グループ通算制度に入ると何が起きるか|申請期限と時価評価

グループ通算制度に入るには、承認の申請が要ります。期限は、適用したい最初の事業年度開始の日の三月前の日までです。

法人税法第64条の9第2項の文言です。親法人および他の内国法人の全ての連名で、親法人の納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官に申請書を提出します。

事業年度が始まってからでは間に合いません。前年度のうちに、入るかどうかを決める必要があります。

この記事でわかること

  • 承認の申請期限が3か月前であること
  • 全社の連名で申請すること
  • 開始時と加入時で時価評価の除外の数が違うこと
  • 繰越欠損金の切捨てと持込制限
  • 損益通算の配分の計算
  • 一部だけ入れる選択はできないこと

📌 結論 3か月前が期限

図1 承認の申請はいつまでか論点内容申請先国税庁長官(親法人の納税地の所轄税務署長を経由)期限当該親法人の最初の事業年度開始の日の三月前の日まで申請者親法人および他の内国法人の全ての連名根拠法人税法第64条の9第1項・第2項

3か月前です。事業年度が始まってからでは間に合いません。適用したい事業年度の前年度のうちに決める必要があります。

第64条の9第1項が、親法人と完全支配関係がある内国法人の全てが国税庁長官の承認を受ける旨を定めています。

第2項が申請の手続です。当該親法人の最初の事業年度開始の日の三月前の日までに、親法人および他の内国法人の全ての連名で申請します。

完全支配関係にある内国法人は全て対象です。この会社は入れる、この会社は入れない、という選択はできません。

🧭 時価評価の除外は開始と加入で違う

図2 時価評価の対象から外れる法人場面除外される法人根拠開始時第1号と第2号のみ。親法人、および他の内国法人で完全支配関係の継続が見込まれる政令所定の場合法人税法第64条の11第1項加入時第1号 通算親法人による完全支配関係下で設立された法人/第2号 通算法人を株式交換等完全親法人とする適格株式交換等の完全子法人/第3号 完全支配関係を有することとなった法人で一定要件全てに該当するもの/第4号 共同事業を行う場合として政令で定める場合の法人法人税法第64条の12第1項

開始時の除外は2つ、加入時の除外は4つです。買収してから通算に入れるときは、加入時の第3号か第4号に当たるかを確認します。

第64条の11第1項が開始時、第64条の12第1項が加入時の時価評価を定めています。どちらも時価評価資産の評価益または評価損を益金の額または損金の額に算入する、という構造です。

開始時の除外は第1号と第2号のみです。親法人、および他の内国法人で完全支配関係の継続が見込まれる政令所定の場合です。

加入時の除外は4つあります。第1号が通算親法人による完全支配関係下で設立された法人、第2号が通算法人を株式交換等完全親法人とする適格株式交換等の完全子法人、第3号が完全支配関係を有することとなった法人で一定要件の全てに該当するもの、第4号が共同事業を行う場合として政令で定める場合の法人です。

買収した会社を通算に入れるときは、加入時の第3号または第4号に当たるかを確認します。当たらなければ、加入の時点で含み損益が実現します。

グループ通算制度の導入判定と試算をお引き受けします

申請期限からの逆算、対象法人の洗い出し、時価評価の要否の判定、各社の繰越欠損金がどう扱われるかの確認、そして損益通算の効果の試算まで通してお受けします。入ったあとで抜けるのは簡単ではありません。入る前に、数字で効果を確かめてください。導入後の申告書の作成体制の設計もお受けします。公認会計士・税理士が直接お受けします。初回のご相談は無料です。

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🧾 繰越欠損金はどうなるか

図3 損益通算の計算(法人税法第64条の5)内容第1項他の通算法人に通算前欠損金額が生ずる場合、当該通算法人の通算対象欠損金額を、当該所得事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する第2項通算対象欠損金額 = 他の通算法人の通算前欠損金額の合計額 × (当該通算法人の通算前所得金額 ÷ 通算法人の通算前所得金額の合計額)第3項欠損事業年度側は、通算対象所得金額を益金の額に算入する

所得のある法人に、欠損のある法人の欠損金額が所得の比で配分されます。連結納税のように所得と欠損を単純に合算するのではありません。

法人税法第57条第6項が、通算承認の効力が生じた日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額をないものとする、という切捨ての規定です。

第8項が、支配関係発生日前に生じた欠損金額および特定資産譲渡等損失額相当額をないものとする、という持込制限です。

入れば全社の欠損金が使えるようになる、ということはありません。入る前に、各社の欠損金がどう扱われるかを確認してください。

📅 損益通算はどう計算するか

図4 入る前に確認すること適用したい事業年度の開始の日の3か月前までに間に合うかを確認する完全支配関係にある内国法人を全て洗い出す(全社が対象になる)開始時の時価評価の対象になる法人がないかを確認する各社の繰越欠損金がどう扱われるかを確認する(切捨てと持込制限)損益通算でどれだけ効果が出るかを試算する申請書を全社の連名で作成する

完全支配関係にある内国法人は全て対象です。一部だけを入れる、という選択はできません。

第64条の5第1項が損益通算です。他の通算法人に通算前欠損金額が生ずる場合、当該通算法人の通算対象欠損金額を当該所得事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する、としています。

第2項が計算式です。他の通算法人の通算前欠損金額の合計額に、当該通算法人の通算前所得金額を通算法人の通算前所得金額の合計額で除した割合を乗じます。所得のある法人に、所得の比で配分されます。

第3項は逆方向で、欠損事業年度側が通算対象所得金額を益金の額に算入します。

通算制度を採用した場合の注記はグループ通算制度で注記は何が変わるかにまとめています。

❓ よくある質問

Q. 申請はいつまでですか。

A. 最初の事業年度開始の日の三月前の日までです(第64条の9第2項)。

Q. 誰が申請しますか。

A. 親法人および他の内国法人の全ての連名です。

Q. 一部の会社だけ入れられますか。

A. できません。完全支配関係がある内国法人の全てが対象です。

Q. 開始時に時価評価が要る会社は。

A. 第64条の11第1項の第1号・第2号に当たらない法人です。除外は2つだけです。

Q. 加入時の除外は。

A. 第64条の12第1項の第1号から第4号までの4つです。

Q. 過去の欠損金は使えますか。

A. 第57条第6項で切り捨てられるものと、第8項で持込みが制限されるものがあります。

Q. 損益通算はどう配分されますか。

A. 所得のある法人に、通算前所得金額の比で配分されます(第64条の5第2項)。

Q. 参考になる公表資料はありますか。

A. 国税庁のグループ通算制度に関するQ&Aです。令和2年6月公表、令和4年7月改訂です。

📄 まとめ

申請は3か月前まで、全社の連名です。事業年度が始まってからでは間に合いません。

時価評価の除外は開始時が2つ、加入時が4つです。買収後の加入は要注意です。

過去の欠損金は切捨てと持込制限を受けます。全部使えるようにはなりません。

入る前に効果を試算してください。抜けるときのほうが手間がかかります。

📚 参考(公的な一次情報)

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