CGコード2026年改訂とは?変更点と実務対応

※本記事は2026年9月24日時点の公表資料に基づきます。

コーポレートガバナンス・コード(CGコード)は、上場会社の企業統治の基本的な考え方を示すものです。「2026年改訂で、結局どこから手を付ければよいのか」。上場会社の管理部門やIPO準備の現場では、原則の統合や解釈指針の新設を前に、従来のチェックリストをどう見直すかが悩みになります。

結論からいえば、今回の改訂は項目数を減らすこと自体が目的ではありません。持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向け、取締役会が成長投資、経営資源配分、リスクテイクを実質的に監督し、その判断を投資家に説明できる状態へ移すことが中心です。

2026年CGコード改訂の要点は「形式から実質へ」

金融庁と東京証券取引所は2026年7月21日、コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)を確定しました。コードは法令のように一律の行為を命じるものではなく、各社が自社の事情に照らして原則を実施するか、実施しない場合には理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」を採ります(序文4〜7項)。ただし、各原則を実施しない場合の理由説明は上場規則に基づく対応です。原則の不実施と、理由を説明しないことは区別する必要があります(東証FAQ・管理番号6921)。

今回の改訂では、重複する規定を統合し、原則の趣旨を具体化する「解釈指針」が設けられました。解釈指針それ自体はコンプライ・オア・エクスプレインの対象ではありませんが、原則の狙いを理解し、自社の取組みを説明する手掛かりになります(序文9項)。

書類の有無から、判断の中身へ仕組みを確認働き方を確認✓ 規程がある✓ 委員会がある✓ 報告書がある何を比較したかなぜ選んだか何を見直したか書類を土台に、意思決定まで確かめる

図1 左右は制度の新旧ではなく、確認する深さの違いです。

観点 形式に偏った確認の例 実質を見る際の着眼点
コードの読み方 個別項目の充足確認が中心 原則の趣旨から自社の取組みを再評価
取締役会 報告の受領で議論が終わる 成長投資と資源配分を検証し、必要に応じて見直す
開示 定型文を更新する 判断過程と成果を一貫した物語で示す

ここで気を付けたいのは、「形式から実質へ」という言葉で、従来の対応をすべて否定しないことです。規程や委員会、報告書が不要になったわけではありません。そうした仕組みを置いた結果、誰がどの情報を使い、どの判断を変えられるようになったのか。そのつながりを確かめるのが、実務の出発点になります。

たとえば、投資審査規程がある会社でも、実際には予算枠に収まるかどうかしか確認していない場合があります。一方、規程の枚数は少なくても、代替案や失敗時の対応まで議論している会社もあります。書類の厚さだけを比べても、監督の実効性は分かりません。上の表は旧制度と新制度の一対一の比較ではなく、対応を見直す際の着眼点を整理したものです。

プリンシプルベースと解釈指針の関係

プリンシプルベースとは、細かな方法を一律に決めず、原則の目的に照らして各社が最適な方法を選ぶ考え方です。したがって、解釈指針の例示をすべて採用することが正解とは限りません。重要なのは、自社の事業特性、成長段階、株主構成、リスクを踏まえ、なぜその方法が企業価値向上につながるのかを説明できることです。

原則と解釈指針は、役割が違う基本原則原則実施するか、理由を説明する対象解釈指針:趣旨と実務の例それ自体は実施・説明の対象外方法を選ぶときの理解を助ける

図2 対象となる原則と、その理解を支える解釈指針を区別します。

実施する場合にも、その理由を説明することには意味があります。「委員会を設置しています」で止めず、どの課題のために、誰が関与し、経営判断にどうつながるのかを示す。読み手が知りたいのは、名称の有無より、その会社で仕組みが働く理由でしょう。

解釈指針は、原則の理解を助け、望ましい実務の例を示すものです。記載された手段そのものを採らなくても、趣旨を実現する別の方法を選び得る一方、読まずに無関係と判断するのも適切ではありません。原則と解釈指針を分けて読み、前者についての判断を後者で深める関係として捉えます(序文8・9項)。

