決算の途中で過去の誤りが見つかった。監査法人にいつ伝えるべきか。
結論は、わかった時点で速やかに、です。金額が確定するまで待つ必要はありません。むしろ、いつ知っていたのかが後から問われます。
とはいえ、何も整理せずに伝えても話が進みません。この記事では、伝える前に用意する3点と、修正再表示になったときの手当てを整理します。
- 誤謬の定義が企業会計基準第24号第4項(8)にあること
- 意図的かどうかを問わないこと
- 伝える前に対象期間・金額・原因を1枚にまとめること
- 金額が確定していなくても概算と幅で伝えること
- 修正再表示の処理が第21項に定められていること
- 注記事項が第22項にあること
📌 結論 わかった時点で、整理して伝える
意図的であるかどうかを問いません。単純な入力ミスも、見積りの前提の誤りも、ここに含まれます。新しい情報が出てきたことによる見積りの変更とは別のものです。
まず、それが誤謬にあたるのかを確かめます。企業会計基準第24号の第4項(8)は、誤謬を、原因となる行為が意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り、としています。
3つの類型が挙げられています。データの収集または処理上の誤り、事実の見落としや誤解から生じる会計上の見積りの誤り、そして会計方針の適用の誤りまたは表示方法の誤りです。
ここで区別しておきたいのが、会計上の見積りの変更との違いです。新しい情報が出てきたことによって見積りを変えるのは変更であって、誤謬ではありません。一方、当時入手できた情報を使っていなかったのであれば誤謬です。
📋 伝える前に用意する3点
全部わかってから伝えようとすると遅くなります。わかっていることと、まだ確認中のことを分けて伝えるのが実務的です。
用意するのは3点です。何が、いつの期間に、いくら。この3つが書かれた1枚があれば、話が進みます。
金額が確定していなくても構いません。概算でいくら、幅でいえばこのくらい、という形で出してください。確定を待つと、その間に監査の日程が進んでしまいます。
あわせて、同じ原因で他の科目や他の期間に影響がないかを確かめておきます。1件だけの話なのか、同種の誤りが横に広がっているのか。この見立てがあるかどうかで、その後の調査範囲が変わります。
誰が知っているかを整理する
社内で誰が知っているかも整理しておいてください。経理だけが把握しているのか、事業部門も知っていたのか。ここは、意図的な行為があったかどうかの判断に関わります。
意図的な行為の可能性がある場合は、調査の進め方そのものを監査法人と相談することになります。社内だけで調べてから伝える、という進め方はしないほうが賢明です。
誤謬にあたるかどうかの判断、影響額の算定、監査法人への説明資料の作成、修正再表示の処理と注記の文案まで対応します。開示済みの数字に影響する場合は、開示の要否と手順もあわせて整理します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
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⏱️ いつ伝えるか
遅らせて得することはありません。むしろ、いつ知っていたのかが後から問われます。発見の日付を記録に残してください。
金額が大きく過年度に及ぶ場合は、わかった時点で速やかに伝えます。金額の確定を待ちません。
期末監査の直前に見つかった場合も同じです。監査計画に影響しますから、遅らせるほど双方の負担が増えます。
金額が小さく当期中に処理できる場合でも、調査の過程で報告します。そして、同種の誤りが他にないかを確かめてください。1件が見つかったということは、仕組みに穴があるということです。
なお、未修正の虚偽表示の扱いについては未修正の虚偽表示はどう扱うかで整理しています。明らかに僅少という概念と、重要性がないという概念は別のものです。
🔁 修正再表示になるとき
修正再表示になると、注記で誤謬の内容を書くことになります。何が起きたのかを説明できる状態にしておく必要があります。
過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、第21項により修正再表示します。表示期間より前の期間に関する累積的影響額は、表示する財務諸表のうち最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映します。表示する過去の各期間の財務諸表には、当該各期間の影響額を反映します。
そして第22項が注記事項を定めています。過去の誤謬の内容、影響を受ける財務諸表の主な表示科目に対する影響額および1株当たり情報に対する影響額、そして最も古い期間の期首の純資産の額に反映された累積的影響額です。
注記で誤謬の内容を書くということは、何が起きたのかを外部に説明するということです。伝える段階から、その説明を作るつもりで資料を整えてください。
発見から開示までの全体の流れは過年度の会計処理に誤りが見つかったときに通しでまとめています。
❓ よくある質問
A. わかった時点で速やかに伝えます。金額の確定を待つ必要はありません。
A. 企業会計基準第24号第4項(8)です。意図的であるか否かにかかわらず、とされています。
A. 当時入手可能な情報を使わなかった、または誤用した場合が誤謬です。新しい情報による見直しは変更です。
A. 対象期間、科目、金額(概算でよい)、原因の4点を1枚にまとめてください。
A. 意図的な行為の可能性がある場合は、調査の進め方から相談してください。社内だけで進めると、あとで調査の客観性が問われます。
A. 第21項により、表示期間より前の累積的影響額を最も古い期間の期首に反映し、表示する各期間には当該期間の影響額を反映します。
A. 第22項により、誤謬の内容、主な表示科目と1株当たり情報に対する影響額、期首の純資産に反映された累積的影響額です。
A. 残してください。いつ知っていたのかは後から必ず問われます。
📄 まとめ
誤謬は、意図的かどうかを問わず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使わなかった、または誤用したことによる誤りです(第4項(8))。
伝える時期は、わかった時点で速やかに。金額が確定していなくても、概算と幅で伝えてください。
用意するのは、対象期間、科目、金額、原因の1枚です。あわせて、同じ原因で他に影響がないかの見立てを持っておいてください。
修正再表示になれば、第21項の処理と第22項の注記が必要になります。注記で内容を書く以上、説明できる状態にしておくことが要ります。
📚 参考(公的な一次情報)
- 企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第4項、第21項、第22項
- 監査基準報告書450「監査の過程で識別した虚偽表示の評価」
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