IPOにかかる費用はいくらか|東証の料金と、公表されていない監査報酬・主幹事の手数料の見積り方

IPOにはいくらかかるのか。上場を考えはじめた経営者から、最初に聞かれる質問です。ところが、この質問にひとつの金額で答えることはできません。

理由は単純で、公表されている費用がほとんどないからです。金額が公表されているのは東京証券取引所の料金だけで、監査法人の監査報酬も、主幹事証券の手数料も、外部の専門家への報酬も、会社ごとの見積りで決まります。

この記事では、IPOの費用を払う相手と時期で分け、公表されている数字は一次資料の金額で、公表されていない数字はどこで実例を確かめられるかを示します。最後に、当事務所に頼んだ場合の目安も載せています。

この記事でわかること

  • IPOの費用を、払う相手と時期で分けた全体像
  • 東証の上場審査料・新規上場料・公募又は売出しに係る料金・年間上場料
  • 上場会社の監査報酬の統計と、上場準備中の監査報酬が公表されていないこと
  • 主幹事証券に払う2種類の手数料と、実例の確かめ方
  • 予算を組む順番と、当事務所の料金の目安
上場コスト 東証への支払いと予算の組立てシートの表紙
無料ダウンロード

上場コスト 東証への支払いと予算の組立てシート

PDF 全9ページ メールアドレスだけで受け取れます

✓東証に支払う料金を、申請時・上場時・毎年・随時の4つに切り分けて把握できます
✓市場区分ごとの年間上場料を早見表で比較でき、区分選択の検討材料になります
✓監査報酬や主幹事報酬を含めた費用全体の中で、東証への支払いが占める位置づけが分かります
✓記入欄に自社の想定時価総額や公募株数を書き込むことで、概算の予算表が完成します

資料をダウンロード(無料)

📌 費用は、払う相手と時期で分ける

IPOの費用を考えるときは、誰に、いつ払うのかで分けると見通しが立ちます。払う相手は、監査法人、主幹事証券、東京証券取引所、外部の専門家、そして社内の5つです。

IPOの費用は、払う相手と時期で分けると見通せるN-3期以前N-2期N-1期申請と上場上場後監査法人ショートレビュー直前2期の監査上場後の監査主幹事証券上場準備の指導と審査引受手数料東京証券取引所審査料と上場料年間上場料外部の専門家課題の洗い出しから申請書類まで社内管理部門の人件費とシステム東証の料金だけが公表されていて、ほかは見積りを取るまでわからないだから、公表されている数字と、されていない数字を分けて考える

図 監査法人と主幹事証券には準備期間から払いはじめ、東証には申請と上場のときに大きく払います。上場後も、監査報酬と年間上場料は毎年かかります。

このうち金額が公表されているのは、東京証券取引所の料金だけです。残りは、会社の規模や準備の状況に応じた見積りで決まります。

数字が公表されている費用と、されていない費用公表されている公表されていない東京証券取引所の料金上場審査料・新規上場料公募又は売出しに係る料金年間上場料・TDnet利用料監査法人の監査報酬主幹事証券の手数料外部の専門家への報酬証券代行・開示書類の作成支援市場と株数が決まれば計算できる見積りを取り、他社の届出書で実例を確かめる

図 公表されている費用は計算で、公表されていない費用は見積りと他社の実例で見通します。

📌 東証に払う料金は計算できる

東京証券取引所に払う料金は、上場料金として公表されています。新規上場のときにかかるのは、上場審査料、新規上場料、そして公募又は売出しに係る料金の3つです。金額はいずれも税別です。

料金 プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
上場審査料 400万円 300万円 200万円
新規上場料 1,500万円 800万円 100万円
公募に係る料金 公募株式数×公募価格×万分の9 同左 同左(上限あり)
売出しに係る料金 売出株式数×売出価格×万分の1 同左 同左(上限あり)

表 日本取引所グループ「新規上場に係る料金」より。グロース市場は公募又は売出しに係る料金の上限が1,900万円

東証に払う上場審査料と新規上場料(税別)プライム1,900万円上場審査料 400万円 新規上場料 1,500万円スタンダード1,100万円上場審査料 300万円 新規上場料 800万円グロース300万円上場審査料 200万円 新規上場料 100万円グロース市場は合計300万円。プライム市場は1,900万円このほかに公募又は売出しに係る料金がかかる

