Ⅰの部とⅡの部は何が違うのか。ひとことで言えば、公開されるかどうかです。
Ⅰの部は上場承認後に公衆縦覧に供されます。Ⅱの部は審査資料という位置づけで、上場承認後も公衆縦覧に供されません。東京証券取引所の提出書類の説明にそう書かれています。
そしてもう一点。グロース市場ではⅡの部という呼び名を使いません。新規上場申請者に係る各種説明資料が正式名称で、根拠条番号も施行規則第231条第1項第4号と別です。
- Ⅰの部とⅡの部の根拠条番号
- 公開されるのがⅠの部だけであること
- グロースでは各種説明資料と呼ぶこと
- Ⅰの部が有価証券届出書そのものではないこと
- Ⅰの部に証券情報が載らない理由
- 両者の食い違いが審査の論点になること
📌 結論 公開されるのはⅠの部だけ
同じ有価証券報告書という名前ですが、公開されるのはⅠの部だけです。Ⅱの部は上場承認後も公開されません。
東京証券取引所の新規上場申請に係る提出書類等の説明に、Ⅰの部及び新規上場申請のための半期報告書は上場承認後に公衆縦覧に供される、と書かれています。
そしてⅡの部については、Ⅰの部と違い審査資料という位置付けなので上場承認後も公衆縦覧に供されることはない、とあります。同じ箇所で、Ⅱの部が審査の柱となる資料であるとも説明されています。
したがって、Ⅰの部は投資家に読まれる前提で書き、Ⅱの部は審査担当者に読まれる前提で書きます。同じ事実でも、書く粒度が変わります。
🧭 グロースでは呼び名が違う
グロース市場ではⅡの部という呼び名を使いません。各種説明資料です。条番号も別です。市場をまたいでⅡの部と一括りにすると話が食い違います。
グロース市場の審査資料は、新規上場申請者に係る各種説明資料です。東京証券取引所が公表している記載項目の資料の冒頭に、有価証券上場規程施行規則第231条第1項第4号に規定する提出書類(各種説明資料と称します)と書かれています。
この資料の中にⅡの部という語は出てきません。市場をまたいでⅡの部と呼ぶと、条番号を確認するときに行き止まりになります。
プライム市場とスタンダード市場では、新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)記載要領により作成する、と施行規則第204条第1項第4号cが定めています。
経理の状況の作成、会計方針の記載、注記の網羅性の確認、そしてⅡの部側で求められる会計処理の説明資料。この2つを別々に作ると必ず食い違います。数値の出所を一本化し、質問が来たときに同じ答えが返る状態を作ります。監査法人と主幹事の双方への説明もお受けします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 Ⅰの部は有価証券届出書ではない
Ⅰの部は金融商品取引法上の有価証券届出書ではありません。様式を借りているだけです。
施行規則第204条第1項第4号aは、Ⅰの部を、開示府令第8条第2項第1号に規定する第2号の4様式の第二部から第四部までに準じて作成する、としています。
開示府令第8条第2項第1号は、本邦の金融商品取引所に上場しようとする会社が有価証券届出書を提出する場合の様式として第二号の四様式を定めています。つまりⅠの部は、届出書の様式を借りて作る取引所への提出書類です。
準ずるのは第二部から第四部までです。第一部にあたる証券情報は含まれません。Ⅰの部に公開価格や募集条件が載っていないのはこのためです。
📅 2つの資料の食い違い
Ⅱの部の記載内容がⅠの部と食い違うと、そこが審査の論点になります。数値と説明の出所を一本化しておいてください。
Ⅱの部には、Ⅰの部に記載されている内容を確認するための資料という性格があります。事業内容や内部組織の状況を理解するために用いる、審査の柱となる資料と説明されています。
したがって、Ⅱの部でだけ丁寧に書いた説明が、Ⅰの部の記載と整合していないと、そこが論点になります。売上の計上単位、セグメントの区分、関連当事者の範囲。この3つは特にずれやすい箇所です。
上場後の開示については上場したら何をいつ開示するのかにまとめています。
❓ よくある質問
A. されません。取引所の説明に、上場承認後も公衆縦覧に供されることはない、と書かれています。
A. 正式名称は新規上場申請者に係る各種説明資料です。根拠は施行規則第231条第1項第4号です。
A. 違います。開示府令第8条第2項第1号の第二号の四様式に準じて作成する取引所への提出書類です。
A. 載りません。準ずるのは第二部から第四部までで、証券情報の第一部は含まれません。
A. 期数を数字で定めた条文は確認できません。様式に準じて作成する、という定め方です。監査の対象は最近2年間です。
A. 付きます。公衆縦覧用として添付して提出します。
A. 新規上場申請のための半期報告書も公衆縦覧に供される書類として挙げられています。
A. 日本取引所グループの新規上場会社情報のページで公開されています。同業他社の記載を確認できます。
📄 まとめ
Ⅰの部は公開され、Ⅱの部は公開されません。書く相手が違います。
グロース市場の審査資料は各種説明資料という別の名称で、根拠条番号も別です。
Ⅰの部は有価証券届出書そのものではなく、その様式に準じて作る取引所への提出書類です。
2つを別々のチームで作らないでください。数値と説明の出所を一本化しておくことが、質問対応の時間を最も減らします。
📚 参考(公的な一次情報)
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