中古資産の耐用年数は何年になるか|簡便法の計算と使えなくなる2つの分岐

中古の機械や車両を買ったとき、「新品なら○年だが、中古だから短くできる」という話を聞いたことがある方は多いと思います。実際、中古資産には法定耐用年数より短い年数を使える制度があり、償却費が前倒しで計上できるため、設備投資の意思決定を左右することもあります。

ただし、この制度は「誰でも、いつでも、いくらでも」使えるものではありません。短い年数を使うには要件があり、取得後に手を入れた金額しだいでは、そもそも使えなくなります。さらに、使うかどうかを決められるのは事業の用に供した事業年度だけで、あとから遡って選び直すことはできません。

この記事では、中古資産の耐用年数をどう決めるのか、簡便法の計算式はどうなっているのか、資本的支出があるとどこで分岐するのかを、条文と通達の番号を示しながら整理します。

中古資産の耐用年数は「見積法」が原則、「簡便法」は例外

中古資産(試掘権以外の鉱業権および坑道を除きます)を取得して事業の用に供した場合、その耐用年数は法定耐用年数ではなく、事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます(耐用年数省令3条1項1号)。これが「見積法」です。

もっとも、中古の機械や車両について「あと何年使えるか」を根拠をもって見積もるのは容易ではありません。そこで、使用可能期間の年数を見積もることが困難である場合には、一定の算式で機械的に算定した年数によることが認められています(同項2号)。これが「簡便法」です。

ここでいう「見積もることが困難なもの」とは、その見積りのために必要な資料がないため技術者等が積極的に特別の調査をしなければならないこと、または耐用年数の見積りに多額の費用を要すると認められることにより、使用可能期間の年数を見積もることが困難な減価償却資産をいうとされています(耐用年数通達1-5-4)。実務で取得する中古車や中古機械の多くは、この「困難な場合」に該当すると整理されることが一般的です。

条文の建て付けとしては、あくまで見積法が原則で、簡便法はそれが困難な場合の代替です。「中古だから自動的に簡便法」ではなく、「見積りが困難だから簡便法による」という順序であることを、社内の稟議書や税務調査の説明資料でも意識しておくと説明がぶれません。

図1 中古資産の耐用年数をどう決めるか(判定の流れ) 中古資産を取得して事業の用に供した 事業の用に供するために支出した資本的支出の額はいくらか 資本的支出がない、または 取得価額の50%以下 原則は見積法 見積りが困難なら 簡便法を使える 取得価額の50%超かつ 再取得価額の50%以下 簡便法は使えない 見積法によるほか 通達1-5-6の算式も可 資本的支出が 再取得価額の50%超 法定耐用年数による 見積法・簡便法の いずれも使えない

図1 資本的支出の額によって、使える方法が三つに分かれます(耐用年数省令3条1項、耐用年数通達1-5-2・1-5-6)。

簡便法の計算式は2パターンしかない

簡便法の算式は、法定耐用年数を全部経過しているかどうかで二つに分かれます。

① 法定耐用年数の全部を経過した資産

法定耐用年数の20%に相当する年数が、簡便法による耐用年数になります。たとえば法定耐用年数6年の普通自動車を、初度登録から6年以上経過した時点で取得した場合、6年×20%=1.2年となります。

② 法定耐用年数の一部を経過した資産

法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数に、経過年数の20%に相当する年数を加えた年数が、簡便法による耐用年数になります。法定耐用年数30年で経過年数10年の資産であれば、(30年−10年)+10年×20%=22年です。

端数処理は「切捨て」と「最低2年」の二段構え

いずれの算式でも、算出した年数に1年未満の端数があるときはその端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。①の例では1.2年が2年に、②の例では22年がそのまま22年になります。この「切り捨ててから2年判定」という順序を逆にすると、結果が変わる場合があるため注意が必要です。

