収益認識の注記は、何をどこまで書けばよいのか。最初の年度でいちばん迷うところです。
結論から言えば、企業会計基準第29号 第80-5項が定める3つの区分に沿って組み立てます。収益の分解情報、収益を理解するための基礎となる情報、そして当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報です。
この3本の柱で整理すると、書き漏らしが見えます。逆に、他社の注記を眺めるところから始めると、自社に必要のない記載まで写してしまいます。
- 注記が3区分であること(第80-5項)
- 重要性が乏しければ記載しないことができること(第80-5項ただし書き)
- 分解情報の切り口の例示(第80-11項)
- 契約残高の注記(第80-20項)
- 残存履行義務の注記と便法(第80-21項から第80-24項)
- 集計の仕組みを先に作ること
📌 結論 3区分で組み立てる
企業会計基準第29号 第80-5項が、この3つを注記すると定めています。まずこの3本の柱を頭に入れてください。どれを書き忘れているかが見えるようになります。
第80-5項は、収益認識に関する注記として3つの項目を注記すると定めています。収益の分解情報、収益を理解するための基礎となる情報、当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報の3つです。
そして同じ第80-5項のただし書きが、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については記載しないことができるとしています。全部を機械的に埋める必要はありません。
ここを誤解して、他社の注記を丸ごと写してしまう例をよく見ます。自社に契約資産がないのに契約資産の説明を書いても、読み手には何も伝わりません。
🧭 書く順番
分解情報から入るのが早いです。ここが決まると、あとの記載が自然に決まります。
分解情報から入ってください。収益をどう分けて見せるかが決まると、そのあとの記載が連鎖して決まります。
そのときセグメント情報との関係を確認します。分解情報とセグメント情報の売上高の関係が読み手にわかるようになっているかが問われます。
集計の仕組みも先に作っておいてください。決算の直前に契約単位の情報を集めようとすると、間に合いません。上場準備の段階で会計システムの持ち方から設計するのが結局は早道です。
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🔍 分解情報
第80-11項が例示を置いています。自社の説明資料や決算説明会でどう分けて話しているか。そこと揃えるのが実務的です。
第80-10項が分解情報の要求を、第80-11項がその切り口の例示を置いています。財又はサービスの種類、地理的区分、市場又は顧客の種類、契約期間、販売経路といったものです。
どれを選ぶかは自社の判断です。判断の手がかりとして実務的なのは、決算説明会の資料や、社内の業績管理で使っている分け方と揃えることです。外向けの説明と注記が食い違っていると、そこを説明するはめになります。
切り口を増やしすぎると、翌期以降も同じ粒度で作り続けることになります。維持できる粒度かどうかを、決める前に確かめてください。
💰 契約残高と残存履行義務
契約負債の期首残高のうち当期に収益として認識した額も求められます。前受金の動きを追える集計になっているかを、先に確かめてください。
契約残高は第80-20項です。顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の期首残高及び期末残高を示します。
残存履行義務は第80-21項です。既存の契約のうち、未充足または部分的に未充足の履行義務に配分した取引価格の総額と、その収益をいつ認識すると見込んでいるかを示します。
そして第80-22項から第80-24項に、記載しないことができる場合の定めがあります。当初の予想期間が1年以内の契約などです。便法を使うなら、その旨を書くことになります。
ここで詰まるのは、たいてい集計です。契約ごとに未消化の取引価格を出す仕組みがないと、手作業になります。契約資産と売掛金は何が違うかもあわせてご覧ください。
❓ よくある質問
A. 3つです。収益の分解情報、収益を理解するための基礎となる情報、当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報です(第80-5項)。
A. 第80-5項のただし書きにより、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項は記載しないことができます。
A. 第80-11項の例示を手がかりに自社で判断します。決算説明資料や社内の業績管理の分け方と揃えるのが実務的です。
A. 分解した収益とセグメント情報の関係が理解できるようにすることが求められます。
A. 顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の期首残高及び期末残高です(第80-20項)。
A. 第80-22項から第80-24項に、記載しないことができる場合の定めがあります。当初の予想期間が1年以内の契約などです。
A. 集計の仕組みづくりが本体です。決算の直前では間に合いません。上場準備の早い段階で設計してください。
A. 自社にない項目まで写すと、かえって読みにくくなります。3区分に沿って自社の事実を書いてください。
📄 まとめ
収益認識の注記は、第80-5項の3区分で組み立てます。分解情報、基礎となる情報、当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報です。
重要性に乏しいものは書かなくてよいという、ただし書きも同じ項にあります。全部を埋める作業ではありません。
実務の山は集計です。契約単位で未消化の取引価格を出せるか。契約負債の期首残高のうち当期に認識した額を出せるか。ここを先に作ってください。
分解情報の切り口を先に決めるのか、集計の仕組みを先に作るのか。どちらから入るかは自社の状況で選んでください。ただし、両方を決算の直前に始めることだけは避けてください。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準委員会) 第80-5項、第80-10項、第80-11項、第80-20項、第80-21項から第80-24項
- 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(e-Gov法令検索)
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