墓地と納骨堂の課税|永代使用料と管理料

寺院や霊園を持つ宗教法人にとって、墓地に関する収入の課税は避けて通れない論点です。永代使用料には法人税がかかりません。では毎年の管理料は。増えている納骨堂は。

結論の出発点は、宗教法人が行う墳墓地の貸付業が不動産貸付業から除かれていることです。永代使用料もこの除外に含まれることが通達で明示されています。

この記事では、墓地に関する収入を種類ごとに整理し、判断がつきにくい管理料と納骨堂の考え方まで説明します。

この記事でわかること

  • 墳墓地の貸付業が収益事業から外れる根拠
  • 永代使用料も外れることを示した通達
  • 管理料の性質をどう整理するか
  • 納骨堂に直接の定めがない理由
  • 墓石や仏具の販売と消費税の扱い

📌 墳墓地の貸付業は収益事業から外れている

収益事業の34業種のうち、不動産貸付業を定めるのは法人税法施行令5条1項5号です。この号には、除かれるものがイからリまで並んでおり、そのニに、宗教法人法4条2項に規定する宗教法人または公益社団法人もしくは公益財団法人が行う墳墓地の貸付業が掲げられています。

つまり、宗教法人が行う墳墓地の貸付業は、不動産貸付業から外れます。34業種のどれにも当たりませんので、収益事業になりません。

ここで注意したいのは、除外されているのが宗教法人などに限られていることです。同じ墓地の貸付けでも、株式会社が行えばこの除外は使えません。

📌 永代使用料も外れる

墓地の貸付けでは、毎月の地代ではなく、永代使用料としてまとまった金額を一度に受け取る形が一般的です。この形でも結論は変わりません。

法人税基本通達15-1-18は、令第5条第1項第5号ニの規定により収益事業とされない墳墓地の貸付業には、同号ニに規定する法人がいわゆる永代使用料を徴して行う墳墓地の貸付けが含まれることに留意する、としています。

まとまった金額を一括で受けるという形式は、判定に影響しません。墳墓地の貸付けである限り、収益事業には当たらないという整理です。

墓地に関する収入の整理永代使用料墳墓地の貸付けの対価通達15-1-18が明示収益事業に当たらない管理料清掃や設備維持の対価か貸付けの対価の一部か内容により判断墓石や仏具の販売一般の店でも買える品物通達15-1-10のただし書き物品販売業に当たりうるいずれも宗教法人が行う場合の整理です

墓地に関する収入は、性質ごとに整理して考えます。

📌 管理料はどう考えるか

実務で判断が分かれるのが、毎年受け取る管理料です。通達には管理料についての直接の定めがありません。

考え方としては、その管理料が墳墓地の貸付けの対価の一部といえるのか、それとも通路の清掃や水道の維持といった役務の提供の対価といえるのかで整理が変わります。前者であれば貸付業と一体のものとして扱う余地がありますが、後者に近づくほど別の業種にあたらないかを検討することになります。

契約書や使用規則に何と書いているか、実際にどのような役務を提供しているか、金額がその役務の水準に見合っているか。この3点を整理したうえで、所轄の税務署に確認してください。あいまいなまま処理を続けるより、早い段階で整理しておくほうが安全です。

📌 納骨堂には直接の定めがない

近年増えている納骨堂については、法人税基本通達に直接の定めがありません。ここは慎重に考える必要があります。

墓地、埋葬等に関する法律は、墳墓と墓地と納骨堂を別に定義しています。墳墓とは、死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設(同法2条4項)。墓地とは、墳墓を設けるために墓地として都道府県知事の許可を受けた区域(同条5項)。納骨堂とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設(同条6項)です。

このように、納骨堂は墓地とは別の施設として位置づけられています。施行令5条1項5号ニが除いているのは墳墓地の貸付業ですので、納骨堂の使用料がここに含まれるかどうかは、施設の形態や契約の内容によって議論の余地があります。建物の一区画を継続的に使用させる形であれば不動産貸付業に当たらないか、といった検討も必要です。

納骨堂を新たに設ける場合や、既に運営していて処理に迷いがある場合は、自己判断で結論を出さず、契約書と施設の図面を持って所轄の税務署に相談することをおすすめします。

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📌 墓石や仏具の販売は別の話

墓地の貸付けが収益事業でないことと、境内で墓石や仏具や卒塔婆を扱うことは別の問題です。

法人税基本通達15-1-10(1)のただし書きは、宗教法人以外の者が一般の物品販売業として販売できる性質を有するものを、一般の物品販売業者とおおむね同様の価格で参詣人等に販売している場合には、物品販売業に該当するとしています。石材店から仕入れて同じような価格で売るのであれば、物品販売業に当たる方向で考えることになります。

