譲渡制限株式の譲渡承認|2週間で答えないとどうなるか

株主から株式を譲りたいという書面が届いた。社内で相談しているうちに2週間が過ぎた。この場合、会社は承認したものとみなされます。会社法145条1号は、請求の日から2週間以内に決定の内容を通知しなかったときは、承認をする旨の決定をしたものとみなすと定めています。

譲渡制限は、株主の顔ぶれを会社が管理するための仕組みです。ところが会社法は、株主の投下資本の回収も同時に守っています。承認しないのであれば会社か会社が指定した者が買い取らなければならず、その手続にも細かい期限が並びます。どこか1つを落とすと、承認したことにされてしまいます。

この記事では、非公開会社を前提に、譲渡等承認請求を受けてからの流れを条文の順に整理します。期限は2週間だけではありません。40日、10日、1週間、20日と続きます。

この記事でわかること

  • 請求の日から2週間以内に決定の内容を通知しないと、承認したものとみなされること(145条1号)
  • みなし承認になる場面が全部で5つあり、そのうち3つは施行規則に置かれていること(145条3号、施行規則26条)
  • 承認しない場合に会社が買い取るには株主総会の特別決議が必要で、請求した株主は議決権を行使できないこと(140条2項・3項、309条2項1号)
  • 買取りの通知は40日以内、指定買取人なら10日以内で、供託を証する書面の交付も同じ期間内に必要なこと(145条2号、施行規則26条)
  • 通知が届いた後は、請求者は会社または指定買取人の承諾がなければ請求を撤回できないこと(143条)
  • 売買価格は協議で決め、20日以内なら裁判所に決定の申立てができること(144条1項・2項)

🧭 譲渡は自由が原則。承認を要するのは定款で決めたから

会社法127条は、株主はその有する株式を譲渡することができると定めています。譲渡自由が原則です。承認が必要になるのは、定款で全部の株式の内容として、または種類株式の内容として、譲渡による取得について会社の承認を要する旨を定めた場合だけです(107条1項1号・2項1号、108条1項4号・2項4号)。

ここで見落とされがちなのが107条2項1号ロです。定款には、承認を要する旨とあわせて、一定の場合には会社が136条または137条1項の承認をしたものとみなすときは、その旨とその一定の場合を定めることができます。たとえば株主間での譲渡や、株主の親族への譲渡はあらかじめ承認したものとみなす、という定めです。この定めを置いておけば、身内での持分の移動のたびに取締役会を開く必要がなくなります。

定款に譲渡制限があるからといって、譲渡そのものが禁止されるわけではありません。会社の承認がないまま株式を譲り受けた者は、会社に対して自分が株主だと主張できないだけで、譲渡人と譲受人の間では譲渡は有効だと解されています。会社が気づかないうちに株式が動いていた、という場面が非上場会社で起きるのはこのためです。

📮 請求できるのは2種類。何を書くか

承認を求める請求には2つの入口があります。136条は、譲渡制限株式の株主が、これから他人に譲り渡そうとするときに、その他人が取得することについて承認するか否かの決定を請求できるとしています。譲渡の前に会社へ聞く形です。137条1項は、すでに譲渡制限株式を取得した者が、取得したことについて承認するか否かの決定を請求できるとしています。譲渡の後に会社へ聞く形です。

後者には縛りがあります。137条2項により、株式取得者は、原則として株主名簿上の株主またはその相続人その他の一般承継人と共同で請求しなければなりません。単独で請求できるのは、施行規則24条が定める場合に限られます。株券発行会社であれば株券を提示して請求した場合(施行規則24条2項1号)、株券不発行会社であれば請求すべきことを命ずる確定判決を得た場合や、競売により取得した場合などです(施行規則24条1項)。

請求で明らかにしなければならない事項は138条に並んでいます。株主からの請求であれば、譲り渡そうとする譲渡制限株式の数と、譲り受ける者の氏名または名称の2つです(138条1号イ・ロ)。

そして3つ目のハが、この手続の分かれ道です。会社が承認をしない旨の決定をする場合に、会社または指定買取人が買い取ることを請求するときは、その旨を明らかにしておかなければなりません。ハの記載がなければ、会社は承認しないと通知して終わりです。ハの記載があれば、承認しない以上は買い取らなければならなくなります(140条1項)。請求書を受け取ったら、まずハがあるかどうかを確認してください。