また、番号が消えた項目をそのまま社内管理から外すのは早計です。今回の整理は、移された記述や取組みの重要性が失われたことを意味しません。新旧対照表は削除箇所の一覧としてではなく、これまでの対応の趣旨がどこに引き継がれたかを探すために使うと、確認漏れを防ぎやすくなります(序文11・12項)。

市場区分によって適用範囲を確認する

東証の更新資料では、改訂後の基本原則は各市場でコンプライ・オア・エクスプレインの対象となり、原則はプライム・スタンダード市場で対象となる整理が示されています。プライム市場向けの記載もあるため、自社の市場区分を確認せず、他社の報告書の判定だけを移すことは避けます。

グロース市場だから企業統治の検討が不要になる、という読み方でもありません。基本原則の趣旨を実現するため、自社にどのような仕組みが必要かは考える必要があります。形式上の説明対象の範囲と、経営上の課題として取り組む範囲を分けて整理すると、過不足のない対応を考えやすくなります。

主な変更点を実務の言葉で整理する

成長投資と経営資源配分

取締役会には、会社が目指す方向に即した成長の道筋を構築し、設備、人材、研究開発、知的財産、M&Aなどへの投資を含む経営資源の配分を監督する役割があります(原則4-1、原則4-2)。現預金を保有すること自体の是非ではなく、事業機会、資本コスト、財務余力、リスクをどう比較して配分を決めたかが問われます。

投資判断は、両側を見て考える成長の機会期待する成果リスク・余力耐えられるか支点:自社の戦略と資本コスト

図3 同額に揃える意味ではありません。期待する成果とリスクの両方を検討する概念図です。

資本コストは、資金を提供する側がリスクに見合って期待する収益の水準を考えるための概念です。実務では、計算した数字を資料に一つ載せれば済む話ではありません。投資の回収に時間を要する理由や、見込んだ利益が出ない場合の耐久力まで含めて、判断に使っているかを確認します。

ここで、架空の製造会社を考えてみます。工場の更新と、技術者の育成の両方が必要だとします。設備だけを増やしても運用できる人材が足りなければ、期待した成果は出ません。設備、人材、資金を別々の予算として眺めるだけでなく、同じ成長の道筋を支える組合せとして検討する必要があります。これは投資額の大小とは別の問いです。

さらに、実行後には、売上や利益だけでなく、採用の進捗、開発の遅れ、稼働状況など、当初の仮定が維持されているかを確認します。結果が悪かったとき、計画の前提が違ったのか、実行が遅れたのかを分けなければ、次の配分に生かせません。検証の頻度や様式は会社に応じて設計する実務上の工夫であり、図の天秤も特定の比率を求めるものではありません。

取締役会の機能強化

取締役会は、戦略の方向付け、健全なリスクテイクを支える環境整備、経営陣に対する独立した監督という役割を担います(基本原則4)。会議回数や議案数だけでは機能を測れません。議案の優先順位、資料の事前提供、社外取締役への情報提供、審議時間、決定後の追跡までを一つの仕組みとして見る必要があります。

取締役会を支える三つの役割方向を示す挑戦を支える独立して監督する企業価値の向上どれか一つだけでは足りない

図4 基本原則4の役割を、互いに支え合う関係として表しました。

「監督を強める」と聞くと、承認する案件を増やす姿を想像しがちです。しかし、細かな案件をすべて会議に集めれば、重要な戦略を考える時間がなくなることもあります。執行に委ねる事項と、取締役会が継続して見る事項を整理し、必要な情報が戻ってくるようにする。その設計と運用を併せて考えます。

社外取締役の知見も、会議当日に資料を読むだけでは生かしにくいものです。事業の収益構造、過去の判断、今回の選択肢が分かれば、反対意見も具体的になります。事務局の仕事は資料を配ることで終わらず、議論の前提を揃え、未解決の論点を次の会議につなぐところまであると考えられます。

そのための見直しでは、まず一回分の会議を振り返る方法が有用です。説明に使った時間と検討に使った時間、結論の出なかった理由、次回までに確認するとした事項を確認します。議事録の長さを評価するのではなく、次の行動と責任者が読み取れるかを見るのです。これなら大規模な制度改編の前にも着手できます。