図2 簡便法による耐用年数の計算(2つのパターン) ① 法定耐用年数の全部を経過 法定耐用年数 × 20% <例>法定6年・経過6年 6年 × 20% = 1.2年 → 2年(最低2年) ② 法定耐用年数の一部を経過 (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20% <例>法定30年・経過10年 (30−10)年 + 10年×20% = 22年 算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる 切り捨てた年数が2年に満たないときは、2年とする

図2 簡便法の算式と端数処理(耐用年数省令3条1項2号)。

中古車で具体的に見るとどうなるか

もっとも身近な例である普通自動車(法定耐用年数6年)で、経過年数ごとの結果を並べると次のとおりです。定率法の償却率は、平成24年4月1日以後に取得した資産に適用される率を示しています。

経過年数 簡便法の計算 耐用年数 定率法の償却率
1年 (6−1)+1×20%=5.2年 5年 0.400
2年 (6−2)+2×20%=4.4年 4年 0.500
3年 (6−3)+3×20%=3.6年 3年 0.667
4年 (6−4)+4×20%=2.8年 2年 1.000
6年以上 6×20%=1.2年 2年(最低2年) 1.000

経過4年で耐用年数が2年になり、定率法の償却率が1.000になることが、いわゆる「4年落ちの中古車」が話題になる理由です。ただし償却率1.000でも、期首に取得しなければ月割りになりますし、備忘価額1円は残ります。また、取得した資産が事業の用に供されていること、事業供用の実態があることが前提であり、そこが崩れれば償却費そのものが否認されます。

経過年数に1年未満の端数がある場合、実務では経過月数に換算して計算し、最後に年に直す方法が広く用いられています。たとえば法定6年・経過3年10か月であれば、(72か月−46か月)+46か月×20%=35.2か月となり、1年未満切捨てで2年です。この月数計算は耐用年数通達に明文があるものではないため、社内で計算方法を統一し、根拠を残しておくことをおすすめします。

中古設備の取得を検討中の方へ

耐用年数の判定は、意思決定の前に整理しておくほど選択肢が広がります。取得形態や資本的支出の計画を含めてご相談ください。

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資本的支出があると、簡便法が使えなくなることがある

ここが、中古資産の耐用年数でもっとも間違えやすいところです。中古資産を取得しても、そのままでは使えず、修理や改造をしてから稼働させることがあります。そのときに支出した金額が資本的支出に当たると、耐用年数の決め方が変わります。

判定の基準は二つあり、しかも分母が違います。ひとつは取得価額の50%、もうひとつは再取得価額の50%です。再取得価額とは、その中古資産と同じ新品のものを取得する場合のその取得価額をいいます。

資本的支出の額 使える方法 根拠
取得価額の50%以下 見積法が原則。見積りが困難であれば簡便法によることができる。 耐用年数省令3条1項
取得価額の50%超、かつ再取得価額の50%以下 簡便法によることはできない。使用可能期間を見積もるのが原則だが、一定の算式で計算した年数も認められる。 耐用年数省令3条1項ただし書、耐用年数通達1-5-6
再取得価額の50%超 見積法・簡便法のいずれも使えず、別表第一・第二・第五・第六に定める法定耐用年数による。 耐用年数通達1-5-2

「中古で安く買って、大幅に手を入れて使う」という場合ほど、簡便法から外れやすい構造になっています。中古資産を取得する前の段階で、想定している改修費が資本的支出になるのか修繕費になるのか、金額がどの程度になるのかを見積もっておくことが、結果として耐用年数の選択肢を守ることにつながります。資本的支出と修繕費の区分そのものについては、修繕費と資本的支出はどちらか|20万円・60万円・10パーセントを使う順番で整理しています。

取得価額の50%超・再取得価額の50%以下のときの算式

この区分に入った場合、原則は使用可能期間の見積りですが、次の算式で計算した年数を耐用年数としたときは、これが認められます(耐用年数通達1-5-6)。算出した年数に1年未満の端数があるときは切り捨てます。

