流通株式数は、上場株式数から流通性の乏しい株式を除いた株数です。足し算ではなく引き算で出します。
除かれるのは、役員が持つ株式、特別利害関係者が持つ株式、上場会社の関係会社が持つ株式、自己株式、上場株式数の10パーセント以上を持つ者の株式などです。ただし一定の要件を満たすものは流通株式に含めます。
定義は有価証券上場規程施行規則第8条に置かれています。線引きが細かいため、自社だけで判断せず主幹事証券会社と確かめる領域です。
- 上場株式数から何を除くのか
- 役員と特別利害関係者の範囲
- 10パーセント以上の株主と金融機関の扱い
- 基準が単位で書かれていること
- 株主名簿を分解する手順
📌 結論 上場株式数から除いていく
引き算です。上場株式数から順番に除いていくと流通株式数が残ります。
流通株式数は、上場株式数から流通性の乏しい株券等を除いて算出します。自己株式を含んだ上場株式数が出発点です。
東京証券取引所の説明では、除外の対象として、役員および役員持株会が所有する株式、特別利害関係者が所有する株式、上場会社の関係会社が所有する株式、自己株式が挙げられています。自己株式の処分を決議した場合は当該株式数を控除するとされています。
そのうえで、上場株式数の10パーセント以上を所有する者が所有する株式や、国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式については、一定の場合に流通株式に含める取扱いが定められています。
🧭 誰が役員で誰が特別利害関係者か
二親等内の血族には、親、子、祖父母、孫、兄弟姉妹が入ります。配偶者の親族の扱いを含め、名簿の分解では線引きを文書に残してください。
役員は、取締役、会計参与、監査役、そして指名委員会等設置会社の場合の執行役です。役員持株会も含まれます。
特別利害関係者は、上場会社の役員の配偶者および二親等内の血族、役員またはこれらの者が議決権の過半数を保有する会社、上場会社の関係会社およびその役員を指します。
実務でつまずくのは、この範囲の把握です。創業者の親族が名簿に散らばっている会社では、誰が二親等内なのかを1件ずつ確かめることになります。上場直前に慌てて調べると間に合いません。株主名簿を作った時点で印を付けておいてください。
流通株式数は、名簿を1行ずつ分解しないと出ません。誰が役員で誰が特別利害関係者かの線引き、10パーセント以上の株主の扱い、そして市場ごとの基準充足のシミュレーションまで、公認会計士が通してお手伝いします。初回のご相談は無料です。
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🧾 10パーセント以上の株主と金融機関
含める場合の要件は施行規則に細かく定められています。自社で判断せず、主幹事証券会社と取引所に確かめてください。
上場株式数の10パーセント以上を所有する者が所有する株式は、原則として流通株式から除かれます。ベンチャーキャピタルが大口で入っている会社では、ここで大きく削られます。
ただし一定の条件を満たす場合には流通株式に含める取扱いが定められています。国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式についても同様です。
この含める要件は細かく、自社の解釈で数字を作ると審査の途中で覆ります。名簿を分解した結果は、必ず主幹事証券会社に確認してもらってください。
📅 単位で数えることに注意する
基準は株数ではなく単位で書かれています。単元株式数を100株としている会社では、単位に100を掛けた株数が目安になります。
流通株式数の基準は、株数ではなく単位で書かれています。プライムは2万単位以上、スタンダードは2000単位以上、グロースは1000単位以上です。
単元株式数を100株としている会社であれば、それぞれ200万株、20万株、10万株が目安になります。株式分割を行えば単位数は増えますが、流通株式比率や流通株式時価総額は分割では変わりません。
流通株式数だけが足りないなら株式分割で届くことがあります。比率や時価総額が足りないなら、株主構成そのものを動かすしかありません。どの基準で引っかかっているのかを見分けてから打ち手を決めてください。
❓ よくある質問
A. 上場株式数から、役員や特別利害関係者などが持つ株式を除いて算出します。
A. 取締役、会計参与、監査役、指名委員会等設置会社の場合の執行役です。役員持株会も含まれます。
A. 役員の配偶者および二親等内の血族、役員等が議決権の過半数を持つ会社、上場会社の関係会社およびその役員です。
A. 10パーセント以上を持つ場合は原則として除かれます。一定の条件で流通株式に含める取扱いがあります。
A. 除かれます。自己株式の処分を決議した場合は当該株式数を控除します。
A. 単元のことです。単元株式数を100株としている会社なら、1単位は100株です。
A. 流通株式数の基準は満たしやすくなりますが、比率と時価総額は分割では変わりません。
A. 有価証券上場規程施行規則第8条です。
📄 まとめ
流通株式数は、上場株式数から流通性の乏しい株式を除いた株数です。引き算で出します。
除かれるのは、役員および役員持株会、特別利害関係者、関係会社、自己株式、10パーセント以上を持つ者の株式などです。一定の要件を満たすものは含めます。
基準は株数ではなく単位で書かれています。単元株式数を確かめてから数えてください。
まず株主名簿を1行ずつ分解することです。そこから先の議論は、その表がないと始まりません。
公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の判断にあたっては、主幹事証券会社および監査法人にご確認ください。
📚 参考(公的な一次情報)
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