主幹事証券の引受審査では何を聞かれるのか。項目は公表されています。
日本証券業協会の有価証券の引受け等に関する規則 第16条第1号が、新規公開における引受審査項目としてイからリまでの9つを列挙しています。会員は少なくともこれらについて厳正な審査を行わなければならない、とされています。
そして引受審査と、東証の上場審査は別のものです。主幹事は審査結果を上場適格性調査に関する報告書にまとめ、取引所に提出します。同じことを2回聞かれるのは、この二層構造によります。
- 引受審査項目の9つが規則に書かれていること
- 引受審査と上場審査の役割分担
- 上場適格性調査に関する報告書の位置づけ
- 引受審査部門が営業部門から独立していること
- スタンダードとグロースで実質審査基準が違うこと
- 主幹事が交代したときの取扱い
📌 結論 聞かれることは規則に列挙されている
日本証券業協会の有価証券の引受け等に関する規則 第16条第1号です。少なくともこれらについて厳正な審査を行わなければならない、と書かれています。
規則第12条第1項は、発行者が将来にわたって投資者の期待に応えられるか否かを厳正に引受審査しなければならない、としています。審査の観点は3つで、投資者の期待に応えられるか、募集または売出しが資本市場における資金調達または売出しとしてふさわしいか、情報開示が適切に行われているかです。
そのうえで、引受審査部門において第16条から第19条までに規定する引受審査項目について審査することを義務づけています。新規公開の株券等については第16条第1号のイからリまでです。
ここに書かれていないことを聞かれないという意味ではありません。リが、その他会員が必要と認める事項となっています。ただ、主要な論点は9つの箱に入ります。準備する資料も、この9つに分けて整理しておくと質問との対応がつきます。
🧭 引受審査と上場審査は別のもの
二層構造です。証券会社が審査した結果が報告書として取引所に渡り、取引所はそれを含めて審査します。同じことを2回聞かれるのはこのためです。
東京証券取引所の新規上場申請に係る提出書類等の一覧に、上場適格性調査に関する報告書が載っています。根拠は有価証券上場規程施行規則第204条第1項第6号、提出者は元引受証券会社、提出時期は上場承認までです。
つまり、主幹事の引受審査は取引所の審査の前段にあり、その結論が書面で取引所に渡ります。主幹事が納得していない論点を抱えたまま申請に進むことはできません。
そして規則第5条が引受審査の独立性の確保を定めています。引受審査は営業部門から独立した部門が行います。担当者が変わると論点が蒸し返されることがあるのは、この分離によるものです。
財政状態及び経営成績、業績の見通し、企業内容等の適正な開示。この3つは会計の説明そのものです。会計方針の選択理由、見積りの根拠、月次の予実差異の説明、関連当事者取引の整理まで、聞かれる形で資料を作ります。証券会社からの質問状への回答文の作成もお受けします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 市場によって実質審査基準が違う
グロースには企業の継続性及び収益性がありません。かわりに事業計画の合理性が入ります。ここを取り違えると、準備する資料が丸ごとずれます。
取引所側の実質審査基準は市場ごとに条が分かれています。スタンダード市場は有価証券上場規程第207条第1項、プライム市場は第213条第1項、グロース市場は第219条第1項です。
グロース市場には企業の継続性及び収益性がありません。かわりに事業計画の合理性が第4号にあります。開示の適切性が第1号に前倒しされているのも特徴です。
グロース市場を目指す会社が、収益性の説明ばかり作り込んで事業計画の根拠を用意していない、ということが起こります。条文の並びを先に確認してください。
📅 主幹事が交代したとき
引受審査の独立性は規則第5条に定めがあります。営業部門とは別の部門が審査します。
規則には、第9条の主幹事会員となるための要件等、第13条の主幹事会員と他の引受会員の連携、第14条の主幹事会員の交代等があった場合の対応、第15条の引受審査終了後の対応が置かれています。
主幹事が交代しても、引受審査がゼロからやり直しになるわけではありません。ただし新しい主幹事は自らの責任で審査します。前の主幹事が了としていた論点が、もう一度問われることがあります。
上場審査の実質基準そのものについては内部通報体制は上場審査でどこまで見られるかもあわせてご覧ください。
❓ よくある質問
A. 日本証券業協会の有価証券の引受け等に関する規則 第16条第1号です。イからリまでの9項目が列挙されています。
A. 別のものです。主幹事の審査結果は上場適格性調査に関する報告書として取引所に提出されます(施行規則第204条第1項第6号)。
A. 規則第5条が引受審査の独立性の確保を定めています。引受審査部門は営業部門から独立しています。
A. 第219条第1項に企業の継続性及び収益性はありません。第4号は事業計画の合理性です。
A. 規則第14条に主幹事会員の交代等があった場合の対応が定められています。新しい主幹事は自らの責任で審査します。
A. 規則第15条に引受審査終了後の対応が定められています。終了後に事情が変わった場合の対応も含まれます。
A. 第16条第1号トが調達する資金の使途を審査項目としています。金額と時期の対応がつく粒度が求められます。
A. イに掲げられた最初の項目です。反社会的勢力との関係、係争、事業の適法性などがここで問われます。
📄 まとめ
引受審査項目は規則第16条第1号のイからリまでの9つです。公表されています。
引受審査は取引所の上場審査の前段にあり、結果は上場適格性調査に関する報告書として提出されます。
取引所の実質審査基準は市場ごとに条が違い、グロースには企業の継続性及び収益性がありません。
質問状が来てから資料を作るのではなく、9項目の箱を先に作って埋めていってください。回答の速さがそのまま審査期間になります。
📚 参考(公的な一次情報)
- 有価証券の引受け等に関する規則(日本証券業協会) 第12条・第16条
- 新規上場申請に係る提出書類等(内国株券・東京証券取引所) 上場適格性調査に関する報告書
- 上場関係者と役割(日本取引所グループ) 主幹事証券会社の役割
- 上場審査基準(グロース市場・日本取引所グループ) 実質審査基準の項目
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