会社法は請求の方法を定めていません。だからこそ、定款またはその授権に基づく株式取扱規程で、請求は書面によるものとし、定型の書式を用意しておくのが実務です。受け付けた日がその後のすべての期限の起算点になりますから、受付日を記録に残す運用まで決めておいてください。

🗳 決めるのは取締役会。定款で別段の定めができる

139条1項は、承認をするか否かの決定は株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議によらなければならないとしたうえで、定款に別段の定めがある場合はこの限りでないと定めています。取締役会を置いていない会社では株主総会が決めるのが原則で、定款で代表取締役が決めることにしている会社もあります。

決定をしたときは、その内容を請求者に通知しなければなりません(139条2項)。承認するときも、承認しないときも通知が必要です。

⏰ 2週間で通知しないと承認したことになる

145条1号は、会社が136条または137条1項の請求の日から2週間以内に139条2項の通知をしなかった場合には、承認をする旨の決定をしたものとみなすと定めています。2週間は、これを下回る期間を定款で定めた場合にはその期間です。逆に、定款で2週間より長くすることはできません。

ただし書も押さえてください。145条本文のただし書は、会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときはこの限りでないとしています。検討に時間がかかるのであれば、請求者と話し合って期間を延ばすことができます。黙って2週間を過ぎるのと、合意のうえで延ばすのとでは結果がまるで違います。

承認するつもりの案件は、通知が遅れても結論は変わりません。危ないのは、承認しないつもりの案件と、社内で意見が割れている案件です。取締役会の日程が取れない、株主の意向を確かめてから決めたい、そう考えているうちに2週間が過ぎると、会社の意思とは無関係に承認したことになります。譲渡等承認請求書を受け付けたら、その日のうちに2週間後の日付を決裁の期限として登録してください。

🛒 承認しないなら買い取る。誰が決めるか

138条1号ハまたは2号ハの請求を受けていて、承認をしない旨の決定をしたときは、会社は対象株式を買い取らなければなりません(140条1項)。買い取る旨と、買い取る対象株式の数を定めます(140条1項1号・2号)。

この決定は株主総会の決議によらなければなりません(140条2項)。取締役会設置会社であっても取締役会では決められません。しかも309条2項1号により特別決議です。自己株式の取得になるからです。

140条3項が実務では効きます。譲渡等承認請求者は、この株主総会で議決権を行使することができません。自分の株式を会社にいくらで買わせるかを自分で決められては困るからです。ただし、その請求者以外の株主の全部が議決権を行使することができない場合は、この限りでないとされています。株主が2名で、一方が請求者、他方が議決権のない株式しか持たないといった場面のための例外です。

会社が買い取るかわりに、対象株式の全部または一部を買い取る者を指定することもできます。これが指定買取人です(140条4項)。指定は株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議によりますが、定款に別段の定めがある場合はこの限りでありません(140条5項)。取締役会設置会社なら取締役会で指定できるということです。

どちらを選ぶかは、財源の問題でもあります。会社が買い取る場合は自己株式の取得ですから、交付する金銭等の帳簿価額の総額が効力発生日の分配可能額を超えてはなりません(461条1項1号)。さらに、その事業年度の計算書類の承認時に欠損が生じていれば、業務執行者が会社に対して支払義務を負います(465条1項1号)。指定買取人が買い取る場合は会社の財産が出ていかないので、この制約はかかりません。買い取る金額が大きいときほど、指定買取人を立てられるかどうかが現実的な分岐になります。

💴 40日と10日。供託と通知はセットで期限内に

会社が買い取る決定をしたら、その事項を請求者に通知します(141条1項)。ただし、通知をしようとするときは、その前提として、1株当たり純資産額に買い取る対象株式の数を乗じて得た額を本店の所在地の供託所に供託し、供託を証する書面を請求者に交付しなければなりません(141条2項)。1株当たり純資産額の算定方法は施行規則25条にあります。買取代金の担保を先に積む、という設計です。

指定買取人が買い取る場合も同じです。指定買取人は、指定を受けた旨と買い取る対象株式の数を請求者に通知し(142条1項)、その前に同じ額を会社の本店の所在地の供託所に供託して供託を証する書面を交付します(142条2項)。

