改正法人税等会計基準と住民税均等割の表示|2026年7月改正で何が変わり、いつから適用されるか

改正法人税等会計基準という言葉で検索すると、住民税均等割の表示が変わるという説明と、その他の包括利益に対する課税の話が混ざって出てきます。実は別の改正の話です。

法人税等に関する会計基準は、2022年10月28日、2025年3月11日、2026年7月7日と3回動いています。住民税(均等割)の表示が変わるのは3回目の2026年7月7日改正で、適用は2028年4月1日以後に開始する事業年度からです。この記事では、どの改正で何が変わり、いつから適用されるのかを、基準の項番号まで示して整理します。

この記事でわかること

  • 3つの改正の中身と適用時期の違い
  • いま住民税(均等割)をどこに表示しているか(第5項の注と第9項)
  • 2026年7月7日改正で均等割がどう動くか(第2-2項・第8-3項・第18-2項・第18-3項)
  • 適用時期と経過措置(第20-7項・第20-8項・第20-9項)
  • 2022年改正で変わったこと、変わらなかったこと
  • 適用までの年度で必要になる未適用の会計基準等に関する注記

📌 結論 均等割が動くのは2026年7月改正。適用は2028年4月1日以後開始年度から

先に結論を書きます。住民税(均等割)を損益計算書の「法人税等」に含めずに表示することにしたのは、2026年7月7日に企業会計基準委員会が公表した改正企業会計基準第27号です。この改正で、基準の名称も「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」から「法人税等に関する会計基準」に変わりました。

適用時期は、2028年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からが原則です。ただし、公表日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用することができます。

したがって、いま(2026年9月時点)の決算では、住民税(均等割)は従来どおり税引前当期純利益(又は損失)の次の区分に含めて表示します。早期適用を選んだ会社だけが先に動くことになります。

🗓️ まず、どの改正の話かを確定させる

図1 法人税等会計基準は3回動いている公表日何が変わったか適用時期2022年10月28日その他の包括利益に対して課税される場合の法人税等の計上区分と、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の2点2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から(2023年4月1日以後開始する年度から早期適用可2025年3月11日2024年年次改善プロジェクトによる改正。特別法人事業税を事業税(所得割)と同様に扱うことを明確化2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から2026年7月7基準の名称を「法人税等に関する会計基準」に変更。住民税(均等割)や事業税(付加価値割・資本割)を法人税等に含めずに表示する2028年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から(公表日以後開始する年度から早期適用可)

「改正法人税等会計基準」という言葉が指すものは、話し手によって違います。まずどの改正の話かを確定させてください。

この論点でいちばん多い混乱が、3つの改正の取り違えです。2022年改正はその他の包括利益に対する課税とグループ法人税制の税効果の話であり、均等割には触れていません。2025年改正は特別法人事業税の取扱いを明確化したものです。均等割の表示が変わるのは2026年改正です。

2022年10月28日の改正

企業会計基準委員会が「公表にあたって」で挙げている主な内容は2点です。ひとつはその他の包括利益に対して課税される場合の法人税等の計上区分、もうひとつはグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果です。このとき、改正企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」と、改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」も同時に公表されています。

2025年3月11日の改正

2024年年次改善プロジェクトによる改正です。特別法人事業税について、事業税(所得割)と同様の取扱いとすることを明確化しました。適用は2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からです。3月決算の会社であれば、2026年3月期から適用されている改正ということになります。

2026年7月7日の改正

今回の主役です。改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」のほか、改正適用指針第28号、改正実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」、改正移管指針第6号、企業会計基準第43号、企業会計基準第44号が同時に公表されました。

📊 いま、均等割はどこに表示しているか

図2 いまの表示区分(2026年7月改正の適用前)税目表示する場所根拠法人税、地方法人税、住民税、事業税(所得割)税引前当期純利益(又は損失)の次に表示する企業会計基準第27号 第9項住民税(均等割)上の区分に含まれる。第5項の注で、所得等に対する法人税、住民税及び事業税等に住民税(均等割)を含むとされている第27号 第5項(注)、第9項事業税(付加価値割・資本割)原則として販売費及び一般管理費。合理的な配分方法により一部を売上原価とすることもでき第27号 第10項受取利息・受取配当金等に課される源泉所得税のうち税額控除の適用を受けないもの営業外費用。重要性が乏しい場合は法人税等に含めて表示できる第27号 第13項外国法人税のうち税額控除の適用を受けないもの内容に応じた適切な科目。ただし外国子会社からの受取配当金等に課される外国源泉所得税は、法人税等の区分に含めて表示する第27号 第14項更正等による追徴税額・還付税額第15項の定めによる第27号 第15項