図 上場審査料と新規上場料の合計は、グロース市場で300万円、スタンダード市場で1,100万円、プライム市場で1,900万円です。

上場審査料は、上場申請日が属する月の翌月末日までに払います。直近の上場申請日又は予備申請日から3年以内に申請し直す場合は半額です。予備申請をするときは、上場審査料と同額の予備審査料が別にかかります。

公募又は売出しに係る料金の計算例(グロース市場)公募公募株式数 × 公募価格 × 万分の9売出し売出株式数 × 売出価格 × 万分の1100万株 × 1,000円 × 万分の9= 90万円50万株 × 1,000円 × 万分の1= 5万円売出株式数にはオーバーアロットメント分を含む。100円未満は切り捨てグロース市場は、この料金に1,900万円の上限がある公募が大きいほど重くなる。公募は売出しの9倍の率数値例は説明のための仮定

図 公募又は売出しに係る料金は、資金調達の規模に比例します。売出株式数にはオーバーアロットメント分を含みます。

上場後は、年間上場料とTDnet利用料が毎年かかります。グロース市場は、上場後3年間を経過するまでは表の額の半額にTDnet利用料12万円を加えた金額です。上場後の料金の詳細は上場したら毎年いくらかかるのかで整理しています。

上場後に毎年かかる年間上場料(グロース市場・税別)上場時価総額上場後3年間4年目以降50億円以下24万円 + 12万円 = 36万円48万円 + 12万円 = 60万円50億円超〜250億円以下60万円 + 12万円 = 72万円120万円 + 12万円 = 132万円250億円超〜500億円以下96万円 + 12万円 = 108万円192万円 + 12万円 = 204万円12万円はTDnet利用料。上場後3年間は表の額の半額にTDnet利用料を加える上場時価総額は、毎年12月の最終売買立会日の最終価格と12月末の上場株式数で計算する東証の料金は、上場の年より上場後のほうが軽い500億円超の区分や他市場の金額は本文の表を参照

図 時価総額50億円以下のグロース市場の会社なら、上場後3年間は年36万円、4年目以降は年60万円です。

📌 監査報酬は、上場準備中の統計がない

監査法人に払う監査報酬は、IPOの費用のなかで大きな割合を占めます。ところが、上場準備中の会社の監査報酬について、公的な統計は見当たりませんでした。

参考になるのは、日本公認会計士協会の委託研究として2020年5月に公表された上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書です。2018年度の上場会社3,697社について、連結ベースの監査報酬の平均は60.43百万円、中央値は32.00百万円でした。新興市場の1,010社に絞ると、平均24.35百万円、中央値21.00百万円です。

上場会社の監査報酬(2018年度・連結ベース)上場会社全体(3,697社)平均 60.43百万円中央値 32.00百万円新興市場(1,010社)平均 24.35百万円中央値 21.00百万円新興市場以外(2,687社)平均 73.99百万円中央値 38.00百万円出典は2020年5月公表の上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書上場後の会社の数字で、上場準備中の監査報酬の公的な統計は見当たらない

図 いずれも上場後の会社の数字です。上場準備中の監査は範囲や時期が違うため、この数字をそのまま当てはめることはできません。

上場申請には、申請の直前2期間について、監査法人による監査証明が必要です。日本公認会計士協会のガイドブックは、そのために監査法人と金融商品取引法に準ずる監査の契約を結ぶ必要があるとしています。この2期間の監査が、準備期間中の監査報酬の中心になります。

監査法人は、直前2期の監査が本番N-3期以前ショートレビューで課題を洗い出す1N-2期準金商法監査1期目2N-1期準金商法監査2期目3N期上場申請審査4申請の直前2期間は、監査法人による監査証明が必要監査法人の交代や準備の遅れは、費用と期間の両方に跳ね返る