期限は145条2号にあります。会社が139条2項の通知の日から40日以内に141条1項の通知をしなかった場合は、承認したものとみなされます。ただし、指定買取人が139条2項の通知の日から10日以内に142条1項の通知をした場合は除かれます。会社が動かなくても、指定買取人が10日以内に動けばセーフということです。40日も10日も、これを下回る期間を定款で定めた場合にはその期間になります。

通知だけしておけばよい、というわけではありません。施行規則26条1号は、会社が40日以内に141条1項の通知をした場合であっても、その期間内に供託を証する書面を交付しなかったときは承認したものとみなすとしています。指定買取人についても同じ定めがあります(施行規則26条2号)。通知と供託書の交付はセットで期限内に終える必要があります。実務では、買取りの通知を内容証明郵便で送るときに、供託書を別途配達証明郵便で送ったことを本文に書いておく方法が使われます。

🔒 通知が届いたら請求は撤回できなくなる

143条1項は、138条1号ハまたは2号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、141条1項の通知を受けた後は、会社の承諾を得た場合に限り請求を撤回することができるとしています。指定買取人からの通知についても同じです(143条2項)。

これらの通知によって、会社または指定買取人と請求者との間に株式の売買契約が成立すると解されています。だから一方的にはやめられません。株主の側から見れば、買取りの請求まで書いて出す以上、価格が思ったより低くても引き返せないということです。会社の側から見れば、通知を出した時点で買う義務が確定するということです。

読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか

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📦 株券発行会社は1週間以内に株券を供託する

対象株式が株券発行会社の株式である場合には、供託を証する書面の交付を受けた請求者は、その交付を受けた日から1週間以内に、対象株式に係る株券を会社の本店の所在地の供託所に供託しなければなりません。供託したときは、遅滞なくその旨を会社に通知します(141条3項)。指定買取人の場合も同じです(142条3項)。

この期間内に供託をしなかったときは、会社または指定買取人は売買契約を解除することができます(141条4項、142条4項)。そして、請求者が売買契約を解除した場合には、やはり承認したものとみなされます(145条3号、施行規則26条3号)。

⚖ 売買価格は協議。20日以内なら裁判所へ

売買価格は、会社と請求者との協議によって定めるのが原則です(144条1項)。指定買取人の場合も準用されます(144条7項)。

協議が調わないときは、会社または請求者は、141条1項の通知があった日から20日以内に、裁判所に対して売買価格の決定の申立てをすることができます(144条2項)。裁判所は、譲渡等承認請求の時における会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならないとされ(144条3項)、申立てがあったときは裁判所が定めた額が売買価格になります(144条4項)。

20日を過ぎるとどうなるか。144条5項は、その期間内に申立てがないときは、協議が調った場合を除き、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額をもって売買価格とすると定めています。供託した額がそのまま価格になるということです。純資産で計算した額が実際の価値より低いと考えるのであれば、20日以内に申し立てるほかありません。会社にとっても同じで、純資産額が高すぎると考えるなら黙っていてはいけません。

価格が確定したときは、供託した金銭に相当する額を限度として、売買代金の全部または一部を支払ったものとみなされます(144条6項)。差額があれば別に精算します。会社が買い取った場合は、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載します(132条1項2号)。指定買取人が買い取った場合は、指定買取人からの請求により名義を書き換えることになります(133条、134条3号)。

📅 期限の一覧

承認しない方向で進むときに走る期限をまとめます。起算点がそれぞれ違うので注意してください。

期限 何をいつまでに 守らないと 条文
2週間 請求の日から、承認するか否かの決定の内容を請求者へ通知 承認したものとみなされる 139条2項、145条1号
40日 決定内容の通知の日から、会社が買い取る旨の通知と供託を証する書面の交付 承認したものとみなされる 141条1項・2項、145条2号、施行規則26条1号
10日 決定内容の通知の日から、指定買取人が指定を受けた旨の通知と供託を証する書面の交付 承認したものとみなされる 142条1項・2項、145条2号、施行規則26条2号
1週間 供託を証する書面の交付を受けた日から、請求者が株券を供託(株券発行会社の場合) 会社または指定買取人が売買契約を解除できる 141条3項・4項、142条3項・4項
20日 買取りの通知があった日から、裁判所へ売買価格の決定を申立て 1株当たり純資産額に株式数を乗じた額が売買価格になる 144条2項・5項

