台東区にお住まいだった家族が亡くなったとき、「どこの窓口に、いつまでに、何を持って行けばいいのか」がわからず、途方に暮れる方は少なくありません。区役所だけで終わると思っていたら、年金は年金事務所、不動産は法務局、遺言は公証役場と、行き先がバラバラだったという声もよく聞きます。
この記事では、上野・浅草・入谷など台東区で相続が起きたときに訪ねる主な窓口を、住所・アクセス・扱っている手続きとあわせて一覧にまとめました。
- 台東区の相続手続きで訪ねる5つの窓口と、その役割の違い
- 台東区役所でできること(死亡届・戸籍・葬祭費7万円・おくやみコーナー)
- 上野年金事務所・東京法務局台東出張所・上野公証役場の場所と取扱事務
- 7日・3か月・4か月・10か月・3年という期限のタイムライン
- よく使う書類をどの窓口で取れるかの早見表
この記事の見出し
📍 台東区の相続手続きは5つの窓口に分かれる
相続の手続きは、内容ごとに担当する役所が決まっています。台東区の場合、実際に足を運ぶことが多いのは次の5か所です。まずは全体像をつかんでおくと、「この件はどこに聞けばいいのか」で迷う時間を大きく減らせます。
台東区で相続が起きたときに訪ねる主な窓口と、それぞれが担当する手続き。
手続きの全体像と優先順位については、第1回「親が亡くなったらやることは?相続手続きの流れと期限一覧」もあわせてご覧ください。
🏠 台東区役所:死亡届・戸籍・葬祭費の窓口
最初に訪れることになるのが台東区役所(東上野4丁目5番6号、代表電話03-5246-1111)です。台東区では、死亡届などの戸籍の届出は区役所本庁でのみ受理しています。区民事務所では受け付けていない点に注意してください。
死亡届は7日以内(戸籍法86条1項)
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します(戸籍法86条1項)。この届出に基づいて火葬許可証が発行されるため、実務上は葬儀社が代行して数日以内に提出するのが一般的です。窓口の受付時間は平日8時30分から17時15分ですが、土日祝日や早朝夜間でも区役所1階の夜間休日受付窓口で提出できます。
葬祭費は7万円・申請期限は2年(台東区)
亡くなった方が国民健康保険または後期高齢者医療制度の被保険者だった場合、葬儀を行った方(喪主)に葬祭費として7万円が支給されます。申請期限はいずれも葬儀を行った日の翌日から2年間です。後期高齢者医療制度の分は区役所2階15番窓口で申請します。申請には会葬礼状または葬儀費用の領収書の原本、喪主の本人確認書類、振込先口座がわかるものが必要です。
📍 どこで 台東区役所(東京都台東区東上野4-5-6)
⏰ いつまでに 死亡届は7日以内/葬祭費は葬儀の翌日から2年以内
🧾 何を持って 死亡診断書、届出人の本人確認書類、会葬礼状または葬儀費用の領収書、喪主名義の口座がわかるもの
おくやみコーナー(事前予約制)を活用する
台東区では令和7年7月から、死亡届提出後の手続きの案内や受付を行う「おくやみコーナー」を事前予約制で実施しています。故人に関する必要な行政手続きと窓口を案内してもらえるほか、一部の手続きは申請書の作成補助や受付にも対応しています。相談時間は火曜・木曜・金曜の4枠制で、予約は電話(03-5246-1369、平日8時30分〜17時15分)または区の予約フォームから行います。
※おくやみコーナーの予約が可能になるのは、死亡届の提出または葬儀の後、2週間経過してからです。利用は亡くなった方の住民登録が台東区の場合に限られます。
📅 上野年金事務所:年金の届出と未支給年金
年金の手続きは区役所ではなく年金事務所が窓口です。台東区を管轄するのは上野年金事務所(〒110-8660 台東区池之端1-2-18 NDK池之端ビル、電話03-3824-2511)で、受付時間は月曜から金曜の8時30分から17時15分までです。週初の開所日は19時まで、第2土曜は9時30分から16時まで相談を受け付けています。
年金を受給していた方が亡くなったときは、年金受給者の死亡の届出のほか、未支給年金の請求や遺族年金の請求が必要になることがあります。手続きは加入していた制度によって異なるため、基礎年金番号がわかるもの(年金証書、基礎年金番号通知書など)を用意して問い合わせるのが確実です。個人の年金相談は全国どこの年金事務所でも受け付けています。