コードも、取締役・監査役が能動的に情報を入手すること、求める情報が円滑に提供されているかを確認すること、会社が人員面を含む支援体制を整えることを掲げています。資料の事前共有や審議時間の確保は、その実効性を高めるための例として読むことができます(原則4-14・同解釈指針)。

株主との対話と説明

株主との対話はIR部門だけの仕事ではありません。対話で得た懸念や評価を整理し、取締役会へ還元し、経営判断や開示の改善に使う循環が必要です。コンプライ・オア・エクスプレインでも、実施しない理由を形式的に書くのではなく、その判断が自社にとって合理的であることを具体的に説明します(原則1-1・同解釈指針、序文5〜7項)。

対話で得た論点を、経営に戻す株主との対話論点を社内共有方針・配分を検証対応と理由を説明面談件数より判断への反映

図5 提案を採る場合も採らない場合も、検討した理由を次の対話へつなげます。

たとえば、投資家から現預金の使途を問われた場合、「将来投資に備えるため」と答えるだけでは、相手が何を懸念しているかが残りません。投資機会が見えていないのか、必要な手元資金の説明が足りないのか、投資の実行力を疑われているのか。問いを分解して初めて、経営側で検討すべき事項が見えてきます。

対話の結果を受け止めることと、投資家の提案をそのまま採用することは別です。会社の事情に照らして採らない判断もあり得ます。そのとき、何を検討し、どの前提の違いから結論が分かれたかを説明できれば、次の対話は深まります。面談件数よりも、社内の検討に届いた論点と、その後の対応を追うほうが実務に役立つでしょう。

この仕組みは、市場における中長期の投資を後押しすることも意図しています。企業が説明を工夫するだけでなく、投資家側も会社ごとの事情を尊重し、不実施という一事だけで機械的に評価しない姿勢が求められます(序文2・7項)。双方が判断の前提を確かめることが、対話を深める土台になります。

独立社外取締役・リスク管理・協働も確認する

独立社外取締役は、人数だけでなく、自社の戦略を検討できる資質と実質的な独立性を併せて確認します。役割、質、数、独立性は、それぞれ別の原則で整理されています(原則4-8〜4-11)。人を選ぶ側と、情報を提供する側の両方から、監督が働く条件を整えることが実務上の課題です。

また、内部統制と全社的リスク管理は、損失を防ぐだけでなく、経営陣が適切に挑戦するための基盤です。解釈指針は、サイバー攻撃、地政学的要因による供給網の途絶、技術等の情報流出への対応も挙げています(原則4-4・同解釈指針)。生成AIの利用管理は、この枠組みを自社の業務へ具体化する実務上の論点として区別して扱います。

成長の検討では、株主以外との関係も外せません。人的資本への投資や適切な分配、取引先との公正・適正な取引は、持続的な企業価値を支える協働の例です(基本原則2・同解釈指針)。投資と還元だけで議論を閉じず、従業員や取引先と価値を生み続けられるかを確かめます。

施行日と報告書更新期限を分けて考える

改訂に伴う有価証券上場規程の改正は2026年7月21日に施行されています。東京証券取引所の資料では、上場会社は遅くとも2027年7月31日までに改訂後のコードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書を提出する扱いです。2027年7月末は報告書の更新期限であり、改訂の施行日ではありません。準備ができた会社から順次更新する扱いです。更新までの期間は、条文対応表を作るだけでなく、取締役会の運営や情報収集の仕組みを整える期間として使うべきでしょう。

期限から逆算する準備日程2026.7.21改訂版公表2027.7.31CG報告書の更新期限現状把握・方針検討運用・記録を整える検証・開示を確認

図6 改訂対応のCG報告書を更新する日程です。帯は準備作業の重なりを表す例です。開始月や期間を一律に定めるものではありません。

領域 主担当の例 確認する証拠
経営資源配分 経営企画・財務 投資基準、資本コスト、事業別KPI
取締役会運営 法務・取締役会事務局 年間議題、事前資料、議事録、フォロー表
対話・開示 IR・経理・法務 面談記録、取締役会報告、開示間の整合
リスク 内部監査・情報システム リスク評価、重大事案の報告経路