図 ショートレビューは、直前々期より前に行う課題の洗い出しと位置づけられています。ここで見つかった課題の量が、その後の費用を左右します。

金融庁の連絡協議会の報告書(2020年3月)は、準金商法監査の新規契約件数が2015年の323件から2019年の401件へ大きく増えた一方で、監査手続の厳格化や人員確保の難しさから、監査を引き受けにくい状況が生じたと分析しています。公認会計士・監査審査会の令和8年版モニタリングレポートも、より規模の小さい監査事務所への異動で監査報酬が増加しているケースが前年度より多く認められたとしています。監査法人を早めに決めることは、費用の面でも意味があります。

なお、上場後の内部統制報告書については、新規上場後3年間は公認会計士の監査を受けないことを選べます。ただし資本金100億円以上または負債総額1,000億円以上の会社は対象外で、内部統制報告書そのものの提出は必要です。

📌 主幹事証券には2種類の手数料を払う

公正取引委員会が2022年1月に公表した実態把握の報告書は、新規上場会社は証券会社に毎月数十万円程度の手数料を支払い、上場準備のサポートと推薦審査を受けると書いています。上場のときには、公開価格から証券会社の引受手数料を差し引いた額が引受価額になります。

主幹事証券に払うものは2種類上場準備の期間上場のとき毎月数十万円程度の手数料を払い上場準備のサポートと推薦審査を受ける公開価格から引受手数料を差し引いた額が証券会社の引受価額になる手数料率の公的な統計はない他社の有価証券届出書で実例を確かめられる株式の引受けの表の引受けの条件と、新規発行による手取金の額の発行諸費用の概算額同じ業種・同じ規模の会社の届出書を3社ほど並べるのが早い出典は公正取引委員会の実態把握(2022年1月)

図 引受手数料の率について、公的な統計は見当たりませんでした。実例は、他社の有価証券届出書で確かめられます。

有価証券届出書では、募集要項の株式の引受けの表にある引受けの条件の欄に、引受人に支払う手数料等が書かれます。新規発行による手取金の額の表には、会社が負担する発行諸費用の概算額が載ります。同じ業種で規模の近い会社の届出書を3社ほど並べると、自社の見当がつきます。

読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか

いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。

初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら

📌 予算を組む順番

公表されている東証の料金から先に計算し、公表されていない費用は見積りで埋めていきます。

予算は、確実なものから順に積む東証の料金を計算市場と公募・売出しの株数を仮に置く1監査報酬の見積りショートレビューの結果とあわせて取る2主幹事の条件準備期間中の手数料と引受けの条件を確認3社内と外部支援採用・システムと外に出す工程を決める4公表されていない費用ほど、早く見積りを取った会社が有利になる見積りの前提をそろえないと、比べることができない

図 監査報酬の見積りは、ショートレビューの結果とあわせて取ると精度が上がります。前提をそろえないと、複数の見積りを比べることができません。

見落としやすいのが社内の費用です。管理部門の人員を増やす人件費と、会計や人事のシステムを整える費用は、準備期間を通じて続きます。外部の専門家に何を任せるかで、社内に必要な人数も変わります。

ショートレビューで何を調べ、誰に頼むかは、ショートレビューとはで整理しています。

📌 当事務所に頼む場合の目安

当事務所では、上場準備の工程を切り出してお引き受けしています。すべてをまとめてご依頼いただく必要はありません。主なものの目安は次のとおりです(税別)。すべての項目は料金の目安のページにまとめています。

支援内容 標準的な期間 料金の目安
プレショートレビュー 2〜3週間 40万〜60万円
ショートレビュー 6〜8週間 70万〜100万円
監査法人との契約締結支援 3〜6か月 月額10万〜50万円
会計制度の適正化 3〜6か月 月額10万〜50万円
社内諸規程の整備 3〜6か月 40万〜80万円
J-SOX3点セットの作成 6〜12か月 50万〜100万円
Ⅰの部の作成 初版4〜6か月 月額10万〜50万円