均等割を独立して定めた項があるわけではありません。第9項の「住民税」に均等割が含まれるという整理です。

現行の基準には、住民税(均等割)の表示だけを独立して定めた項はありません。第9項が、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)を税引前当期純利益(又は損失)の次に表示すると定めており、この「住民税」に均等割が含まれるという整理です。

裏づけになるのは、2026年改正基準の結論の背景です。第40-6項が、2026年改正前の基準では住民税(均等割)について税引前当期純利益(又は損失)の次に法人税、住民税及び事業税等の適切な科目をもって表示する取扱いとしていた、という趣旨を述べています。改正で何が変わるのかを説明するために、改正前の取扱いをあらためて書いているわけです。

事業税の付加価値割と資本割は元から別扱い

外形標準課税の対象になる会社では、事業税のうち付加価値割と資本割は、原則として販売費及び一般管理費に表示します(第10項)。合理的な配分方法にもとづいて一部を売上原価として表示することもできるとされています。所得割だけが第9項の区分に入る、という構造です。

つまり、いまの基準でも「事業税だから全部が税引前当期純利益の次」ではありません。均等割の話を考えるときも、この構造を先に押さえておくと理解しやすくなります。

改正の適用時期と表示区分の整理をご一緒します

自社が納めている税目の一覧から、2026年7月改正でどの税金がどの区分に動くのか、営業利益と経常利益にいくら影響するのかを試算してお返しします。早期適用を選ぶかどうかの判断材料、監査人への説明資料、未適用の会計基準等に関する注記の文案までまとめてお出しできます。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。

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🔄 2026年7月7日改正で何が変わるか

図3 2026年7月7日改正で変わる点論点改正前改正後基準の名称法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準法人税等に関する会計基準適用対象の決め方具体的な税目を列挙する方式課税対象利益を基礎とする税金という原則的な定義に基づく方式住民税(均等割)の位置づけ第9項の住民税に含めて、税引前当期純利益の次に表示課税対象利益を基礎とする税金に該当しない税金として扱う(第2-2項)均等割等の損益計上所得等に対する法人税等の一部として扱住民税(均等割)、事業税(付加価値割)、事業税(資本割)は法令を適用して算定した額を損益に計上する(第8-3項)損益計算書の表示法人税、住民税及び事業税の区分に含め法人税等に含めず、その内容に応じた適切な表示区分に表示する(第18-2項)未納付額の表示未払法人税等未払法人税等以外の適切な科目で表示する(第18-3項)

均等割が「法人税等」から外れます。損益計算書のどの段に置くかが変わるため、営業利益や経常利益の水準に影響します。

改正の趣旨は、適用対象となる税金の決め方を変えることです。従来は具体的な税目を列挙する方式でしたが、改正後は「課税対象利益を基礎とする税金」という原則的な定義にもとづく方式に見直されました。

この見直しの結果として、住民税(均等割)は課税対象利益を基礎とする税金に該当しない税金として位置づけられます(第2-2項)。所得の金額とは関係なく、資本金等の額と従業者数で決まる税金だからです。事業税の付加価値割と資本割も同じ扱いになります。

損益への計上と、表示区分

第8-3項は、住民税(均等割)、事業税(付加価値割)、事業税(資本割)について、法令を適用して算定した額を損益に計上するとしています。そのうえで第18-2項が、これらを損益計算書の「法人税等」に含めず、その内容に応じた適切な表示区分に表示すると定めています。

「内容に応じた適切な表示区分」がどこを指すのかは、会社の状況によります。事業税の付加価値割・資本割については、現行の第10項が販売費及び一般管理費を原則としているので、その延長で考えることになるでしょう。均等割をどこに置くかは、監査人と協議して決めることになります。

