オーバーアロットメントとグリーンシューオプションは、別のものです。
日本証券業協会の有価証券の引受け等に関する規則 第2条第20号が、オーバーアロットメントを、引受会員が募集又は売出しの予定数量のほかに同一条件で追加的に売出しを行うこと、と定義しています。売る行為です。
第21号のグリーンシューオプションは、募集又は売出しに係る株券等と同一銘柄の株券等を当該株券等の発行者又は保有者より取得することができる権利、です。取得する権利です。
- 3つの用語の定義と号番号
- 数量の上限が15パーセントであること
- 期間が最長30日間であること
- 新規公開では上場日の前日まで行使できないこと
- 安定操作取引が別の枠組みであること
- シンジケートカバー取引との使い分け
📌 結論 売る行為、取得する権利、買い戻す行為
オーバーアロットメントは売る行為、グリーンシューオプションは取得する権利、シンジケートカバー取引は市場で買い戻す行為です。3つは別のものです。
オーバーアロットメントを行うと、引受会員は手元にない株を売ったことになります。ショートポジションが生じます。
このショートを解消する方法が2つあります。ひとつが市場で買い戻すシンジケートカバー取引(第22号)。もうひとつが発行者または保有者から取得するグリーンシューオプションの行使(第21号)です。
発行者から取得すれば第三者割当による新株式の発行になり、保有者から取得すれば借入株式の返還になります。定義の中の、発行者又は保有者より、という文言がこの両方を含んでいます。
🧭 15パーセントと30日間
15パーセントと30日間。この2つが上限です。そして新規公開では、上場日の前日まで行使もカバー取引もできません。
第29条第1項が、オーバーアロットメントの合計数量を当該募集又は売出しの数量の15パーセントを限度としなければならない、としています。国内外同時に行う場合は外国分を含めて算定します。
第2項が、グリーンシューオプションの数量を行う予定のオーバーアロットメントの数量と同じとするとしています。実際のオーバーアロットメントの数量が予定に満たない場合でもオプションの数量を減らす必要はありませんが、行使できる数量は実際に行った数量が上限です。
第3項が期間です。グリーンシューオプションの行使期間およびシンジケートカバー取引の実施期間は、申込期間の終了する日の翌日から最長30日間です。
第4項が新規公開の特則です。当該新規公開の日の前日までは、グリーンシューオプションの行使およびシンジケートカバー取引を行うことができません。上場してからでないと動けません。
公募と売出しの配分、オーバーアロットメントの数量、そしてグリーンシューオプションを行使した場合の発行済株式数の増加。この3つは上場後の1株当たり情報に直結します。想定される株価のレンジごとに、資金調達額と希薄化の試算を作ります。主幹事証券との交渉の前に、自社で数字を持っておくことをおすすめします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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🧾 安定操作取引とは別の枠組み
有価証券の引受け等に関する規則に、安定操作という語は見当たりません。安定操作取引は金商法と施行令の枠組みです。混ぜて説明しないでください。
安定操作取引は金融商品取引法の枠組みです。第159条第3項が、何人も、政令で定めるところに違反して、相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもつて一連の有価証券売買等をしてはならない、としています。
政令が金融商品取引法施行令です。第20条第1項が、募集または売出しを容易にするために行う場合でなければしてはならないとし、第2項が自己の計算で行える金融商品取引業者を限定しています。
第22条が期間で、通常の募集・売出しでは申込みの期間が終了する日の20日前の日から当該期間が終了する日までです。第23条が安定操作届出書、第25条が安定操作報告書の提出を定めています。第26条により、届出書は受理日から、報告書は安定操作期間終了日の翌日から1月間公衆縦覧に供されます。
なお、有価証券の引受け等に関する規則には安定操作という語が見当たりません。この2つは別の枠組みですので、混ぜて説明しないでください。
📅 どちらを選ぶか
株価が公開価格を下回っていれば市場で買い戻し、上回っていればオプションを行使する。この選択が引受会員に委ねられています。
上場後、株価が公開価格を下回っていれば、市場で買い戻したほうが安く済みます。シンジケートカバー取引です。
株価が上回っていれば、グリーンシューオプションを行使して発行者または保有者から取得したほうが安く済みます。
この選択は引受会員が行います。発行会社から見ると、オプションが行使されるかどうかで発行済株式数が変わります。1株当たり情報の計算に影響しますので、両方のケースを試算しておいてください。
公開価格の決まり方はブックビルディングとはにまとめています。
❓ よくある質問
A. 募集または売出しの予定数量のほかに、同一条件で追加的に売出しを行うことです(規則第2条第20号)。
A. オーバーアロットメントは売る行為、グリーンシューオプションは取得する権利です。
A. 募集または売出しの数量の15パーセントです(第29条第1項)。
A. 申込期間の終了する日の翌日から最長30日間です(第29条第3項)。
A. できません。新規公開の日の前日までは行使もシンジケートカバー取引もできません(第29条第4項)。
A. 別の枠組みです。安定操作取引は金融商品取引法第159条第3項と施行令第20条以下です。
A. 施行令第26条により、届出書は受理日から、報告書は安定操作期間終了日の翌日から1月間公衆縦覧に供されます。
A. 発行者から取得する形でオプションが行使されれば増えます。1株当たり情報の計算に影響します。
📄 まとめ
売る行為がオーバーアロットメント、取得する権利がグリーンシューオプション、買い戻す行為がシンジケートカバー取引です。
数量は15パーセント、期間は最長30日間。新規公開では上場日の前日まで動けません。
安定操作取引は金商法と施行令の別の枠組みです。混ぜないでください。
オプションが行使される場合とされない場合で、発行済株式数が変わります。両方を試算しておいてください。
📚 参考(公的な一次情報)
- 有価証券の引受け等に関する規則(日本証券業協会) 第2条、第29条
- 金融商品取引法(e-Gov法令検索) 第159条第3項
- 金融商品取引法施行令(e-Gov法令検索) 第20条から第26条
- 安定操作届出書等(日本取引所グループ)
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