表 当事務所の料金の目安より抜粋。実際の金額は範囲と規模によって変わり、着手前に書面でご提示します

着手前のご相談と、範囲と金額のご提示までは無料です。支援の内容と進め方はIPO支援業務のページにまとめています。

IPOの予算を組みはじめた方へ

東証の料金の試算から、監査法人の見積りの取り方、外に出す工程の切り分けまでご相談いただけます。ショートレビューの前の段階でも対応できます。上場申請書類と内部統制の実務に携わっている公認会計士・税理士が直接対応します。初回のご相談は無料です。オンライン面談にも対応しており、お問い合わせから2営業日以内にご返信します。

お問い合わせはこちら

公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援と内部統制の整備支援を行っています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

❓ よくある質問

Q. IPOの費用は全部でいくらかかりますか

A. ひとつの金額で答えることはできません。金額が公表されているのは東京証券取引所の料金だけで、監査報酬や主幹事証券の手数料、外部の専門家への報酬は会社ごとの見積りで決まります。東証の料金を計算し、残りは見積りと他社の有価証券届出書で見通すのが確実です。

Q. 東証に払う料金は、市場によってどれくらい違いますか

A. 上場審査料と新規上場料の合計は、グロース市場で300万円、スタンダード市場で1,100万円、プライム市場で1,900万円です(税別)。このほかに公募又は売出しに係る料金がかかり、グロース市場ではこの料金に1,900万円の上限があります。

Q. 監査報酬の相場は公表されていますか

A. 上場準備中の監査報酬について、公的な統計は見当たりませんでした。上場後の会社については、2020年に公表された実態調査報告書があり、2018年度の新興市場の会社の連結ベースの監査報酬は平均24.35百万円、中央値21.00百万円でした。

Q. 主幹事証券の引受手数料はどこで確認できますか

A. 他社の有価証券届出書で確認できます。募集要項の株式の引受けの表の引受けの条件の欄に、引受人に支払う手数料等が書かれます。発行諸費用の概算額は、新規発行による手取金の額の表に載ります。

Q. 上場審査で不承認になった場合、審査料はもう一度かかりますか

A. 直近の上場申請日又は予備申請日から3年以内に申請し直す場合、上場審査料は半額になります。

📄 まとめ

IPOの費用は、監査法人、主幹事証券、東京証券取引所、外部の専門家、社内の5つに分けて考えます。このうち金額が公表されているのは東証の料金だけで、上場審査料と新規上場料の合計はグロース市場で300万円、スタンダード市場で1,100万円、プライム市場で1,900万円です。これに公募又は売出しに係る料金と、上場後の年間上場料が加わります。

監査報酬は、上場準備中の公的な統計が見当たりません。上場後の新興市場の会社でも、連結ベースの中央値は21.00百万円(2018年度)です。申請の直前2期間は監査法人の監査証明が必要なので、監査法人を早めに決めることが、期間と費用の両方で効いてきます。

主幹事証券には、準備期間中の手数料と、上場時の引受手数料を払います。手数料率の公的な統計はないので、同業他社の有価証券届出書で実例を確かめるのが近道です。予算は、計算できる東証の料金から積み、見積りで決まる費用は前提をそろえて比べてください。

⚖ 本記事の根拠

参照した資料

  • 日本取引所グループ「新規上場に係る料金」「上場後の料金」
  • 有価証券上場規程 第205条第7号ほか(上場審査基準の監査に関する要件)
  • 監査人・監査報酬問題研究会「2020年版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」(2020年5月15日公表)
  • 日本公認会計士協会「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」(2026年2月13日公表)
  • 金融庁「株式新規上場(IPO)に係る監査事務所の選任等に関する連絡協議会報告書」(2020年3月27日)
  • 公認会計士・監査審査会「令和8年版モニタリングレポート」(令和8年7月17日公表)
  • 公正取引委員会「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について」(2022年1月28日)
  • 企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式(株式の引受け、新規発行による手取金の額)
  • 金融庁 金融審議会事務局説明資料「新規上場に伴う負担の軽減」(2013年10月15日)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の会計処理および税務上の判断は、監査人および顧問税理士にご確認ください。

📚 参考(公的な一次情報)

IPO支援に強い、公認会計士 IPO支援に強い、公認会計士

ベンチャー・スタートアップ企業の
経営管理支援・IPO支援

お問い合わせ

書くより話すほうが早いときは、お電話でも承ります TEL 03-6820-0406