未払法人税等からも外れる

見落とされやすいのが貸借対照表です。第18-3項は、これらの税金の未納付額について、未払法人税等以外の適切な科目で表示するとしています。損益計算書だけでなく、貸借対照表の科目も組み替えることになります。

⏳ 適用時期と経過措置

図4 2026年7月改正への実務対応の順序自社が納めている税金を税目ごとに洗い出す(住民税均等割、事業税の付加価値割・資本割、外形標準課税の対象かどうか)改正後の第18-2項でいう「内容に応じた適切な表示区分」を、自社の税目ごとに決める決めた区分で組み替えた場合の営業利益・経常利益への影響額を試算す早期適用(公表日以後開始する年度の期首)を選ぶかどうかを、監査人と協議して決める第20-8項の経過措置により、累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する処理を確認する適用前の年度は「未適用の会計基準等に関する注記」の対象になるため、注記の文案を用意する

先に効いてくるのは注記です。適用は2028年4月1日以後開始年度からでも、それまでの年度で未適用の会計基準等として書くことになります。

適用時期は第20-7項です。2028年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用します。早期適用は、公表日(2026年7月7日)以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からです。3月決算の会社であれば、2027年3月期から早期適用できるということになります。

経過措置は第20-8項と第20-9項です。第20-8項は、累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する取扱いを定めています。第20-9項は、比較情報の組替えを求めないという趣旨の定めです。過去の期間すべてに遡って組み替える必要はありません。

実務対応報告第48号の適用が終わる

第21-2項は、この改正基準等の適用により、実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」の適用を終了するとしています。防衛特別法人税について当面の取扱いを定めていた実務対応報告が、原則的な定義にもとづく方式への移行によって役割を終える、という整理です。

適用前の年度でやるべきこと

適用は先でも、公表されている以上、適用していない年度では「未適用の会計基準等に関する注記」の対象になります。財務諸表等規則第8条の3の3は、既に公表されている会計基準等のうち適用していないものがある場合に、その名称と概要、適用予定日、財務諸表に与える影響に関する事項を注記すると定めています。

影響額が算定できない場合はその旨を書くことになりますが、算定できないと書き続けるのは説明として弱くなります。表示区分の組替えという性質の改正なので、税目ごとの金額さえ拾えれば影響は見積もれます。早めに試算しておいてください。

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📁 2022年改正で変わったこと、変わらなかったこと

図5 2022年10月28日改正の中身(よく誤解される点)項目内容根拠その他の包括利益に対する課税当事業年度の所得等に対する法人税等は、純資産の部の持分所有者との直接的な取引に係る部分と、資産・負債の評価替えにより生じた評価差額等に係る部分を除いて損益に計上する第27号 第5項どこに計上するか前者は株主資本の区分に、後者は個別財務諸表では評価・換算差額等、連結財務諸表ではその他の包括利益で認識してその他の包括利益累計額に計上する第27号 第5-2項例外重要性が乏しい場合、複数の区分に関連して金額の算定が困難な場合は損益に計上できる第27号 第5-3項グループ法人税制と子会社株式等の売却売却企業の個別財務諸表で計上されている繰延税金資産・負債を連結決算手続上で取り崩し、繰延損益の計上事由についての意思決定がなされた時点で戻し入れる改正適用指針第28号包括利益の表示その他の包括利益の内訳項目は、法人税等及び税効果を控除した後の金額で表示する企業会計基準第25号 第8項この改正で変わらなかったもの住民税(均等割)の表示。源泉所得税・外国法人税の表示区分(第13項・第14項)は2017年公表の原基準の段階から置かれている定めである

2022年の改正で均等割の表示が変わったという説明を見かけますが、変わりません。均等割が動くのは2026年7月改正のほうです。

2022年改正について、3つの柱があるという説明を見かけますが、企業会計基準委員会の「公表にあたって」が挙げている主な内容は2点です。その他の包括利益に対して課税される場合の法人税等の計上区分と、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果です。