※共済年金を受給していた場合は、年金事務所ではなくそれぞれの共済組合が窓口になります。
🗒️ 東京法務局台東出張所:相続登記と法定相続情報
台東区内の不動産の相続登記は、東京法務局台東出張所(〒110-8561 台東区台東1丁目26番2号、電話03-3831-0625)が管轄します。窓口対応時間は平日9時から17時までです。不動産登記のほか、法定相続情報一覧図(戸籍一式の代わりに使える証明書で、金融機関の手続きが大幅に楽になります)の保管申出もこの出張所で扱っています。
相続登記は、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが義務づけられています(不動産登記法76条の2第1項)。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となります。
⚠️ 注意 台東出張所では、自筆証書遺言書保管制度(法務局に自筆の遺言書を預ける制度)は取り扱っていません。東京都内の遺言書保管所は、本局・板橋出張所・八王子支局・府中支局・西多摩支局の5か所です。いずれも東京都全域を管轄しているため、台東区にお住まいの方は都内のこの5か所のどこでも手続きできます。
⚖️ 上野公証役場:遺言があるかを確かめる
公正証書遺言(公証人が作成し公証役場に原本が保管される遺言)が残されていないかを確認するときは、公証役場を訪ねます。上野公証役場は〒110-0015 台東区東上野1-7-2 冨田ビル4階(電話03-3831-3022)にあり、地下鉄日比谷線の仲御徒町駅から徒歩4分、大江戸線・つくばエクスプレスの新御徒町駅から徒歩2分です。
平成元年(1989年)以降に作成された公正証書遺言であれば、全国どこの公証役場でも遺言の有無を検索できます。検索を利用できるのは相続人など利害関係人に限られ、亡くなったことがわかる戸籍謄本と、自分が相続人であることがわかる戸籍謄本、本人確認書類が必要です。
自宅で見つかった封のされた遺言書を勝手に開封してはいけない点など、遺言書全般の扱いは第5回「遺言書の探し方と検認とは?」で詳しく解説しています。
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🧾 税務署:準確定申告と相続税の申告
税金の手続きは税務署が窓口です。台東区は下谷地区が東京上野税務署(電話03-3821-9001)、浅草地区が浅草税務署(電話03-3862-7111)の管轄に分かれています。ただし、相続税などの資産課税に関する事務は、令和元年7月以降、浅草税務署の資産課税部門が東京上野税務署で広域運営されています。
亡くなった方に一定の所得があった場合の準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内(所得税法124条、125条)、相続税の申告と納付は10か月以内(相続税法27条1項、33条)が期限です。いずれも提出先は亡くなった方の住所地を管轄する税務署であり、相続人の住所地ではありません。管轄の分かれ目や相談予約の方法は、次回「【台東区】相続税申告ガイド:東京上野税務署と浅草税務署の管轄」で詳しく取り上げます。
⏰ 期限のタイムラインで全体を把握する
窓口ごとに期限が異なるため、時系列で並べて確認しておくと安心です。特に相続放棄の3か月と相続税の10か月は、過ぎてしまうと取り返しがつかない場面があります。
起点はいずれも相続の開始(または相続の開始を知った日)です。詳細は本文の各章をご確認ください。
📄 台東区の相続窓口一覧表
| 窓口 | 場所・アクセス | 主な手続き |
|---|---|---|
| 台東区役所 | 東上野4-5-6/電話03-5246-1111(代表)。平日8時30分〜17時15分 | 死亡届(7日以内)、戸籍・住民票の除票、葬祭費7万円、介護保険証の返却、おくやみコーナー(予約制) |
| 上野年金事務所 | 池之端1-2-18 NDK池之端ビル/電話03-3824-2511。JR上野駅から徒歩10分、湯島駅から徒歩5分 | 年金受給者の死亡の届出、未支給年金の請求、遺族年金の請求 |