石材店を紹介して手数料を受け取る形にしている場合は、周旋業(法人税法施行令5条1項17号)に当たらないかという別の論点が生じます。形を変えても、どこかの業種に当たらないかを確認する姿勢が必要です。

📌 消費税は別の物差しで見る

法人税で収益事業に当たらないことと、消費税が非課税であることは別です。消費税では、土地の貸付けが非課税とされています(消費税法6条1項、別表第二1号)。

墓地の永代使用料が土地の貸付けの対価といえるのであれば非課税になりますが、管理料のように施設の維持管理という役務の提供の対価であれば、非課税の範囲に入りません。

また、土地の貸付けであっても、貸付けに係る期間が1月に満たない場合や、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は非課税から除かれます(消費税法施行令8条)。収入の種類ごとに、法人税と消費税の両方を確認してください。

📌 帳簿と規則を整えておく

墓地に関する収入を整理するときは、収入の種類ごとに勘定科目を分けることから始めてください。永代使用料、管理料、墓石等の販売代金、卒塔婆料。名称だけでなく、何の対価かがわかる形にしておくことが大切です。

墓地の使用規則には、永代使用料と管理料がそれぞれ何の対価であるかを書いておいてください。後から性質を説明するとき、規則の記載が最も強い資料になります。

収益事業に当たる収入が出てきた場合には、収益事業とそれ以外とで経理を区分し(法人税法施行令6条)、開始した日以後2か月以内に届出書を提出します(法人税法150条1項)。

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公認会計士・税理士 鈴木佑也

この記事を書いた人鈴木 佑也(公認会計士・税理士)

公認会計士としての実務歴は13年以上、独立後は20社を超える支援に関与しています。宗教法人の税務顧問と会計体制の整備支援を行っています。優成監査法人(現・太陽有限責任監査法人)で上場企業および上場準備企業の監査に従事し、太陽グラントソントン・アドバイザーズで財務デューデリジェンスと企業価値評価に携わりました。プロフィールを見る

❓ よくある質問

Q. 永代使用料に法人税はかかりますか

A. かかりません。宗教法人が行う墳墓地の貸付業は不動産貸付業から除かれており(法人税法施行令5条1項5号ニ)、永代使用料を徴して行う墳墓地の貸付けもこれに含まれます(法人税基本通達15-1-18)。

Q. 毎年の管理料はどう扱いますか

A. 通達に直接の定めがありません。墳墓地の貸付けの対価の一部といえるのか、清掃や設備維持という役務の提供の対価といえるのかで整理が変わります。使用規則の記載と実際の役務の内容を確認したうえで、所轄の税務署にご相談ください。

Q. 納骨堂の使用料はどうなりますか

A. こちらも通達に直接の定めがありません。墓地、埋葬等に関する法律は納骨堂を墓地とは別の施設として定義していますので(同法2条5項および6項)、墳墓地の貸付業の除外がそのまま及ぶとは限りません。施設の形態と契約の内容を整理して確認してください。

Q. 境内で墓石を扱うと課税されますか

A. 一般の物品販売業として販売できる性質の品物を、一般の販売業者とおおむね同様の価格で販売する場合には物品販売業に該当します(法人税基本通達15-1-10(1)ただし書き)。石材店を紹介して手数料を受け取る形にする場合は、周旋業に当たらないかを検討してください。

Q. 永代使用料に消費税はかかりますか

A. 消費税では土地の貸付けが非課税とされています(消費税法6条1項、別表第二1号)。永代使用料が土地の貸付けの対価といえるかどうかで結論が決まります。管理料のように役務の提供の対価であれば非課税の範囲には入りません。

📄 まとめ

宗教法人が行う墳墓地の貸付業は、不動産貸付業から除かれています(法人税法施行令5条1項5号ニ)。34業種のどれにも当たりませんので、収益事業になりません。

いわゆる永代使用料を徴して行う墳墓地の貸付けも、この除外に含まれます(法人税基本通達15-1-18)。一括で受け取る形式は判定に影響しません。

管理料と納骨堂には通達の直接の定めがありません。使用規則の記載と実際の役務の内容を整理したうえで、所轄の税務署に確認してください。

墓石や仏具の販売は物品販売業の判定になり、消費税は法人税とは別の物差しで判断します。収入の種類ごとに勘定科目を分けておくことが出発点です。

⚖ 本記事の根拠法令

記載内容の根拠

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の制度設計や運用にあたっては、監査法人および主幹事証券会社にご確認ください。

このテーマの全体像は宗教法人の税務|収益事業の判定と区分経理の実務にまとめています。

📚 参考(公的な一次情報)

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