日程を組む際には、報告書の提出と、各取組みの改善を区別します。提出期限があるからといって、その日にすべての運用改善が終わるわけではありません。現時点で何ができていて、何が未実施なのかを正確に把握し、記載と実態を一致させることが先です。改善予定を実施済みのように書かないため、判定の基準日も管理します。

有価証券報告書の総会前開示は、別の日程として考える

改訂では、有価証券報告書を定時株主総会前に提出することが、株主の権利行使に必要な環境整備の例として記載されています。解釈指針は総会開催日の3週間以上前を最も望ましい姿とし、総会の開催時期の後ろ倒しも含めた検討に触れています。これは、前述のCG報告書の更新期限とは別の論点です(原則1-2・同解釈指針)。

経理が原稿を早く作るだけでは実現しにくい点に、実務の難しさがあります。財務数値の確定、監査、役員関係の記載、非財務情報の集約などが互いに依存しているためです。まず、どの資料を誰が待っているのかを確認し、待ち時間の原因を特定します。総会日や監査日程に関わる検討は、関係者との調整を含む一つの計画として扱う必要があります。

なお、「3週間以上前」という望ましい姿を、すべての会社に一律に課される法定提出期限と言い換えてはいけません。コードの原則、解釈指針の位置づけ、法令上の手続を区別して検討します。本記事では法定期限の網羅的な整理は扱わず、改訂対応で日程を混同しない点を確認しています。

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実務上、大変になりやすい箇所

最も手間がかかるのは、従来の記載を新しい原則番号へ移す作業ではありません。各部門に散らばる情報を同じ前提で揃え、取締役会の議論と開示文書の説明を一致させる作業です。特に、投資案件の採否、撤退判断、人的資本投資、重要リスクへの対応は、判断時点の前提と事後検証の記録が残っていなければ、後から説得力のある説明を作れません。

同じ案件を、三つの資料で追う投資の稟議判断時の前提取締役会報告実行後の状況社外への説明開示する内容共通の対象期間・範囲・成果指標

図7 資料は分かれていても、共通の前提を追える状態にします。

情報の分断を見つけるには、同じ案件を三つの資料で追ってみると分かりやすくなります。投資の稟議書、取締役会への報告資料、社外への説明文です。対象期間、投資範囲、成果の測り方が違えば、それぞれの数字が正しくても、全体としては説明がつながりません。

これは、すべての情報を一枚の資料に押し込むという意味ではありません。共通して使う前提を定め、変更したときにどの資料へ反映するかを決めるということです。部署ごとに資料を作る実務を残しつつ、原本となる記録と確認者を明らかにすれば、整合作業を毎回ゼロから行わずに済みます。

IPO準備でも、上場会社の開示文を先にまねるより、自社の判断を後から追える状態を作ることが大切です。投資の理由を創業者だけが知っている状態から、社外役員や新しく加わった管理担当者にも説明できる状態へ移す。会社が大きくなったとき、属人的な判断を組織で検証する基盤になります。

  • 原則ごとに担当部門と取締役会の審議時期を決めたか
  • 成長投資の目的、前提、成果指標を一つの様式で残しているか
  • 実施しない原則について、自社固有の理由を説明できるか
  • 有価証券報告書、CG報告書、統合報告書の記述が整合しているか
  • 株主との対話結果を取締役会で継続的に扱っているか
重要性と準備時間を分けて考える早く着手短期で整備先に日程を確保関係者と調整通常業務で順次改善範囲と体制を先に決める高低短い長い準備に要する時間重要性

図8 図は優先順位を考えるための枠組みです。個別の課題を置く位置は各社で判断します。

対応の順番は、重要性と準備に要する時間を分けて考えます。関係者が多い開示日程の調整は、検討を始めてから結論までに時間を要します。一方、記録様式の整理は比較的早く進められる場合があります。簡単なものだけを先に終え、難しいものを締切直前へ残す状態を避けたいところです。

下の判断フローでは、原則の趣旨を満たしているかという分岐を置きました。ただし、実施・未実施の判断は図だけで自動的に決まるものではありません。事業の状況と原文を読み合わせ、不足している事実を確認したうえで行います。