| 東京法務局 台東出張所 |
台東1-26-2/電話03-3831-0625。JR秋葉原駅・御徒町駅から徒歩10分。窓口は平日9時〜17時 | 不動産の相続登記(3年以内)、登記事項証明書、法定相続情報一覧図の申出 |
| 上野公証役場 | 東上野1-7-2 冨田ビル4階/電話03-3831-3022。仲御徒町駅から徒歩4分、新御徒町駅から徒歩2分 | 公正証書遺言の検索、遺言公正証書の謄本請求、生前の遺言作成 |
| 東京上野税務署 浅草税務署 |
下谷地区は東京上野税務署(03-3821-9001)、浅草地区は浅草税務署(03-3862-7111) | 準確定申告(4か月以内)、相続税の申告と納付(10か月以内) |
※所在地・受付時間・取扱事務は変更されることがあります。お出かけの前に各機関の公式サイトまたは電話でご確認ください。
🧾 よく使う書類はどこで取れるか
相続手続きでは、同じ書類を何度も求められます。どの窓口で取れるかを整理しておくと、一度の外出でまとめて用意できます。
| 書類 | 取得できる窓口 | 主な使いみち |
|---|---|---|
| 戸籍謄本・除籍謄本 | 台東区役所(本籍地が台東区の場合)。本籍地が他の市区町村なら、その市区町村 | 相続人の確定、金融機関の手続き、相続登記、相続税の申告 |
| 住民票の除票 | 台東区役所(住所地が台東区の場合) | 亡くなった方の最後の住所の証明、相続登記 |
| 法定相続情報一覧図 | 東京法務局台東出張所(不動産が台東区にある場合など) | 戸籍一式の代わりとして、複数の金融機関に同時に提出できる |
| 登記事項証明書 | 東京法務局台東出張所ほか、全国の法務局窓口 | 不動産の名義・地番の確認、財産目録の作成 |
| 遺言公正証書の謄本 | 上野公証役場など(検索は全国の公証役場で可能) | 遺産分割の前提となる遺言内容の確認 |
上野・浅草・入谷エリアの相続税申告について、期限や必要書類の整理からご相談を承っています。お問い合わせフォームからご連絡ください。オンライン面談にも対応しており、お問い合わせから2営業日以内にご返信します。
公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。相続税の申告と事業承継の支援を行っています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る
❓ よくある質問
戸籍謄本や住民票の除票は郵送請求ができ、葬祭費も郵送申請に対応しています(申請書の送付を国民健康保険課へ依頼します)。相続登記もオンライン申請や郵送申請が可能です。ただし、公正証書遺言の検索は原則として公証役場の窓口で行うため、事前に電話で必要書類と手続き方法を確認してから訪問することをおすすめします。
いいえ。おくやみコーナーで案内・受付できるのは区役所が扱う行政手続きが中心です。年金事務所、法務局、公証役場、税務署、金融機関の手続きはそれぞれの窓口で行う必要があります。また、遺産分割協議や相続税の申告といった相続そのものの手続きは対象外です。
相続登記の申請先は不動産の所在地を管轄する法務局です。複数の市区町村に不動産がある場合は、それぞれの管轄法務局に申請します。この場合、法定相続情報一覧図を取得しておくと、各法務局や金融機関に提出する戸籍一式を何組も用意する手間を省けます。
📝 まとめ
- 台東区の相続手続きは、区役所・年金事務所・法務局・公証役場・税務署の5か所に分かれる
- 死亡届は7日以内に台東区役所本庁へ。葬祭費7万円は葬儀の翌日から2年以内に申請する
- 年金は上野年金事務所、相続登記と法定相続情報は東京法務局台東出張所が窓口
- 台東出張所では自筆証書遺言書保管制度を扱っていないため、都内5か所の遺言書保管所を利用する
- 準確定申告4か月、相続税申告10か月、相続登記3年の期限は、亡くなった方の住所地・不動産の所在地が基準
連載の他の回は、相続税 完全ガイド(目次)からまとめてご覧いただけます。
🔗 参考
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