2週間、40日、10日はいずれも、これを下回る期間を定款で定めた場合にはその期間になります。長くする方向の定款の定めはできません。ただし145条ただし書により、会社と請求者の合意で別段の定めをすることはできます。社内の意思決定に時間がかかりそうなら、請求者に事情を説明して合意で期間を延ばすのが正攻法です。

📖 みなし承認になる5つの場面

145条は3つの号を置き、3号が施行規則26条に飛びます。施行規則26条にはさらに3つの号があるので、みなし承認になる場面は全部で5つです。

場面 条文
請求の日から2週間以内に決定内容の通知をしなかった 145条1号
決定内容の通知の日から40日以内に会社が買取りの通知をしなかった(指定買取人が10日以内に通知した場合を除く) 145条2号
会社が40日以内に買取りの通知をしたが、その期間内に供託を証する書面を交付しなかった 145条3号、施行規則26条1号
指定買取人が10日以内に通知をしたが、その期間内に供託を証する書面を交付しなかった 145条3号、施行規則26条2号
請求者が会社または指定買取人との売買契約を解除した 145条3号、施行規則26条3号

並べてみると、会社側の不作為はすべて請求者に有利に働くように設計されていることがわかります。譲渡制限は会社の権利ですが、期限を守らなければその権利は消える、という組み立てです。

🔎 実務で気をつけること

受付日を必ず記録する

すべての期限の起算点が請求の日です。郵送で届いた封筒を開封しないまま担当者の机に置かれていた、というだけで数日が飛びます。株式取扱規程で提出先と受付の方法を決め、受付簿に日付を残してください。書式を用意しておけば、138条の記載事項が抜けた不完全な請求を減らせます。

買い取る覚悟がないなら承認する

138条1号ハの買取請求まで書かれている場合、承認しないという判断は、会社か指定買取人が買い取るという判断とセットです。分配可能額が足りない、買い取る資金がない、指定買取人の当てもない。この状態で承認しない旨を通知すると、40日後に承認したことになるだけで、時間と信頼を失います。決定の前に、分配可能額と資金と指定買取人の候補を確認してください。

相続や合併による取得には承認が要らない

134条は、株式取得者による名義書換の請求の規定(133条)を、取得した株式が譲渡制限株式である場合には適用しないとしたうえで、4つの例外を挙げています。136条の承認を受けている場合(1号)、137条1項の承認を受けている場合(2号)、指定買取人である場合(3号)、そして相続その他の一般承継により取得した者である場合(4号)です。相続で株式が親族に移るときは、4号により承認の手続を経ずに名義書換ができます。この場面は譲渡承認ではなく、名義書換と、必要なら売渡請求の検討になります。

定款のみなし承認の定めを使う

107条2項1号ロの定めを置いておけば、一定の場合はあらかじめ承認したものとみなせます。役員間の持ち合いや親族への移動が繰り返される会社では、定款を見直すだけで手続の負担が大きく減ります。上場準備に入る前の、株主構成が安定している時期に検討しておく論点です。

上場準備では、いつ譲渡制限を外すかとセットで考える

上場すれば譲渡制限は外れますから、この手続そのものがなくなります。逆にいえば、譲渡制限があるうちの株式の移動は、すべてこの手続を通っていなければなりません。過去に承認決議を経ずに動いた株式が残っていると、上場準備の株主名簿の整備で必ず出てきます。取締役会議事録をさかのぼって確認し、抜けがあれば追認の手当てを検討することになります。

税務は別の枠組みで考える

会社法上の売買価格の決め方と、税務上の株式の評価は別の話です。1株当たり純資産額で決着した価格が、税務上も適正だとは限りません。同族会社の株式が動く場面では、価格の考え方を先に税理士と確認しておくことをおすすめします。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可申請にかかる監査証明と合意された手続業務に対応しています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

