今期の利益が思ったより出た。決算賞与を出して当期の損金にしたい。よくある相談です。
できます。ただし要件が3つあります。通知、支払、そして損金経理です。1つでも欠けると、実際に支給した事業年度の損金になります。今期には落ちません。
この記事では、3つの要件の中身と、実務でつまずきやすいところ、そして何を残しておけばよいかを整理します。
- 決算賞与を当期の損金にする要件が3つあること
- 通知は各人別に、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して行うこと
- 支払期限が事業年度終了の日の翌日から1か月以内であること
- 通知をした日の属する事業年度で損金経理をしていること
- 1つでも欠けると支給した事業年度の損金になること
- 通知の記録が実務でいちばんの弱点になること
📌 結論 3つそろってはじめて当期の損金
3つすべてを満たす必要があります。1つでも欠けると、支給した事業年度の損金になります。
使用人賞与の損金算入時期は、法人税法施行令の第72条の3に定めがあります。未払いのまま当期の損金にするには、次の3つを満たすことが必要です。
1つめ。その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
2つめ。通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
3つめ。その支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
3つすべてです。どれか1つでも欠ければ、その賞与は実際に支給した事業年度の損金になります。決算対策として使うつもりが、翌期に効くだけ、ということになります。
📅 3月決算の会社ならこう動く
1か月以内という期限は、事業年度終了の日の翌日から数えます。3月決算なら4月30日までです。給与の支給日が5月であっても、賞与だけは4月中に払うことになります。
期限の数え方に注意してください。1か月以内は、事業年度終了の日の翌日から数えます。3月決算なら4月30日までです。
会社の給与規程で賞与の支給日が5月になっている場合、その規程どおりに払うと期限を超えます。決算賞与だけは別に払うか、支給日の定めを見直すことになります。
通知の日も大事です。通知が期末を過ぎてしまうと、通知をした日の属する事業年度が翌期になり、当期の損金にはなりません。決算作業の中で通知だけ後回しにする、ということができません。
通知書の様式、支給の決定手続、未払計上の処理、そして調査で示す資料の整え方まで対応します。決算直前の判断が必要な場面ほど、早めにご相談ください。役員賞与との切り分けや、使用人兼務役員の扱いもあわせて整理します。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。
⚠️ つまずきやすいところ
実務でいちばん多いのは通知の記録がないケースです。金額を決めて口頭で伝えただけでは、調査で通知の事実を示せません。
いちばん多いのが通知の記録です。金額は決めた、朝礼で伝えた、しかし各人別の通知書がない。この状態では、支給額を各人別に通知したことを示せません。
通知書は1人ずつ作り、受領の記録を取ってください。メールでも構いませんが、各人別の金額が記載されていることと、全員に届いていることの2点が示せる形にします。
通知後に退職した人をどうするか
通知したあと、支払日までに退職した人がいる場合の扱いは、あらかじめ決めておく必要があります。通知した金額を支払わなければ、通知した金額を支払っていない状態になるからです。
賞与規程で在籍要件を置いている会社もありますが、その定めがあると、通知した時点では金額が確定していないという見方もされ得ます。規程の作りかたと通知の内容は、あわせて確認してください。
読みながら、自社の場合はどうなるかが気になっていませんか
いまの状況と、判断に迷っている点をお送りいただければ、公認会計士がどこから手をつけるべきかを整理してお返しします。営業のご連絡を重ねて差し上げることはありません。
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💰 出す前に確かめること
決算賞与は、決めてから支払うまでの期間が短い制度です。3月決算なら、3月に決めて4月末までに払います。まず、その資金があるかどうかを確かめてください。
あわせて見ておきたいのが、会社負担分の社会保険料です。賞与の額に応じて別途発生しますから、支給額だけを見て資金繰りを組むと足りなくなります。
それから、賞与規程との整合です。支給日の定めがあると、その日が翌々月になっていて期限を超える、ということが起こります。規程を変えるのか、決算賞与を別建てにするのかを決めておきます。
翌期以降への影響
一度出すと、翌期も期待されます。利益が出た年だけ出すという方針であれば、そのことを支給の通知や社内の説明で明確にしておくほうが、あとの調整が楽になります。
上場準備中の会社では、人件費の水準が期によって大きく動くことを審査で説明することになります。決算賞与の有無で人件費が振れるのであれば、その理由を書ける形にしておいてください。
📁 何を残しておくか
決算賞与は3要件がそろってはじめて当期の損金になります。どれも書面で示せる形にしておいてください。
決算賞与は、金額の妥当性が問題になることは多くありません。問われるのは手続です。いつ、誰に、いくらを通知して、いつ払ったか。この4点が資料で追えるかどうかです。
役員に対する賞与は、使用人賞与とは別の話になります。役員給与の損金算入は事前確定届出給与や業績連動給与の枠組みで判断しますから、決算賞与と同じようには扱えません。業績連動給与の要件は業績連動給与はいつまでに払えば損金になるかで扱っています。
使用人兼務役員については、使用人分の賞与と役員分の賞与を分けて考えることになります。ここは個別の検討が要ります。
❓ よくある質問
A. できます。通知、1か月以内の支払、損金経理の3要件をすべて満たす場合です。
A. その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知します。各人別の金額がわかる書面を残してください。
A. 通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内です。3月決算なら4月30日までです。
A. いいえ。その支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていることが要件の1つで、通知と支払も必要です。
A. 実際に支給した事業年度の損金になります。当期には落ちません。
A. 同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していることが要件です。どこまでが同時期に支給を受ける使用人かを整理してから決めてください。
A. 役員に対する賞与は使用人賞与とは別の枠組みで判断します。決算賞与と同じ扱いにはなりません。
A. 各人別の通知書と受領の記録、支給を決めた記録、振込データ、未払賞与の仕訳です。いつ誰にいくらを通知していつ払ったかが追える形にします。
📄 まとめ
決算賞与を当期の損金にする要件は3つです。各人別に、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知すること。事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払うこと。通知をした日の属する事業年度で損金経理をすること。
1つでも欠けると、実際に支給した事業年度の損金になります。決算対策としての意味がなくなります。
実務でいちばん弱いのは通知の記録です。各人別の金額を書いた通知書と、受領の記録。この2つを用意してください。
そして、通知後に退職した人の扱いと、賞与規程の在籍要件は、事前に整理しておくことをおすすめします。
📚 参考(公的な一次情報)
- 法人税法施行令 第72条の3(使用人賞与の損金算入時期)
- 法人税基本通達 9-2-43、9-2-44
- 国税庁タックスアンサー No.5350(使用人賞与の損金算入時期)
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