決算短信を出したあとで、数字の誤りが見つかった。どこから手をつければよいのか。
まず、3つの制度を分けて考えてください。適時開示としての短信の訂正、金融商品取引法にもとづく有価証券報告書の訂正、そして会計上の誤謬の訂正です。それぞれ根拠も手順も違います。
順番としては、適時開示が先です。投資家に届いている数字が違うのですから、そこを直すのが最初になります。
- 短信の訂正と有報の訂正が別の制度であること
- 決算情報の適時開示が上場規程第404条にあること
- 業績予想の修正等が第405条にあること
- 自発的な訂正報告書が金商法第7条第1項後段にあること
- 適時開示を先に行うこと
- 訂正前と訂正後を並べて開示すること
📌 結論 3つの制度を分ける
3つは別の制度です。短信を直すことと、有報を訂正することと、会計上の誤謬を訂正することは、それぞれ根拠も手順も違います。混ぜて考えると手順が組めません。
決算短信は、有価証券上場規程にもとづく適時開示です。決算情報については第404条に、業績予想や配当予想の修正等については第405条に定めがあります。
有価証券報告書の訂正は、金融商品取引法の話です。自発的に訂正する場合の根拠は第7条第1項後段にあり、有価証券報告書についてはこれが第24条の2第1項で準用されています。
そして会計処理としての誤謬の訂正は、企業会計基準第24号です。第21項が修正再表示の方法を、第22項が注記事項を定めています。
この3つを分けずに議論すると、何を先にすべきかが決まりません。まず、いま起きていることがどの制度の話なのかを整理してください。
🧭 順番
適時開示が先です。投資家に届いている数字が違うのですから、まずそこを直します。有報の訂正はそのあとに続きます。
適時開示が先です。すでに公表した数値が違うのですから、市場に対して速やかに訂正することになります。
ただし、その前にやることがあります。監査法人に伝えることです。金額が確定していなくても伝えてください。訂正の範囲そのものが、監査法人との議論で変わることがあります。
伝える前に用意する資料は誤謬を見つけたら監査法人にいつ伝えるかにまとめています。
有価証券報告書の訂正は、そのあとです。すでに提出済みの有報に影響があるかどうかを確認して、訂正報告書を出すかを判断します。臨時報告書との違いは訂正報告書と臨時報告書はどちらを出すかで扱っています。
誤りの範囲の特定、監査法人への説明、訂正の適時開示の文案、有報の訂正の要否判断、そして修正再表示の処理と注記まで通してお受けします。時間との勝負になる場面ですから、早めにご連絡ください。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら
⚖️ 重さで対応が変わる
訂正の適時開示で終わるのか、有報の訂正まで進むのか。ここは影響の大きさで変わります。監査法人と早い段階ですり合わせてください。
誤記の訂正だけで済むこともあれば、修正再表示まで進むこともあります。分かれ目は、数値への影響と、過年度に及ぶかどうかです。
過年度に及ぶ場合は、企業会計基準第24号の第21項により修正再表示します。表示期間より前の期間に関する累積的影響額は、最も古い期間の期首に反映します。そして第22項の注記が必要になります。
業績予想に影響する場合は、業績予想の修正等として別に開示することになります。上場規程の第405条です。
そして、原因が内部統制にある場合は、内部統制報告書への影響も確認します。開示すべき重要な不備にあたるかどうかの判断です。
📝 何を書くか
訂正前と訂正後を並べた表を必ず入れてください。文章だけでは、読み手が何が変わったのかを追えません。
訂正の開示では、訂正前と訂正後を並べた表を必ず入れてください。文章だけでは、読み手が何がどう変わったのかを追えません。
訂正の理由も具体的に書きます。システムの集計に誤りがあった、担当者が仕訳を誤った、といった原因のレベルまで書くことになります。抽象的な表現では、再発防止の説明につながりません。
発見の経緯も書きます。いつ、どのようにして気づいたのか。ここが曖昧だと、知っていて出さなかったのではないかという疑いを招きます。
そして今後の対応です。何を変えるのかを具体的に書いてください。担当者への注意喚起、では説明になりません。
❓ よくある質問
A. 別の制度です。短信は有価証券上場規程にもとづく適時開示、有報の訂正は金融商品取引法の話です。
A. 適時開示が先です。すでに公表した数値が違うためです。
A. 有価証券上場規程第404条です。業績予想や配当予想の修正等は第405条です。
A. 金融商品取引法第7条第1項後段です。有価証券報告書については第24条の2第1項で準用されています。
A. わかった時点です。金額が確定していなくても伝えてください。
A. 修正再表示の要否を判断します(企業会計基準第24号第21項)。注記も必要です(第22項)。
A. 訂正の理由、訂正の内容(訂正前と訂正後を並べる)、発見の経緯、今後の対応、業績への影響です。
A. 原因が内部統制にある場合は、開示すべき重要な不備にあたるかを判断することになります。
📄 まとめ
決算短信の訂正、有価証券報告書の訂正、会計上の誤謬の訂正。この3つは別の制度です。まず、どの話をしているのかを分けてください。
順番は、監査法人に伝える、適時開示で訂正する、有報の訂正を検討する、です。
過年度に及ぶなら修正再表示になります。第21項の処理と第22項の注記が必要です。
開示では、訂正前と訂正後を並べた表を入れてください。理由と発見の経緯を具体的に書くことが、その後の信頼につながります。
📚 参考(公的な一次情報)
- 有価証券上場規程 第404条、第405条
- 金融商品取引法 第7条第1項、第24条の2第1項
- 企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第4項、第21項、第22項
あわせて読みたい