❓ よくある質問

Q. 承認するつもりでも通知は必要ですか。

A. 必要です。139条2項は、承認または不承認の決定をしたときは、その決定の内容を請求者に通知しなければならないと定めています。承認する場合に通知を忘れても、145条1号により承認したものとみなされるので結論は変わりませんが、請求者は会社の意思を確認できません。名義書換の受付にも影響しますので、決定したら必ず通知してください。

Q. 2週間の期間は定款で長くできますか。

A. できません。145条1号は「二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)」と書いており、短くする方向の定めしか認めていません。ただし本文のただし書により、会社と請求者との合意で別段の定めをすることはできます。検討に時間が必要なら、請求者と合意して延ばすのが正しい対応です。

Q. 承認しない決定をした後で、やはり承認に変えられますか。

A. 会社が40日以内に買取りの通知と供託を証する書面の交付をしなければ、145条2号または施行規則26条1号により承認したものとみなされます。結果として承認と同じ状態になりますが、これは意図して使う方法ではありません。買い取れないのであれば、最初から承認する旨の決定をするほうが日程も信頼も守れます。

Q. 会社が買い取るのと指定買取人が買い取るのとで、何が違いますか。

A. 会社が買い取る場合は自己株式の取得になるため、分配可能額の規制(461条1項1号)と、期末に欠損が生じた場合の業務執行者の責任(465条1項1号)がかかります。決議も株主総会の特別決議です(140条2項、309条2項1号)。指定買取人の指定は取締役会設置会社なら取締役会で足り(140条5項)、会社の財産も出ていきません。

Q. 株主が価格に納得しない場合はどうなりますか。

A. 買取りの通知があった日から20日以内であれば、会社も株主も裁判所に売買価格の決定を申し立てることができます(144条2項)。この期間に申立てがなく協議も調わなければ、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じた額が売買価格になります(144条5項)。20日は短いので、通知を出す前から価格の考え方を用意しておいてください。

📄 まとめ

譲渡制限株式の譲渡承認は、期限の連なりでできています。請求の日から2週間以内に決定の内容を通知する(145条1号)。承認しないなら、通知の日から40日以内に会社が買取りの通知と供託を証する書面の交付をする、または指定買取人が10日以内に同じことをする(145条2号、施行規則26条1号・2号)。どれか1つでも落とせば、承認したものとみなされます。

承認しないという判断は、買い取るという判断とセットです。会社が買い取るなら株主総会の特別決議が必要で、請求した株主は議決権を行使できません(140条2項・3項、309条2項1号)。自己株式の取得ですから分配可能額の規制もかかります(461条1項1号)。買い取れる見込みがないなら、承認するほうが実務は収まります。

価格は協議が原則で、20日以内なら裁判所に決定を申し立てられます(144条2項)。申立てがなければ1株当たり純資産額で決まります(144条5項)。買取りの通知が届いた後は、請求者は会社の承諾がなければ請求を撤回できません(143条)。通知を出す時点で、会社も株主も後戻りできなくなると考えてください。

この手続でいちばん多い事故は、受付日の管理ができていないことです。譲渡等承認請求書を受け付けたら、その日を起算点として2週間後の決裁期限を登録する。それだけで、会社の意思に反して承認したことにされる事態は防げます。定款に107条2項1号ロのみなし承認の定めを置いておけば、身内の移動については手続そのものを省けます。

⚖ 本記事の根拠

記載内容の根拠

  • 会社法127条(株式の譲渡)、107条1項1号・2項1号、108条1項4号・2項4号(譲渡制限の定款の定め)
  • 会社法136条、137条1項・2項、138条1号・2号(譲渡等承認請求)、会社法施行規則24条
  • 会社法139条1項・2項(承認の決定と通知)、145条1号から3号(承認したとみなされる場合)、会社法施行規則26条
  • 会社法140条1項から5項、309条2項1号(買取りと指定買取人)、141条、142条、143条、144条
  • 会社法132条1項2号、133条、134条(株主名簿の記載)、会社法施行規則25条(1株当たり純資産額)
  • 会社法461条1項1号(分配可能額の規制)、465条1項1号(欠損が生じた場合の責任)
  • 実務書「会社法実務スケジュール」(商事法務)の譲渡制限株式の譲渡等承認手続の記述と照合

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。

このテーマの全体像は上場準備の会社法|定款・機関・株主総会・株式の手続にまとめています。

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