自社対応の判断フロー

対象となる各原則について、自社の状況を踏まえて具体的な対応を検討します。現状を事実で確認し、原則の趣旨に照らして実施しているといえるかを判断します。改善を予定していても、報告書の提出日時点で未実施なら「実施」とはなりません。不実施理由を説明し、今後の取組みや実施時期の目途も示すことが考えられます(東証FAQ・管理番号6916)。

原則の趣旨を満たしているか対象・趣旨・現状を確認実態として満たすかはいいいえ実施状況を確認説明を具体化改善方針と未実施理由を検討

図9 改善予定があっても、提出日時点で未実施の原則は理由説明が必要です。

実務上の状態 取るべき対応 避けたい状態
実施 実態、責任者、検証方法を明確にする 制度名だけを書き、運用実績がない
未実施
(改善予定あり)
不実施理由を説明し、取組み予定と時期の目途を示す。担当と進捗も管理する 将来対応という表現だけで終える
未実施
(自社事情による)
会社固有の事情と代替策を具体的に示す 抽象的な定型文を毎年繰り返す
判断の跡を残すメモ(架空例)事実投資計画の実行が遅れている判断採用と設備導入の順序を再検討次回前提の変化と進捗を確認事実・評価・次の確認を分けて記録

図10 指定様式ではありません。判断を後から検証するための実務上の記入例です。

実務では、判断を記録する簡潔なメモを一つ設けると、説明と運用をつなぎやすくなります。現状、判断の理由、次回の確認事項を分けて書き、事実を記した部分と評価を記した部分を混ぜないようにします。図10はその架空の記入例です。特定の様式の使用がコードから要求されるという意味ではありません。

運用が始まった後も、同じ結論を毎年繰り返すだけでは十分とはいえません。新事業への進出、資金調達、経営陣の交代などで前提が変われば、以前は合理的だった方法が合わなくなる可能性があります。見直しのきっかけを決めておけば、毎回すべてをやり直す負担と、放置するリスクの両方を抑えやすくなります。

よくある質問

Q1. 解釈指針の項目は、すべて実施しなければなりませんか。

いいえ。解釈指針はコンプライ・オア・エクスプレインの対象ではありません。ただし、原則の趣旨をどう実現するかを考える重要な手掛かりになるため、自社の対応を説明できるよう検討記録を残すことが有用です。

Q2. まずCG報告書の文言を直せばよいでしょうか。

文言修正だけでは足りません。取締役会の審議、経営資源配分の基準、対話結果の還元など、開示を支える運用と証拠を先に確認します。

Q3. IPO準備会社にも関係しますか。

コードは上場会社を対象としますが、準備は上場後に始めればよいわけではありません。たとえば東証プライム市場の上場申請時の提出書類にはCG報告書が含まれます。申請する市場と上場予定時期に対応する最新の書式・記載要領を確認し、取締役会の運営や情報提供を早めに整えます。

Q4. 期限までに何を終えるべきですか。

2027年7月31日の報告書更新から逆算し、影響調査、方針決定、運用改善、取締役会での検証、開示文案の整合確認までを日程化します。

最初の一歩は、直近の重要案件を一つ振り返ること

改訂対応を始めるために、最初から完璧な管理表を作る必要はありません。直近で行った重要な投資判断を一つ選び、提案資料から実行後の報告までを並べてみます。選択肢、判断理由、責任者、次回確認日がつながっていれば、他の案件へ広げる基礎が見えます。途中でつながらない箇所があれば、そこを改善課題として扱います。

管理部門がすべてを抱え込むと、実態を十分に知らないまま文章を整える作業になりがちです。事業部門には前提と成果を、財務には資金の制約を、事務局には議論と決定を確認する。情報を持つ人に問いを返し、共通の説明へまとめることが、担当者の重要な役割です。

まとめ

2026年改訂の実務対応では、原則数の変化より、取締役会が成長の道筋と経営資源配分をどう検証し、その判断をどう説明するかが中心になります。解釈指針をチェックリストとして消化するのではなく、自社の事実と判断をつなぐ補助線として使うことが大切です。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

本記事の根拠

免責:本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件に対する法務、会計、税務その他の専門的助言を構成するものではありません。実際の対応は、最新の法令・取引所規則・公表資料を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

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