図3 資本的支出が取得価額の50%を超えるときの算式 中古資産の取得価額 + 資本的支出の額 (取得価額 ÷ 簡便法による年数) + (資本的支出 ÷ 法定耐用年数) = 耐用年数(1年未満の端数は切り捨て) <計算例>法定22年・経過10年、取得価額1,000万円、 再取得価額2,200万円、資本的支出800万円 簡便法による年数 = (22−10) + 10×20% = 14年 分子 = 1,000万円 + 800万円 = 1,800万円 分母 = 1,000÷14 + 800÷22 ≒ 107.8 1,800 ÷ 107.8 ≒ 16.7 → 耐用年数16年

図3 通達1-5-6の算式と、国税庁が示す計算例の数値をなぞった計算過程。

この例では、資本的支出800万円が取得価額1,000万円の50%(500万円)を超えているため簡便法は使えませんが、再取得価額2,200万円の50%(1,100万円)は超えていないため、この算式によることができます。簡便法だけなら14年だったところ、資本的支出部分を法定耐用年数22年で評価するため、加重平均的に16年へと伸びる、という構造です。

取得後の事業年度に資本的支出をした場合

再取得価額の50%基準は、取得時だけの話ではありません。見積法または簡便法により算定した耐用年数で償却を行っている中古資産について、各事業年度において資本的支出を行った場合に、一の計画に基づいて支出した資本的支出の金額の合計額、またはその事業年度中に支出した資本的支出の金額の合計額が再取得価額の50%を超えるときは、その資産およびこれらの資本的支出について、その事業年度における資本的支出をした後の減価償却は法定耐用年数によることになります(耐用年数通達1-5-3)。

「一の計画に基づいて支出した合計額」で見る点がポイントで、工事を年度またぎで分割しても、同じ計画に基づくものであれば合算して判定されます。大規模改修を予定している中古設備については、着工前に判定しておかないと、償却計算を途中でやり直すことになります。

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選べるのは「事業の用に供した事業年度」だけ

見積法または簡便法による耐用年数の算定は、その事業の用に供した事業年度においてすることができるものであり、その事業年度において算定をしなかったときは、その後の事業年度において算定をすることはできません(耐用年数通達1-5-1)。

つまり、中古で取得した資産について、いったん法定耐用年数で申告してしまうと、翌期以降に「やはり簡便法にしたい」と言うことはできません。逆に、簡便法で申告したあとに法定耐用年数へ戻すこともできない建て付けです。決算の場面では、その期に取得した固定資産のうち中古で取得したものを洗い出し、耐用年数の判断を済ませておく必要があります。

  • 当期に取得した固定資産のうち、中古で取得したものを固定資産台帳から抽出する
  • それぞれについて、初度登録日や製造年月から経過年数を確認する
  • 事業供用にあたって支出した資本的支出の有無と金額を集計する
  • 取得価額の50%、再取得価額の50%と比較して、使える方法を確定する
  • 採用した方法と計算過程を、台帳または調書に残す

なお、中間申告の対象となる期間において取得した中古の減価償却資産について法定耐用年数を適用した場合であっても、その中間期間を含む事業年度においては、その資産について見積法または簡便法により算定した耐用年数を適用することができるとされています(耐用年数通達1-5-1注)。中間申告で法定耐用年数を使ったからといって、確定申告で簡便法が封じられるわけではありません。

実務で論点になりやすい四つの場面

経過年数がわからない

簡便法により計算する場合において、その資産の経過年数が不明なときは、その構造、形式、表示されている製作の時期等を勘案して、その経過年数を適正に見積もるものとされています(耐用年数通達1-5-5)。製造年月の銘板や型式、カタログの発売時期などを根拠として残しておくと、後から説明しやすくなります。

