務所です。新リース会計基準の導入支援について、初回相談は無料で、お見積りも無料です。資料が揃っていなくても、決算期がわかれば逆算スケジュールの考え方をお示しできます。

本記事の根拠

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