その他の包括利益に対する課税

第5項は、当事業年度の所得等に対する法人税等について、純資産の部の持分所有者との直接的な取引に係る部分と、資産・負債の評価替えにより生じた評価差額等に係る部分を除いて、法令に従い算定した額を損益に計上するとしています。除かれた部分の行き先を定めたのが第5-2項です。前者は株主資本の区分に、後者は個別財務諸表では評価・換算差額等、連結財務諸表ではその他の包括利益で認識してその他の包括利益累計額に計上します。

第5-3項は例外を置いています。重要性が乏しい場合と、複数の区分に関連するために金額の算定が困難な場合には、損益に計上することができます。第5-4項と第5-5項が、株主資本等に計上する税額の算定方法と、評価差額等が損益に計上された時点での処理を定めています。過年度の所得に対する追徴税額・還付税額についても、第8-2項がこれらに準じた処理を求めています。

源泉所得税と外国法人税の表示は元からある定め

第13項の源泉所得税、第14項の外国法人税の表示区分は、2017年3月16日に公表された原基準の段階から置かれている定めです。2022年改正で新しく設けられたものではありません。この点を取り違えている解説が少なくないので、条文にあたるときは公表年の版を確認してください。

包括利益の表示も同時に改正された

改正企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」の第8項は、その他の包括利益の内訳項目を、法人税等及び税効果を控除した後の金額で表示するとしています。その他の包括利益に法人税等が直接ひもづく処理を導入したことに合わせた改正です。

🏢 IPO準備会社が気をつける点

上場準備中の会社にとって、この論点は2つの意味を持ちます。

ひとつは、申請期の財務諸表で未適用の会計基準等に関する注記が求められることです。申請書類に載る財務諸表は、上場会社と同じ水準の注記が求められます。公表済みで未適用の基準を漏れなく拾えているかは、監査法人が必ず見る箇所です。2026年7月改正の6件は、いずれも拾う対象になります。

もうひとつは、比較可能性です。均等割が営業段階の費用に移ると、営業利益と経常利益の水準が変わります。上場前後で開示する数字の連続性をどう説明するかは、主幹事証券会社との議論の材料になります。早期適用を選ぶかどうかも、その観点から検討することになります。

単体決算だけの会社でも影響する

均等割は、赤字の会社でも必ず発生します。連結子会社を持たない会社、赤字の会社ほど、損益計算書の見え方に対する影響が相対的に大きくなります。資本金1億円以下の会社でも、事業所の数だけ均等割は積み上がります。金額が小さいから関係ないと決めつけずに、まず試算してください。

グループ通算制度を適用している会社は、改正実務対応報告第42号もあわせて確認することになります。IFRSとは過年度遡及会計基準の記事もあわせてご覧ください。

❓ よくある質問

Q. 住民税均等割の表示は、いつから変わりますか。

A. 2028年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からが原則です(第20-7項)。2026年7月7日以後に開始する年度の期首から早期適用することもできます。

Q. 2022年の改正で均等割の表示が変わったのではないのですか。

A. 変わっていません。2022年10月28日改正の主な内容は、その他の包括利益に対して課税される場合の法人税等の計上区分と、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の2点です。

Q. 改正後、均等割はどの区分に表示するのですか。

A. 第18-2項は「その内容に応じた適切な表示区分」に表示するとしています。具体的にどの区分にするかは会社の状況によるため、監査人と協議して決めることになります。

Q. 基準の名称は変わったのですか。

A. 2026年7月7日改正で「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」から「法人税等に関する会計基準」に変わりました。ただしこの改正の適用は2028年4月1日以後開始年度からなので、文書で参照するときは時点に注意してください。

Q. 経過措置はありますか。

A. 第20-8項が、累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する取扱いを定めています。第20-9項により、比較情報の組替えは求められません。

Q. 特別法人事業税はどう扱いますか。

A. 2025年3月11日公表の2024年年次改善プロジェクトによる改正で、事業税(所得割)と同様の取扱いとすることが明確化されました。適用は2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首からです。

