J-KISSは発行の時点で株式を出しません。ですから持株比率はその場では動きません。動くのは転換のときです。
そして希薄化がどこまで進むかは、次回ラウンドのプレマネー評価額を何で割るかで変わります。転換で増える株式をその分母に含めるかどうか、という一点です。
この一点で創業者の最終的な持分が数ポイント動きます。契約書の完全希薄化後株式数の定義は、必ず自分で読んでください。
- 希薄化がどの時点で起きるのか
- プレマネーの分母に何を含めるかで結論が変わること
- 完全希薄化後株式数の中身
- ストックオプションプールとの重なり
- 資本政策表に持っておくべき列
📌 結論 薄まるのは転換のとき
発行時に持分が動かないため、希薄化が見えにくくなります。転換のときに一度に効いてきます。
J-KISSの発行時には株式が発行されません。会社法上の新株予約権であるためです。ですから登記簿の発行済株式総数も、株主名簿も、その時点では動きません。
希薄化が起きるのは転換のときです。次回ラウンドで、J-KISSの転換分と、新規投資家の出資分と、必要ならストックオプションのプール分が、まとめて効いてきます。
発行時に見えないぶん、あとから一度に効くのが厄介なところです。J-KISSを出した時点で、転換後の姿を数字にしておいてください。
🧭 プレマネーの分母をどう置くか
交渉の実質はここに集まります。契約書の完全希薄化後株式数の定義を必ず読んでください。
次回ラウンドの投資家は、プレマネー評価額を提示します。そして1株当たりの価額は、その評価額を株式数で割って決まります。
この株式数に、J-KISSの転換で増える株式を含めるかどうかが分かれ道です。含めるなら1株当たりの価額は下がり、その希薄化は主に既存株主が負担します。含めないなら、新規投資家も希薄化を負担します。
投資家の側は含める設計を求めることが多く、創業者の側は含めない設計を望むことになります。ここは正解のある論点ではなく、交渉です。数字を作ってから話してください。
次回ラウンドの評価額をいくつか置いて、創業者の持分がどこまで下がるのかを表にしておくと、条件交渉の判断が速くなります。上場時の流通株式の充足まで同じ表で見られるようにします。公認会計士が作成からお手伝いします。初回のご相談は無料です。
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🧾 完全希薄化後の株式数に何を入れるか
未発行のプールを含めるかどうかで、創業者の持分が数ポイント変わります。定義条項を読み飛ばさないでください。
発行済株式を含めるのは当然として、争点になるのは未発行のストックオプションプールです。
次回ラウンドの投資家は、上場までに必要なプールをあらかじめ確保することを求めます。そのプールを分母に含めれば、その希薄化は既存株主が負担することになります。
プールの規模そのものも交渉になります。必要な人数と付与方針を先に整理しておかないと、言われるままの数字を飲むことになります。
📅 資本政策表をどう作るか
上場を視野に入れるなら、流通株式の充足まで同じ表で見えるようにしておくと、あとで作り直さずに済みます。
資本政策表は、現在の比率だけでは足りません。潜在株式を織り込んだ完全希薄化後の比率と、上場時の想定まで並べてください。
上場を視野に入れているなら、公募と売出しを入れたあとの流通株式比率や流通株式数まで同じ表で見えるようにしておくと、あとで作り直さずに済みます。
そしてこの表は一度作って終わりではありません。J-KISSを追加で発行したとき、ストックオプションを付与したとき、評価額の前提を変えたときに更新してください。更新されない資本政策表は、意思決定の役に立ちません。
❓ よくある質問
A. 下がりません。株式が発行されるのは転換のときです。
A. 次回ラウンドのプレマネー評価額を何で割るか、つまり分母に転換分を含めるかどうかで決まります。
A. 潜在株式まで含めた株式数です。何を含めるかは契約の定義によります。
A. 交渉になります。未発行のプールを含めるかどうかで創業者の持分が変わります。
A. 上場審査に持株比率の数値基準はありませんが、経営の安定性の説明が必要になります。
A. 条件が異なる場合、転換時に整理が必要です。発行前に既存分の条項を確認してください。
A. J-KISSを出す前です。出したあとでは条件を動かせません。
A. 転換後の株主構成が流通株式の充足に直結します。同じ表で見られるようにしてください。
📄 まとめ
J-KISSは発行時に持分を動かしません。効いてくるのは転換のときです。
希薄化の分かれ目は、次回ラウンドのプレマネーの分母に転換分を含めるかどうかです。
未発行のストックオプションプールを分母に含めるかどうかでも、創業者の持分は数ポイント動きます。
J-KISSを出す前に、次回の評価額をいくつか置いた資本政策表を作ってください。条件を決めたあとでは、もう試算する意味がありません。
公認会計士・税理士 鈴木佑也(鈴木佑也公認会計士税理士事務所/東京都台東区入谷)。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンス、企業価値評価、IFRS影響度調査、不正調査、フォレンジックに携わりました。現在は上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成支援、内部統制の導入と内部監査対応、新収益認識基準やIFRSの導入支援、社内諸規程の整備を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。契約条件の解釈については弁護士にご確認ください。