あとから法定耐用年数が短縮された

中古資産を取得し、その耐用年数を簡便法により算定している場合において、取得の日の属する事業年度後の事業年度でその資産に係る法定耐用年数が短縮されたときは、改正後の省令が適用される最初の事業年度において、改正後の法定耐用年数を基礎に簡便法で再計算することが認められています(耐用年数通達1-5-7)。この再計算で用いる経過年数は、その中古資産を取得したときにおける経過年数による点に注意が必要です。

グループ会社間や役員個人からの取得

所有権が移転していれば、取得した側にとっては中古資産であり、形式的には簡便法の適用対象となります。もっとも、償却費を早期に計上することだけを目的とした売買や、時価から乖離した価格での売買は、寄附金や役員給与の論点を呼び込みます。取引価格の合理性、事業上の必要性、実際の使用状況といった点を、資産計上の段階で押さえておくことが重要です。税務調査で減価償却まわりがどう見られるかについては、税務調査で指摘される項目 別冊|26項目の指摘理由と反論の型もあわせてご覧ください。

少額判定や特別償却との関係

中古資産であっても、取得価額が少額であれば一時損金算入や一括償却の対象になり得ます。この場合は耐用年数の議論に入る前に、まず金額基準での処理を検討することになります。判定の順番は少額減価償却資産は10万・20万・30万のどれを使うか|判定と限度額で整理しています。一方、租税特別措置による特別償却や税額控除は、制度によって中古資産を対象外とするものが多く、新品要件の有無を個別に確認する必要があります。制度選択の考え方は大胆な投資促進税制|即時償却か税額控除かと意思決定日で触れています。

よくある質問

Q. 簡便法を使うと、償却費の総額は増えるのですか。

増えません。償却できる総額は取得価額(備忘価額を除く)で変わらず、簡便法は各事業年度への配分を前倒しにするものです。課税所得の期間配分が変わることによる資金繰りへの影響を見て判断することになります。

Q. 中古の建物でも簡便法は使えますか。

建物も減価償却資産ですから、要件を満たせば対象になります。ただし建物の償却方法は定額法に限られるため、車両のように償却率が大きく跳ね上がるという効果は生じません。また、取得にあたって大規模な改修を行うことが多く、資本的支出の50%基準に触れやすい点に注意が必要です。

Q. 使用可能期間を自分で見積もれば、簡便法より短い年数にできますか。

見積法は「見積もられる年数」によるものですから、合理的な根拠があれば簡便法より短い年数になることもあり得ます。ただし、その根拠を示せることが前提です。技術者による調査結果など、第三者が検証できる資料を用意できるかどうかが分かれ目になります。

Q. 資本的支出が取得価額の50%を超えるかどうかは、どの時点で判定しますか。

「事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額」で判定しますので、取得から事業供用までに支出したものが対象です。事業供用後の事業年度に行った資本的支出については、再取得価額の50%基準による別の取扱い(通達1-5-3)が適用されます。

まとめ

中古資産の耐用年数は、原則が見積法、見積りが困難な場合の代替が簡便法という順序で組み立てられています。簡便法の算式は「全部経過なら法定耐用年数の20%」「一部経過なら残存年数+経過年数の20%」の二つだけで、端数は切り捨て、2年未満は2年です。

実務上の分かれ目は、資本的支出の金額です。取得価額の50%を超えると簡便法は使えず、再取得価額の50%を超えると法定耐用年数に戻ります。そして、どの方法を採るかを決められるのは事業の用に供した事業年度だけで、後から選び直すことはできません。中古設備の取得を検討する段階で、経過年数と改修費の見込みを並べて確認しておくことが、いちばん確実な対策です。

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参考

本記事は2026年9月30日時点の法令・通達に基づく一般的な情報提供であり、個別の取引に対する税務判断を示すものではありません。実際の処理にあたっては、資産の内容・取得経緯・改修内容を踏まえた個別の検討が必要です。記事中の耐用年数および償却率は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表によっています。

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