Q. いまの決算で何かする必要はありますか。

A. 表示自体は変わりませんが、公表済みで未適用の会計基準等に関する注記の対象になります(財務諸表等規則第8条の3の3)。名称と概要、適用予定日、影響に関する事項を書くことになります。

Q. 防衛特別法人税の実務対応報告はどうなりますか。

A. 第21-2項により、2026年7月改正基準等の適用によって実務対応報告第48号の適用が終了します。

Q. 外形標準課税の付加価値割はもともと販管費ではないのですか。

A. そのとおりです。現行の第10項が、事業税の付加価値割及び資本割を原則として販売費及び一般管理費に表示するとしています。2026年改正は、この扱いを均等割にも広げる方向の見直しと理解すると分かりやすくなります。

🧮 税効果会計と、グループ通算制度への波及

2026年7月改正は、法人税等の範囲の決め方を変える改正なので、税効果会計にも及びます。同時に公表された改正適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」と、企業会計基準第43号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(その3)」がこれにあたります。

考え方はこうです。税効果会計は、会計上の資産・負債の額と課税所得計算上の資産・負債の額との差異について、法人税等を期間配分する手続です。均等割のように課税対象利益を基礎としない税金は、そもそも所得と結びついていないため、一時差異に対応する税金として繰り延べる対象になりません。適用対象の定義を原則的な方式に改めたことで、この整理が基準の上で明確になります。

グループ通算制度を適用している会社

改正実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」も同時に改正されています。通算グループでは、通算税効果額の授受という独自の処理が入るため、法人税等の範囲が変わればその影響も受けます。通算子法人を持つ会社は、親法人側の整理だけで済ませず、各社の税目ごとの金額を洗い出してください。

キャッシュ・フロー計算書も動く

改正移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」と、企業会計基準第44号「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(その4)」も同時に公表されています。法人税等の支払額として表示していた金額の一部が、他の区分に移ることになるためです。損益計算書と貸借対照表だけを見ていると漏れます。

📝 注記はどう書くことになるか

適用初年度には、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として注記することになります。企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の第10項が、注記すべき事項を列挙しています。会計基準等の名称、会計方針の変更の内容、経過的な取扱いに従って会計処理を行った場合はその旨と経過的な取扱いの概要、表示期間のうち過去の期間についての主な表示科目に対する影響額などです。

今回は第20-8項の経過措置があり、第20-9項により比較情報の組替えも求められません。したがって注記は、経過的な取扱いに従った旨とその概要を書き、期首の利益剰余金に加減した累積的影響額を示す形が中心になります。表示区分の組替えという性質上、主な表示科目に対する影響額も読み手が知りたい情報です。

適用前の年度の注記文案

適用前の年度に書く未適用の会計基準等に関する注記は、名称と概要、適用予定日、財務諸表に与える影響に関する事項の3点です。概要のところで、住民税(均等割)等を法人税等に含めずに表示することになる旨を書き、影響に関する事項では、当該税金の年間発生額と、それが移動する表示区分を示せると読み手に伝わります。

影響を評価中と書くことは実務上よくありますが、公表から適用開始まで2年近くある改正で、金額の把握が難しいわけでもありません。2期続けて評価中と書くのは避けたいところです。

📄 まとめ

「改正法人税等会計基準」は、2022年10月28日、2025年3月11日、2026年7月7日の3つを指し得ます。住民税(均等割)の表示が変わるのは2026年7月7日改正で、基準の名称も「法人税等に関する会計基準」に変わりました。

改正後は、住民税(均等割)と事業税(付加価値割・資本割)が課税対象利益を基礎とする税金に該当しない税金として整理され(第2-2項)、法令を適用して算定した額を損益に計上し(第8-3項)、損益計算書の法人税等に含めず内容に応じた適切な表示区分に表示します(第18-2項)。未納付額も未払法人税等以外の科目になります(第18-3項)。

適用は2028年4月1日以後開始年度からで、公表日以後開始年度からの早期適用が認められています(第20-7項)。それまでの年度では、未適用の会計基準等に関する注記が求められます。金額を拾って影響額を試算しておくことが、いちばん先にやるべき対応です。

📚 参考(公的な一次情報)

  • 企業会計基準委員会 改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」等の公表(2026年7月7日)
  • 企業会計基準委員会 改正企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の公表(2022年10月28日)
  • 企業会計基準委員会 2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正(2025年3月11日)
  • 企業会計基準委員会 実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(2026年2月27日)
  • 企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」第8項
  • 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第8条の3の3(未適用の会計基準等に関する注記)
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