継続企業の前提に関する注記はいつ必要か|財規第8条の27と監基報570

継続企業の前提に関する注記は、赤字が続いたら必ず書くものなのか。

違います。重要な疑義を生じさせるような事象または状況があり、経営者の対応策を考慮してもなお重要な不確実性が認められるとき、はじめて注記になります。

根拠は、金融商品取引法の財務諸表であれば財務諸表等規則の第8条の27です。会社法の計算書類であれば会社計算規則の第100条です。

この記事でわかること

  • 注記の根拠が財規第8条の27にあること
  • 会社法側は会社計算規則第100条であること
  • 疑義があれば必ず注記になるわけではないこと
  • 対応策を考慮してもなお重要な不確実性が残るかが分かれ目であること
  • 評価期間の起算点が期末日の翌日であること
  • 12か月分の資金繰り計画が要ること

📌 結論 不確実性が残るかどうか

図1 根拠はどこにあるか場面根拠金融商品取引法の財務諸表財務諸表等規則 第8条の27会社法の計算書類会社計算規則 第100条監査の側監査基準 第四 報告基準 六、監査基準報告書570「継続企業」

会社が書く注記と、監査人が行う手続は別です。まず自社がどの枠組みの話をしているのかを分けてください。

会社が書く注記の根拠は、金融商品取引法の財務諸表であれば財務諸表等規則の第8条の27です。会社法の計算書類については会社計算規則の第100条に定めがあります。

監査の側は、監査基準の第四 報告基準 六が継続企業の前提を扱っており、実務の手続は監査基準報告書570が定めています。

この2つを混ぜないでください。会社が注記を書くかどうかの判断と、監査人が監査報告書に何を書くかは、別の判断です。

🧭 注記までの流れ

図2 注記が必要になるまでの流れ継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況がある経営者が対応策を検討する対応策を考慮してもなお重要な不確実性が認められる継続企業の前提に関する注記を行う

疑義があれば必ず注記、ではありません。対応策を考慮してもなお重要な不確実性が残るかどうかが分かれ目です。

営業損失が続いている。債務超過になった。それだけで注記が決まるわけではありません。

経営者が対応策を検討し、その対応策を考慮してもなお重要な不確実性が認められるかどうかを判断します。ここで結論が変わります。

ですから実務の中心は、対応策の具体性です。増資の交渉がどこまで進んでいるのか。金融機関との話し合いはどうなっているのか。書面で示せるかどうかが効いてきます。

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🔍 きっかけになる事象

図3 どんな事象が疑義のきっかけになるか区分財務関係継続的な営業損失、営業キャッシュ・フローのマイナス、債務超過、借入金の返済期限の到来営業関係主要な仕入先や販売先の喪失、重要な市場や許認可の喪失、人材の流出その他重要な訴訟、法令の変更、災害による重要な損害

監査基準報告書570のA2項が、この3つの区分で例示を置いています。1つあたるだけで結論が出るものではありません。

監査基準報告書570のA2項が、財務関係、営業関係、その他の3つの区分で例示を置いています。

ここにあてはまるものが1つあるだけで結論が出るわけではありません。複数が重なっているか、経営者の対応策で解消できる見込みがあるかを見ます。

上場審査の場面では、疑義そのものよりも、疑義に気づく仕組みがあるかどうかが問われます。月次で資金の見通しを見ているか。役員が数字を把握しているか。IPO審査の事業計画の合理性とはもあわせてご覧ください。

📅 評価期間

図4 評価期間の考え方論点内容経営者の評価期間期末日の翌日から12か月に満たない場合には、監査人は経営者に対して、少なくとも期末日の翌日から12か月間に延長するよう求めなければならないとされています(監基報570 第12項)よくある誤り決算日から1年間、という言い方は正確ではありません。起算点は期末日の翌日です実務資金繰り計画を12か月分そろえること。月次で作ることになります

上場準備の会社では、この12か月の資金繰り計画がそもそも作られていないことがあります。まずそこからです。

監査基準報告書570の第12項は、経営者の評価期間が期末日の翌日から12か月に満たない場合には、監査人は経営者に対して、評価期間を少なくとも期末日の翌日から12か月間に延長するよう求めなければならないとしています。

決算日から1年間、という言い方をよく見ますが、正確ではありません。起算点は期末日の翌日です。細かいようですが、資金繰り計画をいつまで作るかに直結します。

実務としては、月次の資金繰り計画を12か月分そろえることになります。上場準備の会社では、そもそもこれが作られていないことがあります。

❓ よくある質問

Q. 注記の根拠はどこですか。

A. 金融商品取引法の財務諸表は財務諸表等規則 第8条の27、会社法の計算書類は会社計算規則 第100条です。

Q. 赤字が続いたら注記しますか。

A. それだけでは決まりません。対応策を考慮してもなお重要な不確実性が認められるかどうかで判断します。

Q. 債務超過なら必ず注記ですか。

A. 必ずではありません。対応策の具体性次第です。

Q. 評価期間はどれくらいですか。

A. 少なくとも期末日の翌日から12か月間です。決算日から1年間という言い方は正確ではありません。

Q. 監査人は何をしますか。

A. 監査基準報告書570に従って、経営者の評価と対応策を検討します。会社の注記の判断とは別の判断です。

Q. どんな事象が対象ですか。

A. 監基報570のA2項が財務関係、営業関係、その他の3区分で例示しています。

Q. 対応策には何を書きますか。

A. 資金調達、資産の売却、コストの削減など。実現可能性を書面で示せるかが問われます。

Q. 何から準備しますか。

A. 12か月分の月次資金繰り計画です。これがないと議論が始まりません。

📄 まとめ

継続企業の前提に関する注記は、疑義があれば自動的に書くものではありません。対応策を考慮してもなお重要な不確実性が残るかどうかで決まります。

根拠は財規第8条の27、会社法側は会社計算規則第100条です。監査の側は監査基準の報告基準と監基報570です。

評価期間の起算点は期末日の翌日です。少なくとも12か月です。

いま資金繰り計画が12か月分ないなら、そこから作ってください。対応策の書面化はそのあとです。

📚 参考(公的な一次情報)

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